JPWO1998051011A1 - 弾性境界波デバイス及びその製造方法 - Google Patents

弾性境界波デバイス及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 電極から励振される弾性波の変換効率を向上させ、かつ電極間での寄生抵抗の影響をなくすことができる弾性境界波デバイス及びその製造方法を提供する。圧電性の第1の基板2の主面上にくし歯状電極3を形成し、このくし歯状電極3を覆いかつ平滑な表面4を持つように第1の基体2の主面に誘電体膜5を形成し、その上にSi系の第2の基板6を張り合わせて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】 弾性境界波デバイス及びその製造方法 技術分野 本発明は、例えばTVや携帯電話、PHS等におけるフィルタ素子や発振子に 用いることができる弾性境界波デバイス及びその製造方法に関する。
背景技術 弾性波を応用したデバイスの1つとして弾性表面波デバイス(SAWデバイス :Surface Acoustic Wave Device)が以前よりよ く知られている。このSAWデバイスは、例えば45MHz〜2GHzの周波数 帯域における無線信号を処理する装置における各種回路、例えば送信用バンドパ スフィルタ、受信用バンドパスフィルタ、局発フィルタ、アンテナ共用器、IF フィルタ、FM変調器等に用いられる。
図8にこのSAWデバイスの基本的構成を示す。同図に示すようにSAWデバ イスは、LiNbO3 等の圧電性基板100上にAl薄膜等の金属材料をエッ チング等により加工したくし歯状電極(IDT:Interdigital T ransducer)101、102を設けて構成される。そして、IDT10 1に高周波の電気信号が印加されると圧電性基板100表面にSAW103が励 振される。励振されたSAW103は、圧電性基板100表面を伝搬してIDT 102に達し、IDT102において再び電気信号に変換される。
ところで、SAWデバイスは、固体表面と真空または気体の境界 面、すなわち固体表面を伝搬する弾性波を利用するために伝搬媒体である圧電性 基板の表面を自由表面とする必要がある。従って、SAWデバイスにおいては、 例えば半導体のパッケージに使用されるようなプラスチックモールドでチップを 覆うことができず、パッケージ内部に自由表面を確保するための中空部を設ける 必要がある。
しかしながら、パッケージ内部に中空部を設けた構造にすると、デバイスが比 較的高価かつ大型になるという問題がある。
そこで、本発明者等は、SAWデバイスと同等の機能を有し、小型化が容易で かつコストダウンが容易な弾性境界波デバイスを提唱している。この弾性境界波 デバイスは、例えばくし歯状電極を挟むように圧電性基板とSi基板とを張り合 わせて構成される。本発明は、かかる弾性境界波デバイスのさらなる改良を図っ たものである。
すなわち、本発明の第1の目的は、弾性境界波デバイスにおいて電極から励振 される弾性波の変換効率を向上させることができる弾性境界波デバイス及びその 製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明の第2の目的は、電極間での寄生抵抗の影響をなくすことができ る弾性境界波デバイス及びその製造方法を提供することを目的としている。
発明の開示 かかる課題を解決するため、請求項1の本発明の弾性境界波デバイスは、圧電 性の第1の基体と、前記第1の基体の主面に形成され、弾性波を励振する電極と 、前記電極を覆いかつ平滑な表面を持つように前記第1の基体の主面に形成され た誘電体膜と、前記誘電体膜の表面に張り合わされたSi系の第2の基体とを具 備する。
請求項2記載の本発明の弾性境界波デバイスの製造方法は、(a)圧電性の第 1の基体の主面に弾性波を励振する電極を形成する工程と、(b)前記電極が形 成された第1の基体の主面に誘電体膜を形成する工程と、(c)前記第1の基体 の主面に形成された誘電体膜の表面を平滑化する工程と、(d)前記平滑化され た誘電体膜の表面にSi系の第2の基体を張り合わせる工程とを具備する。
請求項3記載の本発明の弾性境界波デバイスの製造方法は、上記(b)工程に おいて誘電体膜を電極よりも厚く形成し、かつ上記(c)工程において電極が表 面に露出しないように誘電体膜の表面を平滑化するものである。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波デバイスの構成を示す分解斜視 図である。図2は、図1のA−A矢視平面図である。
図3は、本発明の弾性境界波デバイスの製造方法に係る一実施形態を説明する ための工程図である。
図4は、本発明の弾性境界波デバイスにおける他の製造方法を説明するための 図である。
図5は、本発明の弾性境界波デバイスが用いられる移動体通信装置の構成を示 すブロック図である。
図6は、本発明の弾性境界波デバイスが用いられるRFモジュレータの発振回 路の回路図である。
図7は、本発明の課題を説明するための図である。
図8は、従来のSAWデバイスの基本的構成を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 弾性境界波デバイスは、例えばSi基板の表面にAl電極を形成後、その上か ら誘電体膜を形成し、Al電極間に誘電体膜を埋めると共に、その上からAl電 極が露出するまで研磨を行い、その上に圧電性基板を張り合わせることにより製 造されるのが一般的であると考えられるが、その場合以下の問題点がある。
すなわち、図7に示すように、一般的にAl電極10を研磨するときにAl等 の金属膜はSiO2 膜11よりも柔らかいためAl電極10の表面に窪みを生 じる。この窪みの大きさは5μm程度のAl電極幅aに対して約30nm程度で ある。このように窪みがあると、張り合わせた圧電性基板12との間に空隙13 を生じる。そして、このような空隙13はAl電極10と圧電性基板12とが密 着せず、Al電極10から励振される弾性波の変換効率を低下させる。
また、Al電極10がSi基板14に直接接している場合には、Si基板とし て比抵抗が100Ω・cm程度の高抵抗のものを用いた場合でも、Al電極10 間に導電性が生じるため無効電流Aが流れ境界波デバイスの特性劣化に結び付く 。例えばAlくし歯状電極が電極幅1μm、ピッチ2μm、電極交差幅0.1m m,電極対数30対の場合、くし歯状電極に133Ωの寄生抵抗(並列回路で無 効電流として寄与する。)が生じる。携帯電話用高周波段フィルタの場合、一般 的に50Ω系で使用されるため、このような小さな寄生抵抗は大きな損失として 働くため実質的に使用に耐えないフィルタとなるおそれがある。
これに対して本発明では、圧電性の第1の基体側に弾性波を励振する電極及び その上に誘電体膜を形成し、その誘電体膜表面を平滑化するように構成したので 、圧電性の第1の基体と弾性波を励振す る電極との間が密着して隙間がない。よって、電極から励振される弾性波の変換 効率を向上させることができる。
また、弾性波を励振する電極とSi系の第2の基板との間に誘電体膜が介在し ており、すなわち弾性波を励振する電極とSi系の第2の基板とが直接接してい ないので、電極間での寄生抵抗の影響をなくすことができる。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る弾性境界波デバイスの構成を示す図 であって、図1は分解斜視図、図2は図1のA−A矢視平面図である。
これらの図に示すように、この弾性境界波デバイス1は、圧電性の第1の基板 2の主面上にくし歯状電極3を形成し、このくし歯状電極3を覆いかつ平滑な表 面4を持つように第1の基体2の主面に誘電体膜5を形成し、その上にSi系の 第2の基板6を張り合わせて構成される。
第1の基板2としては、例えばLiNbO3 が用いられる。しかし、LiT aO3 、水晶等の他の圧電性の材料を用いることも可能である。
くし歯状電極3の材質は、例えばAlが用いられる。しかし、他の導電性材料 、例えば、Cu、TaおよびこれらのAl合金等を用いることも可能である。ま た、これらの材料を積層させてもよい。くし歯状電極3は、例えば励振用の対向 する一対のくし歯状電極7と受信用の対向する一対のくし歯状電極8とにより構 成される。しかし、これらの電極をそれぞれ複数設けてもよい。また、くし歯状 電極3の他に例えばこれらの電極を挟むように反射電極を設けてもよい。さらに 、こうした電極ばかりでなく、例えばこれらの電極を 挟むように吸音材を形成するようにしてもよい。
要するに、本発明に係る弾性境界波デバイスは、例えば従来のSAWデバイス に代えて用いられるものであって、すなわちフィルタ、遅延線、共振器、発振器 、アナログ信号処理用回路、増幅器、コンバルバメモリ等に用いられるが、くし 歯状電極3等の構成はこれらの用途、仕様等に応じて適宜設計変更される。
誘電体膜5は、例えばSiO2 が用いられる。誘電体膜5は、くし歯状電極 3を覆いかつ平滑な表面4を持っている。このことは、第1にくし歯状電極3と Si系の第2の基板6との間には誘電体膜5が介在しており、第2に誘電体膜5 の表面4とSi系の第2の基板6との間に隙間がなく密着していることを意味す る。
第2の基板6としては、例えばSiが用いられる。しかし、アモルファスシリ コンやポリシリコン等の他のSi系の材料を用いることも可能である。くし歯状 電極3とSi系の第2の基板6との間には誘電体膜5が介在しているため、Si 系の第2の基板6は、半導体集積回路に通常用いられているように意図的にn− 型、p−型として比抵抗を下げたものをも用いた場合にもくし歯状電極3の直流 的な漏れを防ぐことが可能である。
ところで、弾性境界波は2種の固体間の境界面を伝搬する弾性波である。この 弾性境界波の存在に関する理論的な検討は、例えば清水、入野等の「ZnOとガ ラスの境界面を伝搬するストンリー波の理論的検討」学信論(C),J65−C ,11,pp.883−890により取り扱われている。この論文では、2種の 固体の一方は圧電材料であるZnO、もう一方はガラスの組み合わせの場合が取 り扱われているが、2種の固体のうち少なくともどちらか一方に弾性波を励振す るために圧電性があり2種の固体の境界面に弾性波のエネ ルギーが集中して伝搬する波を用いて弾性境界波デバイスを実現することができ る。
次に、本発明の弾性境界波デバイスの製造方法について説明する。
図3はその製造方法に係る一実施形態を説明するための図である。なお、ここ では200MHz程度の高周波信号に使われる弾性境界波デバイスを想定してい る。
まず、圧電性の第1の基板2上に蒸着またはスパッタ法によりAl膜3aを成 形する(図3(a))。Al膜3aの厚さは、例えば、0.02〜0.07λ= 0.10〜0.15μm、好ましくは、0.05λ=0.12μmとする。(こ こで、λは波長である。) 次に、写真蝕刻等の方法によりAl膜3aを加工し、くし歯状電極パターン3 bを形成する(図3(b))。
次に、くし歯状電極パターン3bが形成された圧電性の第1の基板2上にSi O2 膜5aをスパッタ等により成膜する(図3(c))。SiO2 膜5aの 厚さは例えば0.2〜0.7λ=1.2〜1.5μm、好ましくは、0.5λ= 1.2μmを若干越えるものとする。従って、SiO2 膜5aはAl膜3aを 越える厚さとする必要がある。
次に、SiO2 膜5aの表面を研磨し、SiO2 膜5aの表面の凹凸をな くし平滑化する(図3(d))。これによりSiO2膜5aの厚さは例えば0. 5λ=1.2μmとする。その際、くし歯状電極パターン3bはSiO2 膜5 aにより覆われている。
次に、SiO2 膜5aの表面4及びSi系の第2の基板6の主面を例えば過 酸化アンモニア水により表面処理することにより、両者の表面を水酸基化する( 図3(e))。
次に、SiO2 膜5aの表面4とSi系の第2の基板6の主面 とを対接させ、約 300℃で1〜2時間程度加熱する(図3(f))。
かかる熱処理により2種の基板表面にあるOH基同士が結合しH2 Oが遊離 し、異種材料であるSiO2 膜5aとSi系の第2の基板6とを直接接合する ことができる。なお、加熱温度は、好ましくは約 300℃であるが、 100 〜1000℃の間とすることができる。 100℃以下ではOH基同士が結合す る反応を生じないし、1000℃以上では要素部材に熱的悪影響を及ぼす可能性 があるからである。
以上の製造工程を経て形成された弾性境界波デバイスは、図2に示したように 、くし歯状電極3と圧電性の第1に基板2との間に隙間がなく密着しているので 、くし歯状電極3から励振される弾性波の変換効率を向上させることができる。
また、くし歯状電極3とSi系の第2の基板6との間に誘電体膜5が介在してお り、すなわちくし歯状電極3とSi系の第2の基板6とが直接接していないので 、くし歯状電極3の電極指間での寄生抵抗の影響をなくすことができる。 なお 、上記製造方法では、図3(d)に示したように、くし歯状電極パターン3bが SiO2 膜5aにより覆われる程度まで、SiO2 膜5aの表面を研磨して いたが、図4に示すように、くし歯状電極パターン3bが露出するまで、SiO 2 膜5aの表面を研磨しても構わない。これによっても、くし歯状電極3から 励振される弾性波の変換効率を向上させることができるという効果を奏するから である。
本発明に係る弾性境界波デバイスは、例えばフィルタ、遅延線、共振器、発振 器、アナログ信号処理用回路、増幅器、コンバルバメモリ等に用いられる。そし て、これらの弾性境界波デバイスを備え たフィルタ、遅延線、共振器等は、携帯電話、PHS、TV等に用いられる。
図5は携帯電話、PHS等の移動体通信装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、アンテナ151を介して受信した受信波は、アンテナ共用 器152により受信系に分離される。分離された受信信号は、アンプ153によ り増幅された後、受信用バンドパスフィルタ154により所望の帯域が抽出され 、ミキサ155に入力される。ミキサ155には、PLL発振器156により発 振された局発信号が局発フィルタ157を介して入力されている。ミキサ155 の出力は、IFフィルタ158、FM復調器159を介してスピーカ160より 受信音として出力される。一方、マイク161より入力された送話音は、FM変 調器162を介してミキサ163に入力される。ミキサ163には、PLL発振 器164により発振された局発信号が入力されている。ミキサ163の出力は、 送信用バンドパスフィルタ165、パワーアンプ166及びアンテナ共用器15 2を介してアンテナ151より送信波として出力される。
本発明に係る弾性境界波デバイスは、この移動通信装置の各部に使用すること ができる。例えば、送信用バンドパスフィルタ165、受信用バンドパスフィル タ154、局発フィルタ157及びアンテナ共用器152には、本発明に係る弾 性境界波デバイスがRF段のフィルタとして使われる。IFフィルタ158には 、本発明に係る弾性境界波デバイスがチャネル選局に不可欠な狭帯域のIF段の フィルタとして使われる。FM変調器162には、本発明に係る弾性境界波デバ イスが音声のFM変調における共振子として使われる。
本発明に係る弾性境界波デバイスは、VTRやCATVに用いら れるRFモジュレータの発振回路等にも用いることができる。その回路構成を図 6に示す。167は本発明に係る弾性境界波デバイスであり、168は回路部で ある。
産業上の利用可能性 以上詳述したように、本発明の弾性境界波デバイスによれば、圧電性の第1の 基体と、前記第1の基体の主面に形成され、弾性波を励振する電極と、前記電極 を覆いかつ平滑な表面を持つように前記第1の基体の主面に形成された誘電体膜 と、前記誘電体膜の表面に張り合わされたSi系の第2の基体とを具備したので 、電極から励振される弾性波の変換効率を向上させ、かつ電極間での寄生抵抗の 影響をなくすことができる。
また、本発明の弾性境界波デバイスの製造方法によれば、圧電性の第1の基体 の主面に弾性波を励振する電極を形成する工程と、前記電極が形成された第1の 基体の主面に誘電体膜を形成する工程と、前記第1の基体の主面に形成された誘 電体膜の表面を平滑化する工程と、前記平滑化された誘電体膜の表面にSi系の 第2の基体を張り合わせる工程とを具備したので、電極から励振される弾性波の 変換効率が向上した弾性境界波デバイスを提供できる。この場合、誘電体膜を電 極よりも厚く形成し、かつ電極が表面に露出しないように誘電体膜の表面を平滑 化すれば、電極間での寄生抵抗の影響もなくすことができる。
───────────────────────────────────────────────────── (注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作 成したものである。 なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の 効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.圧電性の第1の基体と、 前記第1の基体の主面に形成され、弾性波を励振する電極と、 前記電極を覆いかつ平滑な表面を持つように前記第1の基体の主面に形成され た誘電体膜と、 前記誘電体膜の表面に張り合わされたSi系の第2の基体と を具備することを特徴とする弾性境界波デバイス。
  2. 2.(a)圧電性の第1の基体の主面に弾性波を励振する電極を形成する工程 と、 (b)前記電極が形成された第1の基体の主面に誘電体膜を形成する工程と、 (c)前記第1の基体の主面に形成された誘電体膜の表面を平滑化する工程と、 (d)前記平滑化された誘電体膜の表面にSi系の第2の基体を張り合わせる工 程と を具備することを特徴とする弾性境界波デバイスの製造方法。
  3. 3.(b)工程において誘電体膜を電極よりも厚く形成し、かつ(c)工程に おいて電極が表面に露出しないように誘電体膜の表面を平滑化することを特徴と する請求項2記載の弾性境界波デバイスの製造方法。
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