JP4442065B2 - 有機絶縁膜用材料及び有機絶縁膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気特性、熱特性、機械特性及び物理特性に優れ、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に適した、有機絶縁膜材料及び有機絶縁膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用の層間絶縁膜としては、現在、CVD法(化学蒸着法)等で作製した酸化膜(二酸化シリコン等)の無機材料が主に使用されている。しかしながら、酸化膜等の無機絶縁膜は誘電率が高く、半導体の高速化、高性能化のため、低誘電率絶縁膜の1候補として、有機材料の適用が検討されている。半導体用途の有機材料としては、電気特性、機械的特性、物理特性などに優れた耐熱性樹脂が提案されている。
【0003】
半導体用途の有機材料としては、耐熱性、電気特性、機械的特性などに優れたポリイミド樹脂が用いられている。近年、半導体の高速化、高機能化、高性能化にともない、さらに、耐熱性、電気特性、吸湿性、熱膨張係数等の著しい向上の要求があり、さらに高性能な樹脂が必要とされるようになっている。
【0004】
このような事から、ポリイミド樹脂に比べて、電気特性、耐吸水性に関して優れた性能を示すポリベンゾオキサゾール樹脂を、半導体用途の絶縁材料に適用することが試みられている。ポリベンゾオキサゾール樹脂は、電気特性、熱特性、物理特性のいずれかの特性のみを満足することは容易であり、例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸からなるポリベンゾオキサゾール樹脂や、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとテレフタル酸からなるポリベンゾオキサゾール樹脂等がある。しかしながら、近年のさらなる低誘電率化の要求は厳しく、有機樹脂等の高密度膜では要求される誘電率を満足することが難しくなってきている。そのため、酸化膜等の無機膜の膜中に孔を開けることにより、絶縁膜としての誘電率を大幅に低減させる方法が行われているが、要求に対応するものが得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半導体用途において、電気特性、熱特性及び物理特性にすべてに優れ、特に誘電率が極めて低い耐熱性の有機絶縁膜用材料及び有機絶縁膜を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来の問題点を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物と、該化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)とを反応させて枝分かれ構造とした化合物と、一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物とを反応させ、さらに一般式(6)で表されるアセチレン含有カルボン酸とを反応させることにより合成された一般式(8)で表される構造を主構造とする重合体からなる有機絶縁膜用材料と、これを用いた一般式(9)で表される構造を主構造とするポリベンゾオキサゾール樹脂層からなることを特徴とする有機絶縁膜が、高耐熱性を有し、又、低密度化されることで、高誘電率特性が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
【化13】
式(1)中、Xは式(2)より選ばれる構造を示す。
【0008】
【化14】
式(2)中、X1は式(3)より選ばれる構造を示し、これらの構造中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。
【0009】
【化15】
【0010】
【化16】
式(4)中、Yは式(5)より選ばれる構造を示す。
【0011】
【化17】
式(5)中、X1は式(3)より選ばれる構造を示す。
【0012】
【化18】
式(6)中、Zは式(7)より選ばれる構造を示す。
【0013】
【化19】
【0014】
【化20】
但し、一般式(8)中のnは2〜1000までの整数を示す。Xは(2)より、及びYは式(5)よりそれぞれ選ばれる構造を示す。
【0015】
【化21】
但し、一般式(9)中のnは2〜1000までの整数を示す。Xは(2)より、及びYは式(5)よりそれぞれ選ばれる構造を示す。
【0016】
すなわち、本発明は、(a)〜(e)項に記載の通りである。
【0017】
(a) 一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物と、該化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)とを反応させ、続けて一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物とを反応させた後、一般式(6)で表されるカルボン酸化合物と反応させることにより得られる、一般式(8)で表されるポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を主構造とする重合体からなることからなることを特徴とする有機絶縁膜材料。
【0018】
(b) 一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(M)と、一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物(N)とが、反応モル比(N/M)を、0.5から0.99の範囲で反応させたことを特徴とする前記(a)項に記載の有機絶縁膜用材料。
【0019】
(c) 一般式(6)で表されるカルボン酸化合物(L)と、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(M)とが、反応モル比(L/2M)を、0.01から0.5の範囲で反応させたことを特徴とする前記(a)又は(b)項に記載の有機絶縁膜用材料。
【0020】
(d) ジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しているd価の有機基を有する化合物のモル数が、[[(M−N)x2−L]/d]モルであることを特徴とする前記(a)〜(c)項のいずれかに記載の有機絶縁膜用材料。(但し、Mはジアミノフェノール化合物の反応モル数を、Nはジカルボン酸の反応モル数を、Lはカルボン酸の反応モル数を示す。)
【0021】
(e) 前記(a)〜(d)項のいずれかに記載の有機絶縁膜用材料を用いて得られた有機絶縁膜であって、縮合反応及び架橋反応を経て調整された一般式(9)で表されるポリベンゾオキサゾール樹脂を主構造とする樹脂層からなることを特徴とする有機絶縁膜。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の有機絶縁膜材料は、一般式(1)の構造を有するジアミノフェノール化合物と、該化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)、一般式(4)の構造を有するジカルボン酸化合物と、および一般式(6)の構造を有するアセチレン含有カルボン酸化合物とから、従来の酸クロリド法、活性エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応により得ることができる。
【0023】
本発明の有機絶縁膜材料は、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(Mモル)と一般式(4)で表されるジカルボン酸(Nモル)との反応モル比(N/M)が、0.5から0.99の範囲で合成される枝分かれ構造を有する重合体からなることが好ましい。モル比(N/M)が0.99よりも大きいと、ジアミノフェノール化合物と該化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)との反応物の樹脂中における含有率が低くなり、この場合、有機絶縁膜において、密度の低下および誘電率の低下が発現しなくなる恐れがある。モル比(N/M)が0.5よりも小さいと、得られる重合体の分子量が上がらず、未反応のジアミノフェノール化合物が残存し、有機絶縁膜の成膜において問題が生じる場合があるか、或いは脆い有機絶縁膜になってしまう恐れがある。
【0024】
本発明に用いる一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物のモル数は、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(Mモル)と一般式(4)で表されるジカルボン酸(Nモル)の反応モル比(N/M)と一般式(6)であらわされるカルボン酸(Lモル)に対して、[[(M−N)x2−L]/d] モルであることが好ましい。d価の有機基を有する化合物のモル数が [[(M−N)x2−L]/d] モルよりも少ないと、アミノ基と反応するd価の有機基を有する化合物の導入量が少なくなり、この場合、得られる化合物において、未反応のアミノ基が残存することにより誘電率の低下が発現しなくなる恐れがある。d価の有機基を有する化合物のモル数が [[(M−N)x2−L]/d] よりも多いと、前駆体の架橋反応が進行することがあり、その際、溶剤不溶となり、均一なワニスが得られず絶縁膜形成において影響を及ぼす恐れがある。
【0025】
本発明に用いる一般式(6)で表されるカルボン酸(Lモル)は、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(Mモル)に対して、反応モル比(L/2M)の値が0.01から0.5の範囲であることが好ましい。(L/2M)の値が0.01よりも少ないと、アセチレン基の架橋反応が十分進行しないため高耐熱化の効果が得られなくなる恐れがある。また、(L/2M)の値が0.5よりも大きい場合には、得られる重合体の分子量が上がらず、未反応のジアミノフェノール化合物が残存し、有機絶縁膜の成膜において問題が生じるか、或いは脆い有機絶縁膜になる恐れがある。
【0026】
本発明に用いる一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物としては、例えば2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルスルフォン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス−{4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル}−フルオレン、9,9−ビス−{4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル}−フルオレン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−2,2'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−2,2'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニルなどを挙げることができるが、必ずしもこれらに限られるものではない。また、これら2種以上のジアミノフェノール化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0027】
本発明に用いる一般式(4)で表されるジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−スルホニルベンゼンジカルボン酸、ビフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸、4,4'−イソプロピリデンビフェニルジカルボン酸、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸、4,4'−ビス{2,2'−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸などが挙げられるが、必ずしもこれらに限られるものではない。また、これら2種以上のジカルボン酸を組み合わせて使用することも可能である。
【0028】
本発明で用いる一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)は、一般的な方法でクロリド化した化合物または活性エステル化した化合物を用いるのが好ましいが、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物のアミノ基に反応するものであれば良い。例えば、該化合物が、トリメシン酸、トリメリック酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、5,5’−ビスイソフタル酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビフェニルエーテル−3,3’,5,5’−テトラカルボン酸、ビフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−(1,1’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニル)テトラカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサカルボン酸などの酸クロリド化合物や活性エステル化合物等が挙げられる。中でも、トリメシン酸、トリメリック酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、5,5’−ビスイソフタル酸が、好ましい。これらは、2種以上同時に使用してもかまわない。
【0029】
本発明で用いる一般式(6)で表されるカルボン酸化合物は、アセチレン含有カルボン酸であり、例えば2−エチニル安息香酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、1,3−ジエチニル安息香酸、2,4−ジエチニル安息香酸、1,3,5−トリエチニル安息香酸、2−エチニル−1−ナフトエ酸、3−エチニル−1−ナフトエ酸、4−エチニル−1−ナフトエ酸、5−エチニル−1−ナフトエ酸、6−エチニル−1−ナフトエ酸、7−エチニル−1−ナフトエ酸、8−エチニル−1−ナフトエ酸、2−エチニル−2−ナフトエ酸、3−エチニル−2−ナフトエ酸、4−エチニル−2−ナフトエ酸、5−エチニル−2−ナフトエ酸、6−エチニル−2−ナフトエ酸、7−エチニル−2−ナフトエ酸、8−エチニル−2−ナフトエ酸、3,5−ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,6−ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,7−ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,8−ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,5−ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,6−ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,7−ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,8−ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,5−ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,6−ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,7−ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,8−ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,5−ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,6−ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,7−ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,8−ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,5,6−トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,5,7−トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,5,8−トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,6,7−トリエチニル−1−ナフトエ酸、4,5,7−トリエチニル−2−ナフトエ酸、4,5,8−トリエチニル−2−ナフトエ酸、4,6,8−トリエチニル−2−ナフトエ酸、2−エチニルシクロペンタンカルボン酸、3−エチニルシクロペンタンカルボン酸、2−エチニルシクロヘキサンカルボン酸、3−エチニルシクロヘキサンカルボン酸、4−シクロヘキシニルカルボン酸、2,4−ジエチニルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジエチニルシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら2種類以上のアセチレン含有カルボン酸を組み合わせて使用することも可能である。
【0030】
本発明の有機絶縁膜材料の製造は、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物とd価(dは3以上10以下)の有機基を有する化合物との反応により得られた化合物と、一般式(4)で表されるジカルボン酸、一般式(6)で表されるカルボン酸との反応により行われるが、前記ジアミノフェノール化合物と、一般式(4)で表されるジカルボン酸とを、活性エステル法により反応させて、有機絶縁膜材料を合成する場合は、d価(dは3価以上10以下)の有機基を有する化合物の活性エステル化合物およびカルボン酸の活性エステル化合物と、酸クロリド法により前駆体を合成する場合は、d価(dは3価以上10以下)の有機基を有する化合物の活性エステル化合物およびカルボン酸の酸クロリド化合物と、該アミノフェノール化合物のアミノ基とを反応させることで、枝分かれ構造を有する重合体からなる絶縁膜用樹脂を得ることができる。
【0031】
本発明の有機絶縁膜材料の製造方法の中で、例えば、酸クロリド法では、使用する酸クロリドは、まず、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下で、一般式(4)で表されるジカルボン酸、例えば、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残渣をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸クロリドを得ることができる。また、トリメシン酸等の一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物や、4−エチニル安息香酸等の一般式(6)で表されるカルボン酸についても、同様にして、それぞれトリメシン酸クロリド、4−エチニル安息香酸クロリド等のクロリド化合物として得ることができる。このようにして製造した酸クロリドの内、まず、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物のクロリド化合物を、ビスアミノフェノール化合物と共に、通常N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で室温ないし−30℃で反応させ、次いで、一般式(4)で表されるジカルボン酸のクロリド化合物を反応させ、更に、一般式(6)で表されるカルボン酸のクロリド化合物を加えて反応させることにより、一般式(8)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体を主構造とする重合体からなる有機絶縁膜材料を得ることができる。
【0032】
また、ジアミノフェノール化合物と、前記酸クロリド化合物の代わりに、d価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)の活性エステル化合物を反応させ、続けて一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物と一般式(6)で表されるカルボン酸の活性エステル化合物と反応させることによっても、有機絶縁膜材料を得ることができる。
【0033】
本発明の有機絶縁膜材料は、通常、これを溶剤に溶解し、ワニス状にして使用するのが好ましい。溶剤としては、 N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0034】
本発明の有機絶縁膜材料には、必要により、各種添加剤として、界面活性剤やカップリング剤等を添加し、半導体用層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として用いることができる。
【0035】
本発明の有機絶縁膜の製造方法としては、まず、本発明の有機絶縁膜材料を、上記溶剤に溶解してワニスとして、適当な支持体、例えば、ガラス、金属、シリコーンウエハーやセラミック基盤等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。このようにして、塗膜を形成した後、加熱処理をして、縮合反応させてポリベンゾオキサゾール樹脂に変換すると共に、架橋反応させて、一般式(9)で表される構造を主構造とする樹脂層からなる有機絶縁膜を得るのが好ましい。
【0036】
本発明の有機絶縁膜材料は、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、感光性樹脂組成物として用いることが可能である。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例の内容になんら限定されるものではない。実施例及び比較例で作成したフィルムを用いて、特性評価のため、誘電率、耐熱性、および密度を測定した。各特性の測定条件は次のとおりとし、その測定結果は表1にまとめて示した。以下、部は重量部を示す。
【0038】
誘電率:測定周波数1MHzでヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて測定を行った。
耐熱性:セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220を用いて、窒素ガスフロー下、昇温速度10℃/分の条件により、重量減少5%の時の温度を測定した。
密度:水―よう化ナトリウムによる勾配液を23℃で1.38から1.48の間で調整し、(株)柴山科学機械製作所製密度勾配式比重測定装置B型を用いて測定を行った。
【0039】
「実施例1」
2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3.66部(10mmol)を、乾燥窒素雰囲気下で、乾燥した10部のN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、5℃で、10部のγ−ブチロラクトンに、トリメシン酸トリクロリド0.080部(0.30mmol)を溶解したものを、30分かけて滴下した。続いて、室温まで戻し、室温で1時間攪拌した。その後、5℃で、40部のγ−ブチロラクトンに、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸ジクロリド4.08部(9.50mmol)を溶解したものを、30分かけて滴下し、続いて4−エチニル安息香酸クロリド0.016部(0.1mmol)をγ−ブチロラクトン5mLに溶解したものを滴下し、1時間攪拌した。続いて、室温まで戻し、室温で1時間攪拌した。その後、5℃で、10部のγ−ブチロラクトンに、ピリジン1.58部を溶解したものを、30分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で3時間攪拌して反応させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体を東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)を求めたところ、7.0x103、重量平均分子量(Mw)が1.36x105であった。
【0040】
このポリベンゾオキサゾール前駆体10gを、N−メチル−2−ピロリドンに溶解して20%の溶液とし、孔径0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過し、ワニスを得た。このワニスを、スピンコーターを用いてシリコンウエハー上に塗布した。塗布後、100℃のホットプレート上で、240秒乾燥した後、窒素を流入して、酸素濃度を100ppm以下に制御したオーブンを用いて、150℃/30分、250℃/30分、350℃/30分の順で加熱し、絶縁膜用樹脂フィルムを得た。得られたフィルムを用いて、各種特性の評価を行った。
【0041】
「実施例2」
実施例1において、4−エチニル安息香酸クロリド0.016部(0.1mmol)を6−エチニル−2−ナフトエ酸クロリド0.021部(0.1mmol)とする以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の合成を行った。GPCにより分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でMnが7.0x103、Mwが1.37x105であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った。
【0042】
「実施例3」
実施例1において、トリメシン酸トリクロリド0.080部(0.30mmol)を0.159部(0.60mmol)とし、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸ジクロリド4.08部(9.50mmol)を3.86部(9.00mmol)とし、4−エチニル安息香酸クロリド0.016部(0.10mmol)を0.033部(0.20mmol)とする以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の合成を行った。GPCにより分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でMnが6.7x103、Mwが9.8x104であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った
【0043】
「実施例4」
実施例1において、トリメシン酸トリクロリド0.080部(0.30mmol)を0.159部とし、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸ジクロリド4.08部(9.50mmol)を3.86部(9.00mmol)とし、4−エチニル安息香酸クロリド0.016部(0.10mmol)を3−エチニル安息香酸クロリド0.033部(0.20mmol)とする以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の合成を行った。GPCにより分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でMnが6.7x103、Mwが9.5x104であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った。
【0044】
「比較例1」
撹拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコ中、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン14.65部(40mmol)を、乾燥したジメチルアセトアミド200部に溶解し、ピリジン7.92部(200mmol)を添加後、乾燥窒素導入下、−15℃で、ジメチルアセトアミド100gに、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸ジクロリド16.92g(40mmol)を溶解したものを、30分かけて滴下し、沈殿物を回収し、乾燥して、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の粉末を得た。GPCにより、前記絶縁膜材料の分子量を測定したところ、スチレン換算でMnが3.8x104、Mwが8.03x104であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った。
【0045】
「比較例2」
2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3.66部(10.00mmol)を、乾燥窒素雰囲気下で、乾燥した10部のN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、5℃で、40部のγ−ブチロラクトンに、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンビフェニルジカルボン酸ジクロリド4.08部(9.50mmol)を溶解したものを、30分かけて滴下した。続いて、室温まで戻し、室温で1時間攪拌した。その後、5℃で、10部のγ−ブチロラクトンに、ピリジン1.58部を溶解したものを、30分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で3時間攪拌して、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。その後、5℃で、10部のγ−ブチロラクトンに、トリメシン酸トリクロリド0.080部(0.30mmol)を溶解したものを、滴下して反応したところ、分子量が急激に増大し、反応溶液はゲル化した。
【0046】
「比較例3」
実施例1のポリベンゾオキサゾール前駆体の合成において、4−エチニル安息香酸クロリド0.016部(0.1mmol)を添加しない以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の合成を行った。GPCにより分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でMnが7.0x103、Mwが1.35x105であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った。
【0047】
「比較例4」
実施例1のポリベンゾオキサゾール前駆体の合成において、トリメシン酸クロリド0.080部(0.030mmol)を添加しない以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(有機絶縁膜材料)の合成を行った。GPCにより分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でMnが9.8x103、Mwが1.3x105であった。その後、実施例1と同様にして、ワニスを得た。ここで得たワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜用樹脂フィルムを作製し、評価を行った。
【0048】
【表1】
尚、密度低下率は、それぞれ得られたフィルムの密度から、d価の有機基を有する化合物と一般式(6)で表されるカルボン酸化合物とを用いずに合成した比較例1のポリベンゾオキサゾール樹脂からなるフィルムの密度を基準として、算出した。
【0049】
表1にまとめられた結果から明らかなように、本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体を用いて作製した、実施例のポリベンゾオキサゾール樹脂は、いずれも誘電率が2.43〜2.5と低く、さらに耐熱性が高いという良好な特性を示した。これに対して、比較例では、枝分かれ構造を有したポリベンゾオキサゾール樹脂ではあるものの、比較例1、3においては、アセチレンによる架橋がないため、実施例に比べて高い耐熱性が得られなかった。また、比較例1、4においては、枝分かれ構造を有していないため、実施例に比べて誘電率が高く2.6を下回る値は得られなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、電気特性、熱特性、機械特性及び物理特性に優れた有機絶縁膜用材料及び有機絶縁膜を得ることができる。従って、本発明の有機絶縁膜用材料は、電気特性、熱特性、機械特性及び物理特性が要求される様々な分野、例えば半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜などとして適用できる。
Claims (5)
- 一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物と、該化合物のアミノ基と反応しうるd価の有機基を有する化合物(dは3以上10以下)とを反応させた後、続けて一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物と反応させ、さらに一般式(6)で表されるカルボン酸化合物と反応させることにより得られる、一般式(8)で表されるポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を主構造とする重合体からなることを特徴とする有機絶縁膜用材料。
(式(1)中、Xは式(2)より選ばれる構造を示す。)
(式(2)中、X1は式(3)より選ばれる構造を示し、これらの構造中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。)
(式(4)中、Yは式(5)より選ばれる構造を示す。)
(式(5)中、X1は式(3)より選ばれる構造を示す。)
(式(6)中、Zは式(7)より選ばれる構造を示す。)
但し、一般式(8)中のnは2〜1000までの整数を示す。Xは(2)より、及びYは式(5)よりそれぞれ選ばれる構造を示す。 - 一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(M)と、一般式(4)で表されるジカルボン酸化合物(N)とが、反応モル比(N/M)を、0.5から0.99の範囲で反応させたことを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜用材料。
- 一般式(6)で表されるカルボン酸化合物(L)と、一般式(1)で表されるジアミノフェノール化合物(M)とが、反応モル比(L/2M)を、0.01から0.5の範囲で反応させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機絶縁膜用材料。
- ジアミノフェノール化合物のアミノ基と反応しているd価の有機基を有する化合物のモル数が、[[(M−N)x2−L]/d]モルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機絶縁膜用材料。(但し、Mはジアミノフェノール化合物の反応モル数を、Nはジカルボン酸の反応モル数を、Lはカルボン酸の反応モル数を示す。)
- 請求項1〜4のいずれかに記載の有機絶縁膜用材料を用いて得られた有機絶縁膜であって、縮合反応及び架橋反応を経て調整された一般式(9)で表されるポリベンゾオキサゾール樹脂を主構造とする樹脂層からなることを特徴とする有機絶縁膜。
但し、一般式(9)中のnは2〜1000までの整数を示す。Xは式(2)より、およびYは式(5)よりそれぞれ選ばれる構造を示す。
(式(2)および(5)中、X1は式(3)より選ばれる構造を示し、これらの構造中のベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、およびトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。)
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