JP2008222876A - 生分解性吸油用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有するポリヒドロキシアルカン酸を含む皮脂吸着用化粧料、油分吸着用清掃用、吸油用フィルムの提供。
【解決手段】ポリヒドロキシアルカン酸を含む生分解性吸油用フィルム、ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなる、生分解性吸油用フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】ポリヒドロキシアルカン酸を含む生分解性吸油用フィルム、ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなる、生分解性吸油用フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、生分解性吸油用フィルム(以下、単に「給油用フィルム」ということがある)に関し、より詳しくは皮脂吸着用化粧料、油分吸着用清掃用品に関する。
近年、環境への配慮の意識が高まっており、生分解性プラスチックの様々な製品への登用が研究されている。しかしながら、生分解性プラスチックは二次加工が困難であり、製造コストが高くなるといった問題から、実際に製品化されているものは少ない。
一方、化粧料分野において、皮膚の過剰な皮脂を取り除くための化粧料、すなわち、皮脂吸着用化粧料が知られている。皮膚表面の過剰な皮脂は、常に好ましいとは限らない。オイリー肌は、特に気温や湿度が高い気候のもとで問題となることが多い。例えば、皮脂の分泌の活性化により毛穴に角質や皮脂がたまることによりニキビができる。ここに細菌が作用し、炎症となることもある。この余分な皮脂を取り除くために、多くの皮脂吸着用化粧料が開発されている。
多くの人々の最近のライフスタイルとして、長時間外出先で過ごすことが多い。したがって、いつでもいかなる場所でも使用しやすい、使い捨てのスキンケア用品を携帯することが必要である。中でも、皮脂吸着用化粧料(脂とり紙又は脂とりフィルム)は、携帯用スキンケア用品として非常によく普及している。その理由としては、脂とり紙又は脂とりフィルムが、小さく軽くポケットやハンドバックにしまいやすく、簡単に素早くいつでもいかなる場所でも使用できるからである。
顔用皮脂吸着用素材としては、初期にはリネン(亜麻布)が使用されていたが、コストの面から、最近では紙が使用されている。しかしながら、紙素材のものは、リネン性のもの比べて効果が低い。効果を向上させるために紙(植物繊維)に絹糸等を混合したもの等も開発されているが、未だ十分な効果は得られていない(特許文献1)。また、さらに最近、多孔性熱可塑性フィルム素材のものが販売され始めた。このような皮脂吸着用フィルムは紙素材のもの等に比べれば皮脂吸着効果は高いが、いまだ十分な効果は得られない。さらに、このような素材は生分解性ではないか、または生分解性の作用が十分ではない。生分解性ポリエステル素材のものとして、ポリ乳酸繊維と無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とのブレンドからなるものが開発されているが、この技術による素材も単独材料で効果を発揮するものではなく、完全に生分解性ではない(特許文献2)。したがって、バイオマス由来の素材を用いたものが望まれている。
なお、ポリ乳酸は生分解性材料として知られているが、ポリ乳酸は自然環境中では分解されない。ただし、コンポスト(高温多湿条件:例えば、温度60℃、湿度70%)内等の特殊な条件下で加水分解するため、生分解性材料といわれることがある。しかしながら、自然環境中において微生物に分解される、という意味での生分解性材料にはポリ乳酸は該当しない。
また、布巾等の家庭用清掃用品に関しても、油分の吸着性が高いものが求められている。また、このような家庭用清掃用品が生分解性であればさらに望ましい。
本発明は、上記観点のもとになされたものであり、各種生分解性素材製品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、生分解性ポリマーであるポリヒドロキシアルカン酸が、優れた吸油特性を有することを見出した。本発明者らは、この知見に基づき、生分解性吸油性フィルムを発明した。
本発明の吸油性フィルムは、様々な自然環境中で完全に生分解性である。本発明により、生体及び自然生態系に適合性である種々のポリヒドロキシアルカン酸の吸油性フィルムとしての用途が初めて開示される。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)ポリヒドロキシアルカン酸を含む生分解性吸油用フィルム。
(2)ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなる、(1)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(3)さらに石油系プラスチックを含む、(1)又は(2)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(4)生分解性吸油用フィルムがソルベントキャスティング法、溶融−結晶化法、スピンキャスティング法、又はエレクトロスピニング法により成形されたものである、(1)〜(3)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
(5)化粧料である、(1)〜(4)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
(6)化粧料がスキンケア化粧料である、(5)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(7)スキンケア化粧料が皮脂吸着用フィルムである、(6)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(8)化粧料が皮膚洗浄用化粧料である、(5)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(9)皮膚洗浄用化粧料がクレンジング剤である、(8)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(10)清掃用品である、(1)〜(4)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
(1)ポリヒドロキシアルカン酸を含む生分解性吸油用フィルム。
(2)ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなる、(1)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(3)さらに石油系プラスチックを含む、(1)又は(2)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(4)生分解性吸油用フィルムがソルベントキャスティング法、溶融−結晶化法、スピンキャスティング法、又はエレクトロスピニング法により成形されたものである、(1)〜(3)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
(5)化粧料である、(1)〜(4)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
(6)化粧料がスキンケア化粧料である、(5)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(7)スキンケア化粧料が皮脂吸着用フィルムである、(6)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(8)化粧料が皮膚洗浄用化粧料である、(5)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(9)皮膚洗浄用化粧料がクレンジング剤である、(8)に記載の生分解性吸油用フィルム。
(10)清掃用品である、(1)〜(4)の何れかに記載の生分解性吸油用フィルム。
本発明により、吸油特性に優れ、かつ生分解性の吸油性フィルムが提供される。生分解性の吸油性フィルムとして、具体的には、例えば、皮脂吸着用フィルム等のスキンケア化粧料、布巾、精密機器に用いられるレンズ等の清掃具等の清掃用品等として使用可能である。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮脂吸着効果に優れ、生体(皮膚)適合性で、かつ環境適合性の皮脂吸着用フィルムである。さらに、本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮脂が吸着すると、その部分の透明性が変化し、皮脂吸着を明確に示すことができる。そのため、使用者は皮脂吸着の効果を簡単に確認できる。この点でも、本発明の皮脂吸着用フィルムは製品として望ましい性質を有している。
また、本発明の吸油性フィルムの製造、使用、最終的な破棄の全ての工程は、炭素サイクルの観点から本質的に中立な持続可能なバイオベースの工程に基づくものである。
(本発明の吸油用フィルム)
本発明により100%生分解性を有する吸油用フィルムが開発された。すなわち、本発明は、糖や植物油を原料として微生物により生合成され、他の微生物の分泌する分解酵素により完全に水と二酸化炭素に分解されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を原料とした、100%生分解性を有する吸油用フィルムである。
本発明により100%生分解性を有する吸油用フィルムが開発された。すなわち、本発明は、糖や植物油を原料として微生物により生合成され、他の微生物の分泌する分解酵素により完全に水と二酸化炭素に分解されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を原料とした、100%生分解性を有する吸油用フィルムである。
本発明の吸油用フィルムは、PHAを含むことを特徴とする。本発明の吸油用フィルムは、優れた吸油特性を有し、かつ生分解性(PHA以外の非生分解性成分を混合した場合は部分的に生分解性であり得る)であるので、生態系に適合性であるという利点を有する。
本発明の吸油用フィルムは、吸油特性が求められる様々な製品及びその資材として使用され得る。例えば、化粧料(皮脂吸着用フィルム等のスキンケア化粧料、クレンジング剤等の皮膚洗浄用化粧料、メークアップ化粧料等)、食品(油分吸着用健康食品等)、生活用品(布巾、精密機器に用いられるレンズ等の清掃具等の清掃用品等)、環境浄化用資材(海上又は水上に流出した油の吸収用フィルム等)、精密機器洗浄資材等に利用され得る。
(本発明の吸油用フィルムに用いるポリヒドロキシアルカン酸(PHA))
本発明の吸油用フィルムに用いるPHAとしては、特に制限されないが、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなるポリマーが使用され得る。
本発明の吸油用フィルムに用いるPHAとしては、特に制限されないが、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなるポリマーが使用され得る。
上記ポリマーとしては、例えば、3−ヒドロキシブタン酸ホモポリマー、3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシバレリル酸コポリマー、及び3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸コポリマー等が挙げられる。なお、モノマー比は特に制限されない。
本発明の吸油用フィルムに用いるPHAは、発酵合成法により合成することが可能である。発酵合成法とは、PHA生産能を有する微生物を培養し、その菌体内に蓄積されるPHAを取り出す方法である。
発酵合成法で利用できる微生物としては、PHA生産能を有する微生物であれば特に限定されない。PHAのうち、ポリヒドロキシブタン酸(PHB)生産菌として、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)等のラルストニア属、及びアルカリゲネス属を始め60種以上の天然微生物が知られており、これらの微生物ではPHBが菌体内に蓄積される。また、ヒドロキシブタン酸とその他のヒドロキシアルカン酸とのコポリマー生産菌として、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシバレリル酸)、及びポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)生産菌であるラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸−co−4−ヒドロキシブタン酸)生産菌であるラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、デルフリア・アシドボランス(Delfria acidovorans)等が知られている。
発酵合成法においては、通常これらの微生物を、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地で培養することにより菌体内にPHAを蓄積させることができる。なお、これらの微生物に与える炭素源の組成を調整することにより、様々な組成からなるポリマーを得ることができる。菌体からのPHAの採取は、クロロホ
ルム等の有機溶媒による抽出や、菌体成分をリゾチーム等の酵素で分解した後PHAグラニュールを濾別する方法等により実施できる。
ルム等の有機溶媒による抽出や、菌体成分をリゾチーム等の酵素で分解した後PHAグラニュールを濾別する方法等により実施できる。
また、発酵合成法の一態様として、PHB合成遺伝子を含む組換えDNAを導入して形質転換させた微生物を培養し、その菌体内に生成したPHBを採取する方法が挙げられる。
形質転換体は好適な培地で培養し、PHBを菌体内に蓄積させる。使用する培地としては、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地が挙げられる。大腸菌を用いる場合、炭素源としてはグルコース等が挙げられ、窒素源としてはイーストエキス、トリプトン等の天然物由来のものが挙げられる。その他、アンモニウム塩などの無機の窒素化合物等が含まれていてもよい。培養は好気的条件下で12〜48時間、培養温度は30〜37℃、培養中のpHは6.0〜8.0に制御することが好ましい。菌体からのPHBの採取は、クロロホルム等の有機溶媒による抽出や、菌体成分をリゾチーム等の酵素で分解した後PHBグラニュールを濾別する方法等により実施できる。具体的には、例えば培養液から分離回収した乾燥菌体からPHBを適当な有機溶媒で抽出した後、沈殿剤で沈殿させることにより実施できる。
本発明の吸油用フィルムに用いるPHAの分子量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、通常数平均分子量10万〜150万、好ましくは数平均分子量40万〜100万である。上記範囲内であれば、フィルムの形成を容易に行うことができる。
本発明の吸油用フィルムには、PHA以外に石油系プラスチックをさらに添加することも可能である。本発明の吸油用フィルムに用いる石油系プラスチックとしては、通常よく知られるポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル等が使用され得る。石油系プラスチックの添加量は任意であり、目的の成形品に必要な物性に応じて適宜選択され得る。PHAにより非生分解性の石油系プラスチック成形品に、生分解性が付与される。
本発明の吸油用フィルムの成形材料としては、上記PHA以外に目的の成形品に通常使用される任意成分を添加することができる。例えば、フィルムであれば、通常フィルムに用いられる各種添加剤、例えば滑剤、紫外線吸収剤、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、核剤、流動改良剤、着色剤、ビタミン等を必要に応じて含有させることができる。
以下、本発明の吸油用フィルムを、皮脂吸着用フィルムを例に挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれにより本発明の範囲が限定されることはない。
(皮脂吸着用フィルム)
本発明の皮脂吸着用フィルムは、生分解性であり、再生可能資源であるバイオマスを原料として生合成された微生物産生脂肪族ポリエステル(ポリヒドロキシアルカン酸)であるという点で新しいタイプの化粧品、すなわち、スキンケア製品である。本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮膚表面から過剰な皮脂を吸い取るのに適している。本発明における特徴は、素材の選択にあり、その素材は、生分解性及び生体適合性の熱可塑性樹脂、すなわち、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)である。PHAは、プラスチック産業に使用される従来の簡便な技術で、薄い多孔性のフィルムに加工され得る。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、生分解性であり、再生可能資源であるバイオマスを原料として生合成された微生物産生脂肪族ポリエステル(ポリヒドロキシアルカン酸)であるという点で新しいタイプの化粧品、すなわち、スキンケア製品である。本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮膚表面から過剰な皮脂を吸い取るのに適している。本発明における特徴は、素材の選択にあり、その素材は、生分解性及び生体適合性の熱可塑性樹脂、すなわち、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)である。PHAは、プラスチック産業に使用される従来の簡便な技術で、薄い多孔性のフィルムに加工され得る。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、上記PHAを原料として以下の4種類の方法、すなわちソルベントキャスティング法、溶融−結晶化法、スピンキャスティング法、又はエレクトロスピニング法で製造され得る。このような方法であれば、フィルム表面に多孔を存在させ、また、フィルム表面の結晶化度を最小限にすることが可能である。
具体的には、次のように製造され得る。
ソルベントキャストフィルムは、PHAを揮発性の有機溶媒に溶解させ、シャーレ等に流し込み、溶媒を揮発させることで得られる。
溶融−結晶化フィルムは、PHAを融点以上で融解したのち、所定の温度で一定時間保持することにより製造される。
スピンキャストフィルムは、有機溶媒に溶解したPHAを回転している基盤上に滴下し、滴下と同時に溶媒を揮発させることにより得られる。
エレクトロスピニングフィルムは、有機溶媒に溶解させたPHAに電圧をかけることによりノズル先端から試料を放出し、ナノオーダーの極細繊維を作製し、積層させることにより製造される。
なお、本発明のフィルムは、上記の方法によって得られたものに限らず、フィルムを形成させる各種方法で得られたものであってよい。
ソルベントキャストフィルムは、PHAを揮発性の有機溶媒に溶解させ、シャーレ等に流し込み、溶媒を揮発させることで得られる。
溶融−結晶化フィルムは、PHAを融点以上で融解したのち、所定の温度で一定時間保持することにより製造される。
スピンキャストフィルムは、有機溶媒に溶解したPHAを回転している基盤上に滴下し、滴下と同時に溶媒を揮発させることにより得られる。
エレクトロスピニングフィルムは、有機溶媒に溶解させたPHAに電圧をかけることによりノズル先端から試料を放出し、ナノオーダーの極細繊維を作製し、積層させることにより製造される。
なお、本発明のフィルムは、上記の方法によって得られたものに限らず、フィルムを形成させる各種方法で得られたものであってよい。
本発明の皮脂吸着用フィルムの成形材料としては、通常化粧料に用いられる各種添加剤、例えば保湿剤(ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ブチレングリコール類、ポリグリセリン類、糖アルコール類、単糖類、多糖類、アミノ多糖類(キチン、キトサン等)、ビタミン類)、油分、美白成分、消炎成分、色素、顔料、界面活性剤、殺菌剤等を必要に応じて含有させることができる。
本発明の皮脂吸着用フィルムの物性としては、例えば、3−ヒドロキシブタン酸ホモポリマー(数平均分子量90万)からなるフィルムであれば、ガラス転移点(Tg)0〜10℃、融点(Tm)170〜185℃であり得る。3−ヒドロキシブタン酸とその他のPHAのコポリマー(数平均分子量40〜100万)からなるフィルムであれば、ガラス転移点(Tg)−10〜10℃、融点(Tm)25〜170℃であり得る。本発明の皮脂吸着用フィルムは適度な強度を有し、例えば、破壊強度10〜50MPa、破壊伸び5〜1000%であり得る。
上記フィルムを適当な大きさ(例えば、3cm×3cm)にカットして、本発明の皮脂吸着用フィルムとすることができる。皮脂吸着用フィルムの厚みは、10〜40μmである。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮膚表面を清浄にし、過剰な皮脂を取り除く目的で使用される皮脂吸着用フィルムである。既に市販されている種々の皮脂吸着用フィルムがあるが、本発明の皮脂吸着用フィルムの新規な点、及び際立った特徴は、環境適合性の特性である。
また、本発明の皮脂吸着用フィルムは、肌に触れる際のあたりがやわらかく、かつ優れた油分吸着能、及び油分保持能を有する。本発明の皮脂吸着用フィルムの油分吸着能は、通常0.5g/g以上、好ましくは0.8g/g以上である。油分保持能は、通常70%以上、好ましくは75%以上である。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、通常には多孔質構造を有する。多孔質構造とは、物質表面及び内部に多くの微細な孔を有する構造のことを意味する。多孔質構造を有する物質は、表面積が大きく、物質の高い吸着能を有する。本発明の皮脂吸着用フィルムと皮脂とを接触させると、このような孔に皮脂が取り込まれ、フィルム中に皮脂が吸着される。
従来のプラスチックからなる皮脂吸着用フィルムでは、プラスチック自体は油分吸着能を有さないため、皮脂をフィルム中に吸着させるためにフィルム中に皮脂吸着用の添加剤を含有させ、皮脂を吸着させることが通常であった。本発明の皮脂吸着用フィルムは、PH
A自体が油分吸着能を有するため、皮脂吸着用の添加剤を添加する必要がない。したがって、製造コスト、品質の面で利点を有する。
A自体が油分吸着能を有するため、皮脂吸着用の添加剤を添加する必要がない。したがって、製造コスト、品質の面で利点を有する。
本発明の皮脂吸着用フィルムは、皮脂が吸着すると、その部分の透明度、すなわち、光の透過度が変化し、皮脂が吸着していない部分との間の透明度の差によって、皮脂の取れ具合の効果を目視により確認することができる。本発明の皮脂吸着用フィルムの透明性の変化率は、通常50%以上、好ましくは60%以上である。
PHAフィルムの初期透明度はPHAモノマー組成を調整し、結晶化度をコントロールすることにより調整され得る。さらに、フィルムの製造工程において、特定の透明度を有するフィルムを製造するように調整が可能である。具体的には共重合体の組成比、種類、結晶化度により調整可能である。
本発明により、PHAからなる、様々な皮脂吸着特性の程度の生分解性皮脂吸着用フィルムが提供される。PHAベースの皮脂吸着用フィルムは、見た目や感触は従来の非生分解性皮脂吸着用フィルムと同様であるが、PHAベースの皮脂吸着用フィルムは、生分解性であり、優れた吸油特性を示し、かつ油分に接触した際に透明性において変化を示す。PHAベースの皮脂吸着用フィルムは、廃棄された際、コンポスト、ごみ埋立地、土壌、水中環境、海洋環境、マングローブ、汚水処理タンク等の微生物活動がある場所で自然に分解される。PHAベースの皮脂吸着用フィルムは、好気性、嫌気性のいずれの条件でも分解され、トイレに流すことができる。
以下、本発明を、実施例および参考例を参照してさらに詳細に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定されることはない。
[実施例1]ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の生合成及びPHAフィルムの製造
・使用菌株: ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha) H16 (野生株及び変異株)
・細菌増殖及びPHA合成のための炭素源: パーム油産物、バレリル酸ナトリウム/プロピオン酸あるいはバレリル酸あるいはヘキサン酸ナトリウム
・培養方法:
細胞は、まず接種菌液調製のために富栄養培地で24時間、30℃で培養した。その後、3% (vol/vol)の接種菌液を、上記炭素源を含むミネラル培地に移した。細胞は、さらに72時間培養された。
・使用菌株: ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha) H16 (野生株及び変異株)
・細菌増殖及びPHA合成のための炭素源: パーム油産物、バレリル酸ナトリウム/プロピオン酸あるいはバレリル酸あるいはヘキサン酸ナトリウム
・培養方法:
細胞は、まず接種菌液調製のために富栄養培地で24時間、30℃で培養した。その後、3% (vol/vol)の接種菌液を、上記炭素源を含むミネラル培地に移した。細胞は、さらに72時間培養された。
・抽出及び精製:
生合成されたPHAは、乾燥微生物細胞からクロロフォルムを用いて抽出した後、菌体を濾過し、濾液をエタノールに投入することにより精製した。
・PHAの物性の評価:
融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)はDSCを用いて、破壊強度と破壊伸びは引っ張り試験を用いてそれぞれ測定した。
生合成されたPHAの特性について測定した結果を表1に示す。
生合成されたPHAは、乾燥微生物細胞からクロロフォルムを用いて抽出した後、菌体を濾過し、濾液をエタノールに投入することにより精製した。
・PHAの物性の評価:
融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)はDSCを用いて、破壊強度と破壊伸びは引っ張り試験を用いてそれぞれ測定した。
生合成されたPHAの特性について測定した結果を表1に示す。
・PHAフィルムの製造:
生合成されたPHAを用いて、PHAフィルムを製造した。
PHAをクロロフォルムに室温で溶解後、シャーレに流し込み、ドラフト中で3〜4日乾燥することによりソルベントキャストフィルムを得た。
・PHAフィルムの物性の評価:
PHAフィルムの特性について測定した結果を表1に示す。
生合成されたPHAを用いて、PHAフィルムを製造した。
PHAをクロロフォルムに室温で溶解後、シャーレに流し込み、ドラフト中で3〜4日乾燥することによりソルベントキャストフィルムを得た。
・PHAフィルムの物性の評価:
PHAフィルムの特性について測定した結果を表1に示す。
[実施例2]皮脂吸着用フィルムの性能評価
実施例1において作製したPHAフィルムを2×2cmにカットし、皮脂吸着用フィルム(厚さ約20μm)とした。
得られた皮脂吸着用フィルム(実施例)及び市販の皮脂吸着用フィルム(比較例)について、皮脂吸着用フィルムとしての性能を評価した。すなわち、フィルムの油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率を下記の手順により測定し、評価した。
実施例1において作製したPHAフィルムを2×2cmにカットし、皮脂吸着用フィルム(厚さ約20μm)とした。
得られた皮脂吸着用フィルム(実施例)及び市販の皮脂吸着用フィルム(比較例)について、皮脂吸着用フィルムとしての性能を評価した。すなわち、フィルムの油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率を下記の手順により測定し、評価した。
(油分吸着能の測定)
1.フィルムの初期重量を測定する。
2.フィルムをミネラルオイルバスに1分間浸漬し、その後取り出し、重力により液をドリップさせる。
3.ペーパーワイパーで両表面をふき取った後、フィルムの重量を測定して、油分吸着能を測定した。油分吸着能の計算式は以下のとおりである。初期フィルム重量(g)に対する油分量(g)で表される。
1.フィルムの初期重量を測定する。
2.フィルムをミネラルオイルバスに1分間浸漬し、その後取り出し、重力により液をドリップさせる。
3.ペーパーワイパーで両表面をふき取った後、フィルムの重量を測定して、油分吸着能を測定した。油分吸着能の計算式は以下のとおりである。初期フィルム重量(g)に対する油分量(g)で表される。
(油分保持能の測定)
1.油分吸着能測定後のフィルムを、アルミホイルで覆ったスチール板下に直接設置した。2,000gの重りを1分間板上に載せ、その後フィルムを取り除き、計量した。油分保持能(%)の計算式は以下のとおりである。
*2,000gは人の指の力に相当する。
1.油分吸着能測定後のフィルムを、アルミホイルで覆ったスチール板下に直接設置した。2,000gの重りを1分間板上に載せ、その後フィルムを取り除き、計量した。油分保持能(%)の計算式は以下のとおりである。
*2,000gは人の指の力に相当する。
(透明性変化率の測定)
フィルムの外見が変化する(油分を保持した際に不透明から透明に変化する)能力を、スペクトロメーターを用いて測定した。
フィルムの吸光度測定は、各フィルムで最も測定に適した波長で行った。すなわち、PHAフィルム(実施例):500nm、市販の皮脂吸着用フィルム(ポリプロピレンベース)(比
較例)Product A:550nm、市販の皮脂吸着用フィルム(ポリウレタンベース、銀含有)(比較例)Product B:600nm、市販の皮脂吸着用フィルム(和紙)(比較例)Product C:400nmで行った。
1.フィルムをスペクトロメーターに設置し、適当な測定波長で測定した。初期ODを記録した。
2.油分吸着能の測定及び油分保持能の測定と同様の操作を行った後、再度フィルムをスペクトロメーターに設置し、測定した。透明性変化率(%)の計算式は以下のとおりである。
フィルムの外見が変化する(油分を保持した際に不透明から透明に変化する)能力を、スペクトロメーターを用いて測定した。
フィルムの吸光度測定は、各フィルムで最も測定に適した波長で行った。すなわち、PHAフィルム(実施例):500nm、市販の皮脂吸着用フィルム(ポリプロピレンベース)(比
較例)Product A:550nm、市販の皮脂吸着用フィルム(ポリウレタンベース、銀含有)(比較例)Product B:600nm、市販の皮脂吸着用フィルム(和紙)(比較例)Product C:400nmで行った。
1.フィルムをスペクトロメーターに設置し、適当な測定波長で測定した。初期ODを記録した。
2.油分吸着能の測定及び油分保持能の測定と同様の操作を行った後、再度フィルムをスペクトロメーターに設置し、測定した。透明性変化率(%)の計算式は以下のとおりである。
P(3HB-co-3HHx)フィルムの測定結果を表2に示す。
P(3HB-co-3HV) フィルムの測定結果を表3に示す。
P(3HB) フィルムの測定結果を表4に示す。
Product A(比較例)の測定結果を表5に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、P(3HB-co-3HV) フィルム、P(3HB) フィルム及びProduct A(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表6及び図1に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、Product A(比較例)、Product B(比較例)及びProduct C(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表7及び図2に示す。
P(3HB-co-3HV) フィルムの測定結果を表3に示す。
P(3HB) フィルムの測定結果を表4に示す。
Product A(比較例)の測定結果を表5に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、P(3HB-co-3HV) フィルム、P(3HB) フィルム及びProduct A(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表6及び図1に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、Product A(比較例)、Product B(比較例)及びProduct C(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表7及び図2に示す。
結果から、本発明の皮脂吸着用フィルムは、従来製品と同等又はそれ以上の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率を有していることがわかる。
[実施例3]フィルムの洗浄処理による性能への影響の評価
実施例1において作製したPHAフィルムをオイルにつけ、実施例2と同様の操作で1回目の実験(性能評価)を行う。その後、市販の油落とし(液体)につけ、一晩撹拌しながらフィルムから油を落とす。その後、乾燥させ、1回目と同様の実験を行う。下記表8〜11における各フィルムの番号は、7枚の別個のフィルムの番号である(1枚のフィルムにおいて7回この操作を繰り返した結果ではない。)
実施例1において作製したPHAフィルムをオイルにつけ、実施例2と同様の操作で1回目の実験(性能評価)を行う。その後、市販の油落とし(液体)につけ、一晩撹拌しながらフィルムから油を落とす。その後、乾燥させ、1回目と同様の実験を行う。下記表8〜11における各フィルムの番号は、7枚の別個のフィルムの番号である(1枚のフィルムにおいて7回この操作を繰り返した結果ではない。)
P(3HB-co-3HHx)フィルムの測定結果を表8に示す。
P(3HB-co-3HV) フィルムの測定結果を表9に示す。
P(3HB) フィルムの測定結果を表10に示す。
Product A(比較例)の測定結果を表11に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、P(3HB-co-3HV) フィルム、P(3HB) フィルム及びProduct A(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表12及び図3に示す。
P(3HB-co-3HV) フィルムの測定結果を表9に示す。
P(3HB) フィルムの測定結果を表10に示す。
Product A(比較例)の測定結果を表11に示す。
P(3HB-co-3HHx)フィルム、P(3HB-co-3HV) フィルム、P(3HB) フィルム及びProduct A(比較例)の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率の比較(平均値での比較)結果を表12及び図3に示す。
結果から、本発明の皮脂吸着用フィルムは、従来製品と同等又はそれ以上の油分吸着能、油分保持能、及び透明性変化率を有していることがわかる。
[実施例5]皮脂吸着用フィルムの厚みの評価
実施例1において作製した皮脂吸着用フィルムのうち、任意の16枚を取り、厚さをMitsutoyoの厚さ計により計測した。
Product A及びProduct Cについても、任意の16枚の厚さを計測した。結果を表13及び図4に示す。
実施例1において作製した皮脂吸着用フィルムのうち、任意の16枚を取り、厚さをMitsutoyoの厚さ計により計測した。
Product A及びProduct Cについても、任意の16枚の厚さを計測した。結果を表13及び図4に示す。
結果から、本発明の皮脂吸着用フィルムは、厚さが薄く均一であり、油分吸着能に優れていることがわかる。
本発明により、糖や植物油から微生物により合成される生分解性を有する脂肪族ポリエステル単独材料からの吸油用フィルムが得られる。例えば、皮脂吸着用フィルムの場合、従来のブレンド材料のものや植物繊維を用いた抄紙とは異なり、製造工程も容易で、非常に簡便に皮脂吸着用フィルムを作製できる点でも効果的である。
さらに、環境中に投棄されるごみになった場合においても、環境中の微生物により非常に速やかに分解されるため、環境問題に貢献できる。特に、ポリ乳酸が自然環境中では分解されないのに対し、本フィルムは自然環境中で数ヶ月以内に分解される点が、従来製品と大きく異なる。トイレに流しても問題ないなど使用後の処理も簡単である。
Claims (10)
- ポリヒドロキシアルカン酸を含む生分解性吸油用フィルム。
- ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシバレリル酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、及び3−ヒドロキシドデカン酸から選択される1種又は2種以上からなる、請求項1に記載の生分解性吸油用フィルム。
- さらに石油系プラスチックを含む、請求項1又は2に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 生分解性吸油用フィルムがソルベントキャスティング法、溶融−結晶化法、スピンキャスティング法、又はエレクトロスピニング法により成形されたものである、請求項1〜3の何れか1項に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 化粧料である、請求項1〜4の何れか1項に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 化粧料がスキンケア化粧料である、請求項5に記載の生分解性吸油用フィルム。
- スキンケア化粧料が皮脂吸着用フィルムである、請求項6に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 化粧料が皮膚洗浄用化粧料である、請求項5に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 皮膚洗浄用化粧料がクレンジング剤である、請求項8に記載の生分解性吸油用フィルム。
- 清掃用品である、請求項1〜4の何れか1項に記載の生分解性吸油用フィルム。
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