JP7766301B2 - 高分子成形物の製造方法 - Google Patents

高分子成形物の製造方法

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Description

本発明は、厚さや長さや幅や結晶化度の異なるラメラ結晶を持つ結晶性の熱可塑性高分子体に対して、すべての結晶を溶融しその後成形するのではなく、一部の結晶は溶融させない部分溶融状態で成形する方法に関する。即ち、本発明は、融点が高温側のラメラ結晶は溶融しにくい温度であって、かつ低融点側のラメラ結晶と非晶領域とが溶融して流動化する温度において高分子を溶融成形する方法に関する。
また、高分子の融点が、加熱による分子量低下を引き起こす熱分解温度に近い場合には、溶融状態時に高分子の分子量が低下することがある。本発明は、このような高分子であっても、成形時に大きな分子量低下を引き起こさない成形方法に関する。
また、本発明は、結晶化が遅く溶融紡糸工程において繊維同士が膠着するのを防止する紡糸方法に関する。さらに、本発明は、ガラス転移点が室温より低く繊維化する時に膠着しやすい高分子であっても膠着を防止する紡糸方法に関する。膠着とは、高分子の粘着性が強くなることにより繊維同士がくっつき、繊維同士を解舒することが困難な状態である。
ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate、ポリヒドロキシアルカン酸、以後PHAとも略す)は、微生物が蓄積する熱可塑性のポリエステルであり、生分解性・生体適合性・生体吸収性のプラスチックとして注目され、多くの研究がなされてきた(非特許文献1)。PHAを構成するモノマーユニットは100種類以上知られている。代表的なPHAは、(R)-3-ヒドロキシブチレート((R)-3-ヒドロキシ酪酸ともいう。以下、3HBと略す)からなるポリ-3-ヒドロキシブチレート(以下、P(3HB)と略す)である(非特許文献1)。
P(3HB)の融点は175~180℃程度であり、ポリプロピレン(以下、PPと略す)と同程度の高い融点を有する。P(3HB)の破壊強度は、PPと同程度であるが、破壊伸びが5%以下であり、ガラス転移点が4℃(室温以下)である。
P(3HB)は、結晶性が高く、固くて脆い材料であることから、単体のフィルムなど成形体としては使用されない場合が多い。工業的にPHAを利用しようとする場合、その物性(結晶性、機械的物性など)を向上させる方法としては、第二成分モノマーユニットを導入し共重合体化する方法、分子量を増大させる方法、及び異種高分子材料と複合化する方法などが知られている。
P(3HB)をはじめとするPHAは熱分解を受けやすく、P(3HB)の融点付近で顕著な重量減少は起きないが、重合鎖の切断により分子量低下を引き起こすことが知られており、溶融状態時に分子量低下しやすいという大きな問題がある。また、PHAの結晶化速度は伝統的な工業用ポリマーよりも顕著に遅く、ガラス転移点は室温以下である。PHAを加熱溶融状態を経て成型する場合には、固化のための冷却時間が長くかかり生産性が悪いという問題、溶融紡糸においては結晶化が遅いためにアモルファス状態で巻きとられ、糸が膠着してしまうという問題、膠着を避けるためには重ならないように巻き取る必要があるという問題、巻き取った後に固化(結晶化)のために長い冷却時間がかかるという問題等、成形加工上の幾つかの問題がある。また、遅い結晶化速度は球晶の大きな成長につながり、成形物の物性の低下や経年劣化にも影響を及ぼす。共重合体化は、さらなる低い核形成密度、つまり結晶化速度の減少を引き起こすことがあり、共重合体化させても上記の成形加工上の問題は依然として残っている。さらに、高分子量にすると溶融粘度が高くなりすぎるという別の問題もある。
ポリエステル等の熱可塑性高分子材料の溶融成形においては、結晶化速度を改善する目的で様々な結晶核剤が検討されている。
公知の結晶核剤としては、例えば特定のポリエステルに対して、
Zn粉末、Al粉末、グラファイト、カーボンブラックなどの無機物単体;
ZnO、MgO、A12O3、TiO2、MnO2、SiO2、Fe3O4などの金属酸化物;
窒化アルミ、窒化珪素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物;
Na2CO3、CaCO3、MgCo3、CaSO4、CaSiO3、BaSO4、Ca3(PO4)3などの無機塩;
タルク、カオリン、クレー、白土などの粘土類;
シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリアクリル酸塩などの有機塩類;
ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの高分子化合物:
などを添加することが知られている(特許文献1)。
また、PHAの結晶核剤として、タルク、微粒化雲母、窒化ホウ素、炭酸カルシウムのような粒状物が試されている。より効果的なものとしては、シクロヘキシルホスホン酸などの有機ホスホン酸もしくは有機ホスフィン酸またはそれらのエステル、あるいはそれらの酸もしくはエステルの誘導体、及び周期律表の第IA~VA族または第IB~VB族の金属の酸化物、水酸化物及び飽和または不飽和カルポン酸塩などの金属化合物、を一緒に緊密に混合する方法が知られている(特許文献2)。
さらにはPHAに対する核剤としては、
ソルビトールおよび安息香酸ナトリウム(特許文献3);
エリスリトール、D-アラビトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトール、D-マンニトール、L-マンニトール、D-ソルビトール、myo-イノシトール、scyllo-イノシトールのような糖アルコール(特許文献4);
ポリビニルアルコール、キチン、キトサン(特許文献5);
ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド(特許文献6);
ポリ乳酸やPHAなどの脂肪族ポリエステルに脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステル(特許文献7~9);
ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケートのような脂肪酸エステル類(特許文献10);
インジゴ、キナクリドン、キナクリドンマゼンタのようなC=OとNH、SおよびOから選ばれる官能基とを分子内に有する環状化合物(特許文献11);
分子内にC=OとNH基を有する環状化合物であるケトピロール類(特許文献12);
ビスベンジリデンソルビトールやビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトールのようなソルビトール系誘導体(特許文献13);
ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾールのような窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物(特許文献14);
リン酸エステル化合物(特許文献15);
高級脂肪酸のビスアミドおよび高級脂肪酸の金属塩(特許文献16);
脂肪酸や脂肪酸アミド(特許文献17);
分岐状ポリ乳酸(特許文献18);
ペンタエリスリトール(特許文献19);
ペンタエリスリトールと無機充填剤や有機充填剤(特許文献20);
ソルビトールアセタール、アミド結合を有する化合物とペンタエリスリトール(特許文献21)
トリプトファン、フェニルアラニン、p-クロロ-フェニルアラニン、m-チロシン、フェニルグリシン、p-ヒドロキシフェニルグリシン、メチオニン、o-チロシン及びバリンなどアミノ酸類やホスファチジルコリン(特許文献22~特許文献24);
アスパルテーム等ジペプチド類(特許文献25);及び
ウラシル、チミンなどの核酸塩基類(特許文献26)
が知られている。
これらは、PHAやポリ乳酸など、脂肪族ポリエステルの遅い結晶化速度を促進し、成形加工時の加工性の改善を図るために採用された手段であるが、強度の低下を引き起こしたり、成形体表面外観が悪化するなど効果が不十分であったり、更に別の添加物を加えなければならないことなどの問題はなお残っている。また、核剤の種類によっては成形後に結晶化が進むことにより、相溶性や分子量の違いから結晶の外に押し出されブルームやブリードを引き起こす場合もあり、そのような場合には分散剤、凝集防止剤、相溶化剤などさらに添加物が必要になることもある。生体内で使われることを想定して、生体内で分解吸収あるいは代謝されやすい、すなわち毒性のない脂肪酸類やアミノ酸類からなる核剤も上記には含まれているが、実質的に効果の高い結晶核剤は未だ見出されていないのが現状である。
また、PHAの結晶化特性を改善するために、他のPHAや生分解性ポリマーをブレンドする試みもなされている。特許文献27~29には、3HBと3-ヒドロキシバレレート(3-ヒドロキシ吉草酸、以下、3HVと略す)からなるP(3HB-co-3HV)共重合体、3HBと3-ヒドロキシヘキサノエート(3-ヒドロキシヘキサン酸、以下、3HHxと略す)からなるP(3HB-co-3HHx)共重合体、または3HBと3-ヒドロキシオクタノエート(3-ヒドロキシオクタン酸、以下、3HOと略す)からなるP(3HB-co-3HO)共重合体に、より融点の高いP(3HB)を結晶核剤(成核材)として添加することが開示されている。
特許文献27~29においては、
ブレンドした乾燥粉末PHAをそのまま、あるいはドライアイスの存在下でミキシングする乾式混合;
クロロホルム等の溶媒にて一部または全部を溶解させながら攪拌混合した後に溶媒を蒸発させてポリマーを析出させたり、貧溶媒中で析出させたりする溶液混合;並びに
添加する高融点側のP(3HB)を溶融させない温度であり、添加される低融点側のPHA(実施例においてP(3HB-co-3HV)、P(3HB-co-3HHx)あるいはP(3HB-co-3HO))が溶融状態となる温度にて十分に攪拌混合する、言わば部分溶融混合;
などの混合方法が記載されているが、混合させる高融点側の少量のP(3HB)が低融点側のPHA共重合体に対して細かく均一に分散する必要性に言及している。
上記した混合法において、それぞれ不利な点がある。乾式混合ではポリマー粉末を混合したとしても粉末粒子径以下での均一混合には限界がある。溶液混合ではクロロホルム等の良溶媒が大量に必要となり、再沈殿回収する場合には貧溶媒が良溶媒の5~10倍量とさらに大量に必要となってしまうことや、再沈殿の際に溶解度の違いによって析出してくるポリマー種に偏りが生じる可能性がある。ブレンド物の部分溶融状態であっても、添加された結晶性が高く融点も高いP(3HB)は、P(3HB)粒子がほぼそのままの大きさで溶融せずに混合されうるため、微小の均一な微結晶核となるのには向いていない。ブレンド物を均一に混合するためにP(3HB)の融点以上に温度を上げて混合する方法は一般的な溶融混合になるが、P(3HB)の融点付近ではP(3HB)をはじめとするPHA類は熱分解や攪拌による劣化、分子量低下が避けられない。
一旦菌体から取り出されたP(3HB)とPHA共重合体とのブレンドによって結晶化促進を目指す方法ではなく、結晶核になりうるP(3HB)や3HBリッチなPHAを他のPHA共重合体とともに培養中に菌体の中でブレンド体として生産し、菌体からPHAを取り出した後でP(3HB)とPHAをブレンドしなくてもよい方法も報告されている。特許文献30には、培養の途中で炭素源の供給を変化させることでP(3HB)あるいは3HHx比率の低いP(3HB-co-3HHx)を3HHx比率の増加したP(3HB-co-3HHx)とともに生産させる方法が記載されている。特許文献31及びと特許文献32には、遺伝子組換え技術によって同一菌体内に基質特異性の異なるPHA重合酵素を複数種保持せしめることによって融点の異なるPHAのブレンド体を同一細胞内で製造する方法が開示されている。170℃以下の温度で成形加工することも可能であるとの記載もあるが、どのような温度範囲で成形加工できるのか不明であり、公知の成形加工においては高分子の融点以上に溶融後成形することが一般的であり、当該文献においても一度溶融したPHAブレンド体の固化速度(結晶化速度)を向上することを目的としている。
非特許文献2~4は、P(3HB)が結晶核になりうることを狙ったものではないが、P(3HB)とPHA共重合体とを同一菌内でブレンド生産するPHA生産野生株についての記載があり、基質特異性の異なるPHA重合酵素を同一菌体内に自然に保持することにより、P(3HB)ホモポリマーとC4~C12のPHA共重合体とのブレンド生産が記載されている。
一方で、超高分子量体P(3HB)を用いた報告や、分子量に依存しないで結晶形成を制御し高強度化を図る報告もある。例えば、遺伝子組換え大腸菌を用いて数平均分子量150万(重量平均分子量300万)以上の超高分子量P(3HB)を生合成し、この超高分子量P(3HB)を用いて、物性の改善されたP(3HB)フィルムが得られている(特許文献33及び非特許文献5)。
また、分子量に依存しないP(3HB)の繊維化の方法として、P(3HB)を溶融押出し、ガラス転移点温度+15℃以下に急冷、固化させて非晶質の繊維を作製し、非晶質の繊維を冷延伸して非晶質の繊維の分子鎖を配向させ熱処理することにより、P(3HB)繊維が得られている(以下、「冷延伸法」とも記載する)(特許文献34及び特許文献35)。さらに、該溶融押出繊維をPHAのガラス転移温度+15℃以下に急冷、固化させて非晶質の繊維を作製し、該非晶質の繊維をガラス転移温度+15℃以下に放置して微結晶核を形成(等温結晶化)した結晶化繊維を作製し、該結晶化繊維を延伸し、更に緊張熱処理をすることを特徴とする繊維の製造方法(以下、「微結晶核延伸法」とも記載する)も開示されている(特許文献36)。
しかし超高分子量P(3HB)の製造効率は悪くコストがかさむこと、冷延伸法は非晶質の繊維を得るためにガラス転移温度付近の低温に急冷する必要があること、微結晶核延伸法は一旦溶融したP(3HB)の微結晶を生成させるために、ガラス転移温度付近の低温に急冷し、さらに低温で長時間保持する必要があることなどから、上記の方法は、工業的に不利である。
遺伝子組換大腸菌で作られた重量平均分子量が270万の超高分子量P(3HB)を通常の微生物由来で重量平均分子量が52万のP(3HB)へ添加し、クロロホルムに溶解後キャストフィルムを成形し、200℃でホットプレス後に氷水にてクエンチ後、冷延伸を施した超高分子量体微量添加P(3HB)フィルムでの200℃再加熱後の結晶成長観察では、超高分子量体P(3HB)は核剤の様に振る舞い、核形成を促すことが示唆されている(非特許文献6)。重量平均分子量347万の超高分子量P(3HB)を重量平均分子量52万のP(3HB)へ少量添加し、180℃、190℃、200℃で溶融紡糸を行った報告もあり(非特許文献7)、そこでは融点以上の加熱溶融によって分子量は低下しているが、超高分子量P(3HB)の添加はP(3HB)の分解初期の熱分解を抑制し、溶融紡糸の加工性を改善したことが示されている。溶融紡糸後に4℃へ冷却し、2段階冷延伸の適用によって、超高分子量P(3HB)を5重量%添加したブレンドP(3HB)繊維が740MPaの強度を示したことが報告され、超高分子量P(3HB)使用量は少量で可能になるものの、4℃という冷却状態での二段階の冷延伸が必要であり、操作が煩雑であり工業化に適しているとは言えない。
また、特定範囲の融点を有する生分解性ポリエステルを主体とする成形材料を、特定範囲の加熱温度で溶融成形することにより溶融成形物を製造する際に、冷結晶化熱、及びその融解熱と冷結晶化熱との和を、各々得られた溶融成形物の結晶化能力、及びその結晶化度の指標として、特定範囲とすることによって溶融成形物を製造することが報告されている(特許文献37)。さらに、3HBと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を結晶を完全に溶融しない温度(160℃前後)で加工することが報告されている(非特許文献8)。さらに、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂からなるチューブであって、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂の示差走査熱量分析における融点ピーク温度と、融点ピークの終了温度の差が10℃以上である、チューブが報告されている(特許文献38)。さらに、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)を含む生分解性樹脂組成物を加熱溶融混練して成形体に成形する際に、加熱溶融混練した後の成形機出口での残存結晶量を近赤外分光法によるスペクトルにより確認し、前記成形体の近赤外分光法による結晶化ピークが成形直後から200秒以内に観察されるように前記成形機出口での残存結晶量を調整することを特徴とする生分解性樹脂成形体の製造法が報告されている(特許文献39)。しかし、溶融成形の温度を、フローテスタ昇温法による流出開始温度よりも高く、かつ示差走査熱量計によって測定される結晶融解が完全に完了することを示す温度(特に、補外融解終了温度よりも低い温度)とすることについては記載されていない。
特開平07-126496号公報 特開平03-024151号公報 WO2006/012917号公報 WO2008/099586号公報 特開2007-077232号公報 特開2010-229407号公報 特開平09-278991号公報 特開平11-005849号公報 特開平07-188537号公報 特開平11-116783号公報 特開2003-238779号公報 特開2003-327803号公報 特開平10-158369号公報 特表2007-517126号公報 特開2003-192884号公報 特開平6-299054号公報 特開平8-27363号公報 特開2009-024058号公報 特開2017-101256号公報 WO2015/052876号公報 WO2014/068943号公報 特開2006-282940号公報 特開平06-345950号公報 特表平10-504583号公報 特開2019-119839号公報 特開2019-119840号公報 特表平08-510498号公報 WO2002/055581号公報 WO2002/050461号公報 特開2004-250629号公報 WO2015/146195号公報 WO2017/056442号公報 特開平10-176070号公報 特開2003-328230号公報 特開2003-328231号公報 WO2006/038373号公報 特許第4245306号公報 WO2020/040093号公報 特開2010-241075号公報
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上記した通り、従来の方法は、結晶化の遅い結晶性高分子(ポリエステル)を溶融後に、迅速に一次核形成させること、欠陥のある大きな球晶を形成させないこと、強度を高めるように結晶化させること、加工しやすいように固化・結晶化させること、といった視点で開発されてきたものである。生分解性結晶性高分子の溶融成形において、結晶化速度の遅さからくる加工性の悪さを向上させたり強度を高めたりする目的で様々な結晶化促進の試みがなされているが、依然、改良の余地がある。
本発明は、溶融状態時に分子量低下しやすい高分子であっても、溶融成形時に大きな分子量低下を引き起こさない、高分子成形物の製造方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、結晶化の遅い高分子(例えば、生分解性ポリエステルなど)の結晶化時間を短縮し、射出成型、ブロー成型、フィルム成形、繊維の紡糸、押出発泡、ビーズ発泡などの加工における高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上できるような、高分子成形物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、適度な組成の半結晶性PHA共重合体は、そもそも単一の融点を持つのではなく、様々な厚さのラメラ結晶(結晶性セグメントの集合体)をはじめとする結晶を内部に持ちえたものであり、よって様々な融点を持つ微細ラメラ結晶と非晶の集合体であることに注目した。そして、本発明者は、共重合体全体を溶融できる温度よりも低い温度であり、かつ相対的に薄く融点のより低い微細なラメラ結晶や非晶領域を流動化せしめる温度において、共重合体を溶融する(つまり、部分溶融する)ことにより、微細ではあるが厚いラメラ結晶が溶融しない状態にて溶融加工できることを見出した。溶融しない厚めの微細なラメラ結晶が分子鎖内部あるいは分子鎖間にすでに均一に分散している状態にあることから、完全溶融時の場合のように溶融後に結晶1次核形成を待つ必要なく、部分溶融状態からすぐに成形できることが見出された。また、ポリエステル(PHA)を溶融加工した際の非晶状態が引き起こす粘着性からくる加工特性の悪さも劇的に改善できることや、PHAの熱分解温度よりも低い温度で成形することにより顕著な分子量低下を防止できることも見出された。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1> 異なるラメラ厚を有するラメラ結晶を含む高分子を、一部のラメラ結晶は溶融して流動化し、その他残部のラメラ結晶は溶融せずに残存している温度範囲において、溶融成形することを含む、高分子成形物の製造方法。
<2> 前記温度範囲が、フローテスタ昇温法による流出開始温度よりも高く、かつ示差走査熱量計によって測定される結晶融解が完全に完了することを示す温度よりも低い範囲である、<1>に記載の方法。
<3> 前記温度範囲が、フローテスタ昇温法による流出開始温度よりも高く、かつ補外融解終了温度よりも低い範囲である、<1>又は<2>に記載の方法。
<4> 一部のラメラ結晶は溶融して流動化し、その他残部のラメラ結晶は溶融せずに残存している温度範囲において、溶融させた高分子を、空気中において冷却することを含む、<1>から<3>の何れか一に記載の方法。
<5> 溶融成形が、溶融押出による成形である、<1>から<4>の何れか一に記載の方法。
<6> 溶融成形が、溶融押出紡糸による成形である、<1>から<5>の何れか一に記載の方法。
<7> 溶融成形を1回行う、<1>から<6>の何れか一に記載の方法。
<8> 前記高分子が、熱可塑性樹脂を含む、<1>から<7>の何れか一に記載の方法。
<9> 前記高分子が、ポリエステルを含む、<1>から<8>の何れか一に記載の方法。
<10> 前記高分子が、脂肪族ポリエステルを含む、<1>から<9>の何れか一に記載の方法。
<11> 前記高分子が、生分解性高分子を含む、<1>から<10>の何れか一に記載の方法。
<12> 前記高分子が、モノマーユニットとして3-ヒドロキシ酪酸を含む共重合体である、<1>から<11>の何れか一に記載の方法。
<13> 前記高分子が、ポリL-乳酸、ポリ-p-ジオキサノン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、又はグリコール酸と乳酸の共重合体を含む、<1>から<12>の何れか一に記載の方法。
<14> 前記高分子が、モノマーユニットとして3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸とを含む共重合体であり、4-ヒドロキシ酪酸の割合が5モル%以上40モル%以下である、<1>から<13>の何れか一に記載の方法。
本発明による高分子成形物の製造方法によれば、溶融状態時に分子量低下しやすい高分子であっても、溶融成形時における分子量低下を抑制することができる。本発明による高分子成形物の製造方法によれば、高分子の結晶化の時間を短縮し、射出成型、ブロー成型、フィルム成形、繊維の紡糸、押出発泡、ビーズ発泡などの加工における高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができる。
図1は、比較例1のサンプルS1(P(3HB)ホモポリマー)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図2は、実施例1のサンプルS2(P(3HB-co-11.8モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。実施例1の補外溶融終了温度(158.7℃)とDSC曲線がベースラインに戻るときの温度(167.0℃)を示した。 図3は、実施例2のサンプルS3(P(3HB-co-13.1モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。実施例2の補外溶融終了温度(135.1℃)とDSC曲線がベースラインに戻るときの温度(155.0℃)を示した。 図4は、実施例3のサンプルS34(P(3HB-co-14.7モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図5は、実施例4のサンプルS5(P(3HB-co-15.3モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図6は、実施例5のサンプルS6(P(3HB-co-15.3モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図7は、実施例6のサンプルS7(P(3HB-co-16.0モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図8は、実施例7のサンプルS8(P(3HB-co-17.8モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図9は、実施例8のサンプルS9(P(3HB-co-17.9モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図10は、実施例9のサンプルS10(P(3HB-co-28.7モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図11は、実施例10のサンプルS11(P(3HB-co-32.9モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図12は、比較例2のサンプルS12(P(3HB-co-74.6モル%4HB))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図13は、実施例24のサンプルS13(P(3HB-co-8.0モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図14は、実施例25のサンプルS14(P(3HB-co-12.0モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図15は、実施例26のサンプルS15(P(3HB-co-35.5モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図16は、実施例27のサンプルS16(P(3HB-co-48.2モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図17は、実施例28のサンプルS17(P(3HB-co-61.5モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図18は、実施例29のサンプルS18((P(3HB-co-73.2モル%3HV))のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図19は、参考例1、実施例6、22,23のサンプルS7(P(3HB-co-16モル%4HB))のDSC測定結果と広角X線回折図を示す。 図20は、参考例2、実施例25、31、32、33、比較例13のサンプルS14(P(3HB-co-12モル%3HV))のDSC測定結果と広角X回折図を示す。 図21は、比較例14のサンプルS19(PGA)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図22は、実施例34のサンプルS20(PLLA)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図23は、実施例35のサンプルS21(PGLA)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図24は、実施例36のサンプルS22(PPDO)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図25は、実施例37のサンプルS23(PBS)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図26は、実施例38のサンプルS24(PBSA)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。 図27は、比較例15のサンプルS25(PCL)のフローテスタ昇温法による流動曲線(実線)とDSC曲線(破線)を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による高分子成形物の製造方法は、異なるラメラ厚を有するラメラ結晶を含む高分子を、一部のラメラ結晶は溶融して流動化し、その他残部のラメラ結晶は溶融せずに残存している温度範囲において、溶融成形することを含む。
本発明においては、結晶性熱可塑性樹脂の流動性をフローテスタにて評価した時に測定した流出開始温度以上であり、示差走査熱量計(DSC)によって測定される結晶融解が完全に完了することを示す温度よりも低温の温度域にて溶融し、その後成形することによって、結晶化が遅く加工特性の悪い熱可塑性樹脂の加工性を向上させることができる。
「示差走査熱量計(DSC)によって測定される結晶融解が完全に完了することを示す温度」とは、好ましくは、融解ピークの補外融解終了温度である。融解ピークの補外融解終了温度とは、後記の実施例に記載の通り求めることができる。即ち、融解ピークがシャープな場合には、JIS-K7121に準拠し、融解ピークの補外融解終了温度は、ピーク終了前の最大傾斜の点で引いた接線とピーク後のベースラインとの交点の温度である(Rigaku,Thermo plus EVO ソフトウェアによって認識させる)。融解ピーク形状が複数重なっている場合には、より高温側のピークに対してマニュアルにて接線を引き直し、ベースラインとの交点を補外融解終了温度とする。
さらに、溶融成形は従来においては、融点+20℃、融点+10℃、融点+5℃等、融点以上の温度にて溶融され、その後成形されるのが一般的である。これに対し、本発明のように部分溶融状態で成形する場合には融点よりも低い温度で部分溶融させるため、融点と熱分解点が近い高分子の場合には熱による分解、すなわち分子量低下を抑えることができ、成形後の高分子の分子量を高い状態に維持できるため、物性面でもより有益である。さらに部分溶融状態での溶融には、完全溶融よりもより低い温度であるために、高分子の熱分解だけでなく、微量に混入する水分が加熱状態で関与する高分子の分子鎖の加水分解も減少できることが推察されるため、原料の水分含量は一般的には低い方が望ましいが、特別に低濃度になるように減量・維持する必要性が減少する。これにより、紡糸や成形装置において大気中の水分が、原料高分子に移行してしまうような、乾燥原料高分子の乾燥状態を厳密に維持するための特別な装置が必要なくなるという利点も予想される。
なお、本発明は結晶核剤の添加をしなくても溶融結晶化の遅いポリエステルの成形加工性を改善し、生産性を向上するものであるが、結晶核剤の使用を妨げるものではない。
本発明の一例としては、高分子としてP(3HB-co-4HB)を使用することができる。この場合、本発明の方法は、P(3HB-co-4HB)の溶融時に、ポリマー内部の3HBセグメントからなる相対的に薄いラメラ結晶をはじめとする結晶や非晶領域が溶融、流動化し始める温度から、3HBセグメントからなる相対的に厚めのラメラ結晶等が溶融する温度の間で溶融押出する工程を含むことを特徴とする。
本発明は、ポリエステル共重合体(特にPHA共重合体)に含まれるラメラ結晶をはじめとする結晶の一部を残して溶融成型し、その溶け残った結晶が結晶核となることで、一般的な溶融成型での一次核形成を待たずして成形することが可能になることを特徴とする、生分解性ポリエステル成形物の製造方法である。
従って、結晶化の遅い結晶性熱可塑性高分子の成形加工性の悪さを改善し、完全溶融時とは違って結晶一次核形成を待つことなく、部分溶融直後に成形でき、生産性が向上する。
結晶性熱可塑性高分子のバルク中にすでに分散しているラメラ結晶をはじめとする結晶の一部の結晶が溶け残って結晶核として働くので、一次核形成の待機時間が必要なくなり、溶融押出直後の結晶性の低さからくる粘着性も減少し、繊維やフィルムなど成形体が膠着しにくくなり、溶融紡糸直後、フィルム化直後に巻き取りや延伸が可能であり、生産性が向上する。
一部の結晶が溶け残った状態で溶融紡糸し、その直後に延伸することで、溶け残っているラメラ結晶は配向し、非晶状態の高分子鎖は高配向し、結晶を成形しやすいモノマーユニット連続セグメントが集まって結晶化が促進される。熱分解を引き起こすような高温での溶融を行わないことで、熱分解による分子量低下が抑えられ、成形物の分子量維持、つまり、熱による劣化を防止することにもつながる。さらに高分子に残存水分がある場合や、空気中の水分を吸湿しやすい高分子であっても、部分溶融成形で溶融温度を下げることができるので、完全溶融成形よりも熱と水分が関与する加水分解の度合も低下することができ、高分子の分子量低下が抑えられ、成形物の分子量維持につながる。
[高分子について]
高分子としては、特に限定されないが、例えば、以下のものを使用することができる。なお、高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上の高分子を組み合わせて用いることもできる。
ポリエステル;
ポリアミド;
ポリオレフィン;
酸変性ポリオレフィン(無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等);
エチレン-ビニル化合物共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等)
スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、α-メチルスチレン-スチレン共重合体等);
ポリビニル化合物(ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等);
ポリカーボネート;
ポリエーテル(ポリエチレンオキサイド等)。
上記の中でも、ポリエステル、ポリオレフィン、又はポリアミドが好ましい。ポリエステル、ポリオレフィン、又はポリアミドについて以下に説明する。
<ポリエステル>
ポリエステルとしては、例えば、
ヒドロキシカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体からなるもの;
ジカルボン酸を含む多価カルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる1種又は2種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上とからなるもの;又は
環状エステルからなるもの;
等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体からなるものとしては、脂肪族ポリエステルが好ましい。
脂肪族ポリエステルは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のホモポリマー(例えば、ポリ3-ヒドロキシプロピオン酸、ポリ3-ヒドロキシ酪酸、ポリ3-ヒドロキシ吉草酸、ポリ4-ヒドロキシ酪酸、ポリ3-ヒドロキシヘキサン酸、ポリ3-ヒドロキシオクタン酸、ポリ4-ヒドロキシ吉草酸、ポリ4-ヒドロキシヘキサン酸、ポリ5-ヒドロキシ吉草酸、ポリ2-ヒドロキシ酪酸、ポリ2-ヒドロキシ吉草酸、ポリ2-ヒドロキシヘキサン酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等)、コポリマー(例えば、3-ヒドロキシプロピオン酸と3-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、3-ヒドロキシプロピオン酸と3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、3-ヒドロキシプロピオン酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、3-ヒドロキシプロピオン酸と3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、3-ヒドロキシプロピオン酸と3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー、3-ヒドロキシ吉草酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、3-ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、3-ヒドロキシ吉草酸と3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー、乳酸とグリコール酸のコポリマー、乳酸とε-カプロラクトンのコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシプロピオン酸のコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、乳酸と3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー、グリコール酸とε-カプロラクトンのコポリマー、グリコール酸と3-ヒドロキシプロピオン酸のコポリマー、グリコール酸と3-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、グリコール酸と3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、グリコール酸と4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、グリコール酸と3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、グリコール酸と3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー、ε-カプロラクトンと3-ヒドロキシプロピオン酸のコポリマーε-カプロラクトンと3-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、ε-カプロラクトンと3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、ε-カプロラクトンと4-ヒドロキシ酪酸のコポリマー、ε-カプロラクトンと3-ヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、ε-カプロラクトンと3-ヒドロキシオクタン酸のコポリマー)及びターポリマーなどの3種類以上のモノマーで構成される共重合体、脂肪族多価アルコールカルボン酸のホモポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート等)及びコポリマー(例えば、ブタンジオールとコハク酸及びアジピン酸のコポリマー等)、脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族多価アルコール及び脂肪族多価カルボン酸からなるコポリマー(例えば、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマー、)、ポリジオキサノンやジオキサノンを含む共重合体、及びそれらの混合物を包含する。
本発明で取り扱う高分子において、ラメラ結晶や房状ミセル構造、球晶、デンドライト、シシカバブ構造、伸びきり鎖結晶など結晶性セグメントの高分子構造を構成するためには高結晶性の連続モノマーユニット連鎖、例えば、乳酸の連鎖、グリコール酸の連鎖、ε-カプロラクトンの連鎖、3-ヒドロキシプロピオン酸の連鎖、3-ヒドロキシ酪酸の連鎖、3-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、4-ヒドロキシ酪酸の連鎖、3-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖、3-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖、3-ヒドロキシオクタン酸の連鎖、4-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、4-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖、5-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、2-ヒドロキシ酪酸の連鎖、2-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、2-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖、ブチレンサクシネートの連鎖、ブチレンサクシネートアジペートの連鎖等、結晶性のミクロ構造をとるのに十分な連鎖構造が高分子鎖の中に繰り返し存在することが望ましい。モノマーユニットとして立体異性体あるいは光学異性体が存在する場合には、同じ立体異性体でできた連鎖からなる結晶性セグメントが必要であり、例えば、L-乳酸の連鎖、D-乳酸の連鎖、R-3-ヒドロキシ酪酸の連鎖、S-3-ヒドロキシ酪酸の連鎖、R-3-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、S-3-ヒドロキシ吉草酸の連鎖、R-3-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖、S-3-ヒドロキシヘキサン酸の連鎖等、同じ立体異性体の連鎖構造が結晶構造を構成するためには重要な要素である。立体異性体もしくは光学異性体の存在するモノマーユニットを含むポリエステルの場合、結晶性が低下し、結晶性セグメントが得られにくくなる。特に生物学的にこれらのモノマーユニットからなる高分子を合成する場合には、R-3-ヒドロキシ酪酸の連鎖を持ち、第二成分としてその他のモノマーユニットを取り込んだ2元共重合体あるいは3元以上の共重合体がより好ましい。
脂肪族ポリエステルは化学合成法でも生物合成法のどちらによって生成されても構わないが、連鎖構造による結晶性セグメントを確保するためには、立体異性体のあるモノマーユニットを含む場合には、例えばL-乳酸とグリコール酸の共重合体、D-乳酸とグリコール酸の共重合体、R-3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸の共重合体、S-3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸の共重合体、R-3-ヒドロキシ酪酸とε-カプロラクトンとの共重合体、S-3-ヒドロキシ酪酸とε-カプロラクトンとの共重合体、などのように、どちらかの立体異性体からなる共重合体であることが望ましい。
ポリエステルが、3-ヒドロキシ酪酸単位と4-ヒドロキシ酪酸単位を含む場合においては、全モノマー単位に対する4-ヒドロキシ酪酸単位の割合は、好ましくは5モル%以上40モル%以下である。全モノマー単位に対する4-ヒドロキシ酪酸の割合は、5モル%以上、6モル%以上、7モル%以上、8モル%以上、9モル%以上、10モル%以上、11モル%以上、12モル%以上、13モル%以上、14モル%以上、15モル%以上、または16モル%以上でもよく、17モル%以上、18モル%上、19モル%以上、20モル%以上でもよい。全モノマー単位に対する4-ヒドロキシ酪酸単位の割合は、35モル%以下、34モル%以下、33モル%以下、32モル%以下、31モル%以下、30モル%以下、29モル%以下、28モル%以下、27モル%以下、26モル%以下、25モル%以下、24モル%以下、23モル%以下、22モル%以下、または21モル%以下でもよい。
ポリエステルが、3-ヒドロキシ酪酸単位と3-ヒドロキシ吉草酸単位を含む場合においては、全モノマー単位に対する3-ヒドロキシ吉草酸単位の割合は、好ましくは5モル%以上90モル%以下である。全モノマー単位に対する3-ヒドロキシ吉草酸単位の割合は、5モル%以上、6モル%以上、7モル%以上、8モル%以上、9モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、または40モル%以上でもよく、45モル%以上、50モル%上、55モル%以上、60モル%以上でもよい。全モノマー単位に対する3-ヒドロキシ吉草酸単位の割合は、90モル%以下、85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下でもよい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる1種又は2種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上とからなるものでもよい。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸等に例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等に例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2-ナトリウムスルホテレフタル酸、5-リチウムスルホイソフタル酸、2-リチウムスルホテレフタル酸、5-カリウムスルホイソフタル酸、2-カリウムスルホテレフタル酸等に例示される金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸又はそれらの低級アルキルエステル誘導体等が挙げられる。
上記のジカルボン酸のなかでも、得られるポリエステルの物理特性等の観点から、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸類の使用が好ましい。なお、必要に応じて他のジカルボン酸を共重合してもよい。
グリコールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,10-デカメチレングリコール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等に例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビスフェノ-ル、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5-ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグリコール等に例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらグリコール以外の多価アルコールの具体例としては、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロ-ル、ヘキサントリオール等が挙げられる。
環状エステルの具体例としては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。
多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体の具体例としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物等が挙げられる。
<ポリオレフィン>
酸素吸収性組成物に用いられるポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1等のオレフィン単独重合体;エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレン-ポリブテン-1共重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体等のエチレンとα-オレフィンとの共重合体;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン-α,β-不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のその他のエチレン共重合体;環状オレフィン類開環重合体及びその水素添加物;環状オレフィン類-エチレン共重合体;とこれらのポリオレフィンを無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
<ポリアミド>
ポリアミドとしては、例えば、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミドや、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド等が挙げられる。なお、ここでいうポリアミドは、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位が共重合されたものであってもよい。
ラクタムもしくはアミノカルボン酸の具体例としては、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ-アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、炭素数2~12の脂肪族ジアミン或いはその機能的誘導体、脂環族のジアミン等が挙げられる。なお、脂肪族ジアミンは、直鎖状の脂肪族ジアミンであっても分岐を有する鎖状の脂肪族ジアミンであってもよい。このような直鎖状の脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1-メチルエチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。脂環族ジアミンの具体例としては、シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。とりわけ、炭素数4~12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好ましい。直鎖状脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸及びこれらの機能的誘導体等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。
芳香族ジアミンの具体例としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラ-ビス(2-アミノエチル)ベンゼン等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
具体的なポリアミドとしては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、イソフタル酸共重合ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6I)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカナミド(ポリアミドMXD12)、ポリ1,3-ビスアミノシクロヘキサンアジパミド(ポリアミドBAC6)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)等がある。より好ましいポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD6Iが挙げられる。
<高分子の分子量>
ポリヒドロキシアルカノエート等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸ポリマーについては、ポリスチレン換算ゲル浸透クロマトグラフィー測定による重量平均分子量は、好ましくは10万以上であり、より好ましくは20万以上であり、さらに30万以上、40万以上又は50万以上でもよい。ポリスチレン換算ゲル浸透クロマトグラフィー測定による重量平均分子量は、60万以上、70万以上、80万以上、90万以上、100万以上、110万以上、120万以上、130万以上、140万以上、150万以上、200万以上、300万以上、または400万以上でもよい。ポリスチレン換算ゲル浸透クロマトグラフィー測定による重量平均分子量の上限は特に限定されないが、一般的には、2000万以下であり、1000万以下、800万以下、700万以下、600万以下、500万以下、400万以下、又は300万以下でもよい。ただし溶融成型を行う場合には熱分解による分子量低下と溶融時の粘度が高くなりすぎないことを勘案し、ポリスチレン換算ゲル浸透クロマトグラフィー測定による重量平均分子量は40万以上、250万以下が望ましく、より好ましくは50万以上、220万以下であり、さらに好ましくは60万以上、200万以下である。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸ポリマー以外の高分子の分子量については、高分子の種類に応じて適切なものを適宜使用することができる。
<高分子の好ましい態様>

本発明の高分子は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、交互ポリマー、またはグラフトポリマーの何れでもよいが、好ましくはランダムポリマーである。
高分子は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
高分子は、より好ましくは生分解性高分子であり、さらに好ましくは生体吸収性高分子である。生分解性とは、自然環境(例えば、土壌、堆肥、湖沼、海水など)において微生物や酵素によって分解され得るか、または生体内で非毒性成分に分解され得ることを意味する。生体吸収性とは、ヒトまたは動物などの生体により代謝され得ることを意味する。
高分子の融点は特に限定されないが、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは175℃以下であり、さらに好ましくは175℃未満である。高分子の融点は、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、又は130℃以下でもよい。高分子の融点の下限は特に限定されないが、一般的には、40℃以上であり、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上でもよい。高分子が複数の融点を有する場合には、主成分の融点が上記の範囲内であればよい。
[溶融成形について]
本発明においては、上記した高分子を溶融成形する。高分子を溶融成形する際には、本発明の効果を損なわない限りさらに、添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、滑剤、離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、着色剤(染料または顔料など)、導電剤あるいは着色剤としてのカーボンブラック、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される一種以上を挙げることができる。
高分子に添加剤を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、ドライブレンド、溶液配合、高分子の重合時における添加などが挙げられる。
高分子は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形(溶融押出成形)、ブロー成形、プレス成形、紡糸(溶融押出紡糸)などの公知の溶融成形を行うことができる。
溶融成形の回数は特に限定されないが、好ましくは1回だけ行うことができる。
本発明において、成形後に固化する工程は、成形金型中、気体(例えば、空気、窒素など)中、又は液体(例えば、水、アルコール、グリセリンあるいはそれらの混合物など)中に行うことができる。即ち、本発明の方法により部分溶融した高分子を、成形金型中、気体中又は液体中において冷却することによって、固化を行うことができる。好ましくは、部分溶融した高分子を、成形金型中、空気中又は水中において冷却することができる。より好ましくは、部分溶融した高分子を、成形金型中、又は空気中において冷却することができる。
本発明の方法で製造される高分子成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。なお、本発明の方法で製造される高分子成形品としては、チューブ形状のものでもよいし、チューブ形状以外のものでもよい。
以下に実施例、比較例、参考例を示し、本発明を詳述する。なお本出願の明細書における実施例、比較例、参考例、態様の記載は、本発明の内容の理解を支援するための説明であって、その記載は本発明の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものではない。なお、以下の実施例、比較例で使用する熱可塑性高分子は、次のものを用いた。
<使用ポリマー>
ポリ3-ヒドロキシ酪酸(P(3HB))は三菱瓦斯化学製の「ビオグリーン(登録商標)(Mw94万)」を使用した。
P(3HB-co-4HB)共重合体はWO2019/044837に記載の方法に従って培養法により製造した。使用する炭素源の種類や供給割合を適宜変更することで様々な4HB比率のP(3HB-co-4HB)共重合体を製造した。
P(3HB-co-3HV)共重合体はICI社のBiopol(8.0モル%3HV品と12.0モル%3HV品)を使用し、また、3HVリッチなP(3HB-co-3HV)共重合体は特開平04-084890と特開平01-069622に記載の方法に従って培養法により製造した。
ポリグリコール酸(PGA)は株式会社BMGの「PGA(MFR(240,10)=0.5-5.0g/10min)」を、ポリL-乳酸(PLLA)は株式会社BMGの「PLLA(Mw47万)」を、ポリカプロラクトン(PCL)はIngevity社の「Capa6800(Mw8万)」を、
グリコール酸とL-乳酸との共重合体は株式会社BMGの「PGLA(90:10)(グリコール酸88.5モル%:L-乳酸11.5モル%、MFR(240,10)=2.75)」を使用した。
ポリ-p-ジオキサノン(PPDO)は株式会社BMGの「PPDO」を使用した。
ポリブチレンサクシネート(PBS)は、三菱化学株式会社製「BioPBS(登録商標)FZ91PB(MFR190,10)=5g/10min)」を、ポリブチレンサクシネートアジペートは三菱化学株式会社製「BioPBS(登録商標)FD92PB(MFR190,10)=4g/10min)」を使用した。
菌体からのPHAの抽出方法は既に公知であるように、クロロホルムをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒を用いて抽出し、ヘキサンやメタノールのような貧溶媒にて析出させる溶媒抽出法を用いても良いし、特公平04-061638、特開平07-177894、WO2004/029266に記載があるように、水系抽出法を用いても良い。
熱可塑性高分子の分析方法のための各種評価方法と溶融押出方法について述べる。
(1)熱可塑性高分子の分子量測定
[PHA分子量測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法)]
PHA分子量の測定は以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により行った。
PHAが約0.5mg/mlとなるようにクロロホルムを加え、60℃で4時間溶解させた後、室温に戻し、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過して不溶物を除き、測定サンプルとした。GPC条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 HPLC Prominenceシステム
カラム:昭和電工製 Shodex K-806L(2本直列)
カラム温度:40℃
移動相:クロロホルム(1ml/min)
検出器:RI(40℃)
スタンダード:Shodexポリスチレン分子量スタンダード(687万~1270)
注入量:60μl
分析時間:30分
(2)熱可塑性高分子の流出開始温度測定
[フローテスタによる熱可塑性高分子の流出開始温度測定]
熱可塑性高分子をフローテスタCFT-500D型(Capillary Rheometer Flowtester、(株)島津製作所製)あるいはCFT-500EX((株)島津製作所製)を使用して測定する。測定に使用するサンプル量は、ペレット状、粉末状、フィルム状等の熱可塑性高分子が約1.2g程度であり、シリンダに充填して測定する。粉末状の高分子を使用する場合には適切な造粒器、プレス機を使用して成形してシリンダに充填してもよい。ダイ(ノズル)は直径1.0mm、厚み1.0mmのものを使用し、5kgの押出荷重を加え、初期設定温度30℃~140℃(高分子の種類と融点により適切に選択する)で予熱時間240秒後、3℃/分の速度で130~260℃(高分子の種類と融点により適切に選択する)まで等速昇温した時のストローク長(mm)と温度の曲線を求める。温度上昇に伴い、熱可塑性高分子が加熱され、ダイからポリマーが流出し始める。この時の温度を流出開始温度とする。
(3)熱可塑性高分子の溶融挙動測定
[示差走査熱量計(DSC)による熱的性質の測定]
ポリヒドロキシアルカノエート類をはじめとする熱可塑性高分子の溶融挙動は、示差走査熱量計(Rigaku,Thermo plus EVO DSC8230)を用いて測定した。測定雰囲気は窒素(30ml/分)とし、30℃から130~260℃(高分子の種類と融点により適切に選択する)まで20℃/分で昇温した。サンプルは1mg前後とし、アルミ製のサンプルパンを使用した。温度校正にはインジウムを使用した。
融解ピークがシャープな場合には、JIS-K7121に準拠し、融解ピークの補外融解終了温度は、ピーク終了前の最大傾斜の点で引いた接線とピーク後のベースラインとの交点の温度とする(Rigaku,Thermo plus EVO ソフトウェアによって認識させる)が、融解ピーク形状が複数重なっている場合には、より高温側のピークに対してマニュアルにて接線を引き直し、ベースラインとの交点を補外融解終了温度とした。
(4)熱可塑性高分子の部分溶融押出及び溶融押出
[フローテスタを用いた一定温度による溶融紡糸]
フローテスタCFT-500D型((株)島津製作所製)あるいはCFT-500EX((株)島津製作所製)を使用して溶融押出紡糸を行った
<各種分析結果>
4HB含有PHA共重合体のDSCとCFT(キャピラリーフローテスタ:CapillaryFlowtester)の測定結果を下記表1に示す。
<比較例1>サンプルS1
Mw94万のP(3HB)(サンプルS1とする)をフローテスタ(CFT)とDSCにて分析した。CFT流出開始温度は181.0℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ140~189℃であった。結晶融解ピーク頂点は175.0℃であり、DSC補外融解終了温度は179.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は188.7℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が低く、完全溶融状態でなければ流出しないことが判明した。即ち、DSC補外融解終了温度以下の温度では流出せず、部分溶融押出はできなかった。図1にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例1>サンプルS2
Mw116万のP(3HB-co-11.8モル%4HB)(サンプルS2とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は131.3℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ80~167℃であった。結晶融解ピーク頂点は95.2℃と141.8℃であり、DSC補外融解終了温度は158.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は167.0℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、131.3以上158.7℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図2にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として135℃(実施例11)、150℃(実施例12)、ほぼ溶融している温度として170℃(比較例3)、180℃(比較例4)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは116万であったのに対して、135℃での部分溶融紡糸後のMwは110万、150℃での部分溶融紡糸後のMwは108万であり、170℃での溶融紡糸後のMwは72万であり、180℃での溶融紡糸後のMwは46万であった。それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw116万を100%とすると、135℃で95%、150℃で93%であるのに対して170℃では62%、180℃では39%であり、より低温にて紡糸できることは分子量低下の抑制に効果的であることが明確になった。特に完全溶融状態ではない135℃や150℃での部分溶融紡糸では分子量低下抑制が顕著であった。結果を表2に示した。
また、135℃、150℃での部分溶融押出紡糸では、170℃、180℃の溶融押出紡糸で見られるような紡糸直後のポリマーの粘着性が抑えられて膠着せず、室温にて30分~1時間程度の結晶化時間を取ることなく、巻取や延伸に移ることができた。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例2>サンプルS3
Mw100万のP(3HB-co-13.1モル%4HB)(サンプルS3とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は125.1℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ49~144℃であった。結晶融解ピーク頂点は63.7℃と114.8℃であり、DSC補外融解終了温度は135.1℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は155.0℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、125.1以上135.1℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図3にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として126℃(実施例13)、130℃(実施例14)、135℃(実施例15)、ほぼ溶融している温度として150℃(比較例5)、160℃(比較例6)、170℃(比較例7)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは100万であったのに対して、126℃での部分溶融紡糸後のMwは95万、130℃での部分溶融紡糸後のMwは97万、135℃での部分溶融紡糸後のMwは97万、140℃での部分溶融紡糸後のMwは92万、150℃での溶融紡糸後のMwは82万、160℃での溶融紡糸後のMwは65万であり、170℃での溶融紡糸後のMwは54万であった。それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw100万を100%とすると、126℃で95%、130℃で97%、135℃で97%、150℃で82%、160℃で65%であるのに対して170℃では53%であり、より低温にて紡糸できること、特に部分溶融状態が可能な低温にて紡糸できることは分子量低下の抑制に効果的であることが明確になった。特に完全溶融状態ではないことが明確な135℃以下での部分溶融紡糸では分子量低下抑制が顕著であった。
結果を表3に示した。
170℃の溶融紡糸では、押出されたポリマーの粘着性が強く、膠着が見られ、巻取後に固化したポリマーは解舒できなかった。一方で135℃以下にて部分溶融押出紡糸した糸では粘着性がほとんど見られず、紡糸直後に膠着せずに巻取や延伸が可能であった。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例3>サンプルS4
Mw90万のP(3HB-co-14.7モル%4HB)(サンプルS4とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は113.9℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ88~145℃であった。結晶融解ピーク頂点は93.6℃であり、DSC補外融解終了温度は140.9℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は144.7℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、113.9以上140.9℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図4にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として115℃(実施例16)、130℃(実施例17)、140℃(実施例18)、ほぼ溶融している温度として170℃(比較例8)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは90万であったのに対して、115℃での部分溶融紡糸後のMwは89万、130℃での部分溶融紡糸後のMwは84万、140℃での溶融紡糸後のMwは87万、150℃での溶融紡糸後のMwは87万であり、170℃での溶融紡糸後のMwは55万であった。それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw90万を100%とすると、115℃で99%、130℃で94%、140℃で97%であるのに対して170℃では61%であり、より低温にて紡糸できることは分子量低下の抑制に効果的であることが明確になった。特に140℃以下での部分溶融状態での低温部分溶融紡糸では分子量低下抑制が顕著であった。結果を表4に示した。
170℃の溶融紡糸では、押出されたポリマーの粘着性が強く膠着が見られ、巻取後に固化したポリマーは解舒できなかった。一方で140℃以下にて部分溶融押出紡糸した糸では粘着性がほとんど見られず、紡糸直後に膠着せずに巻取や延伸が可能であった。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例4>サンプルS5
Mw75万のP(3HB-co-15.3モル%4HB)(サンプルS5とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は109.4℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ58~170℃であった。結晶融解ピーク頂点は65.5、92.7、110.0、164.3℃であり、DSC補外融解終了温度は80.0、109.0、130.2、168.9℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は172.6℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、109.4以上168.9℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図5にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として115℃(実施例19)、120℃(実施例20)、125℃(実施例21)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは75万であったのに対して、115℃、120℃、125℃での部分溶融紡糸後のMwはいずれも75万であった。150℃を大幅に下回る温度での部分溶融状態で紡糸できることは分子量低下の抑制に効果的であることが明確になった。結果を表5に示した。
125℃以下にて部分溶融押出紡糸した糸では粘着性がほとんど見られず、紡糸直後に膠着せずに巻取や延伸が可能であった。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例5>サンプルS6
Mw71万のP(3HB-co-15.3モル%4HB)(サンプルS6とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は113.8℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ81~155℃であった。結晶融解ピーク頂点は91.2℃であり、DSC補外融解終了温度は145.6℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は161.1℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、113.8以上145.6℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図6にCFTとDSCの測定結果を示した。
ほぼ溶融している温度として160℃(比較例9)、170℃(比較例10)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは71万であったのに対して、160℃での溶融紡糸後のMwは48万、170℃での溶融紡糸後のMwは31万であり、部分溶融状態ではない160℃や170℃での高温での溶融紡糸では分子量低下が避けがたいことが判明した。結果を表6に示した。
160℃、170℃の溶融紡糸で押出されたポリマーには粘着性が強く見られ、延伸するためには室温にて30分から1時間程度の結晶固化時間が必要であった。
<実施例6>サンプルS7
Mw62万のP(3HB-co-16.0モル%4HB)(サンプルS7とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は94.0℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ57~178℃であった。結晶融解ピーク頂点は99.4℃であり、メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は105.8℃、メイン溶融ピークに続くなだらかな溶融ピークのDSC補外融解終了温度は139.7℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は175.9℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は178.2℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、94.0以上175.9℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図7にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として130℃(実施例22)、160℃(実施例23)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは62万であったのに対して、130℃での部分溶融紡糸後のMwは61万、160℃での部分溶融紡糸後のMwは50万、170℃での溶融紡糸後のMwは44万であった。それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw62万を100%とすると、130℃で98%、160℃で81%であるのに対して170℃では71%であった。DSCにて高温部分(172℃付近)で溶融する結晶が一部混入しているサンプルS7のような場合には、160、170℃においても一部の結晶が溶融しないで残っている部分溶融状態であると考えられるが、PHAの溶融温度としては相対的に高い温度であるため分子量低下が見られている。130℃と低温で溶融紡糸した場合には分子量低下抑制は明らかであり、より低温にて紡糸できることは分子量低下の抑制に効果的であることが確認できた。
<実施例7>サンプルS8
Mw58万のP(3HB-co-17.8モル%4HB)(サンプルS8とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は96.2℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ43~177℃であった。結晶融解ピーク頂点は47.5℃と100.6℃であり、166.6℃にも3HBリッチ結晶由来と思われる小さな溶融ピークの頂点があった。メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は107.3℃、メイン溶融ピークに続くなだらかな溶融ピークのDSC補外融解終了温度は142.1℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は175.6℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は177.6℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、96.2以上175.6℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図8にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例8>サンプルS9
Mw63万のP(3HB-co-17.9モル%4HB)(サンプルS9とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は131.3℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ90~149℃であった。結晶融解ピーク頂点は116.9℃と131.7℃であり、DSC補外融解終了温度は146.0℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は151.7℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、131.3以上146.0℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図9にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例9>サンプルS10
Mw105万のP(3HB-co-28.7モル%4HB)(サンプルS10とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は109.5℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ39~167℃であった。結晶融解ピーク頂点は47.0℃と164.0℃であり、DSC補外融解終了温度は55.9℃と166.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は170.3℃であった。高温側の溶融ピークは、3HBリッチなPHAがわずかにブレンドされて生合成された結果生じたピークである可能性もあるが、CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、109.5以上166.7℃未満の範囲にて結晶成分は残存していると考えられ、この範囲では部分溶融押出できることが判明した。図10にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例10>サンプルS11
Mw104万のP(3HB-co-32.9モル%4HB)(サンプルS11とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は123.1℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ40~148℃であった。結晶融解ピーク頂点は44.8℃、79.1℃と123.8℃であり、DSC補外融解終了温度は55.9℃、88.1℃と144.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は151.4℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、123.1以上144.7℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図11にCFTとDSCの測定結果を示した。
<比較例2>サンプルS12
Mw111万のP(3HB-co-74.6モル%4HB)(サンプルS12とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は94.6℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ39~72℃であった。結晶融解ピーク頂点は58.7℃であり、DSC補外融解終了温度は64.1℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は72.1℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が低く、94.6℃以上の完全溶融状態でなければ流出しないことが判明した。図12にCFTとDSCの測定結果を示した。
3HV含有PHA共重合体のDSCとCFTの測定結果を下記表8に示す。
<実施例24>サンプルS13
Mw46万のP(3HB-co-8.0モル%3HV)(サンプルS13とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は151.6℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ125~174℃であった。結晶融解ピーク頂点は152.1℃であり、DSC補外融解終了温度は164.9℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は173.9℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、151.6以上164.9℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図13にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として160℃(実施例30)、ほぼ溶融している温度として175℃(比較例11)、185℃(比較例12)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは46万であったのに対して、160℃での溶融紡糸後のMwは45万、175℃での溶融紡糸後のMwは39万、185℃での溶融紡糸後のMwは36万であり、それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw46万を100%とすると、160℃で97%であるのに対して175℃で86%、185℃では79%であった。
P(3HB-co-4HB)共重合体だけでなく、他のモノマーユニットからなるP(3HB-co-3HV)共重合体であっても、より低温での溶融紡糸では分子量低下を抑制する効果が顕著であった。結果を表9に示した。
185℃の溶融紡糸では、押出されたポリマーの粘着性が強く膠着が見られ、巻取後に固化したポリマーは解舒できなかった。一方で、160℃で部分溶融押出紡糸した糸では粘着性がほとんど見られず、紡糸直後に膠着せずに巻取や延伸が可能であった。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例25>サンプルS14
Mw19万のP(3HB-co-12.0モル%3HV)(サンプルS14とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は140.4℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ124~166℃であった。結晶融解ピーク頂点は144.9℃であり、DSC補外融解終了温度は156.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は165.7℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、140.4以上156.7℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図14にCFTとDSCの測定結果を示した。
部分溶融が可能な温度として145℃(実施例31)、150℃(実施例32)、155℃(実施例33)、ほぼ溶融している温度として170℃(比較例13)にて溶融紡糸を行った。
溶融紡糸前のMwは19万であったのに対して、145℃、150℃、155℃での溶融紡糸後のMwはいずれも19万、170℃での溶融紡糸後のMwは16万であり、それぞれの温度での溶融紡糸後の分子量Mwの残存率は溶融紡糸前の分子量Mw19万を100%とすると、145℃で98%、150℃で98%、155℃で98%であるのに対して170℃では83%であった。
P(3HB-co-4HB)共重合体だけでなく、P(3HB-co-3HV)共重合体であっても、より低温での溶融紡糸では分子量低下を抑制する効果が顕著であった。結果を表10に示した。
170℃の溶融紡糸では、押出されたポリマーの粘着性が強く膠着が見られ、巻取後に固化したポリマーは解舒できなかった。一方で150℃以下にて部分溶融押出紡糸した糸では粘着性がほとんど見られず、紡糸直後に膠着せずに巻取や延伸が可能であった。即ち、部分溶融押出紡糸により、結晶化時間を短縮し、高分子の溶融加工性を改善し、生産性を向上することができることが示された。
<実施例26>サンプルS15
Mw33万のP(3HB-co-35.5モル%3HV)(サンプルS15とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は85.1℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ45~173℃であった。結晶融解ピーク頂点は89.0℃であり、165.4℃にも3HBリッチ結晶由来と思われる小さな溶融ピークの頂点があった。メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は106.0℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は173.0℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は174.6℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、85.1以上173.0℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。仮に3HBリッチ結晶由来と思われる高温側の小さな溶融ピークを示す成分が混入していないと仮定しても、低温側の溶融ピークの補外融解終了温度は106.0℃であり、その場合には85.1以上106.0℃未満の範囲にて部分溶融押出できることがわかる。図15にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例27>サンプルS16
Mw83万のP(3HB-co-48.2モル%3HV)(サンプルS16とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は83.8℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ50~178℃であった。結晶融解ピーク頂点は75.0℃と88.7℃であり、165.7℃にも3HBリッチ結晶由来と思われる小さな溶融ピークの頂点があった。メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は94.8℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は173.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は177.7℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、83.8以上173.7℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。仮に3HBリッチ結晶由来と思われる高温側の小さな溶融ピークを示す成分が混入していないと仮定しても、低温側の溶融ピークの補外融解終了温度は94.8℃であり、その場合には83.8以上94.8℃未満の範囲にて部分溶融押出できることがわかる。図16にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例28>サンプルS17
Mw73万のP(3HB-co-61.5モル%3HV)(サンプルS17とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は84.5℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ56~178℃であった。結晶融解ピーク頂点は90.5℃であり、166.3℃にも3HBリッチ結晶由来と思われる小さな溶融ピークの頂点があった。メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は97.5℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は173.2℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は178.5℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、84.5以上173.2℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。仮に3HBリッチ結晶由来と思われる高温側の小さな溶融ピークを示す成分が混入していないと仮定しても、低温側の溶融ピークの補外融解終了温度は97.5℃であり、その場合には84.5以上97.5℃未満の範囲にて部分溶融押出できることがわかる。図17にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例29>サンプルS18
Mw73万のP(3HB-co-73.2モル%3HV)(サンプルS18とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は91.1℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ64~179℃であった。結晶融解ピーク頂点は95.0℃であり、166.9℃にも3HBリッチ結晶由来と思われる小さな溶融ピークの頂点があった。メインの溶融ピークのDSC補外融解終了温度は101.3℃、高温側の溶融ピークのDSC補外融解終了温度は174.3℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は178.2℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、91.1以上174.3℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。仮に3HBリッチ結晶由来と思われる高温側の小さな溶融ピークを示す成分が混入していないと仮定しても、低温側の溶融ピークの補外融解終了温度は101.3℃であり、その場合には91.1以上101.3℃未満の範囲にて部分溶融押出できることがわかる。図18にCFTとDSCの測定結果を示した。
<部分溶融状態の解析>
DSCの昇温過程に見られる熱可塑性高分子の溶融ピークの形状から、補外融解終了温度よりも低い領域での溶融成形では結晶構造が残存していると考えられ、フローテスタ昇温法での流出開始温度がDSCの補外融解終了温度よりも低い場合には、CFT流出開始温度とDSC補外融解終了温度との間で溶融成形は部分溶融状態での成形であると考えられる。DSCの昇温過程でのポリマーの結晶構造変化を広角X線回析(WAXD)を使用して解析した。
<参考例1>
実施例6、22、23で使用したサンプルS7、P(3HB-co-16.0モル%4HB)2mgをX線用のキャピラリーに入れ、DSCが測定できる昇温装置に入れ、昇温速度10℃/分で加熱しながら、広角X線を撮影した。広角X線は2℃刻みで、撮影時間1秒で測定した。DSC測定は、約50℃から200℃まで行った。そのときのDSC曲線と広角X線測定回折図を図19に示した。
DSC曲線には2つの吸熱(融解)ピークが観測された。低温側の吸熱ピークは、厚みが薄いラメラ結晶の融解ピークであると考えられる。高温側の吸熱ピークは、厚いラメラ結晶の融解ピークであると考えられる。広角X線図には、明確な結晶の存在を示す2つのリングパターンが確認できた。低温側の吸熱ピークを越えても、2つの結晶由来のピークは消滅していないことから、厚みの厚い結晶は残存していることが分かる。
このサンプルは実施例6で示したように94.0以上175.9℃未満の範囲にて部分溶融押出が可能であり、実際にその範囲内である130℃でも溶融押出紡糸可能であった(実施例22)。広角X線図から、130℃でも結晶由来のピーク(リングパターン)は確認できた。したがって、このサンプルを用いた130℃での溶融紡糸では、全ての結晶を溶融していない状態、つまり部分溶融状態にて紡糸が可能であることが証明された。
<参考例2>
実施例25、31、32、33、比較例13で使用したサンプルS14、P(3HB-co-12.0モル%3HV)2mgをX線用のキャピラリーに入れ、DSCが測定できる昇温装置に入れ、昇温速度10℃/分で加熱しながら、広角X線を撮影した。広角X線は2℃刻みで、撮影時間1秒で測定した。DSC測定は、約50℃から200℃まで行った。そのときのDSC曲線と広角X線測定回折図を図20に示した。
こちらのDSC曲線には吸熱ピークは一つしか存在しなかった。広角X線図には、明瞭な2つの結晶由来の回折パターンが観測できた。このサンプルは実施例25で示したように140.4以上156.7℃未満の範囲にて部分溶融押出が可能であり、実際にその範囲内である145℃、150℃、155℃でも部分溶融押出紡糸可能であった(実施例31、32、33)。図21の広角X線図の4で示した150℃での回折パターンは、150℃での溶融紡糸温度でも結晶由来のパターンが存在しており、全ての結晶を溶融していない状態、つまり部分溶融状態にて紡糸が可能であることが証明された。補外融解終了温度156.7℃と溶融ピークがベースラインへ到達する温度165.7℃の間にある160℃の広角X線回折図(図20の5)でもわずかながら結晶由来のリングパターンは確認できることから、160℃においてもほとんどの結晶は融解しているが、ごくわずかの結晶は残存していると考えられる。
その他の生分解性ポリマーのDSCとCFTの測定結果を下記表11に示す。
<比較例14>サンプルS19(PGA)
株式会社BMGのポリグリコール酸(PGA)(サンプルS19とする)をフローテスタ(CFT)とDSCにて分析した。CFT流出開始温度は233.9℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ195~240℃であった。結晶融解ピーク頂点は228.0℃であり、DSC補外融解終了温度は232.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は240.0℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が低く、完全溶融状態でなければ流出しないことが判明した。図21にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例34>サンプルS20(PLLA)
株式会社BMGのMw47万のPLLA(サンプルS20とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は193.6℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ155~204℃であった。結晶融解ピーク頂点は193.6℃であり、DSC補外融解終了温度は198.4℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は204.4℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、193.6以上198.4℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図22にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例35>サンプルS21(PGLA)
株式会社BMGのPGLA(サンプルS21とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は203.5℃であり、DSCによる高温側の結晶融解ピークの幅はおよそ190~221℃であった。結晶融解ピーク頂点は207.3℃であり、DSC補外融解終了温度は212.6℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は220.8℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、203.5以上212.6℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図23にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例36>サンプルS22(PPDO)
株式会社BMGのPPDO(サンプルS22とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は108.4℃であり、DSCによる高温側の結晶融解ピークの幅はおよそ77~124℃であった。結晶融解ピーク頂点は104.2℃と113.1℃であり、DSC補外融解終了温度は117.3℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は123.6℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、108.4以上117.3℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図24にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例37>サンプルS23(PBS)
三菱化学株式会社のPBS(サンプルS23とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は117.7℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ80~124℃であった。結晶融解ピーク頂点は115.0℃であり、DSC補外融解終了温度は119.5℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は124.4℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、117.7以上119.5℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図25にCFTとDSCの測定結果を示した。
<実施例38>サンプルS24(PBSA)
三菱化学株式会社のPBSA(サンプルS24とする)をCFTとDSCにて分析した。CFT流出開始温度は87.3℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ55~98℃であった。結晶融解ピーク頂点は90.1℃であり、DSC補外融解終了温度は94.5℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は98.4℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が高く、87.3以上94.5℃未満の範囲にて部分溶融押出できることが判明した。図26にCFTとDSCの測定結果を示した。
<比較例15>サンプルS25(PCL)
Ingevity社のポリカプロラクトン(PCL)(サンプルS25とする)をフローテスタ(CFT)とDSCにて分析した。CFT流出開始温度は69.3℃であり、DSCによる結晶融解ピークの幅はおよそ35~70℃であった。結晶融解ピーク頂点は59.3℃であり、DSC補外融解終了温度は63.7℃、融点ピークがベースラインへ到達する温度は70.4℃であった。CFT流出開始温度よりもDSC補外融解終了温度が低く、完全溶融状態でなければ流出しないことが判明した。図27にCFTとDSCの測定結果を示した。

Claims (6)

  1. 異なるラメラ厚を有するラメラ結晶を含む高分子を、一部のラメラ結晶は溶融して流動化し、その他残部のラメラ結晶は溶融せずに残存している温度範囲において、溶融成形することを含む、高分子成形物の製造方法であって、
    前記温度範囲が、フローテスタ昇温法による流出開始温度よりも高く、かつ補外融解終了温度よりも低い範囲であり、前記高分子が、モノマーユニットとして3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸とを含む共重合体であり、4-ヒドロキシ酪酸の割合が5モル%以上40モル%以下である、方法
  2. 一部のラメラ結晶は溶融して流動化し、その他残部のラメラ結晶は溶融せずに残存している温度範囲において、溶融させた高分子を、空気中において冷却することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 溶融成形が、溶融押出による成形である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 溶融成形が、溶融押出紡糸による成形である、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
  5. 溶融成形を1回行う、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
  6. 溶融成形後の高分子の分子量の残存率が86%より高い、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
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