JP2004057019A - 細胞培養用基材 - Google Patents

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Koichi Imura
井村 浩一
Yukifumi Imaizumi
今泉 幸文
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Abstract

【課題】基材全体において適度な密度での細胞培養が可能であり、生体内での細胞機能を生体外で発現させ、かつ、長期間維持することができる細胞培養用基材を提供する。
【解決手段】セラミックスを主成分とする基体表面に、細胞付着性部分と細胞非付着性部分とが区画形成されており、前記細胞付着性部分は、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライトおよび生体用ガラスから選ばれた少なくとも1種からなり、前記細胞非付着性部分は、ポリウレタン、ポリプロピレン、チタン、石英から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする細胞培養用基材を用いる。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養用基材に関し、より詳細には、生物学、医学、免疫学等の分野で用いられる細胞類の増殖、培養に好適に用いられる基材、特に、人工臓器等に用いられる機能性組織細胞の培養に好適な細胞培養用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の植物や動物の細胞が培養されており、その培養技術の開発も進められている。
近年、細胞培養技術は、植物細胞におけるカルス増殖技術をはじめとした農業分野に止まらず、生物学、医学、免疫学等の分野における利用を目的とした工業生産的観点からも重要な技術として注目されている。
特に、人工臓器等のバイオテクノロジー分野においては、生体の外部で培養した細胞により生体内の細胞がもつ機能を発現させ、かつ、それを長期間維持することができるものを大量に培養する技術の開発が強く求められている。
【0003】
ところで、細胞のうちの一部、特に、動物細胞の多くは、物質に付着して育成される接着依存性を有しており、一般に生体外の浮遊状態では長期間生存することができない。このため、このような接着依存性を有する細胞の培養には、細胞が付着するための足場、すなわち、細胞培養用基材が必要とされる。
【0004】
このような細胞培養用基材としては、各種のセラミックス材料、有機材料等からなる多孔体、中空子、粒状物等の様々な形態の担体が用いられている。
例えば、表面をコラーゲン等の細胞付着性を有するタンパク質で被覆した平板状の細胞培養用基材に、単層の細胞層を形成させる培養が従来から行われていた。また、ポリウレタン等の多孔体基材の気孔内部で、肝細胞を凝集塊として高密度で培養して人工肝臓とする3次元培養法の研究も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記細胞付着性を有するタンパク質で被覆された平板状の基材による培養においては、細胞自体は生存して増殖するが、その細胞機能を維持することができないという問題があった。
また、多孔体基材の気孔内に細胞の凝集塊を培養する方法の場合には、細胞の凝集塊同士がさらに凝集し、内部の細胞が短期間で死滅してしまうという課題を有していた。
【0006】
上記のような多孔体基材を用いる場合には、細胞は、基材の気孔内表面の化学的性質および微細形状から影響を受けることが知られている。
前記基材表面を構成する材質が、有機高分子等の有機質材料である場合は、例えば、発泡体のように、気孔径、気孔率等が大きいものであっても、形状および構造を比較的容易かつ自由に制御することができる。このため、薄くて軽い基材を形成することは容易であり、基材の表面構造を培養に好適な状態に形成することができる。
【0007】
しかしながら、前記有機質材料からなる基材は、人体に対して直接用いる場合等には、安全性および信頼性が必ずしも十分と言えるものではなかった。
さらに、培養する細胞の種類と有機質材料との組合せによっては、例えば、基材の疎水性が強すぎる場合には、細胞が基材表面に十分付着しない等の問題が生じ、用いられる有機質材料の種類が制限される場合が多かった。
【0008】
一方、無機質材料であるセラミックス等の場合には、人体に対して為害性がないと認められたものが多く、一部は細胞培養用基材として実用化されているものもある。
また、セラミックスは、ポリウレタン等に比べて、一般に、より親水性であるため、細胞が定着しやすいという利点も有している。
【0009】
しかしながら、セラミックスは、焼結体であるため、微細形状の制御が困難であり、特に、ポリウレタンフォームのような気孔率の高い多孔体を、セラミックスにより形成することは、非常に困難である。気孔径の大きさに関しても、骨格部にある程度の厚みが必要であるため、限界がある。
【0010】
また、セラミックスは、上記のように細胞が定着しやすい傾向にあるため、細胞同士の凝集が起きやすく、細胞の働きを活発化させる場合もある。このため、気孔内に細胞が増殖し、細胞塊が密集しすぎて、栄養分等の流体の侵入が困難となり、むしろ、内部に取り込まれた細胞の活力が低下し、全体として均質な増殖が阻害されてしまう場合があった。
このように、セラミックス材料からなる細胞培養用基材においては、細胞の機能を十分に発揮させて活用することができないという課題を有していた。
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、基材全体において適度な密度での細胞培養が可能であり、生体内での細胞機能を生体外で発現させ、かつ、長期間維持することができる細胞培養用基材を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る細胞培養用基材は、セラミックスを主成分とする基体表面に、細胞付着性部分と細胞非付着性部分とが区画形成されていることを特徴とする。
このように、セラミックス基体表面に、細胞が定着しやすい部分と定着しにくい部分とを意図的に形成し、細胞塊を適当な密度で定着させることができるように制御することにより、生体内での細胞機能を生体外で発現させ、かつ、その機能を長期間失活させることなく、生体適合性に優れた状態で培養することができる。
【0013】
前記細胞付着性部分は、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライトおよび生体用ガラスから選ばれた少なくとも1種からなり、前記細胞非付着性部分は、ポリウレタン、ポリプロピレン、チタン、石英から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
毒性、変異性等の細胞成長阻害因子、水との親和性等の観点から、上記物質を用いることが好ましい。
【0014】
前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸三カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
細胞や生体組織に対する親和性の観点から、これらのリン酸カルシウム系化合物により細胞付着性部分を形成することがより好ましい。
【0015】
また、前記細胞付着性部分の面積は、全表面積の20%以上80%以下であることが好ましい。
増殖生成した細胞塊を適当な密度で均一分布させ、細胞培養用基材として十分な能力を発揮させる観点から、細胞付着性部分は、上記面積比となるように構成することが好ましい。
【0016】
さらにまた、前記細胞付着性部分および細胞非付着性部分の少なくともいずれかが、表面コーティングにより形成されていることが好ましい。
上記細胞培養用基材の製造容易性、さらに、前記細胞付着性部分および細胞非付着性部分の面積比、パターン形状、パターンサイズ等を容易に調節することができるため、コーティングを採用することが好ましい。
【0017】
また、前記セラミックスを主成分とする基体は、開気孔を有する多孔体であって、基材の全体積のうち、孔径10μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積が30%以上98%以下であることが好ましい。
上記気孔率とすることにより、基体強度を保持することができ、かつ、培養時における増殖細胞を気孔内部に容易に侵入させることができる。
【0018】
前記多孔体において、基材の全体積のうち、孔径300μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積が50%以下であることが好ましい。
細胞の付着安定性、浮遊細胞塊の流出阻止性および安定した培養生産性等の観点から、大きい開気孔を有する気孔の割合を規定したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、より詳細に説明する。
本発明に係る細胞培養用基材は、セラミックスを主成分とする基体表面に、細胞付着性部分と細胞非付着性部分とが区画形成されているものである。
このように、本発明に係る細胞培養用基材は、基体をセラミックスにより構成し、この基体表面に細胞の定着しやすい部分と定着しにくい部分とを意図的に形成し、細胞塊を適当な密度で定着させることができるように制御するものである。
したがって、この細胞培養用基材によれば、肝細胞等の機能細胞についても、生体外において長期間にわたって、その機能を失活させることなく、生体適合性に優れた状態で培養することができる。
【0020】
前記細胞付着性部分を構成する材質は、毒性、変異性等の細胞成長阻害因子を有する物質を含まない、親水性材料が一般に用いられる。
このような親水性材料としては、例えば、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コラーゲン、キチン、キトサン、生体用ガラス等が挙げられる。これらのうち、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライト、生体用ガラスが好ましく、特に、生体細胞付着性の観点から、ハイドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸三カルシウムが好ましい。
【0021】
また、前記細胞非付着性部分を構成する材質としては、一般に、疎水性材料が用いられる。
このような疎水性材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の有機系高分子が好ましい。また、細胞付着性が低い無機系物質として、チタン、石英等も用いることができる。これらのうち、特に、ポリウレタン、ポリプロピレン、チタン、石英が好ましい。
【0022】
また、前記セラミックスを主成分とする基体は、該セラミックス材料として、上記した細胞付着性部分を構成する材質として掲げた親水性材料、すなわち、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライト等を用いることが好ましい。
【0023】
前記細胞培養用基材においては、細胞付着性部分の面積は、全表面積の20%以上80%以下であることが好ましい。
上記細胞付着性部分の占める面積が20%未満である場合、細胞が安定的に付着せず、細胞凝集塊が十分な大きさおよび密度で形成されない。
一方、上記細胞付着性部分の占める面積が80%を超える場合、細胞の付着密度が大きく、増殖しすぎてしまい、細胞塊の密集により、栄養分等の流体の細胞塊内部への侵入が困難となり、むしろ、内部に取り込まれた細胞の活力が低下し、全体として均質な増殖が阻害されてしまう。
上記面積比は、培養細胞の種類により変動するものであるが、増殖生成した細胞塊を適当な密度で均一に分布させ、細胞培養用基材として十分な能力を発揮させる観点から、上記範囲内とすることが好ましい。
【0024】
前記セラミックスを主成分とする基体表面とは、基体が開気孔を有する多孔体である場合には、気孔内部表面も含むものである。
また、細胞付着性部分と細胞非付着性部分との区画は、交差状、斑状等、必要に応じて適宜パターン形成される。このときのパターンサイズは、培養される細胞の単細胞サイズからそれらが凝集した細胞塊サイズの十数倍程度までのオーダーで、適宜調節される。
このような構成とすることにより、本発明に係る細胞培養用基材においては、多孔体による3次元培養の場合であっても、基体全体に、均質かつ適度な密度での増殖が可能となる。
【0025】
本発明に係る細胞培養用基材の基体の形態は、特に制限されるものではなく、例えば、板状体またはその積層体、繊維状またはそれを用いた布状、管状等とすることができる。
また、撹拌起泡等により得られた多孔体、セラミックフォーム、ハニカム状等であってもよく、この場合、全体形状は自在に形成することができる。
【0026】
特に、3次元培養を行うためには、前記セラミックスを主成分とする基体は、開気孔を有する多孔体であることが好ましい。この場合、基材の全体積のうち、孔径10μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積が30%以上98%以下であることが好ましい。
前記気孔率が30%未満である場合は、孔径10μm未満の開気孔の内部には細胞が侵入しにくく、細胞培養に寄与しない細気孔が増加し、生産性が劣ることとなる。
一方、前記気孔率が98%を超える場合は、基体の強度が低くなり、実用性に欠けるものとなる。
【0027】
さらに、前記気孔率は、基材の全体積のうち、孔径300μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積を50%以下とすることが好ましい。
上記のような大きい気孔の割合が50%を超える場合、浮遊状態にある細胞の凝集塊が基材の気孔内表面に付着せずに、系外に流出することを抑制することが困難であり、安定した培養生産性が担保されないこととなる。
なお、上記気孔の体積は、水銀圧入ポロシメーターを用いて測定することができる。
【0028】
上記したような細胞培養用基材の製造方法としては、例えば、細胞付着性を有するセラミックス基体表面に、合成樹脂等をコーティングして細胞非付着性部分を形成する方法、または、セラミックス基体表面全面を細胞非付着性素材で被覆した後、細胞付着性を有するセラミックスで部分コーティングする方法等が挙げられる。
このように、前記細胞付着性部分および細胞非付着性部分の少なくともいずれかを、表面コーティングにより形成することが、前記細胞付着性部分および細胞非付着性部分の面積比、パターン形状、パターンサイズ等を容易に調節することができる等の観点から好ましい。
このとき、細胞付着性部分をコーティングにより形成する場合は、コラーゲン、ラミニン、細胞増殖因子等を含んだものを塗布してもよい。
【0029】
上記細胞培養用基材のうち、開気孔を有するリン酸カルシウム系化合物の多孔体を、細胞非付着性物質であるポリウレタンによりコーティングし、この多孔体表面のうち、リン酸カルシウム系化合物が露出した部分の面積が30%以上70%以下となるように形成したものは、特に、生体内細胞機能の発現性およびその持続性に優れている。
【0030】
上記リン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイト(Ca(POOH)、フッ化アパタイト(Ca(POF)、塩化アパタイト(Ca(POF)、炭酸アパタイト(Ca10(POCO)、リン酸三カルシウム(Ca(PO)等またはこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、特に、ハイドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸三カルシウムが好ましく、ハイドロキシアパタイトの場合には、その一部の水酸基またはリン酸基の一部が、炭酸基で置換されたものであってもよい。
【0031】
上記のような細胞培養用基材は、生体内細胞機能の発現性およびその持続性に優れているため、人工臓器にも好適に用いることができ、例えば、前記細胞培養用基材に肝細胞を増殖充填させたものは、人工肝臓として機能させることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
アルミナ粉末のスラリーに、気泡剤として界面活性剤を添加し、撹拌して起泡させた後、成形、乾燥させ、1650℃で焼成し、100mm×100mm×10mmのアルミナ焼結多孔体(セラミックフォーム)を得た。さらに、これを、直径18mm、高さ8mmの円筒形状に加工した。
この多孔体を基体として、液状ポリウレタンを部分的に含浸させた後、乾燥、熱処理して、ポリウレタンがセラミックフォーム表面に固着した細胞培養用基材を得た。
得られた細胞培養用基材の表面を、電子プローブ微小分析法(EPMA)により観察し、該基材全表面のうち、アルミナが露出している部分(細胞付着性部分)の面積の割合を求めた。
また、水銀圧入ポロシメーターを用いて、得られた細胞培養用基材の全体積のうち、孔径10μm以上の開気孔と連通する気孔、および、孔径300μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積の割合を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0033】
[実施例2]
ハイドロキシアパタイト粉末のスラリーに、気泡剤として界面活性剤を添加し、撹拌して起泡させた後、成形、乾燥させ、1200℃で焼成し、65mm×65mm×10mmのハイドロキシアパタイト焼結多孔体(セラミックフォーム)を得た。さらに、これを、直径18mm、高さ8mmの円筒形状に加工した。
この多孔体を基体として、液状ポリウレタンを部分的に含浸させた後、乾燥、熱処理して、ポリウレタンがセラミックフォーム表面に固着した細胞培養用基材を得た。
得られた細胞培養用基材について、ハイドロキシアパタイトで被覆された部分(細胞付着性部分)の面積の割合および気孔の割合を、実施例1と同様にして求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0034】
[実施例3]
直径18mm、高さ8mmの円筒形状のハイドロキシアパタイト焼結多孔体からなる基体表面に、石英の微粉末(粒径0.5〜1μm)を含むスラリーを含浸させた後、乾燥、熱処理して、細胞培養用基材を作製した。
得られた細胞培養用基材の表面を、電子プローブ微小分析法(EPMA)により観察し、該基材全表面のうち、ハイドロキシアパタイトが露出している部分(細胞付着性部分)の面積の割合を求めた。
【0035】
[比較例1]
ポリウレタンフォームを基体として、これに、ハイドロキシアパタイト粉末のスラリーを含浸させ、余分なスラリーを除去して多孔体表面を一部露出させた後、乾燥、熱処理して、ハイドロキシアパタイト粉末粒子がポリウレタンフォーム表面に固着した細胞培養用基材を得た。
得られた細胞培養用基材について、ハイドロキシアパタイトで被覆された部分(細胞付着性部分)の面積の割合および気孔の割合を、実施例1と同様にして求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0036】
[比較例2]
比較例1で用いたポリウレタンフォームをそのまま、細胞培養用基材として用いた。
【0037】
[比較例3]
直径18mm、高さ8mmの円筒形状のハイドロキシアパタイト焼結体をそのまま、細胞培養用基材として用いた。
【0038】
[細胞培養試験」
上記実施例および比較例において作製した各細胞培養用基材を、滅菌後、ポリスチレン製シャーレ内において、無菌状態で細胞培養試験を行った。
培養細胞としては、ラットの肝臓実質細胞の初代培養系で、生存率98%以上のものを使用した。培養液は、10%血清含有培養液を用いた。
各細胞培養用基材が用意されたシャーレに、細胞密度が培養液1ml当たり5×10個の細胞懸濁液を4ml播種して、肝細胞培養を開始した。
培養開始24時間後、無血清培養液に切り替えて培養を継続し、24時間経過するごとに、培養液を4mlずつ全交換した。
【0039】
評価は、経日的に肝の特異的機能であるアルブミン産生量を酵素免疫測定法(ELISA法;Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)により定量し、1×10個の細胞が24時間(1日)で産生するアルブミンの量に換算して、肝細胞の活性度を評価した。
この結果を表1に示す。
なお、最大機能発現能は、播種肝細胞数1×10個につき1日当たりのアルブミン産生量が最大であった日の産生量とする。
また、機能発現能の維持期間は、播種肝細胞数1×10個につき1日当たり10μg以上のアルブミン産生量が持続した培養日数とした。
【0040】
【表1】
Figure 2004057019
【0041】
表1に示したように、肝臓実質細胞の培養試験の結果、本発明に係る細胞培養用基材(実施例1〜3)は、最大機能発現能が高く、かつ、機能維持期間が30日よりも長く、肝細胞培養のための良好な基材として用いることができることが認められた。
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る細胞培養用基材によれば、基材全体において適度な密度での細胞培養が可能であり、生体内での細胞機能を生体外で発現させ、かつ、長期間維持することができる。
したがって、本発明に係る細胞培養用基材は、細胞培養キット、細胞が生産する有用物質の大量生産用バイオリアクター、ハイブリッド人工臓器等に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. セラミックスを主成分とする基体表面に、細胞付着性部分と細胞非付着性部分とが区画形成されていることを特徴とする細胞培養用基材。
  2. 前記細胞付着性部分は、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、ムライトおよび生体用ガラスから選ばれた少なくとも1種からなり、前記細胞非付着性部分は、ポリウレタン、ポリプロピレン、チタン、石英から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養用基材。
  3. 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸三カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の細胞培養用基材。
  4. 前記細胞付着性部分の面積は、全表面積の20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の細胞培養用基材。
  5. 前記細胞付着性部分および細胞非付着性部分の少なくともいずれかが、表面コーティングにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の細胞培養用基材。
  6. 前記セラミックスを主成分とする基体は、開気孔を有する多孔体であって、基材の全体積のうち、孔径10μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積が30%以上98%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の細胞培養用基材。
  7. 前記多孔体において、基材の全体積のうち、孔径300μm以上の開気孔と連通する気孔が占める体積が50%以下であることを特徴とする請求項6記載の細胞培養用基材。
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