JP7808694B2 - 回転電機の冷却システム - Google Patents
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Description
本発明は、回転電機の冷却システムに関する。
特許文献1には、回転電機の第一コイルエンド部及び第二コイルエンド部に冷媒を供給する冷媒流路(第一冷媒流路および第六冷媒流路)と、回転電機の磁石に冷媒を供給する冷媒流路(第五冷媒流路)と、を備えた回転電機の冷却システムが記載されている(段落0027,0031,0032)。第一コイルエンド部及び第二コイルエンド部は固定子に設けられており、冷媒流路(第一冷媒流路および第六冷媒流路)は固定子に冷媒を供給する冷媒流路を構成する。磁石は回転子に設けられており、冷媒流路(第五冷媒流路)は回転子に冷媒を供給する冷媒流路を構成する。第五冷媒流路は第一冷媒流路から分岐して設けられ、第一冷媒流路を流れる冷媒の一部を回転子の磁石に向けて流すように構成されている(段落0031)。
特許文献1の回転電機の冷却システムでは、第一冷媒流路と第五冷媒流路との接続状態は変化しない。このため、固定子に供給される冷媒の流量と回転子に供給される冷媒の流量とは、第一冷媒流路を流れる冷媒の流量によって、一定の流量比を維持して変化する。
本発明の目的は、固定子に供給される冷媒と回転子に供給される冷媒との流量比を変化させることができ、回転電機の冷却効果を向上することができる回転電機の冷却システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の回転電機の冷却システムは、
固定子と回転子とを備える回転電機の冷却システムであって、
冷媒を供給する冷媒流路と、前記冷媒流路の態様を切り替える切替機構と、前記冷媒流路に冷媒を圧送するポンプと、を備え、
前記冷媒流路は、前記固定子のコアに冷媒を供給する第1冷媒流路部と、前記回転子に冷媒を供給する第2冷媒流路部と、を有し、
前記切替機構は、前記第1冷媒流路部に冷媒を供給し前記第2冷媒流路部に冷媒を供給しない第1態様と、前記第1冷媒流路部の下流と前記第2冷媒流路部の上流とを連通させる第2態様と、を成すように構成される。
固定子と回転子とを備える回転電機の冷却システムであって、
冷媒を供給する冷媒流路と、前記冷媒流路の態様を切り替える切替機構と、前記冷媒流路に冷媒を圧送するポンプと、を備え、
前記冷媒流路は、前記固定子のコアに冷媒を供給する第1冷媒流路部と、前記回転子に冷媒を供給する第2冷媒流路部と、を有し、
前記切替機構は、前記第1冷媒流路部に冷媒を供給し前記第2冷媒流路部に冷媒を供給しない第1態様と、前記第1冷媒流路部の下流と前記第2冷媒流路部の上流とを連通させる第2態様と、を成すように構成される。
本発明によれば、固定子に供給される冷媒と回転子に供給される冷媒との流量比を変化させることができ、回転電機の冷却効果を向上することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
モータ、インバータおよびギヤを一体化したe-Axleは高出力密度化に伴い高損失密度化している。この高損失密度に対応するためには、直接油冷構造の冷却システムによる回転電機の冷却性能の向上が望まれる。油冷構造では冷媒(冷却油)を圧送するポンプが必要となる。このポンプとして、例えば機械式ポンプ(機械式オイルポンプ)や電動ポンプ(電動オイルポンプ)を用いることができる。なお、機械式ポンプは速度により吐出量が変化するため、機械式ポンプを用いる場合は、各速度で冷却性能を確保するために冷媒供給量を適切に制御する必要がある。
以下の実施例では、機械式ポンプを用いた例も説明する。機械式ポンプは低速域で吐出量が減少するため、低速域での回転電機の冷却性能が低下する。低速域での冷却性能の低下を防ぐためには、ポンプの大型化が求められる。機械式ポンプを用いた実施例では、低速域での回転電機の冷却性能の低下を抑制することで、ポンプの大型化を回避する。
また以下の実施例では、市街地走行で使用頻度が高い中速域におけるロストルクを低減し、電費を向上する。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の回転電機2の冷却システム1の第1実施例(実施例1)について、構成の概略を示す図である。
図1は、本発明の回転電機2の冷却システム1の第1実施例(実施例1)について、構成の概略を示す図である。
本実施例の冷却システム1は、固定子21と回転子22とを備える回転電機2の冷却システム1であって、回転電機2と、冷媒(冷却油)を圧送するポンプ4と、冷媒(冷却油)が流れる冷媒流路7と、冷媒流路7内に構成される各冷媒流路部71,72,73,74の接続状態を切り替える切替機構3と、冷媒を貯留する冷媒貯留部(オイルパン)5と、車速を検出する車速センサ9と、電子制御装置(ECU)6と、を備える。本実施例の冷媒は、油を用いており、冷却油と呼んで説明する場合がある。
回転電機2は、固定子21と、回転子22と、固定子21および回転子22を収容するハウジング24と、冷媒(冷却油)の排出口25と、を備える。固定子21はコア(固定子コア)21Aとコイルとを備え、図1では、コイルのコイルエンド21Bを図示している。回転子22はコア(回転子コア)22Aを備え、出力シャフト23に固定されている。出力シャフト23は回転子22の一部とみなすこともできる。ハウジング24は冷媒を貯留する容器となり、冷媒を排出する排出口25が設けられる。
ポンプ4は、冷媒を冷媒流路7に圧送する部品であり、本実施例では、電動モータ41Aにより駆動される電動ポンプ41と機械式ポンプ42とを併用する例を示している。電動ポンプ41は、車速センサ9で検出される車速に応じて、電子制御装置6により吐出量が制御される。電子制御装置(ECU)6は、車速センサ9から車速信号を受けるため、信号線E9で車速センサ9と接続されている。また電子制御装置(ECU)6は、電動ポンプ41を制御するため、信号線E41Aで電動モータ41Aと接続されている。機械式ポンプ42は可変容量ポンプもしくは定容量ポンプが用いられる。機械式ポンプ42の吐出量は車速に応じて変化するため、電動ポンプ41は機械式ポンプ42の吐出量に応じて、電子制御装置6により吐出量が制御されることになる。
機械式ポンプ42は、車両後進時(逆転時)に回転電機2側から冷媒を吸引してしまうため、逆転時に機械式ポンプ42が回転電機2側から冷媒を吸い込まないように、モータ側に図示しない逆止弁を設けて、図示しないバイパス路を介して冷媒貯留部(オイルパン)5から冷媒を吸い上げるようにするとよい。この場合、逆止弁は機械式ポンプ42内、もしくは機械式ポンプ42から第1冷媒流路部71までの間に設けるとよい。また、バイパス路は冷媒貯留部(オイルパン)5から第1冷媒流路部71までの間に、車両後進時に冷媒が機械式ポンプ42をバイパスするように設けるとよい。なおバイパス路には、車両前進時に冷媒がリークしないように逆止弁を設けるとよい。
ポンプ4は、電動ポンプ41または機械式ポンプ42のいずれか一方を用いて構成されてもよい。図2は、本発明の第1実施例に係る回転電機2の冷却システム1について、ポンプ4の構成の変更例(第1変更例:変更例1)を示す概略図である。図2では、機械式ポンプ42を用いず、電動ポンプ41を用いてポンプ4を構成した例を示す。電動ポンプ41の吐出量は冷却性能を満足するように車速に応じて制御される。
本実施例では、機械式ポンプ42は回転電機2とドライブシャフト104との間に設けられる減速機101の軸(減速機軸)から動力を確保している。
すなわち本実施例では、ポンプ4は機械式ポンプ42と電動ポンプ41とを備え、機械式ポンプ42は回転電機2とドライブシャフト104との間に設けられる減速機101の軸から動力を確保する。
しかし機械式ポンプ42の動力は、減速機101の軸(減速機軸)に限らず、他の部分から確保することもできる。
しかし機械式ポンプ42の動力は、減速機101の軸(減速機軸)に限らず、他の部分から確保することもできる。
図3は、本発明の第1実施例に係る回転電機2の冷却システム1について、ポンプ4の駆動源の変更例(第2変更例:変更例2)を示す概略図である。変速機103と組み合わされるシステムである場合、回転電機2の出力シャフト23から機械式ポンプ42の動力を確保してもよい。すなわち本例では、ポンプ4は機械式ポンプ42と電動ポンプ41とを備え、機械式ポンプ42は回転電機2の出力シャフト23から動力を確保する。本例では、出力シャフト23と機械式ポンプ42との間に、減速機11が配置される。
この場合のメリットは、出力シャフト23から動力を確保することで回転電機2の回転数に応じた冷媒を供給可能であり、冷却性能を最大化できる。一方、デメリットは、回転電機2の回転数と機械式ポンプ42の要求回転数の乖離が大きくなるため、機械式ポンプ42へ動力を伝達するための減速機11が大きくなることである。
図4は、本発明の第1実施例に係る回転電機2の冷却システム1について、ポンプ4の駆動源の変更例(第3変更例:変更例3)を示す概略図である。変速機103と組み合わされるシステムである場合、タイヤ102を駆動するドライブシャフト104から機械式ポンプ42の動力を確保してもよい。すなわち本例では、ポンプ4は機械式ポンプ42と電動ポンプ41とを備え、機械式ポンプ42はドライブシャフト104から動力を確保する。本例では、ドライブシャフト104と機械式ポンプ42との間に、減速機12が配置される。
この場合のメリットは、ドライブシャフト104から機械式ポンプ42の動力を確保するため、機械式ポンプ42用の減速機12を小さくすることができる。一方、デメリットは、車速と回転電機2の回転数が変速機103の状態により異なるため、最悪条件で冷却性能を確保できるようにするために機械式ポンプ42が大型化することである。
図1に戻って、冷媒流路7について説明する。冷媒流路7は、ポンプ4の吐出側に接続された吐出側冷媒流路部70と、固定子コア21Aに冷媒を供給する第1冷媒流路部71と、回転子22に冷媒を供給する第2冷媒流路部72と、固定子コア21Aを冷却した冷媒をコイルエンド21Bへ供給する第3冷媒流路部73と、固定子コア21Aを冷却した冷媒を第2冷媒流路部72へ供給する第4冷媒流路部74と、を含む。
第1冷媒流路部71は、吐出側冷媒流路部70の下流側端部である分岐点P1と、第1バルブ31と、の間に構成される冷媒流路部である。第1冷媒流路部71の上流側端部は吐出側冷媒流路部70の下流側端部P1に接続され、第1冷媒流路部71は吐出側冷媒流路部70と連通するように構成される。第1冷媒流路部71の下流側端部は第1バルブ31に接続される。
第1冷媒流路部71の一部71Aは固定子コア21Aの表面又は内部に設けられ、固定子コア冷却部71Aを構成する。第1冷媒流路部71により供給される冷媒は固定子コア冷却部71Aで固定子コア21A、すなわち固定子21を冷却する。
第2冷媒流路部72は、第2バルブ32と、回転子22に設けられた下流側端部P41,42,43,44と、の間に構成される冷媒流路部である。第2冷媒流路部72の上流側端部P2は第2バルブ32に接続される。第2バルブ32は分岐点P1と分岐点P2との間に設けられている。第2冷媒流路部72は第2バルブ32を介して吐出側冷媒流路部70に接続され、吐出側冷媒流路部70と連通するように構成される。
第2冷媒流路部72の一部72Aは回転電機2の出力シャフト23および回転子コア22Aの内部に設けられ、回転子冷却部72Aを構成する。第2冷媒流路部72により供給される冷媒は、出力シャフト23および回転子コア22Aを含む回転子22を、回転子冷却部72Aで冷却する。第2冷媒流路部72により供給された冷媒は、回転子冷却部72Aに供給されて回転子22を冷却した後、符号81で示すように、第2冷媒流路部72の下流側端部P41,42,43,44からコイルエンド21Bに滴下される。コイルエンド21Bに滴下された冷媒81は、コイルエンド21Bを冷却し、回転電機2のハウジング24内に溜まる。ハウジング24内に溜まった冷媒は排出口25から図示しない配管を通して冷媒貯留部5に回収される。
第3冷媒流路部73は、第1バルブ31と、固定子21の近傍に設けられた下流側端部P31,P32と、の間に構成される冷媒流路部である。第3冷媒流路部73は、第1バルブ31を介して第1冷媒流路部71に接続された場合に、第1冷媒流路部71から供給された冷媒を下流側端部(冷媒滴下部)P31,P32に導き、符号82で示すように、下流側端部P31,P32からコイルエンド21Bに滴下する。すなわち第3冷媒流路部73は、第1バルブ31とコイルエンド21Bへの冷媒滴下部P31,P32との間に設けられる。
第4冷媒流路部74は、第1バルブ31と第2冷媒流路部72の上流側端部(P2に相当する部位)との間に構成される冷媒流路部である。第2冷媒流路部72の上流側端部(P2に相当する部位)は、第2冷媒流路部72と第4冷媒流路部74とが接続される冷媒流路7の分岐点を構成する。第4冷媒流路部74の下流側端部は分岐点P2で第2冷媒流路部72の上流側端部に接続される。なお分岐点P2は、第2冷媒流路部72の上流側端部に設けられる必要はなく、第2冷媒流路部72の回転子22よりも上流側の部分に設けられていればよい。
切替機構3は、第1冷媒流路部71、第2冷媒流路部72、第3冷媒流路部73、第4冷媒流路部74の接続状態を切り替える。本実施例の切替機構3は、第1バルブ31と第2バルブ32とを含む2つのバルブで構成される。この場合、第1バルブ31は3ポートバルブで構成され、第2バルブ32は開閉バルブで構成される。切替機構3の第1バルブ31および第2バルブ32は、車速または回転電機2の回転数(回転速度)に応じて、電子制御装置6により開閉制御される。
電子制御装置(ECU)6は、第1バルブ31を制御するため、信号線E31で第1バルブ31と接続されている。電子制御装置(ECU)6は、第2バルブ32を制御するため、信号線E32で第2バルブ32と接続されている。
図5は、図1の回転電機2の冷却システム1について、冷媒流路7の接続態様を示す説明図である。なお図5において、(a)は低速域における冷媒流路7の接続態様を、(b)は中速域における冷媒流路7の接続態様を、(c)は高速域における冷媒流路7の接続態様を示す。
低速域、中速域および高速域は、次のように定義される。低速域は回転子22の冷却なしで回転電機2の冷却が成立する領域である。中速域は低速域と高速域の間の領域である。高速域は固定子21と回転子22との必要冷媒量合計がハウジング2からの冷媒排出能力限界(ポンプ吐出量上限)以上の領域である。
(a)の低速域にあっては、切替機構3は第1冷媒流路部71に冷媒を供給し、第2冷媒流路部72には冷媒を供給しない第1態様を実現する。この場合、第1バルブ31は第1冷媒流路部71と第3冷媒流路部73とを連通するように駆動され、第2バルブ32は閉じられる。第2バルブ32が閉じられることにより、冷媒吐出流路部70と第2冷媒流路部72とは遮断される。
(a)の低速域では、冷媒は第1冷媒流路部71の固定子コア冷却部71Aで固定子21を冷却した後、第1バルブ31を介して第3冷媒流路部73に供給され、第3冷媒流路部73の下流側端部P31,P32(図1参照)からコイルエンド21Bに滴下される。コイルエンド21Bに滴下された冷媒82(図1参照)は回転電機2のハウジング24内に溜まり、排出口25から図示しない配管を通して冷媒貯留部5に回収される。
(c)の高速域にあっては、切替機構3は第1冷媒流路部71の下流側端部と第2冷媒流路部72の回転子22よりも上流側の部分とを連通させる第2態様を実現する。この場合、第1バルブ31は第1冷媒流路部71と第3冷媒流路部73とを連通するように駆動され、第2バルブ32は閉じられる。第2バルブ32が閉じられることにより、冷媒吐出流路部70と第2冷媒流路部72とは遮断される。
(c)の高速域では、冷媒は第1冷媒流路部71の固定子コア冷却部71Aで固定子21を冷却した後、第3冷媒流路部73に供給されることなく、第1バルブ31を介して第2冷媒流路部72に供給される。第1冷媒流路部71から第2冷媒流路部72に供給された冷媒は回転子冷却部72Aで出力シャフト23を含む回転子72を冷却する。その後、冷媒は第2冷媒流路部72の下流側端部P41,42,43,44(図1参照)からコイルエンド21Bに滴下される。コイルエンド21Bに滴下された冷媒81(図1参照)はコイルエンド21Bを冷却し、回転電機2のハウジング24内に溜まる。ハウジング24内に溜まった冷媒は排出口25から図示しない配管を通して冷媒貯留部5に回収される。
(a)の低速域と(c)の高速域との中間域である(b)の中速域にあっては、切替機構3は第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72との各々に冷媒を供給する第3態様を実現する。この場合、第1バルブ31は第1冷媒流路部71と第3冷媒流路部73とを連通するように駆動され、第2バルブ32は開かれ、冷媒吐出流路部70と第2冷媒流路部72とを連通するように駆動される。
(b)の中速域では、冷媒は冷媒吐出流路部70から第1冷媒流路部71および第2冷媒流路部72のそれぞれに供給される。すなわち冷媒吐出流路部70から供給される冷媒は、分岐点P1から第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72とに分流する。
第1冷媒流路部71に供給された冷媒は固定子コア冷却部71Aで固定子21を冷却した後、第1バルブ31を介して第3冷媒流路部73に供給され、第3冷媒流路部73からコイルエンド21Bに滴下される。コイルエンド21Bに滴下された冷媒は回転電機2のハウジング24内に溜まり、排出口25から配管を通して冷媒貯留部5に回収される。これについては(a)の低速域での説明と同様である。
第2冷媒流路部72に供給された冷媒は回転子冷却部72Aで出力シャフト23を含む回転子72を冷却した後、コイルエンド21Bに滴下される。コイルエンド21Bに滴下された冷媒81(図1参照)はコイルエンド21Bを冷却し、回転電機2のハウジング24内に溜まる。ハウジング24内に溜まった冷媒は排出口25から配管を通して冷媒貯留部5に回収される。これについては(c)の高速域での説明と同様である。
構造が複雑なコイルエンド21Bでは、冷媒の粘性が低い方がコイルエンド21Bの細部まで冷媒が行き渡り、コイルエンド21Bから冷媒への熱伝達率が高くなる。図5(c)の接続態様では、固定子コア21Aで暖められた冷媒がコイルエンド21Bへ滴下あるいはスプレーされることになるため、コイルエンド21Bへ滴下あるいはスプレーされる冷媒の粘性が低くなる。このため図5(c)の接続態様は、高速域に限らず他の速度域にも用いることにより、コイルエンド21Bから冷媒への熱伝達率を高めて回転電機2の冷却性能を向上することができる。
次に、切替機構3に用いる第1バルブ31および第2バルブ32のノーマルオープンもしくはノーマルクローズの組み合わせについて説明する。
第1バルブ31および第2バルブ32の制御失陥時に回転電機2を熱的に保護する必要がある。このため、回転電機2の冷却性能が確保できるように、第1バルブ31および第2バルブ32のノーマルオープンもしくはノーマルクローズの組合せが選定される。
図5(b)の接続態様は、固定子21に冷媒を供給する第1冷媒流路部71と回転子22に冷媒を供給する第2冷媒流路部72とが並列に接続され、発熱部へ確実に冷媒を供給可能となり、理想的である。このため、第1バルブ31および第2バルブ32は両方ともノーマルオープンのバルブとすることが好ましい。なお、図1は第1バルブ31および第2バルブ32にノーマルオープンのバルブを使用し、電源を入れていない状態を図示しており、第1バルブ31および第2バルブ32がオープンした状態を示している。
本実施例の回転電機2の冷却システム1は、
固定子21と回転子22とを備える回転電機2の冷却システム1であって、
冷媒を供給する冷媒流路7と、冷媒流路7の態様を切り替える切替機構3と、冷媒流路7に冷媒を圧送するポンプ4と、を備え、
冷媒流路7は、固定子21のコア21Aに冷媒を供給する第1冷媒流路部71と、回転子22に冷媒を供給する第2冷媒流路部72と、を有し、
切替機構3は、第1冷媒流路部71に冷媒を供給し第2冷媒流路部72に冷媒を供給しない第1態様(図5(a))と、第1冷媒流路部71の下流と第2冷媒流路部72の上流とを連通させる第2態様(図5(c))と、を成すように構成される。
固定子21と回転子22とを備える回転電機2の冷却システム1であって、
冷媒を供給する冷媒流路7と、冷媒流路7の態様を切り替える切替機構3と、冷媒流路7に冷媒を圧送するポンプ4と、を備え、
冷媒流路7は、固定子21のコア21Aに冷媒を供給する第1冷媒流路部71と、回転子22に冷媒を供給する第2冷媒流路部72と、を有し、
切替機構3は、第1冷媒流路部71に冷媒を供給し第2冷媒流路部72に冷媒を供給しない第1態様(図5(a))と、第1冷媒流路部71の下流と第2冷媒流路部72の上流とを連通させる第2態様(図5(c))と、を成すように構成される。
この場合、第2態様(図5(c))では、第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72とが直列に接続され、固定子21を冷却した後の冷媒が回転子22に供給されて回転子22を冷却する。
さらに本実施例の回転電機2の冷却システム1では、
切替機構3は、第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72との各々に冷媒を供給する第3態様(図5(b))をなすように構成される。
切替機構3は、第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72との各々に冷媒を供給する第3態様(図5(b))をなすように構成される。
この場合、第3態様(図5(b))では、回転電機2に対して、第1冷媒流路部71と第2冷媒流路部72とが並列に接続され、回転子22を冷却する冷媒は固定子21を冷却する冷媒が供給される流路を通ることなく回転子22に供給される。
また本実施例の回転電機2の冷却システム1では、
回転電機2の低速域と、低速域よりも高い速度域である高速域と、低速域と高速域との間の中速域と、において、
第1態様(図5(a))は低速域において構成され、第2態様(図5(c))は高速域において構成され、第3態様(図5(b))は前記中速域において構成される。
回転電機2の低速域と、低速域よりも高い速度域である高速域と、低速域と高速域との間の中速域と、において、
第1態様(図5(a))は低速域において構成され、第2態様(図5(c))は高速域において構成され、第3態様(図5(b))は前記中速域において構成される。
また本実施例の回転電機2の冷却システム1では、
冷媒流路7は、固定子21のコイルエンド21Bに冷媒を供給する第3冷媒流路部73と、下流側端部が第2冷媒流路部72に連通するように設けられた第4冷媒流路部74と、を備え、
切替機構3は第1バルブ31と第2バルブ32とを備え、
第1バルブ31は、第1冷媒流路部71を第3冷媒流路部73に連通するように接続する接続態様と、第1冷媒流路部71を第4冷媒流路部74に連通するように接続する接続態様と、を切替可能に構成され、
第2バルブ32は、第2冷媒流路部72とポンプ4との間に配置され、第2冷媒流路部72をポンプ4の冷媒吐出流路70に第1冷媒流路部71を介することなく連通するように接続する接続態様と、この接続態様における接続を遮断する接続態様と、を切替可能に構成される。
冷媒流路7は、固定子21のコイルエンド21Bに冷媒を供給する第3冷媒流路部73と、下流側端部が第2冷媒流路部72に連通するように設けられた第4冷媒流路部74と、を備え、
切替機構3は第1バルブ31と第2バルブ32とを備え、
第1バルブ31は、第1冷媒流路部71を第3冷媒流路部73に連通するように接続する接続態様と、第1冷媒流路部71を第4冷媒流路部74に連通するように接続する接続態様と、を切替可能に構成され、
第2バルブ32は、第2冷媒流路部72とポンプ4との間に配置され、第2冷媒流路部72をポンプ4の冷媒吐出流路70に第1冷媒流路部71を介することなく連通するように接続する接続態様と、この接続態様における接続を遮断する接続態様と、を切替可能に構成される。
図6は、本発明に係る回転電機2の冷却システム1における、車速と冷媒供給量との関係を示す図である。
電動ポンプ41は、機械式ポンプ42と合わせた冷媒吐出量が固定子21と回転子22との冷媒必要量を上回る速度まで、動作させる。すなわち電動ポンプ41の吐出量は機械式ポンプ42の吐出量との合計が必要最低限な冷媒量(固定子+回転子冷媒必要量)となる様に制御される。低速域では直流損が支配的であり損失の多くが固定子21に生じる。低速域では固定子21のみに冷媒を供給することで、小型ポンプでも冷却に必要な冷媒量が確保可能となる。
中速域では、冷媒流路(第1冷媒流路部71および第2冷媒流路部72)の並列化により電費向上を図る。最も走行頻度の高い中速域における機械式ポンプ42のトルク損失を最小化するため、中速域では固定子21と回転子22の冷媒流路(第1冷媒流路部71および第2冷媒流路部72)が並列となる様に、切替機構3を開閉する。冷媒流路を並列とすることで圧力損失が低減するため、機械式ポンプ42の損失を低減できる。
高速域では、可変容量機械式ポンプ42の油圧制御による電費向上を図る。高速域では機械式ポンプ42の吐出量がハウジング24の冷媒排出能力(冷媒排出限界)を上回り、回転電機2のギャップに冷媒が入ることによるフリクションが発生する。そこで、高速域では可変容量機械式ポンプ42の吐出量をハウジング24の冷媒排出能力を超えないように制限する。このとき、可変容量機械式ポンプ42の吐出量(≒ハウジング24の冷媒排出能力)が固定子21と回転子22との冷媒必要量を下回る場合は、固定子21と回転子22との冷媒流路(第1冷媒流路部71および第2冷媒流路部72)が直列となる様に切替機構3を開閉することで、可変容量機械式ポンプ42の吐出量(≒ハウジング24の冷媒排出能力)での冷却を成立させる。すなわち高速域では、固定子21と回転子22との冷媒流路(第1冷媒流路部71および第2冷媒流路部72)を直列とすることで、冷却に必要な冷媒量を並列時よりも低減できるため、冷媒排出能力内で冷却性能を実現することができる。
図7は、本発明の第1実施例に係る回転電機2の冷却システム1について、切替機構3の変更例(第4変更例:変更例4)を示す概略構成図である。
切替機構3は、第1実施例の第1バルブ31と第1バルブ32とによる構成に限定されない。例えば、実施例1に示した第1バルブ31は2個のバルブ311,312に分けて構成することができ、本例の切替機構3は3個のバルブで構成される。すなわち本例の第1バルブ31は第3バルブ311と第4バルブ312とで構成される。第3バルブ321と第4バルブ322とは開閉バルブで構成することができる。
本例では、第1冷媒流路部71の下流部は分岐点P5で2つの分岐流路部71A,71Bに分岐される。第1分岐流路部71Aは、第3バルブ311を介して第3冷媒流路部73に連通するように、第3バルブ311に接続される。第2分岐流路部71Bは、第4バルブ312を介して第4冷媒流路部74に連通するように、第4バルブ312に接続される。
すなわち本例の回転電機2の冷却システム1は、
第1バルブ31は、第3バルブ311と第4バルブ312の2つのバルブで構成され、
第1冷媒流路部71は、下流部が、第3バルブ311に接続される第1分岐流路部71Bと、第4バルブに接続される第2分岐流路部71Cと、に分岐し、
第3バルブ311は、第1分岐流路部71Bと第3冷媒流路部73との接続を開閉するように構成され、
第4バルブ312は、第2分岐流路部71Cと第2冷媒流路部72との接続を開閉するように構成される。
第1バルブ31は、第3バルブ311と第4バルブ312の2つのバルブで構成され、
第1冷媒流路部71は、下流部が、第3バルブ311に接続される第1分岐流路部71Bと、第4バルブに接続される第2分岐流路部71Cと、に分岐し、
第3バルブ311は、第1分岐流路部71Bと第3冷媒流路部73との接続を開閉するように構成され、
第4バルブ312は、第2分岐流路部71Cと第2冷媒流路部72との接続を開閉するように構成される。
図7に示すように、電子制御装置(ECU)6は、第2バルブ32を制御するため、信号線E32で第2バルブ32と接続されている。電子制御装置(ECU)6は、第3バルブ311を制御するため、信号線E311で第3バルブ311と接続されている。電子制御装置(ECU)6は、第4バルブ312を制御するため、信号線E312で第4バルブ312と接続されている。
本例の場合、第3バルブ311、第4バルブ312および第2バルブ32の制御失陥時に回転電機2を熱的に保護するため、第3バルブ311および第2バルブ32はノーマルオープンとし、第4バルブ312はノーマルクローズとすることが好ましい。なお図7は、第3バルブ311および第2バルブ32にノーマルオープンのバルブを使用すると共に、第4バルブ312にノーマルクローズのバルブを使用し、電源を入れていない状態を図示しており、第1バルブ31および第2バルブ32がオープンし、第4バルブ312がクローズした状態を示している。
コストの観点から全て同じバルブを採用する場合がある。この場合は、バルブ制御失陥時に冷却性能が確保できるように、ノーマル状態での各流路圧損の大小関係を決定するとよい。図7の場合、例えば第3バルブ311、第4バルブ312および第2バルブ32を全てノーマルオープンとし、すべてのバルブ311,312,32がオープンの場合に特定の冷媒経路に冷媒が流れるよう圧損設計を行うとよい。
図8は、図7の回転電機の冷却システムについて、各速度域におけるバルブの開閉状態を示す図である。
図8に示すように、第2バルブ32、第3バルブ321および第4バルブ322は走行モード(車速域)に応じて電子制御装置6からの制御信号により制御され、冷媒流路7の接続態様が切り替えられる。
図9は、本発明の第1実施例に係る回転電機2の冷却システム1について、切替機構3の変更例(第5変更例:変更例5)を示す概略構成図である。
図7の切替機構3において、複数のバルブ32,311,312は、一部あるいは全てのバルブを一体のユニットとして構成してもよい。例えば図1の切替機構3では、図7の切替機構3における第3バルブ311および第4バルブ312を一体のユニット(第1バルブ31)として構成した例である。
図9では、図7のバルブ32,311,312の全てのバルブを一体のユニット(バル部3)として構成している。複数のバルブをまとめて一体のユニットとすることにより、部品点数を削減することができ、冷却システム1の組立が容易になる。
図10は、本発明に係る回転電機2の冷却システム1において、電動式ポンプ41の稼働域を変更した場合の、車速と冷媒供給量との関係を示す図である。
機械式ポンプ42の吐出能力に余裕がある場合は、図10に示すように電動ポンプ41の稼働領域を少なくして、電費を向上するとよい。本例では、電動ポンプ41の稼働領域は低速域における固定子21のみを冷却する範囲に制限されている。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…回転電機2の冷却システム、2…回転電機、3…切替機構、4…ポンプ、7…冷媒流路、21…固定子、21A…固定子21のコア(固定子コア)、21B…固定子21のコイルエンド、22…回転子、23…回転電機2の出力シャフト、31…第1バルブ、32…第2バルブ、41…電動ポンプ、42…機械式ポンプ、70…ポンプ4の冷媒吐出流路、71…第1冷媒流路部、71B…第1冷媒流路部71の第1分岐流路部、71C…第1冷媒流路部71の第2分岐流路部、72…第2冷媒流路部、73…第3冷媒流路部、74…第4冷媒流路部、101…減速機、104…ドライブシャフト、311…第3バルブ、312…第4バルブ。
Claims (10)
- 固定子と回転子とを備える回転電機の冷却システムであって、
冷媒を供給する冷媒流路と、前記冷媒流路の態様を切り替える切替機構と、前記冷媒流路に冷媒を圧送するポンプと、を備え、
前記冷媒流路は、前記固定子のコアに冷媒を供給する第1冷媒流路部と、前記回転子に冷媒を供給する第2冷媒流路部と、を有し、
前記切替機構は、前記第1冷媒流路部に冷媒を供給し前記第2冷媒流路部に冷媒を供給しない第1態様と、前記第1冷媒流路部の下流と前記第2冷媒流路部の上流とを連通させる第2態様と、を成すように構成された回転電機の冷却システム。 - 請求項1に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記第2態様では、前記第1冷媒流路部と前記第2冷媒流路部とが直列に接続され、前記固定子を冷却した後の冷媒が前記回転子に供給されて前記回転子を冷却する回転電機の冷却システム。 - 請求項2に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記切替機構は、前記第1冷媒流路部と前記第2冷媒流路部との各々に冷媒を供給する第3態様をなすように構成された回転電機の冷却システム。 - 請求項3に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記第3態様では、前記回転電機に対して、前記第1冷媒流路部と前記第2冷媒流路部とが並列に接続され、前記回転子を冷却する冷媒は前記固定子を冷却する冷媒が通る流路とは異なる流路前記回転子に供給される回転電機の冷却システム。 - 請求項4に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記回転電機の低速域と、前記低速域よりも高い速度域である高速域と、前記低速域と前記高速域との間の中速域と、において、
前記第1態様は前記低速域において構成され、前記第2態様は前記高速域において構成され、前記第3態様は前記中速域において構成される回転電機の冷却システム。 - 請求項5に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記冷媒流路は、前記固定子のコイルエンドに冷媒を供給する第3冷媒流路部と、下流側端部が前記第2冷媒流路部に連通するように設けられた第4冷媒流路部と、を備え、
前記切替機構は第1バルブと第2バルブとを備え、
前記第1バルブは、前記第1冷媒流路部を前記第3冷媒流路部に連通するように接続する接続態様と、前記第1冷媒流路部を前記第4冷媒流路部に連通するように接続する接続態様と、を切替可能に構成され、
前記第2バルブは、前記第2冷媒流路部と前記ポンプとの間に配置され、前記第2冷媒流路部を前記ポンプの冷媒吐出流路に前記第1冷媒流路部を介することなく連通するように接続する接続態様と、この接続態様における接続を遮断する接続態様と、を切替可能に構成された回転電機の冷却システム。 - 請求項6に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記第1バルブは、第3バルブと第4バルブの2つのバルブで構成され、
前記第1冷媒流路部は、下流部が、第3バルブに接続される第1分岐流路部と、第4バルブに接続される第2分岐流路部と、に分岐し、
前記第3バルブは、前記第1分岐流路部と前記第3冷媒流路部との接続を開閉するように構成され、
前記第4バルブは、前記第2分岐流路部と前記第2冷媒流路部との接続を開閉するように構成された回転電機の冷却システム。 - 請求項7に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記ポンプは、機械式ポンプと電動ポンプとを備え、
前記機械式ポンプは、前記回転電機とドライブシャフトとの間に設けられる減速機の軸から動力を確保する回転電機の冷却システム。 - 請求項7に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記ポンプは、機械式ポンプと電動ポンプとを備え、
前記機械式ポンプは、前記回転電機の出力シャフトから動力を確保する回転電機の冷却システム。 - 請求項7に記載の回転電機の冷却システムであって、
前記ポンプは、機械式ポンプと電動ポンプとを備え、
前記機械式ポンプは、ドライブシャフトから動力を確保する回転電機の冷却システム。
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