JP7559793B2 - 電動機の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動力源として車両に搭載される電動機の冷却装置に関する。
駆動力源として車両に搭載される電動機の冷却装置として、様々な態様が提案されている。例えば、特許文献1には、電動機の鉛直上方に冷却パイプを配置し、冷却パイプに形成された噴出穴から電動機のステータコイルに向かって冷媒を噴出する、電動機の冷却装置が記載されている。
特開2007-209160号公報
ところで、車両走行中に、前後加速度、左右加速度、上下加速度が変化すると、冷却パイプから噴出される冷媒の噴出方向が変わってしまい、噴出穴から噴出された冷媒が、ステータコイルの適切な部位に掛からなくなる虞がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両走行中の車両挙動の変化に拘わらず、電動機の上方から噴出された冷媒を、電動機のステータコイルの適切な部位に掛けることができる電動機の冷却装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)駆動力源として車両に搭載され、ステータコアおよび前記ステータコアに巻き掛けられたステータコイルを備えた電動機に適用され、前記ステータコイルに向かって冷媒を噴出する電動機の冷却装置であって、(b)車両搭載状態において鉛直線の方向で前記電動機よりも上方に設けられ、冷媒が噴出される噴出穴が形成された冷却パイプと、(c)車両の加速度情報を検出または推定する加速度情報取得部と、(d)前記加速度情報に基づいて、前記冷却パイプに供給される冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部と、を備え、(e)前記冷却パイプの噴出穴は、冷媒の流量に応じて前記噴出穴から噴出される冷媒の噴出方向を調整可能に形成されていることを特徴とする。
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記噴出穴は、車両搭載状態において、前記噴出穴の向きが鉛直線に対して傾斜するようにして形成されていることを特徴とする。
第3発明の要旨とするところは、第1発明において、前記冷却パイプには、電動オイルポンプから吐出される冷媒が供給されるように構成されていることを特徴とする。
第4発明の要旨とするところは、第1発明において、前記電動機は、車両の車輪に備えられたインホイールモータであることを特徴とする。
第1発明によれば、冷却パイプに形成される噴出穴が、冷媒の流量に応じて冷媒の噴出方向を調整可能に構成され、車両の加速度情報に基づいて冷却パイプに供給される冷媒の流量が変更されるため、加速度情報に応じて冷媒の流量が適切に調整されることで、車両挙動の変化に拘わらず、冷媒の噴出方向を常に適切な状態に維持し、冷媒をステータコイルの適切な範囲に掛けることができる。
第2発明によれば、噴出穴は、車両搭載状態において、噴出穴の向きが鉛直線に対して傾斜するようにして形成されているため、冷却パイプに供給される冷媒の流量を調整することで、冷媒の噴出方向を適宜調整することが可能になる。
第3発明によれば、冷却パイプには、電動オイルポンプから吐出される冷媒が供給されるように構成されているため、電動オイルポンプから吐出される冷媒の吐出量を調整することで、冷却パイプに供給される冷媒の油量を調整することができる。
第4発明によれば、電動機が車両の車輪に備えられたインホイールモータであるため、車輪に備えられた電動機毎に冷却パイプの油量を調整することで、各冷却パイプから噴出される冷媒の噴出方向を、各々の車輪の挙動に応じて適切に調整することができる。
本発明の一実施例である車両の概要を示す全体図である。 図1のモータ駆動装置の構造を説明する断面図である。 図2の冷却パイプの噴出穴から噴出される、冷却油の噴出方向を示す図である。 図3に対して、冷却パイプに供給される冷却油の油量が少ない場合を示す図である。 図3に対して、冷却パイプに供給される冷却油の油量が多い場合を示す図である。 冷却パイプの噴出穴から噴出される冷却油の噴出方向を説明する他の図である。 冷却パイプの噴出穴から噴出される冷却油の噴出方向を説明するさらに他の図である。 電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両10の概要を示す全体図である。車両10は、前輪12L、12Rおよび後輪14L、14Rにそれぞれ駆動力源として内蔵されたインホイールモータ駆動装置16FL、16FR、16RL、16RRが駆動されることによって、前輪12L、12Rおよび後輪14L、14Rが駆動される四輪駆動形式の電気自動車である。各インホイールモータ駆動装置16FL、16FR、16RL、16RR(以下、各モータ駆動装置16)については後述する。
各モータ駆動装置16は、フロントインバータ18F(FrINV)またはリヤインバータ18R(RrINV)を介してバッテリ20に接続されており、フロントインバータ18Fまたはリヤインバータ18Rを介してバッテリ20から供給される電力によって走行用の動力を発生させる。
フロントインバータ18Fおよびリヤインバータ18Rは、電子制御装置22からの制御指令信号Smfl、Smfr、Smrl、Smrrに基づいて、各モータ駆動装置16に備えられる後述する各電動機MGの作動状態を制御する。
電子制御装置22は、車両10の走行状態に応じて、各モータ駆動装置16に備えられる各電動機MGの駆動状態を制御したり、各モータ駆動装置16に備えられた電動オイルポンプ24FL、24FR、24RL、24RR(以下、各電動オイルポンプ24)の駆動状態を制御したりする。
電子制御装置22には、例えば各車輪(前輪12L、12Rおよび後輪14L、14R)にそれぞれ設けられた各加速度センサ28FL、28FR、28RL、28RRによって検出される、各車輪の加速度情報Afl、Afr、Arl、Arrなどが供給される。なお、各加速度情報Afl、Afr、Arl、Arrは、それぞれ各車輪における前後加速度Gfr、左右加速度Glr、および上下加速度Gudを含んでいる。
また、電子制御装置22は、例えば、各種センサによって検出される各種情報に基づいて各モータ駆動装置16に備えられる電動機MGの要求出力を算出し、算出された要求出力が電動機MGから出力されるようにフロントインバータ18Fおよびリヤインバータ18Rに制御指令信号Smfl、Smfr、Smrl、Smrrを出力する。
図2は、走行用の駆動力源として車両10に搭載されている各モータ駆動装置16の構造を説明する断面図である。モータ駆動装置16は、図示しないケーシング内に電動機MGおよび歯車減速機構32を備えている。電動機MGのロータ軸34から出力される駆動力は、歯車減速機構32を介してホイール軸36に伝達され、さらに、ホイール軸36とホイールハブ38とのスプライン嵌合を経由して、ホイールハブ38に締結された各車輪(図2では図示せず)に伝達される。電動機MGは、各車輪に備えられてそれぞれの車輪を駆動させる、所謂インホイールモータとして機能する。
電動機MGおよび歯車減速機構32は、ケーシングに収容されている。本実施例では、電動機MGの回転中心である回転軸線C1が車両10の幅方向と平行になるように配置されている。すなわち、電動機MGは、車両10の進行方向に対して横置きに配置されている。
電動機MGは、回転軸線C1を中心にして配置されている。電動機MGは、ステータ40とロータ42とを備えている。ステータ40は、複数枚の電磁鋼板が積層されて円筒状に構成されるステータコア46、および、ステータコア46に巻き掛けられているステータコイル48、を備えている。
ステータコア46は、円筒状に形成され、ケーシングにボルト等で回転不能に固定されている。ステータコア46の内周面には、回転軸線C1方向に貫通する隙間である複数のスロットが形成されており、ステータコイル48は、そのスロット内を通ってステータコア46に巻き掛けられている。また、ステータコイル48がステータコア46に巻き掛けられることによって、ステータコア46から回転軸線C1方向に突き出す一対のコイルエンド50a、50bが形成される。
ロータ42は、ステータ40の内周側に配置されている。ロータ42は、回転軸線C1を中心にして回転可能に支持されているロータ軸34と、ロータ軸34の外周面に固定されているロータコア52と、を備えている。ロータ軸34は、軸受54、軸受56、軸受58を介して回転軸線C1を中心にして回転可能に支持されている。ロータコア52は、複数枚の電磁鋼板が積層されて円筒状に形成されている。ロータコア52の内周面がロータ軸34の外周面に固定されることで、ロータコア52およびロータ軸34は、回転軸線C1を中心にして一体的に回転する。ロータ軸34の回転軸線C1方向でホイールハブ38側には、斜歯歯車からなるドライブピニオン60が固定されている。
歯車減速機構32は、ドライブピニオン60と、ドライブピニオン60と噛み合う斜歯歯車からなるドリブン歯車62と、を備えている。ドライブピニオン60の回転軸線C1の両端は、ロータ軸34を支持する2個の軸受56、58によって回転軸線C1を中心にして回転可能に支持されている。また、ホイール軸36は、軸受64および軸受66によって、回転軸線C1に平行な回転軸線C2を中心にして回転可能に支持されている。
車両搭載状態における鉛直線の方向で電動機MGよりも上方には、回転軸線C1に対して平行に配置された冷却パイプ68が設けられている。なお、車両搭載状態は、車両10が水平面上にある状態を前提とする。
冷却パイプ68は、車両搭載状態において水平面に対して平行に配置される。冷却パイプ68には、冷却パイプ68内に供給された冷媒としての冷却油が噴出される噴出穴70a、70bが形成されている。噴出穴70a、70bから噴出された冷却油は、電動機MGの上方から電動機MGのコイルエンド50a、50bに向かうように設定されている。冷却パイプ68には、各モータ駆動装置16に内蔵された各電動オイルポンプ24から吐出された冷却油が供給されるように構成されている。冷却パイプ68および電動オイルポンプ24を含んで、電動機MGを構成するステータコイル48のコイルエンド50a、50bに冷却油を噴出する冷却装置72が構成される。
図3は、図2の冷却パイプ68の噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向を説明する図である。なお、図3では、電動機MGおよび冷却パイプ68が簡略化されて示され、実際の寸法とは異なっている。また、図3は、車両が水平面上にある車両搭載状態での配置関係が示されており、紙面上下方向が鉛直線の方向に対応し、紙面左右方向が車幅方向に対応している。図3に示すように、鉛直線の方向で電動機MGの上方には、回転軸線C1に対して平行な冷却パイプ68が配置されている。冷却パイプ68は、車両搭載状態において水平面と平行になる。
冷却パイプ68には、コイルエンド50a、50bに向かって冷却油を噴出させるための噴出穴70a、70bが形成されている。噴出穴70a、70bは、車両搭載状態において、穴の向き(方向)が鉛直線に対して車幅方向(図3において紙面右側)に傾斜している。具体的には、噴出穴70a、70bは、噴出穴70a、70bの向き(方向)に沿った直線CL1が、鉛直線VL1に対して所定角θ1だけ車幅方向に傾斜するようにして形成されている。なお、直線CL1は、噴出穴70a、70bの中心を通る直線に相当する。
上記のように噴出穴70a、70bの向きが鉛直線に対して傾斜するように形成されることで、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油は、鉛直線VL1の方向に対して傾いた方向に噴出される。図3は、車両10の左右加速度Glrがゼロである状態を示している。このとき、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Q(すなわち冷却油の流量)が、予め設定されている基準油量Qstとすることで、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油が、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛かることとなる。言い換えれば、冷却油の油量Qの基準油量Qstは、予め実験的または設計的に求められ、車両10の左右加速度Glrがゼロであるとき、噴出穴70a、70bから噴出された冷却油が、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛かる値とされている。
ここで、図3に示す左右加速度Glrがゼロの状態において、例えば旋回走行時に左右加速度Glrが発生すると、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向が変化し、冷却油の掛かる位置がコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲から外れる虞がある。これに対して、電子制御装置22は、前輪12L、12R(以下、各前輪12)および後輪14L、14L(以下、各後輪14)のそれぞれに取り付けられた各加速度センサ28FL、28FR、28RL、28RR(以下、各加速度センサ28)から検出される加速度情報に基づいて冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが調整されるように構成されている。
図4は、図3に示す状態に比べて、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが少ない場合を示している。図4の上段は、車両10の左右加速度Glrがゼロである状態を示し、図4の下段は、車両10の車幅方向で左側への左右加速度Glrが発生した場合を示している。
図4の上段に示すように、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが少ない場合(小油量)には、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が低くなるため、矢印で示すように、冷却油が各コイルエンド50a、50bの回転軸線C1方向の中心に対して車幅方向の右側(紙面右側)にずれた位置に掛かっている。この状態から車幅方向の左側への左右加速度Glrが発生した場合には、冷却油に車幅方向で左側への力が作用する。このとき、図4の下段に示すように、噴出された冷却油に車幅方向で左側への力が作用するため、冷却油の噴出方向が破線の矢印で示す状態から実線の矢印で示す状態に変化する。すなわち、図4の下段に示すように、冷却油の噴出方向が車幅方向の左側にずれることとなる。その結果、図3に示す左右加速度Glrがゼロの場合と同様に、冷却油が各コイルエンド50a、50bの回転軸線C1方向で中心の位置に掛かることとなる。
図5は、図3に示す状態に比べて、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが多い場合(大油量)を示している。図5の上段は、車両10の左右加速度Glrがゼロである場合を示し、図5の下段は、車両10の車幅方向で右側への左右加速度Glrが発生した場合を示している。
図5の上段に示すように、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが多い場合(大油量)には、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が高くなるため、矢印で示すように、冷却油が各コイルエンド50a、50bの回転軸線C1方向の中心に対して車幅方向の左側(紙面左側)にずれた位置に掛かっている。この状態から車幅方向で右側への左右加速度Glrが発生した場合には、冷却油に車幅方向で右側への力が作用する。このとき、図5の下段に示すように、噴出された冷却油に車幅方向で右側への力が作用するため、冷却油の噴出方向が破線の矢印で示す状態から実線の矢印で示す状態に変化する。すなわち、図5の下段に示すように、冷却油の噴出方向が車幅方向の右側にずれることとなる。その結果、図3に示す左右加速度Glrがゼロの場合と同様に、冷却油が、各コイルエンド50a、50bの回転軸線C1方向の中心の位置、すなわち冷却に最適な位置に掛かることとなる。
上記に基づいて、電子制御装置22は、車両10の左右加速度Glrがゼロの場合には、冷却油の油量Qを予め設定されている基準油量Qstとすることで、冷却油の噴出方向を図3に示す状態にする。また、電子制御装置22は、車両10の左右加速度Glrが車幅方向で左側に作用する場合には、冷却油の油量Qを基準油量Qstよりも少なくすることで、冷却油の噴出方向を、図4の下段における実線の矢印で示す状態とする。さらに、電子制御装置22は、車両10の前後加速度が車幅方向で右側に作用する場合には、冷却油の油量Qを基準油量Qstよりも多くすることで図5の下段における実線の矢印で示す状態とする。このように、噴出穴70a、70bは、冷却油の油量Qに応じて噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向を車幅方向に調整可能に構成され、電子制御装置22は、車両10の左右加速度Glrに応じて冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整することで、左右加速度Glrの変化に拘わらず、冷却油を各コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛けることを可能にする。
図3~図5は、車両10の左右加速度Glrの変化に応じた態様が示されているが、車両10の前後加速度Gfr、上下加速度Gudについても適用することができる。図6は、図3と同様に、冷却パイプ68の噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向を説明する図である。図6の実線で示す矢印は、冷却油の油量Qが基準油量Qstであって、上下加速度Gudがゼロのときの冷却油の噴出方向を示している。また、破線で示す矢印は、冷却油の油量Qが基準油量Qstであって、車両10に鉛直上方への上下加速度Gudが作用した場合の冷却油の噴出方向を示ている。また、一点鎖線で示す矢印は、冷却油の油量Qが基準油量Qstであって、車両10に鉛直下方への上下加速度Gudが作用した場合の冷却油の噴出方向を示している。
車両10に鉛直上方への上下加速度Gudが作用した場合には、破線の矢印で示すように冷却油の噴出方向が上向きになり、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に冷却油が掛からなくなる。これに対して、電子制御装置22は、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを減少させる。その結果、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が低下することで、冷却油の噴出方向が実線で示す矢印となり、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に冷却油が掛かることとなる。
また、車両10に鉛直下方への上下加速度Gudが作用した場合には、一点鎖線の矢印で示すように冷却油の噴出方向が下向きになり、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に冷却油がかからなくなる。これに対して、電子制御装置22は、冷却パイプ68に供給される冷却油の吐出量を増加させる。その結果、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が上昇することで、冷却油の噴出方向が実線で示す矢印となり、コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に冷却油が掛かることとなる。
このように、電子制御装置22は、車両10の上下加速度Gudに応じて冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整することで、上下加速度Gudの変化に拘わらず、冷却油を各コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛けることを可能にする。
同様に、前後加速度Gfrについても適用することができる。図7は、電動機MGおよび冷却パイプ68を回転軸線C1から見た図である。図7において、紙面上方が鉛直上方に対応し、紙面左側が車両前方に対応する。また、図7では、電動機MGのコイルエンド50a側が示されているが、コイルエンド50b側についても同様に構成されている。
図7に示すように、冷却パイプ68は、電動機MGの回転軸線C1を通る鉛直線VL2に対して水平線の方向で距離Eだけ離れた位置に配置している。また、噴出穴70a、70bは、噴出穴70a、70bの向き(方向)が鉛直線に対して傾斜している。具体的には、噴出穴70a、70bは、噴出穴70a、70bの向き(方向)に沿った直線CL2が、冷却パイプ68の中心点CTを通る鉛直線VL3に対して所定角θ2だけ車両前後方向に傾斜している。なお、直線CL2は、噴出穴70a、70bの中心を通る直線に相当する。このように、噴出穴70a、70bの向きに沿った直線CL2が鉛直線VL3に対して傾斜することで、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qに応じて、冷却油の噴出方向を車両前後方向に調整することが可能になる。
図7において、実線の矢印が、前後加速度Gfrがゼロの状態での冷却油の噴出方向を示している。冷却油が実線の矢印で示す方向に噴出されることで冷却油がコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛かることとなる。このときの冷却油の油量Qは、前記基準油量Qstに対応する。
図7の破線で示す矢印は、冷却パイプ68に供給される油量Qを、基準油量Qstよりも増加させた場合の冷却油の噴出方向を示している。このとき、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が高くなるため、破線の矢印で示すように冷却油の噴出方向が上向きになる。図7の一点鎖線で示す矢印は、冷却パイプ68に供給される油量Qを、基準油量Qstよりも減少させた場合の冷却油の噴出方向を示している。このとき、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の速度が低くなるため、一点鎖線の矢印で示すように冷却油の噴出方向が下向きになる。
上記を考慮して、電子制御装置22は、車両後方への前後加速度Gfrが発生している場合、冷却油の油量Qを基準油量Qstよりも増加させる。その結果、噴出された冷却油に車両後方に作用する力が合わさることで、冷却油の噴出方向が実線で示す矢印となる。また、電子制御装置22は、車両前方への前後加速度Gfrが発生している場合、冷却油の油量Qを基準油量Qstよりも減少させる。その結果、噴出された冷却油に車両前方に作用する力が合わさることで、冷却油の噴出方向が実線で示す矢印となる。
このように、電子制御装置22は、車両10の前後加速度Gfrに応じて冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整することで、上下加速度Gudの変化に拘わらず、冷却油を各コイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛けることを可能にする。
図1に戻り、電子制御装置22は、車両挙動の変化(すなわち車両10の前後加速度Gfr、左右加速度Glr、上下加速度Gud)に拘わらず、潤滑油を電動機MGのコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛けるために実行される、加速度情報取得部80および冷却油量調整部82を機能的に備えている。なお、冷却油量調整部82が、本発明の冷媒流量調整部に対応している。
加速度情報取得部80は、各前輪12および各後輪14に取り付けられている加速度センサ28から、各車輪(各前輪12および各後輪14)毎の加速度情報(前後加速度Gfr、左右加速度Glr、上下加速度Gud)を取得する。
冷却油量調整部82は、各車輪の加速度情報が取得されると、取得された加速度情報に基づいて、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向が、最適範囲を逸脱しているか否かが判定される。冷却油量調整部82は、例えば車両10の前後加速度Gfr、左右加速度Glr、上下加速度Gudの各々の許容範囲の閾値を記憶しており、各加速度の何れかが許容範囲の閾値から外れた場合、最適範囲を逸脱するものと判定する。各加速度の許容範囲の閾値は、予め実験的または設計的に求められ、噴出穴70a、70bから噴出された冷却油がコイルエンド50a、50bの冷却に最適とされる範囲に掛かる閾値に設定されている。
冷却油量調整部82は、冷却油の噴出方向が最適範囲を逸脱していると判定されると、取得された加速度情報に基づいて、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整する。ここで、冷却パイプ68に供給される冷却油は、各電動オイルポンプ24から吐出される冷却油であるため、冷却油量調整部82は、実質的には、各電動オイルポンプ24の吐出量Qopを調整することによって、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整する。
冷却油量調整部82は、車両10の前後加速度Gfr、左右加速度Glr、および上下加速度Gudをパラメータとする、電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprを決定する関係マップを記憶しており、各車輪毎に取得された加速度情報を前記関係マップに適用することによって、各車輪毎の電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprを決定する。なお、電動オイルポンプ24の吐出量Qopは、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qと実質的に同じである。
前記関係マップは、予め実験的または設計的に求められて記憶され、車両挙動の変化すなわち各加速度の変化に拘わらず、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油がコイルエンド50a、50bの冷却に適切な位置に掛かるように、電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprが設定されている。例えば各加速度がゼロの場合には、関係マップは、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが基準油量Qstとなるように設定されている。また、関係マップは、例えば左右加速度Glrが図4の下段に示すような車幅方向で左側に作用している場合には、冷却油の油量Qが基準油量Qstよりも少なくなるように設定されている。また、関係マップは、例えば左右加速度Glrが図5の下段に示すような車幅方向で右側に作用している場合には、冷却油の油量Qが基準油量Qstよりも多くなるように設定されている。
冷却油量調整部82は、関係マップに基づく電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprを決定すると、電動オイルポンプ24から吐出される冷却油の吐出量Qopを求められた要求吐出量Qoprに制御する。上記のように制御されることで、車両挙動に変化(すなわち各加速度の変化)が生じても、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが調整されることで、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向が適切な状態に維持される。その結果、車両挙動の変化に拘わらず、冷却油がコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛かることなる。また、各車輪に設けられる電動オイルポンプ24毎に要求吐出量Qoprが算出されることで、各冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが各車輪の状態に応じた最適な値となり、各電動機MGのコイルエンド50a、50bの冷却効率が一層高くなる。
図8は、電子制御装置22の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、車両挙動の変化すなわち各加速度Gの変化に拘わらず、電動機MGのコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に冷却油を掛けることができる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、車両走行中において繰り返し実行される。
先ず、加速度情報取得部80の制御機能に対応するステップ(以下、ステップを省略)S10では、各車輪に設けられている各加速度センサ28から、車両挙動としての前後加速度Gfr、左右加速度Glr、上下加速度Gudが取得される。次いで、冷却油量調整部82の制御機能に対応するS20では、取得された各加速度G(上下加速度Gud、左右加速度Glr、前後加速度Gfr)が各々に規定されている範囲内か否かに基づいて、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向が冷却に最適な範囲を逸脱しているか否かが判定される。S20の判定が否定された場合、電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprが予め規定されている基準量(すなわち基準油量Qst)に設定される。一方、S20の判定が肯定された場合、冷却油量調整部82の制御機能に対応するS30において、取得された加速度情報を予め規定されている関係マップに適用することで、噴出穴70a、70bから噴出される冷却油の噴出方向が適切となる冷却油の要求吐出量Qoprが求められ、求められた要求吐出量Qoprとなるように各電動オイルポンプ24が制御される。
上述のように、本実施例によれば、冷却パイプ68に形成される噴出穴70a、70bが、冷却油の油量Qに応じて冷却油の噴出方向を調整可能に構成され、車両10の加速度情報(前後加速度Gfr、左右加速度Glr、上下加速度Gud)に基づいて冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qが変更されるため、加速度情報に応じて冷却油の油量Qが適切に調整されることで、車両挙動の変化に拘わらず、冷却油の噴出方向を常に適切な状態に維持し、冷却油をコイルエンド50a、50bの冷却に最適な範囲に掛けることができる。
また、本実施例によれば、噴出穴70a、70bは、車両搭載状態において、噴出穴の向きが鉛直線に対して傾斜するようにして形成されているため、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整することで、冷却油の噴出方向を適宜調整することが可能になる。また、冷却パイプ68には、電動オイルポンプ24から吐出される冷却油が供給されるように構成されているため、電動オイルポンプ24から吐出される冷却油の吐出量Qopを調整することで、冷却パイプ68に供給される冷却油の油量Qを調整することができる。また、電動機MGが車両10の各車輪に備えられたインホイールモータであるため、各車輪に備えられた電動機MG毎に冷却パイプ68の油量Qを調整することで、各冷却パイプ68から噴出される冷却油の噴出方向を、各々の車輪の挙動に応じて適切に調整することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
また、前述の実施例では、電動機MGが前輪12および後輪14に設けられたインホイールモータであったが、本発明は、必ずしもインホイールモータに限定されない。例えば、電動機MGが車体に設けられた車両であっても、本発明を適用することができる。すなわち、車体に設けられた電動機MGの動力が、変速機等を介して前輪および後輪の少なくとも一方に伝達される形式の車両であっても、本発明を適用することができる。また、本発明は、必ずしも電気自動車に限定されず、エンジンおよび電動機MGを駆動力源とするハイブリッド形式の車両であっても、本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、車両10は、前輪12および後輪14の各々にモータ駆動装置16が設けられた四輪駆動車両であったが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、前輪12のみにモータ駆動装置16が備えられた前輪駆動式の二輪駆動車両であったり、後輪14のみにモータ駆動装置16が備えられた後輪駆動式の二輪駆動車両であっても構わない。
また、前述の実施例では、電動オイルポンプ24の要求吐出量Qoprが予め規定されている関係マップから求められていたが、例えば各加速度をパラメータとする予め規定されている関係式に基づいて要求吐出量Qoprを求めるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、各車輪にそれぞれ加速度センサ28が設けられるものであったが、車両10に1個の加速度センサが設けられ、その加速度センサによって検出される加速度情報に基づいて冷却油の油量Qを調整するものであっても構わない。これに関連して、電動オイルポンプ24についても必ずしも各々のモータ駆動装置16に備えられる必要はなく、例えば車両に設けられた1つの電動オイルポンプから各モータ駆動装置16に冷却油が供給されるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、噴出穴70a、70bは、鉛直線に対して車両前後方向および車幅方向の両方向に傾斜するように形成されるものであったが、必ずしも噴出穴70a、70bを両方向に傾斜させる必要はなく、車両前後方向および車幅方向の一方に傾斜させるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、加速度センサ28によって加速度情報が取得されるものであったが、例えば回転速度センサから取得される回転速度情報に基づいて加速度が推定されるなど、他の情報に基づいて加速度情報を推定するものであっても構わない。
また、前述の実施例では、電動機MGは、回転軸線C1が各車輪の回転軸に対して平行に配置される横置き形式であったが、電動機MGの回転軸線C1が車両の進行方向に対して平行に配置される縦置き形式であっても構わない。この場合には、冷却パイプについても、長手方向が車両の進行方向に対して平行に配置される。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
24:電動オイルポンプ
46:ステータコア
48:ステータコイル
68:冷却パイプ
70a、70b:噴出穴
72:冷却装置
80:加速度情報取得部
82:冷却油量調整部(冷媒流量調整部)
MG:電動機(インホイールモータ)

Claims (4)

  1. 駆動力源として車両に搭載され、ステータコアおよび前記ステータコアに巻き掛けられたステータコイルを備えた電動機に適用され、前記ステータコイルに向かって冷媒を噴出する電動機の冷却装置であって、
    車両搭載状態において鉛直線の方向で前記電動機よりも上方に設けられ、冷媒が噴出される噴出穴が形成された冷却パイプと、
    車両の加速度情報を検出または推定する加速度情報取得部と、
    前記加速度情報に基づいて、前記冷却パイプに供給される冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部と、を備え、
    前記冷却パイプの噴出穴は、冷媒の流量に応じて前記噴出穴から噴出される冷媒の噴出方向を調整可能に形成されている
    ことを特徴とする電動機の冷却装置。
  2. 前記噴出穴は、車両搭載状態において、前記噴出穴の向きが鉛直線に対して傾斜するようにして形成されている
    ことを特徴とする請求項1の電動機の冷却装置。
  3. 前記冷却パイプには、電動オイルポンプから吐出される冷媒が供給されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1の電動機の冷却装置。
  4. 前記電動機は、車両の車輪に備えられたインホイールモータである
    ことを特徴とする請求項1電動機の冷却装置。
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