JP2017003048A - 車両用モータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 部品点数の低減を図って、平行軸歯車減速機を構成する歯車を簡単かつ容易に組み付ける。【解決手段】 モータ部Aと、第1〜第4歯車30〜33からなる平行軸歯車減速機39で構成された減速機部Bと、モータ部Aおよび減速機部Bを収容したケーシング22とを備え、平行軸歯車減速機39の第1〜第4歯車30〜33をケーシング22に対して転がり軸受40,42〜46により回転自在に支持したインホイールモータ駆動装置であって、平行軸歯車減速機39を構成する第1〜第4歯車30〜33のうち、出力歯車である第4歯車33は、転がり軸受45,46と一体構造をなす。【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、電動モータの回転駆動力を減速機部に入力し回転数を減速して車輪側に伝達する車両用モータ駆動装置に関する。
従来の車両用モータ駆動装置として、例えば、特許文献1に開示されたインホイールモータ駆動装置がある。この特許文献1のインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する平行軸歯車減速機と、その平行軸歯車減速機からの出力を車輪に伝達する車輪ハブとで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータと平行軸歯車減速機との間に中間プレートを設け、その中間プレートのインボード側に、電動モータを収容するモータハウジングを設けると共に、中間プレートのアウトボード側に、平行軸歯車減速機を収容するギヤハウジングを設けた構造を具備する。
電動モータは、モータハウジングに固定されたステータと、そのステータの内側でモータハウジングに回転自在に支持されたロータ軸とで構成されている。また、平行軸歯車減速機は、電動モータのロータ軸に同軸的に連結されたモータ入力歯車と、中間プレートおよびギヤハウジングに回転自在に支持されてモータ入力歯車と噛合する第1カウンタ歯車と、第1カウンタ歯車と同軸的に支持された第2カウンタ歯車と、車輪ハブの車軸に設けられて第2カウンタ歯車と噛合する出力歯車とで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置の平行軸歯車減速機を構成する歯車、例えば、第1カウンタ歯車および第2カウンタ歯車は、中間プレートおよびギヤハウジングに対して転がり軸受により回転自在に支持されている。この平行軸歯車減速機の構造によっては、第1カウンタ歯車および第2カウンタ歯車以外のモータ入力歯車や出力歯車についても、中間プレートおよびギヤハウジングに対して転がり軸受により回転自在に支持された構造のものがある。
ところで、特許文献1で開示されたインホイールモータ駆動装置は、前述したように、モータ入力歯車、第1カウンタ歯車、第2カウンタ歯車および出力歯車からなる複数の歯車で構成された平行軸歯車減速機を具備する。これらの歯車は、中間プレートおよびギヤハウジングに対して軸受により回転自在に支持された状態に組み付けられている。
このような平行軸歯車減速機では、歯車を中間プレートおよびギヤハウジングに組み付けるに際して、歯車の軸部に軸受の内輪を圧入し、中間プレートおよびギヤハウジングに軸受の外輪を取り付けることになる。この時、深溝玉軸受のように、内輪あるいは外輪の軌道面と転動体との間に隙間を設けている軸受では、組み付け時に各々の嵌合部寸法を測定した上で、軸受内部に適度な予圧を付与したり、あるいはガタを無くすことを目的として、シムによる軸方向の調整を行うようにしている。
しかしながら、歯車の中間プレートおよびギヤハウジングへの組み付けでは、軸受を組み付けるまでの測定工数や、各種の軸受部品に合わせるための種々のシムが必要となって、製品のコストアップを招くことになる。また、部品点数が多いために公差の総和が大きくなり、装置の設計が煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、部品点数の低減を図って、平行軸歯車減速機を構成する歯車を簡単かつ容易に組み付け得る車両用モータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータ部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、モータ部および減速機部を収容したケーシングとを備え、平行軸歯車減速機の各歯車をケーシングに対して軸受により回転自在に支持した車両用モータ駆動装置であって、平行軸歯車減速機を構成する複数の歯車のうち、少なくとも一つの歯車は、軸受と一体構造をなすことを特徴とする。
本発明の車両用モータ駆動装置では、平行軸歯車減速機を構成する複数の歯車のうち、少なくとも一つの歯車が軸受と一体構造をなすことから、部品点数の低減が図れるので、公差の総和を小さくすることができ、装置の設計が簡易となる。また、軸受を組み付けるまでの測定やシムの選定が不要となるので、歯車を簡単かつ容易に組み付けることができる。
本発明において、歯車と一体構造をなす軸受は、歯車の軸部の外周面に形成された内側軌道面と、ケーシングに固定された外輪の内周面に形成された外側軌道面と、軸部の内側軌道面と外輪の外側軌道面との間に介在する転動体とで主要部が構成されていることが望ましい。このようにすれば、歯車と軸受との一体構造を容易に実現することができる。
本発明において、歯車と一体構造をなす軸受は、歯車の軸端部の加締め、あるいは、歯車の軸端部でのナット締めにより予圧が付与されている複列のアンギュラ玉軸受構造を具備することが望ましい。このようなアンギュラ玉軸受構造を採用すれば、軸受の支持剛性を上げることができ、異音および振動の発生を抑制することができる。
本発明において、軸受と一体構造をなす歯車は、平行軸歯車減速機の減速機出力軸と同軸的に連結された出力歯車であり、出力歯車の両側部のうち、少なくとも一方の側部に形成された環状凹部に軸受を収容して組み付けることが望ましい。このように、軸受を出力歯車の環状凹部に収容することで、歯車および軸受の組み付け構造において軸方向幅を小さくすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
本発明によれば、平行軸歯車減速機を構成する複数の歯車のうち、少なくとも一つの歯車が軸受と一体構造をなすことから、部品点数の低減が図れるので、公差の総和を小さくすることができ、装置の設計が簡易となる。また、軸受を組み付けるまでの測定やシムの選定が不要となるので、歯車を簡単かつ容易に組み付けることができる。その結果、平行軸歯車減速機の組み付け性の向上が図れ、低コストの車両用モータ駆動装置を容易に実現することができる。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。図9は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図10は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図9に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図10に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
懸架装置16は、左右に延びるサスペンションアームにより後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットにより、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時などの車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられている。懸架装置16は、路面の凹凸に対する追従性を向上させ、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させる独立懸架式としている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
そこで、図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現し、ばね下重量を抑えることで、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前にインホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)と称し、中央寄りとなる側をインボード側(図面右側)と称する。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bからの出力を駆動輪としての後輪14(図9および図10参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備えている。モータ部Aと減速機部Bはケーシング22に収容されて、電気自動車11のホイールハウジング15(図10参照)内に取り付けられる。ケーシング22は、モータ部Aのモータハウジングと減速機部Bのギヤハウジングとからなる分割可能な構造でボルトにより締結一体化されている。
モータ部Aは、ケーシング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は磁性体コアの外周にコイルを巻回することによって構成され、ロータ24は永久磁石または磁性体が内部に配置されている。
モータ回転軸25は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部27によりロータ24が保持されている。ホルダ部27は、ロータ24が嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸25は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受28に、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受29によって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速機部Bは、入力歯車である第1歯車30と、中間歯車である第2歯車31および第3歯車32と、出力歯車である第4歯車33とを有する。第1歯車30は、インボード側に延びる軸部34をモータ回転軸25にスプライン嵌合(セレーション嵌合を含む。以下、同じ)によって連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車31は、中間軸35に取り付け固定されている。第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成されている。第4歯車33は、その軸部36を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合によって連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
この減速機部Bは、第1歯車30と第2歯車31とが噛合し、第3歯車32と第4歯車33とが噛合することにより、モータ回転軸25の回転運動を2段に減速する平行軸歯車減速機39で構成されている。
第1歯車30の軸部34は、転がり軸受40によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31の軸部41は、転がり軸受42によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31が取り付け固定され、第3歯車32が一体的に形成された中間軸35は、転がり軸受43,44によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37が取り付け固定された第4歯車33は、転がり軸受45,46によりケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37のアウトボード側軸部47は、車輪用軸受部Cのハブ輪49にスプライン嵌合によって連結され、減速機部Bの出力を後輪14(図9および図10参照)に伝達する。
第1歯車30〜第4歯車33および各歯車の回転軸を図2に基づいて説明する。図2は、図1の平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30〜第4歯車33のみをアウトボード側から見た概要図である。
第1歯車30は、モータ回転軸25(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C1を中心にして回転する。第2歯車31は、中間軸35(図1参照)に取り付け固定され、第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成され、その軸心C2を中心にして回転する。第4歯車33は、減速機出力軸37(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C3を中心にして回転する。なお、モータ回転軸25と減速機出力軸37は同軸上に配置されていることから、それぞれの軸心C1と軸心C3は一致している。
この実施形態では、モータ回転軸25、中間軸35および減速機出力軸37の各軸心C1,C2,C3が直線E−E上に配置され、減速機部Bの径方向のコンパクト化を図っている。ただし、各軸心C1,C2,C3の配置は、この実施形態のような配置に限らず、各歯車30〜33の噛合いを維持した状態で、ケーシング22のスペースなどを考慮して適宜ずらしてもよい。
ここで、平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30〜第4歯車33には、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、モジュールは1〜3程度が好ましい。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図10参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。平行軸歯車減速機39を電動モータ26と組み合わせることで電動モータ26の小型化を図ることができる。例えば、減速比11の平行軸歯車減速機39を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26を使用することにより電動モータ26を小型化することができる。この場合、ケーシング22のスペースなどを考慮すると、第1歯車30と第2歯車31からなる第1段の減速比は2〜4程度とし、第3歯車32と第4歯車33からなる第2段の減速比は3〜5程度とすることが好ましい。
車輪用軸受部Cは、図1に示すように、以下のような構造の車輪用軸受48で構成されている。車輪用軸受48は、減速機出力軸37にトルク伝達可能に連結されたハブ輪49と、ハブ輪49の外周に嵌合された内輪50と、ハブ輪49および内輪50の外側に配置された外輪51と、ハブ輪49および内輪50と外輪51との間に配置された複数の玉52と、複数の玉52を保持する保持器53とを備えた複列アンギュラ玉軸受である。車輪用軸受48の軸方向両端部には、泥水などの侵入防止およびグリースの漏洩防止のためにシール部材54が設けられている。
この車輪用軸受48は、減速機出力軸37のアウトボード側軸部47の端部に形成された雄ねじ部にナット55を螺合させることにより、平行軸歯車減速機39に締め付け固定されている。車輪用軸受48の外輪51は、ケーシング22に取り付け固定されている。車輪用軸受48の内輪50は、減速機出力軸37のフランジ部56に当接することにより抜け止めされている。車輪用軸受48のハブ輪49にハブボルト57で後輪14(図9および図10参照)が連結される。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
このインホイールモータ駆動装置21において、平行軸歯車減速機39を構成する複数の歯車のうち、少なくとも一つの歯車は軸受と一体構造をなす。この実施形態では、図1および図3に示すように、平行軸歯車減速機39を構成する第1〜第4歯車30〜33のうち、第4歯車33が転がり軸受45,46と一体構造をなす。なお、以下の実施形態では、第4歯車33および転がり軸受45,46について説明するが、本発明はこれに限定されることなく、他の第1〜第3歯車30〜32および転がり軸受40,42〜44についても適用可能である。
第4歯車33は、平行軸歯車減速機39において減速後に高トルクとなる出力歯車であることから、歯の強度を確保するために他の第1〜第3歯車30〜32よりも大径で軸方向幅が大きい歯車となっている。この第4歯車33は、減速機出力軸37のインボード側軸部38に嵌合する軸部36と、第3歯車32と噛合する歯部58と、軸部36と歯部58とを繋ぐ首部59とで構成されている。このように、軸部36と歯部58とを軸方向幅が小さい首部59で繋ぐことにより、軸部36と首部59と歯部58とで囲まれた空間を有する環状凹部60が第4歯車33の両側部に形成されている。
この第4歯車33の環状凹部60に転がり軸受45,46を収容して組み付けている。このように、転がり軸受45,46を第4歯車33の環状凹部60に収容することで、図4および図5に示すように、第4歯車33および転がり軸受45,46の組み付け構造において、軸方向幅を小さくすることができて転がり軸受45,46の軸方向外側への出っ張りを抑えることができ、インホイールモータ駆動装置21のコンパクト化を図ることができる。
第4歯車33と一体構造をなす転がり軸受45,46は、第4歯車33の軸部36、内輪61、外輪62、転動体63,64および保持器(図示せず)で構成されている。なお、第4歯車33のインボード側に位置する一方の転がり軸受45と、アウトボード側に位置する他方の転がり軸受46とは、対称配置された同一構造を有するものであるため、各構成部品については同一参照符号を付す。
図3に示すように、第4歯車33の軸部36は、その外周面に一方の内側軌道面65が形成されている。内輪61は、第4歯車33の軸部36の小径段部66に圧入されている。第4歯車33の軸部36の外周面に形成された一方の内側軌道面65と、内輪61の外周面に形成された他方の内側軌道面67とで複列の軌道面65,67を構成する。
この内輪61が圧入された軸部36の小径段部66の端部を揺動加締めにより外側に加締め、その加締め部68でもって内輪61を抜け止めして軸部36と一体化し、転がり軸受45,46に予圧を付与している。外輪62は、ケーシング22に固定されている。外輪62の内周面に軸部36および内輪61の内側軌道面65,67と対向する複列の外側軌道面69,70が形成されている。
前述の軸部36、内輪61および外輪62を備えた転がり軸受45,46は、軸部36および内輪61の外周面に形成された内側軌道面65,67と外輪62の内周面に形成された外側軌道面69,70との間に転動体63,64を介在させ、各列の転動体63,64を保持器(図示せず)により円周方向等間隔に支持した複列のアンギュラ玉軸受構造を有する。
このように、予圧が付与されたアンギュラ玉軸受構造を採用することにより、転がり軸受45,46の支持剛性を上げることができ、異音および振動の発生を抑制することができる。なお、この実施形態では、複列のアンギュラ玉軸受構造について説明するが、本発明はこれに限定されることなく、単列のアンギュラ玉軸受構造であってもよい。
このインホイールモータ駆動装置21では、平行軸歯車減速機39を構成する第1〜第4歯車30〜33のうち、第4歯車33が転がり軸受45,46と一体構造をなすことから、部品点数の低減が図れるので、公差の総和を小さくすることができ、インホイールモータ駆動装置21の設計が簡易となる。また、転がり軸受45,46を組み付けるまでの測定やシムの選定が不要となるので、第4歯車33を簡単かつ容易に組み付けることができる。
このように、転がり軸受45,46は、第4歯車33の軸部36および内輪61の内側軌道面65,67と、外輪62の内周面の外側軌道面69,70と、軸部36および内輪61の内側軌道面65,67と外輪62の外側軌道面69,70との間に介在する転動体63,64とで主要部が構成されている。これにより、第4歯車33と転がり軸受45,46との一体構造を容易に実現できる。また、平行軸歯車減速機39の組み付け性の向上が図れ、低コストのインホイールモータ駆動装置21を容易に実現できる。
以上の実施形態では、第4歯車33をインボード側の転がり軸受45およびアウトボード側の転がり軸受46の両方により支持する両持ち構造について説明したが、図6および図7に示すような構造であってもよい。なお、図6および図7において、図1および図3と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
つまり、第4歯車33の軸部36と減速機出力軸37のインボード側軸部38との嵌合構造での剛性を確保することができる場合には、図6および図7に示すように、第4歯車33をアウトボード側の転がり軸受46を省略してインボード側の転がり軸受45のみで支持する片持ち構造としてもよい。
また、図7に示す実施形態では、第4歯車33の軸部36の小径段部66に内輪61を圧入し、その小径段部66の端部を揺動加締めにより外側に加締め、その加締め部68でもって内輪61を抜け止めして軸部36と一体化した加締め構造の転がり軸受45について説明したが、図8に示すようなナット締め構造の転がり軸受45であってもよい。なお、図8において、図7と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
つまり、図8に示すように、第4歯車33の軸部36の小径段部66の外周面に雄ねじ部71を形成し、この雄ねじ部71にナット72を螺合させ、このナット72による締め付けでもって内輪61を抜け止めして軸部36と一体化し、転がり軸受45に予圧を付与するナット締め付け構造としてもよい。
なお、このナット締め付け構造は、第4歯車33をインボード側の転がり軸受45のみで支持する片持ち構造に適用した場合であるが、図3に示す構造、つまり、第4歯車33をインボード側の転がり軸受45およびアウトボード側の転がり軸受46の両方により支持する両持ち構造にも適用可能である。
最後に、この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1に示すように、モータ部Aにおいて、例えば、ステータ23に交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けてロータ24が回転する。これにより、減速機部Bにおいて、モータ回転軸25の回転が、平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30、第2歯車31、第3歯車32および第4歯車33によって減速され、減速機出力軸37を介して車輪用軸受部Cに伝達される。この時、モータ回転軸25の回転が減速機部Bによって減速されて減速機出力軸37に伝達されるので、モータ部Aにおいて、低トルク、高速回転型の電動モータ26を採用した場合でも、後輪14(図9および図10参照)に必要なトルクを伝達することが可能となる。
減速機部Bの減速比は、第1歯車30と第2歯車31の第1段で1/2.5、第3歯車32と第4歯車33の第2段で1/4.5とすれば、減速比は約1/11と大きな減速比を得ることができる。このように、大きな減速比を得ることができる平行軸歯車減速機39を採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、平行軸歯車減速機39は、はすば歯車を用いているので、製造が容易で、コストの低減が図れ、性能面でも、静粛かつ効率のよいインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
この実施形態では、モータ部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。
この実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから後輪14に伝達される。従って、前述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。また、モータ部Aに電力を供給してモータ部を駆動させ、モータ部Aからの動力を後輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、後輪14側からの動力を減速機部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電してもよい。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させることや、車両に備えられた他の電動機器などの作動に用いてもよい。
なお、以上の実施形態では、ホイールハウジング15(図10参照)の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けた車両用モータ駆動装置について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図11に示すオンボードタイプと呼ばれる車両用モータ駆動装置81にも適用可能である。なお、図11において、図1と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
このオンボードタイプの車両用モータ駆動装置81は、図11に示すように、左右のドライブシャフト82を介して後輪14を駆動する。車両用モータ駆動装置81は、平行軸歯車減速機39を有する減速部Bと、減速部Bを回転駆動するモータ部Aを備えている。この車両用モータ駆動装置81は左右にモータ部Aと減速部Bとをそれぞれ2個ずつ備えている。
2個のモータ部Aは、同軸に背中合わせで隣接して配設されている。また、減速部Bはモータ部Aと同軸に配設されている。ドライブシャフト82は、後輪14側の固定式等速自在継手83と減速機側の摺動式等速自在継手84と、両等速自在継手83,84間を連結する中間シャフト85を主な構成とする。減速機出力軸37は、摺動式等速自在継手84にスプライン嵌合によって連結され、減速部Bの出力を後輪14に伝達する。
以上の実施形態では、図9および図10に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
22 ケーシング
30〜33 歯車
36 軸部
39 平行軸歯車減速機
45,46 軸受
60 環状凹部
62 外輪
63,64 転動体
65,67 内側軌道面
68 加締め部
69,70 外側軌道面
72 ナット
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部
22 ケーシング
30〜33 歯車
36 軸部
39 平行軸歯車減速機
45,46 軸受
60 環状凹部
62 外輪
63,64 転動体
65,67 内側軌道面
68 加締め部
69,70 外側軌道面
72 ナット
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部
Claims (4)
- モータ部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速機部と、前記モータ部および減速機部を収容したケーシングとを備え、前記平行軸歯車減速機の各歯車をケーシングに対して軸受により回転自在に支持した車両用モータ駆動装置であって、
前記平行軸歯車減速機を構成する複数の歯車のうち、少なくとも一つの歯車は、前記軸受と一体構造をなすことを特徴とする車両用モータ駆動装置。 - 前記歯車と一体構造をなす軸受は、歯車の軸部の外周面に形成された内側軌道面と、前記ケーシングに固定された外輪の内周面に形成された外側軌道面と、前記軸部の内側軌道面と前記外輪の外側軌道面との間に介在する転動体とで主要部が構成されている請求項1に記載の車両用モータ駆動装置。
- 前記歯車と一体構造をなす軸受は、歯車の軸端部の加締め、あるいは、歯車の軸端部でのナット締めにより予圧が付与されている複列のアンギュラ玉軸受構造を具備した請求項1又は2に記載の車両用モータ駆動装置。
- 前記軸受と一体構造をなす歯車は、平行軸歯車減速機の減速機出力軸と同軸的に連結された出力歯車であり、前記出力歯車の両側部のうち、少なくとも一方の側部に形成された環状凹部に前記軸受を収容して組み付けた請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用モータ駆動装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015119128A JP2017003048A (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 車両用モータ駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015119128A JP2017003048A (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 車両用モータ駆動装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2017003048A true JP2017003048A (ja) | 2017-01-05 |
Family
ID=57752608
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2015119128A Pending JP2017003048A (ja) | 2015-06-12 | 2015-06-12 | 車両用モータ駆動装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2017003048A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2023008434A1 (ja) | 2021-07-30 | 2023-02-02 | 日本精工株式会社 | 変速機 |
-
2015
- 2015-06-12 JP JP2015119128A patent/JP2017003048A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2023008434A1 (ja) | 2021-07-30 | 2023-02-02 | 日本精工株式会社 | 変速機 |
| KR20240033274A (ko) | 2021-07-30 | 2024-03-12 | 닛본 세이고 가부시끼가이샤 | 변속기 |
| US12546362B2 (en) | 2021-07-30 | 2026-02-10 | Nsk Ltd. | Transmission |
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