JP7262948B2 - 携帯機、携帯機に適用される通信制御方法 - Google Patents

携帯機、携帯機に適用される通信制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両の使用者によって携帯される携帯機を用いて、車両との間で無線通信することによって、車両の扉の開錠、あるいは車両のエンジンの始動の少なくとも一方を実行させる技術に関する。
車両の所有者が車両に乗り込む際に、鍵を取り出すことなく車両の扉を開錠可能とする技術は広く利用されている。また、鍵を取り出すことなく車両に乗り込んだ後は、鍵を使用することなくエンジンを始動可能とする技術も広く使用されている。これらの技術では、車両が、ユーザーの携帯する小型の無線通信機器(以下、携帯機)と無線通信を行うことによって、携帯機を認証する。そして、認証によって携帯機が正規の携帯機であると判断された場合には、扉の取手に手を触れるなどの扉を開錠しようとする意思を検出して、車両の扉を開錠する。このため、車両のユーザーが、正規の携帯機を携帯して車両に近付いていくと自動的に扉が開錠されるので、車両の鍵を取り出すことなく車両に乗り込むことが可能となる。もちろん、車両と携帯機とは、互いの電波が届く範囲内でなければ無線通信することができないから、携帯機が車両から離れていれば、車両が携帯機を認証して扉が開錠されてしまうこともない。また、車両に乗り込んだ後は、車両が車室内の携帯機を認証して、正規の携帯機であることが確認された場合には、例えば始動ボタンを押すなど、エンジンを始動させようとする意思を検出して、エンジンを始動させる。こうすれば、鍵を取り出すことなくエンジンを始動させることが可能となる。
もっとも今日では、車両の近くおよび携帯機の近くにそれぞれ電波中継器を設けて、車両および携帯機の間で電波を中継し、遠くにある携帯機を車両に認証させることによって車両の扉を不正に開錠する行為(以下、不正開錠行為)が行われることがある。そこで、不正開錠行為を防止するために、いわゆるGNSS機能(測位衛星からの測位信号を受信して現在位置を検出する機能)を携帯機に搭載して、車両の扉を施錠した時の現在位置を記憶しておくようにした技術が提案されている。この提案の技術では、携帯機が車両からの電波を受信した時の現在位置が、扉を施錠した時の位置から離れていた場合は、車両からの電波が中継されたものと判断することができるので、車両の扉が不正に開錠されてしまうことを防止することが可能となる(特許文献1)。
また、携帯機にGNSS機能を搭載しておけば、車両側で携帯機が車室内に存在するか否かを判断することができるので、たとえ電波中継器を用いて電波が中継されても、エンジンが不正に始動されてしまう行為(以下、不正始動行為)を防止することも可能と考えられる。
特開2015-218457号公報
しかし、上述した提案の技術では、不正開錠行為(場合によっては、不正始動行為)を常に防止できるとは限らないという問題があった。この理由は、受信環境によっては測位衛星からの測位信号を受信できない場合があり、測位信号を受信できない間は不正開錠行為(あるいは、不正始動行為)を防止できなくなるためである。
この発明は、従来技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、測位衛星からの測位信号が受信できない場合でも、車両の扉が不正に開錠されてしまう事態、あるいは車両のエンジンが不正に始動されてしまう事態の少なくとも一方を防止することが可能な技術の提供を目的とする。
上述した問題を解決するために本発明の携帯機あるいは通信制御方法では、測位衛星からの測位信号に基づいて現在位置を測位すると共に、携帯機に加わる加速度を検出する。そして、検出した加速度に基づいて、携帯機の移動方向を考慮することなく、携帯機の移動距離を推定することによって、測位の結果が得られていた時点からの携帯機の移動距離を推定する。そして、測位信号を一時的に受信できなくなった状態で、車両からの問合信号を受信した場合には、測位信号を受信できなくなる前に得られていた測位の結果と、問合信号を受信した時点での移動距離(あるいは移動位置)とに基づいて、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、問合信号の受信位置と車両の扉が施錠された施錠位置との離間距離を推定して、推定した離間距離に基づいて、問合信号に対する応答信号を返信するか否かを判断する。
こうすれば、測位信号を一時的に受信できなくなった状態で、車両からの問合信号を受信した場合でも、測位信号を受信できなくなる前に得られていた測位の結果と、問合信号を受信した時点での移動距離(あるいは移動位置)とに基づいて、問合信号の受信位置を推定することができる。そして、受信位置を推定することができれば、測位信号を受信できている状態で問合信号を受信した場合と同様にして、問合信号の受信位置と、車両の扉の施錠位置との離間距離を算出することによって、問合信号に対する応答信号を返信するか否かを判断することができる。このため、測位衛星からの測位信号が一時的に受信できなくなった場合でも、車両の扉が不正に開錠されたり、車両のエンジンが不正に始動されたりする事態を防止することが可能となる。
あるいは、本発明の車両用システムでは、車両からの問合信号を受信すると、受信位置と施錠位置との離間距離を算出して、問合信号に対する応答信号と共に、離間距離を返信するようにしてもよい。そして、測位信号を一時的に受信できなくなった状態で、車両からの問合信号を受信した場合には、離間距離を推定しても良い。離間距離は、測位信号を受信できなくなる前に得られていた測位の結果と、その測位の結果が得られた時点から問合信号を受信した時点までの移動距離とに基づいて、携帯機の移動方向を考慮することなく推定することができる。そして、携帯機の移動方向を考慮することなく推定した離間距離を、応答信号と共に返信するようにしても良い。そして、車載制御装置では、携帯機から応答信号と共に返信されてきた離間距離に基づいて、携帯機を認証するか否か、または車両の扉を開錠するか否か、あるいは車両のエンジンを始動するか否かの少なくとも何れかを判断しても良い。
こうすれば、車両側では、問合信号に対する応答信号と共に離間距離を受け取ることができる。そして、離間距離が電波の届き得る距離よりも大きかった場合は、携帯機を認証しないように、あるいは車両の扉が開錠されないようにしてやれば、車両の扉が不正に開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。
また、携帯機から受け取った離間距離が、電波の届き得る距離(あるいは、より短い所定距離)よりも大きかった場合は、携帯機を認証しないように、あるいは車両のエンジンが始動されないようにしてやれば、車両のエンジンが不正に始動されてしまう事態を防止することが可能となる。
あるいは、本発明の車両用システムでは、携帯機が車両からの施錠信号を受信すると、施錠位置を車両に向けて送信しておき、その後、車両からの問合信号を受信すると、問合信号に対する応答信号と共に、問合信号の受信位置を返信するようにしてもよい。ここで、測位信号を一時的に受信できなくなった状態で、車両からの問合信号を受信した場合には、問合信号の受信位置の代わりに、測位信号を受信できなくなる前に得られていた測位の結果と、その測位の結果が得られた時点から問合信号を受信した時点までの移動距離を携帯機の移動方向を考慮することなく推定して、得られた移動距離とを、応答信号と共に返信するようにしても良い。そして、車載制御装置では、携帯機から応答信号と共に、受信位置と移動距離とを受け取った場合には、施錠位置と受信位置と移動距離を用いて推定した離間距離に基づいて、携帯機を認証するか否か、または車両の扉を開錠するか否か、あるいは車両のエンジンを始動するか否かの少なくとも何れかを判断するようにしても良い。
こうすれば、車両側では、施錠位置を記憶しておき、問合信号に対する応答信号を受信すると、応答信号と共に返信されてきた受信位置と施錠位置との離間距離に基づいて、携帯機を認証するか否か、車両の扉を開錠可能な状態にするか否か、あるいは車両のエンジンを始動可能な状態にするか否かを判断することができる。また、たとえ、携帯機が車両からの問合信号を受信した時に、一時的に測位信号を受信できなくなっていた場合でも、携帯機からは、問合信号の受信位置の代わりに、測位信号を受信できなくなる前に得られていた測位の結果と、問合信号を受信した時点での移動距離とが返信されてくる。そして、これらの情報が分かれば、離間距離を推定することができる。その結果、携帯機を認証するか否か、車両の扉を開錠可能な状態にするか否か、あるいは車両のエンジンを始動可能な状態にするか否かを判断することが可能となり、車両の扉が不正に開錠されてしまう事態や、エンジンが不正に始動されてしまう事態を防止することが可能となる。
車両1がユーザーの携帯する携帯機100と無線で通信することによって、車両1の扉を開錠可能な状態に設定する様子を例示した説明図である。 本実施例の携帯機100の内部構造を示した説明図である。 本実施例の携帯機100が実施する通信制御処理の前半部分のフローチャートである。 通信制御処理の後半部分のフローチャートである。 本実施例の携帯機100が実行する移動距離推定処理のフローチャートである。 本実施例の携帯機100が歩行を検知する様子を示した説明図である。 測位信号が受信できない場合に、本実施例の携帯機100が車両1からの問い合わせに対して返信するか否かを判断する様子を示した説明図である。 第1変形例の携帯機150の内部構造を示した説明図である。 第1変形例の携帯機150が実施する通信制御処理の後半部分のフローチャートである。 第1変形例の携帯機150が実行する移動位置推定処理のフローチャートである。 測位結果が得られない場合に、第1変形例の携帯機150が車両1からの問い合わせに対して返信するか否かを判断する様子を示した説明図である。 第2変形例の携帯機160についての説明図である。 第3変形例の携帯機170についての説明図である。 第4変形例の携帯機180についての説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
A.本実施例 :
A-1.本実施例の装置構成 :
図1は、本実施例の携帯機100が、車両1と通信することによって、車両1の扉を開錠可能な状態に設定する様子を示した説明図である。図示されるように車両1には、車載制御装置10や、開錠装置2などが設けられている。車載制御装置10は、図示しないアンテナに接続されており、車両1のユーザーが携帯する携帯機100と無線で通信することができる。また、開錠装置2は、車両1の図示しない扉毎に設けられており、車載制御装置10の制御の下で、車両1の扉を施錠したり、開錠したりすることができる。
車載制御装置10は、車両1の周囲に向かって電波を送信することによって、車両1のユーザーによって携帯される携帯機100を探知している。もっとも、車両1から送信される電波は強度が抑えられているため、電波が届く範囲は、車両1の周辺の領域Rとなる。このため、携帯機100を携帯したユーザーが車両1から遠くに存在する場合は、車載制御装置10からの電波は携帯機100には届かないが、ユーザーが車両1に向かって近付いていき、領域R内に入ると車載制御装置10からの電波を携帯機100が受信できるようになる。
そして、携帯機100が受信した電波に対して返信すると、車載制御装置10がその電波を受信することによって領域R内に携帯機100が存在することを認識して、携帯機100と通信することによって、携帯機100を認証する。そして、認証の結果、携帯機100が正規の携帯機100であった場合には、車載制御装置10は、車両1の扉を開錠可能と判断する。そして、扉が開錠可能と判断された状態で、扉の取手3で手などの接触が検知されると、開錠装置2を制御することによって車両1の扉を開錠する。このため、車両1のユーザーは、携帯機100を携帯して車両1に近付いて、扉の取手3に手を触れれば自動的に扉が開錠されるので、鍵を取り出して扉を開錠しなくても車両1に乗り込むことができる。
更に、車両1に乗り込んだ後は、車載制御装置10が車室内の携帯機100を認証して、携帯機100が正規の携帯機100であることを確認したら、図示しない始動ボタンが押されたことを検知して、車両1に搭載されている図示しないエンジンを始動することもできる。尚、説明が煩雑となることを回避する観点から、本実施例では、携帯機100を認証してエンジンを始動する点については説明を省略する。
また、携帯機100を携帯したユーザーが、車両1の外から扉の取手3に手などを触れると、車載制御装置10が取手3への接触を検知して、開錠装置2を制御することによって扉を施錠する。更に、携帯機100を携帯して車両1から遠ざかって、電波が届く領域Rの外に出ると、車載制御装置10が携帯機100を認識できなくなる。そこで、このような場合には、車載制御装置10は車両1の扉が施錠されているか否かを判断して、開錠されていれば扉を施錠する。そして、扉を施錠した後は、携帯機100は車載制御装置10の電波が届く範囲外に存在するので、車載制御装置10は携帯機100を認証することができず、従って、第三者が扉の取手3に触っても、扉が開錠されてしまうことはない。
もっとも、携帯機100を携帯したユーザーが遠くに存在する場合でも、車両1の車載制御装置10と携帯機100との間で電波が中継されると、車載制御装置10が遠くに存在する携帯機100を認証してしまう可能性がある。例えば、図1中に細い破線で示したように、車両1のユーザーが携帯機100を携帯して帰宅したものとする。この場合、携帯機100は車両1からの電波が届く領域R外にあれば、本来であれば車載制御装置10は携帯機100を認証することはない。
しかし、不正行為者Aが電波中継器9aを持ってユーザーの自宅前に待機し、不正行為者Bが電波中継器9bを持って車両1の近くに待機しておき、車両1からの電波を電波中継器9a,9bを介して携帯機100に転送し、携帯機100からの電波を電波中継器9a,9bを介して車載制御装置10に転送してやる。こうすれば、車両1からの電波が届かない処に存在する携帯機100を車載制御装置10が認証してしまい、車両1の扉が不正に開錠されてしまう虞がある。そこで、このような虞を防止するために、本実施例の携帯機100は次のような内部構造を採用している。
図2は、本実施例の携帯機100の内部構造を示した説明図である。図示されるように、本実施例の携帯機100は、測位部101と、施錠位置記憶部102と、施錠検知部103と、問合信号受信部104と、返信判断部105と、応答信号返信部106と、認証情報記憶部107と、加速度検出部108と、移動距離推定部109とを備えている。
尚、これらの「部」は、車両1の扉が不正に開錠される虞を防止する目的で本実施例の携帯機100が備えている各種の機能を、便宜的に分類したものである。従って、携帯機100の内部が、これらの「部」に物理的に区分されていることを表しているわけではない。これらの「部」は、LSIなどを用いてハードウェア的に実現することもできるし、コンピュータープログラムによってソフトウェア的に実現することもできるし、更には、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて実現することもできる。
また、携帯機100には、LF波と呼ばれる電波を送受信可能なLFアンテナ100aや、RF波と呼ばれる電波を送受信可能なRFアンテナ100bも搭載されている。
車載制御装置10は車載LFアンテナ10aを用いてLF波の電波を送信しており、携帯機100はLFアンテナ100aを用いて、この電波を受信する。また、携帯機100からは、RFアンテナ100bを用いてRF波の電波を車載制御装置10に向かって送信しており、車載制御装置10は、車載RFアンテナ10bを用いてこの電波を受信する。
測位部101は、いわゆる測位衛星からの測位信号を受信することによって、携帯機100の地上での位置を測位する。また、測位部101は、測位によって位置情報が得られたら、測位した時刻(以下、測位時刻)も取得する。
施錠検知部103は、車両1の扉が施錠されたことを検知する。すなわち、車両1の車載制御装置10は、扉が開錠装置2によって施錠されたことを検知すると、車載LFアンテナ10aから施錠信号を送信する。そこで、施錠検知部103は、LFアンテナ100aによって受信された電波の中から施錠信号を検出することによって、車両1の扉が施錠されたことを検知する。そして、施錠検知部103は、扉が施錠されたことを検知すると、その旨を施錠位置記憶部102に出力する。
施錠位置記憶部102は、車両1の扉が施錠された旨の情報を受け取ると、その時点で得られている位置情報を測位部101から取得して、施錠位置としてメモリー(図示は省略)に記憶する。また、施錠位置を記憶するに際しては、その位置情報が得られた測位時刻も併せて記憶しておく。尚、本実施例では、施錠位置記憶部102が記憶する施錠位置は、測位部101から受け取った位置情報であるものとして説明するが、車両1から送信されてきた位置情報を記憶しても良い。すなわち、車載制御装置10が扉の施錠を検知すると、車両1に搭載されている測位機能を用いて得られた測位の結果を、施錠信号と共に携帯機100に送信する。そして、携帯機100の施錠位置記憶部102では、施錠信号と共に受け取った位置情報を、施錠位置として記憶するようにしても良い。
問合信号受信部104は、車両1から送信されてきた問合信号を受信する。すなわち、車両1の車載制御装置10は、車載LFアンテナ10aを用いて電波を送信することによって、携帯機100に対して各種の問い合わせを行っている。例えば、電波の届く領域R内に携帯機100が存在するか否かを問い合わせたり、領域R内に携帯機100が存在している場合には、その携帯機100を認証するための認証情報を問い合わせたりする。そこで、問合信号受信部104は、LFアンテナ100aを用いて問合信号を受信すると、受信した問合信号を、返信判断部105に出力する。
返信判断部105は、問合信号を受け取ると、その問合信号に対して返信するか否かを判断する。判断に際しては、施錠位置記憶部102によって記憶された施錠位置を取得するとともに、問合信号の受信時に測位部101によって測位されていた現在位置(以下、受信位置)の位置情報を取得する。そして、施錠位置と受信位置との間の距離(以下、離間距離)と、所定の閾値距離Lthとを比較する。ここで、閾値距離Lthは、車両1に搭載された車載LFアンテナ10aからの電波が届くとは考えにくい距離に設定されている。また、「電波が届くとは考えにくい距離」とは、条件によっては電波が届く可能性もあるが、通常の条件では電波が届かない距離である。もちろん、条件に拘わらずに電波が届かない距離としてもよい。そして、問合信号の受信位置と施錠位置との間の離間距離が閾値距離Lth以下であれば、問合信号に対して返信すると判断して、その旨を応答信号返信部106に出力する。
応答信号返信部106は、問合信号に対して返信する旨の判断結果を受け取ると、RFアンテナ100bを用いて、問合信号に対する応答信号を返信する。尚、問合信号の内容が、携帯機100の存在を問い合わせる内容であった場合には、応答信号返信部106は、問い合わせに対して単に応答する内容の応答信号を返信する。これに対して、問合信号の内容が、携帯機100を認証するための認証情報を要求する内容であった場合には、認証情報記憶部107に予め記憶されている認証情報を読み出して、認証情報を含んだ応答信号を返信する。
一方、問合信号の受信位置と施錠位置との間の離間距離が、閾値距離Lthよりも大きかった場合は、車両1の車載LFアンテナ10aから送信された電波を直接受信したとは考えにくい。すなわち、図1を用いて前述したように、車両1からの電波が電波中継器9a,9bを介して転送されてきたものと考えられる。そこで、返信判断部105は、離間距離が閾値距離Lthよりも大きかった場合は、問合信号に対して返信しないと判断する。返信判断部105がこのように判断した場合は、応答信号返信部106が応答信号を返信することはない。
このように、携帯機100に測位部101を搭載すると共に、車両1の扉が施錠された施錠位置を記憶しておき、車両1からの問合信号の受信位置と、施錠位置との離間距離を求めてやれば、中継器を用いた不正な方法で車両1の扉が開錠される事態を防止することができる。
もっとも、測位部101が現在位置を測位するためには、測位衛星からの測位信号を受信する必要があるが、測位信号はいつでも受信可能とは限らない。測位信号を一時的に受信できなくなる場合もある。そして、測位信号が受信できなければ、車両1からの問合信号を受信した時の携帯機100の現在位置(すなわち、正しい受信位置)を得ることができないので、問合信号に対して返信して良いか否かを判断することができなくなる。
そこで、本実施例の携帯機100は、図2に示すように、加速度検出部108と移動距離推定部109とを備えている。
加速度検出部108は、加速度センサー、および加速度センサーに出力を生じさせ、あるいは生じた出力を検出するための検出回路によって実現されており、携帯機100に加わる加速度を検出する。尚、加速度は、いわゆる3軸方向の加速度を検出することが望ましい。
移動距離推定部109は、加速度検出部108で検出した加速度に基づいて、携帯機100の移動距離を推定する。例えば、携帯機100の加速度の変化に基づいて、携帯機100を携帯するユーザーの歩行を検出して、検出した歩数を、予め設定しておいた歩幅で移動したものと仮定することによって、移動距離を推定することができる。あるいは、加速度を積分することによって移動速度を算出し、移動速度を積分することによって移動距離を算出しても良い。また、移動距離推定部109は、測位部101で測位結果が得られると、それまでに推定していた移動距離を初期化する。従って、移動距離推定部109は、測位部101で測位結果が得られた後の携帯機100の移動距離を推定していることになる。
そして、本実施例の返信判断部105は、問合信号を受け取ると、測位部101によって測位されていた位置情報と共に、その位置情報が得られた測位時刻を取得する。測位信号は所定の時間間隔で送信されてくるから、測位部101が最新の測位信号を受信して測位に成功していれば、測位時刻と現在の時刻との時間差は、測位信号が送信される時間間隔よりも小さくなる筈である。逆に言えば、測位部101から取得した測位時刻と、現在の時刻との時間差が、測位信号が送信される時間間隔よりも大きかった場合は、車両からの問合信号を受け取った時に、測位部101が一時的に測位信号を受信することができなくなっていたものと考えられる。従って、測位部101から得られた位置情報は、測位信号を受信できなくなる前に得られた最後位置情報と考えられる。
そこで、このような場合(すなわち、問合信号を受信する直前の最新の測位信号を用いた測位ができなかったと考えられる場合)には、本実施例の返信判断部105は、測位部101から取得した位置情報(すなわち、最後に測位したときの位置情報)と、移動距離推定部109から取得した移動距離の推定値(すなわち、最後に測位した位置からの携帯機100の移動距離の推定値)とを取得して、これらの情報を用いて離間距離を推定し、推定した離間距離に基づいて、問合信号に対して返信して良いか否かを判断する。
例えば、最後に測位した時点では携帯機100が施錠位置の近くに存在しており、且つ、携帯機100の移動距離が十分に短い場合は、携帯機100が車両1からの問合信号を直接受信したと考えられるので、問合信号に対して返信すると判断する。これに対して、最後に測位した位置からの携帯機100の移動距離が、車両1からの電波を受信可能な距離よりも長いと推定された場合は、携帯機100が車両1からの電波の届かない位置に存在する可能性が高い。そして、このような場合に問合信号を受信していた場合は、中継器を用いるなどして、不正な方法で電波が転送されてきたものと考えられるので、問合信号に対して返信しないと判断する。
こうすれば、測位信号を受信できない状態で、車両1からの問合信号を受信した場合でも、その問合信号に対して返信して良いかを判断することができるので、不正な方法で車両1の扉が開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。以下では、上述したことを実現するために、本実施例の携帯機100の内部で行われている具体的な処理に付いて詳しく説明する。
A-2.本実施例の通信制御処理 :
図3および図4は、本実施例の携帯機100が車両1との間で通信するために実施する通信制御処理のフローチャートである。
図3に示されるように通信制御処理では、先ず初めに、測位衛星からの測位信号を受信したか否かを判断する(S100)。測位衛星は所定の時間間隔で測位信号を送信しているので、携帯機100側での受信環境が良好であれば、所定の時間が経過する度に測位信号を受信することができる。
その結果、測位信号を受信した場合は(S100:yes)、測位信号に基づいて現在位置を測位して、得られた位置情報を測位時刻と共に記憶する(S101)。そして、測位結果が得られた旨を、後述する移動距離推定処理に対して出力した後(S102)、車両1からの施錠信号を受信したか否かを判断する(S103)。尚、前述したように施錠信号とは、車両1の扉が施錠されると、車載制御装置10が車載LFアンテナ10aを用いて車外に向かって送信する信号である。
そして、施錠信号を受信していた場合は(S103:yes)、施錠信号を受信した旨を、後述する移動距離推定処理に対して出力した後(S104)、S101で先に記憶しておいた現在位置の測位結果を読み出して(S105)、その現在位置を、車両1の扉が施錠された位置(すなわち、施錠位置)として記憶する(S106)。
続いて、車両1からの問合信号を受信したか否かを判断する(S107)。ここで、問合信号とは、車両1に搭載された車載制御装置10が、車両1の外部に存在する携帯機100に対して、各種の問い合わせを行うために送信する信号である。例えば、電波の届く領域R内に携帯機100が存在するか否かを問い合わせたり、領域R内に存在する携帯機100に対して認証情報を問い合わせたりするために、問合信号が送信される。
その結果、問合信号を受信していなかった場合は(S107:no)、処理の先頭に戻って、再び測位信号を受信したか否かを判断し(S100)、受信していれば(S100:yes)、現在位置を測位して測位時刻と共に記憶して(S101)、測位結果が得られた旨を出力する(S102)。もちろん、測位信号を受信していない場合は(S100:no)、S101やS102の動作は行わない。更に、施錠信号を受信したか否かを判断して(S103)、施錠信号を受信していれば(S103:yes)、施錠信号を受信した旨を出力して(S104)、先に記憶しておいた現在位置の測位結果を、施錠位置として記憶する(S105,S106)。もちろん、施錠信号を受信していない場合は(S103:no)、S104やS105やS106の動作は行わない。そして、再び、車両1からの問合信号を受信したか否かを判断する(S107)。
このように、本実施例の携帯機100は、車両1からの問合信号を受信するまでは、測位信号に基づいて現在位置を測位して、測位時刻と共に記憶する動作を繰り返す。また、繰り返している間に施錠信号を受信した場合には、施錠位置を記憶する。
そして、車両1からの問合信号を受信したら(S107:yes)、問合信号を受信した時刻(以下、受信時刻)を記憶する(S108)。その後、S101で記憶しておいた位置情報と、その位置情報を測位した測位時刻とを読み出して(S109)、読み出した位置情報が示す位置を、問合信号の受信位置として設定した後(S110)、受信位置と施錠位置との離間距離を算出する(図4のS111)。
仮に、測位衛星から測位信号が送信される度に、携帯機100が測位信号を受信して現在位置を測位していたとすれば、S110では正しい受信位置が設定されていると考えて良いから、S111でも正しい離間距離が算出されたものと考えて良い。従って、算出した離間距離と、車両1からの電波が届く距離とを比較すれば、問合信号が車両1から直接送信されてきたのか、あるいは、何らかの不正な方法で転送されてきたのかを判断することができる。
しかし、携帯機100は、受信環境によっては測位信号を受信できなくなる。そして、このような場合は、S110で設定した受信位置が正しい受信位置であるとは限らない。このため、S111で算出した離間距離と、車両1からの電波が届く距離とを比較しても、正しく判断することは困難となる。
そこで、本実施例の携帯機100は、測位信号を受信できているか否かを判断するために、測位時刻と受信時刻との時間差を算出する(S112)。そして、得られた時間差が、所定の許容時間以下か否かを判断する(S113)。
ここで、本実施例の許容時間は、測位衛星が測位信号を送信する時間間隔に設定されている。従って、測位衛星から測位信号が送信される度に、携帯機100が測位信号を受信できていれば、測位信号に基づいて現在位置を測位した時の測位時刻と受信時刻との時間差は、許容時間よりも大きくならない筈である。逆に、時間差が許容時間よりも大きい場合は、少なくとも最後に送信されてきた測位信号を受信できなかったものと考えられる。そして、この場合は、S109で読み出した位置情報は、問合信号を受信した受信位置を表していない可能性がある。
尚、本実施例では、測位衛星が測位信号を送信する時間間隔は比較的長い間隔に設定されているため、測位衛星から測位信号が送信される度に、携帯機100が現在位置を測位しようとするものとして説明した。しかし、測位衛星が比較的短い時間間隔で測位信号を送信する場合は、携帯機100が高い頻度で測位することによる電池の消耗を回避するために、携帯機100が測位信号を受信する時間間隔(以下、受信間隔)が設定されている場合がある。このような場合には、S133の判断で用いられる許容時間は、携帯機100の受信間隔に設定される。
そこで、測位時刻と受信時刻との時間差が許容時間以下であるか否かを判断して(S113)、時間差が許容時間以下であった場合は(S113:yes)、測位信号を受信できていると考えられる。この場合は、S109で読み出した位置情報は問合信号の受信位置を表していると考えて良く、S110で算出した離間距離は、施錠位置と受信位置との距離に相当すると考えて良い。
これに対して、測位時刻と受信時刻との時間差が許容時間よりも大きかった場合は(S113:no)、少なくとも最後に送信されてきた測位信号を受信できなかったことを示している。従って、S109で読み出した位置情報は、測位信号を受信できなくなる前に、最後に受信した測位信号を用いて測位された位置情報となる。
そこで、この場合(S113:no)は、後述する移動距離推定処理で推定していた携帯機100の移動距離の推定値を取得する(S114)。詳細には後述するが、移動距離推定処理では、測位信号を受信して現在位置を測位する度に、その時点からの移動距離を推定している。従って、測位信号を受信できなかった場合は(S113:no)、移動距離推定処理では、最後に測位信号を受信してからの移動距離を推定していることになる。
続いて、先にS111で算出しておいた離間距離に、S114で取得した移動距離の推定値を加算する(S115)。そして、得られた加算値を、新たな離間距離として設定する(S116)。すなわち、測位信号を受信できなかった場合は、S111で算出した離間距離は、問合信号の受信位置と施錠位置との距離ではなく、問合信号を受信する前に最後に測位できた位置と施錠位置との距離を表していると考えられる。そこで、この距離に移動距離を加算した値を、新たな離間距離として設定するのである。
こうして得られた離間距離が、所定の閾値距離Lthよりも小さいか否かを判断する(S117)。例えば、測位信号が受信できていた場合、すなわち、測位時刻と受信時刻との時間差が許容時間以下と判断された場合は(S113:yes)、図3のS110で算出した離間距離と、所定の閾値距離Lthとを比較する。また、測位信号が受信できていなかった場合、すなわち、測位時刻と受信時刻との時間差が許容時間より大きいと判断された場合は(S113:no)、S110で算出した離間距離に移動距離を加算して得られた新たな離間距離と、所定の閾値距離Lthとを比較する。また、前述したように、本実施例の閾値距離Lthは、車両1に搭載された車載LFアンテナ10aからの電波が届くとは考えにくい距離に設定されている。
その結果、離間距離が閾値距離Lthよりも小さかった場合は(S117:yes)、携帯機100が車両1からの電波を受信可能な領域R内に存在すると考えられるので、問合信号に対する応答信号を返信する(S118)。問合信号の内容が、認証情報を問い合わせる内容であった場合には、予め記憶されている認証情報を読み出して、認証情報を含んだ応答信号を送信する。その結果、認証が通れば、車両1の扉の取手3に触れると扉が開錠される状態となる。
これに対して、離間距離が閾値距離Lthよりも大きかった場合は(S117:no)、携帯機100が車両1からの電波を受信できない位置に存在する可能性がある。仮に、電波を受信できない位置に存在していたとすると、図3のS107で受信した問合信号は、中継器などを用いた不正な方法で転送されてきた信号と考えられる。そこで、この場合は、問合信号に対する応答信号を返信することなく、処理の先頭に戻って、再び、測位信号を受信したか否かを判断する(図3のS100)。
こうすれば、不正な方法で転送されてきた可能性のある問合信号に対しては、応答信号が返信されることはないので、中継器を用いて不正な方法で車両1の扉が開錠される事態を回避することができる。
もちろん、測位信号が受信できなかった場合に、最後に測位信号を受信した位置からの移動距離は推定した値なので、十分な精度を有しているわけではない。従って、携帯機100が実際には車両1からの電波を受信可能な位置に存在するにも拘わらず、電波を受信できない位置に存在すると判断して、問合信号に対して応答信号を返信しない場合も起こり得る。しかし、そのような場合でも、受信環境が改善されて測位信号が受信できれば(図3のS100:yes)、現在位置を測位することができるので(S101)、施錠位置と問合信号の受信位置との離間距離を算出して(S110)、携帯機100が車両1からの電波を受信可能な位置に存在するか否かを、正しく判断することが可能となる(図4のS117)。
更に、中継器などを用いて車両1の扉を不正に開錠する行為は、車両1のユーザーが帰宅した後、自宅の棚の上に置かれる等した携帯機100に対して行われることが多いが、このような場合は、移動距離の推定値はゼロとなる。従って、携帯機100が棚の上に置かれる等した状態で、一度、測位信号を受信して現在位置が測位できれば、それ以降は、不正な方法で車両1の扉が開錠されてしまう虞も生じない。
A-3.本実施例の移動距離推定処理 :
図5は、本実施例の携帯機100が測位信号を受信してからの移動距離を推定する移動距離推定処理のフローチャートである。この処理は、図3および図4を用いて前述した通信制御処理に並行して実行される処理である。
図5に示されるように移動距離推定処理では、先ず初めに、施錠信号を受信したか否かを判断する(S200)。図3を用いて前述したように、通信制御処理では、車両1からの施錠信号を受信すると(図3のS103:yes)、その旨を移動距離推定処理に対して出力している(S104)。従って、携帯機100が車両1からの施錠信号を受信すると、移動距離推定処理は直ちにそのことを検知することができる。
その結果、施錠信号を受信していない場合は(S200:no)、移動距離を推定する必要は無いと判断して、施錠信号を受信するまで待機状態となる。これに対して、施錠信号を受信したと判断した場合は(S200:yes)、移動距離を推定するべく、先ず初めに移動距離の推定値を初期化する(S201)。
続いて、携帯機100に搭載されている図示しない加速度センサーを用いて、携帯機100にかかる加速度を検出する(S202)。本実施例の携帯機100は、いわゆる3軸の加速度センサーを搭載しており、3軸方向の加速度を検出することができる。
その後、加速度の変化量が所定値以上か否かを判断する(S203)。このときの加速度の変化量は、3軸方向の加速度を合成して、合成した加速度の変化量を用いることができる。あるいは、簡便な方法として、3軸方向の加速度の中で、変化量が最も大きい加速度の変化量を用いてもよい。
そして、加速度の変化量が所定値以上であった場合は(S203:yes)、携帯機100を携帯したユーザーの歩行を検知したものと判断して、移動距離の推定値に、予め設定しておいたユーザーの歩幅を加算する(S204)。
図6は、本実施例の携帯機100が歩行を検知する様子を示した説明図である。図示されるように、所定の周期で加速度を検出していると、所々で加速度が大きく変化する。これは、携帯機100を携帯したユーザーが歩行することによって生じたものであり、加速度が大きく変化したタイミングでは、歩行者の足が地面に着地している。従って、加速度が大きく変化した回数を数えれば、歩数を得ることができる。例えば、図6に示した例では、歩数は4歩となる。
図5のS203で、加速度の変化量が所定値以上であった場合は(S203:yes)、携帯機100を携帯したユーザーが一歩、踏み出したと考えられるので、移動距離の推定値に、ユーザーの歩幅を加算することによって、移動距離の推定値を更新する。
これに対して、加速度の変化量が所定値以下であった場合は(S203:no)、移動距離の推定値に歩幅を加算することはない。
続いて、測位結果が得られたか否かを判断する(S205)。図3を用いて前述したように、通信制御処理では、測位信号を受信して現在位置を測位すると(図3のS101)、測位結果が得られた旨を移動距離推定処理に対して出力している(S102)。従って、測位結果が得られた場合には、移動距離推定処理は直ちにそのことを検知することができる。
その結果、測位結果が得られていない場合は(S205:no)、S202に戻って、再び加速度を検出する。そして、加速度の変化量が所定値以上であった場合には(S203:yes)、移動距離の推定値に予め設定しておいた歩幅を加算することによって、移動距離の推定値を更新した後(S204)、再び、測位結果が得られたか否かを判断する(S205)。
このようにして、測位結果が得られない間は(S205:no)、ユーザーが歩く度に(S203:yes)、歩幅に相当する距離が移動距離の推定値に加算されていく(S204)。
しかし、測位結果が得られると(S205:yes)、移動距離の推定値が一旦、初期化されてしまう(S201)。その後、加速度を検出して(S202)、ユーザーが一歩を踏み出したことを検知する度に(S203:yes)、歩幅に相当する距離が、移動距離の推定値に加算されていく(S204)。
このため、移動距離推定処理では、図3および図4に示した通信制御処理で、最後に測位信号を受信して測位結果が得られる度に、その時点からの携帯機100の移動距離が推定されていることになる。そして、図3および図4に示した通信制御処理のS114では、このような移動距離の推定値を取得している。尚、ここでは、ユーザーが一歩、踏み出す度に、歩幅を加算することによって移動距離を求めるものとして説明したが、歩数を計数しておき、通信制御処理から移動距離を要求された時点での歩数に歩幅を乗算することによって、移動距離を算出するようにしても良い。
本実施例の携帯機100では、このようにして移動距離を推定しているので、車両1からの問合信号を受信した時に、測位衛星からの測位信号を受信できていなかった場合でも、その問合信号に対して返信して良いかを適切に判断することが可能となる。この点について、図7を用いて補足して説明する。
図7は、測位信号が受信できない場合に、本実施例の携帯機100が車両1からの問い合わせに対して返信するか否かを判断する様子を示した説明図である。図中に示した点paは、施錠位置(車両1からの施錠信号を受信した時に得られていた測位位置)を表している。その後、携帯機100が点pbまで移動した時に測位信号を受信し、更に、点pcまで移動した時に測位信号を受信したが、その後は受信環境が悪化して、測位信号が受信できなくなった場合を表している。
このような場合に、携帯機100が車両1からの問合信号を受信すると、問合信号の受信前に測位されていた位置情報(ここでは、点pcの位置情報)を読み出して、施錠位置(ここでは、点pa)との離間距離Ldを算出する(図3のS109、S110参照)。また、携帯機100が点pcで位置情報を測位してから問合信号を受信するまでには、許容時間以上の時間が経過していると考えられるので(図4のS113:no)、移動距離の推定値を取得する(S114参照)。このときに取得する推定値は、図5の移動距離推定処理で推定していた推定値である。その後、離間距離Ldに移動距離の推定値を加算して、加算後の離間距離Ldが、所定の閾値距離Lth以下か否かを判断する(S115、S117参照)。
ここで、前述したように、移動距離推定処理は最後に測位信号を受信した位置(図7に示した例では点pc)からの移動距離を推定している。従って、移動距離の推定値が大きかった場合には、最後に測位信号を受信した位置(ここでは点pc)から、遠く離れた位置まで携帯機100が移動している可能性がある。仮に、携帯機100が車両1から真っ直ぐに遠ざかる方向に移動していたとすると、図7中に黒い星印で示した点Ep1まで移動することができる。点Ep1は、車両1からの電波が届く領域Rの外にあるから、このような状況で問合信号を受信した場合には、中継器などを用いて不正な方法で転送されてきた問合信号と考えて良い。
もちろん、携帯機100は、車両1から真っ直ぐ遠ざかる方向に移動するとは限らないから、図7中の点Ep1よりは車両1の近くに存在する可能性もあり、場合によっては、車両1からの電波が届く領域R内に存在している可能性もある。しかし、車両1の扉が不正な方法で開錠される事態を防止する観点からすると、携帯機100が領域R外に存在する可能性がある限りは、問合信号に対して返信しない方が望ましい。
また、たとえ、実際には携帯機100が領域R内に存在していたとしても、受信環境が改善して測位信号を受信できれば、領域R内に存在することが分かるので、問合信号に対して返信することができる。従って、携帯機100が領域R内に存在しているにも拘わらず、問合信号に対して返信しない状態となるのは、測位信号が受信できない間に過ぎないので、不正な方法で扉が開錠されて車両1が盗難される事態を考えれば、十分なメリットがあると言うことができる。
一方、移動距離の推定値が小さかった場合には、携帯機100が車両1から真っ直ぐに遠ざかっていたとしても、図7中に白抜きの星印で示した点Ep2のように、車両1からの電波が届く領域R内となる。このような場合には、問合信号は車両1から直接送信されてきたものと考えられるので、問合信号に対して返信すればよい。
以上に説明したように、本実施例の携帯機100では、測位衛星から所定の時間間隔で送信される測位信号を用いて現在位置を測位することによって、車両1の扉が不正な方法で開錠されてしまう事態を防止することができる。また、受信環境の悪化などによって測位信号が受信できない場合でも、測位信号が受信できていた位置からの携帯機100の移動距離を推定することによって、車両1の扉が不正な方法で開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。
B.変形例 :
上述した本実施例には、複数の変形例が存在する。以下ではこれらの変形例について、本実施例との相違点を中心として簡単に説明する。
B-1.第1変形例 :
上述した本実施例の携帯機100では、測位信号が最後に受信できた位置から、携帯機100が車両1から真っ直ぐに遠ざかる方向に移動したものと仮定して、問合信号に対して返信するか否かを判断した。しかし、携帯機100が車両1から真っ直ぐに遠ざかる方向に移動するとは限らない。そこで、携帯機100の移動方向を検出することによって、車両1からの電波が届く領域R内に携帯機100が存在するか否かを、より精度良く判断しても良い。
図8は、このような第1変形例の携帯機150の内部構造を示した説明図である。第1変形例の携帯機150は、図2を用いて前述した本実施例の携帯機100に対して、移動方向検出部151や、移動位置推定部152を備えている点が大きく異なっている。以下では、本実施例の携帯機100に対する相違点について説明することとして、本実施例と同じ部分については、同じ符番を付することによって説明は省略する。
図示されるように、第1変形例の携帯機150も、前述した本実施例の携帯機100と同様に、測位部101や、施錠位置記憶部102や、施錠検知部103や、問合信号受信部104や、返信判断部105や、応答信号返信部106や、認証情報記憶部107や、加速度検出部108や、移動距離推定部109を備えている。これらの「部」の中で、測位部101や、施錠位置記憶部102、施錠検知部103、問合信号受信部104、応答信号返信部106、認証情報記憶部107、加速度検出部108、移動距離推定部109については、図2を用いて前述した本実施例の携帯機100と同様であるため、説明は省略する。
また、第1変形例の携帯機150は、本実施例の携帯機100は備えていなかった移動方向検出部151や、移動位置推定部152を備えている。
ここで、移動方向検出部151は、ジャイロセンサーおよび地磁気センサーと、これらセンサーに出力を生じさせ、あるいは生じた出力を検出するための検出回路とによって実現されており、携帯機150の移動方向を検出する。尚、簡易的には、ジャイロセンサーまたは地磁気センサーの一方と、そのセンサーに出力を生じさせ、あるいは生じた出力を検出するための検出回路とによって移動方向検出部151を実現することもできる。
移動位置推定部152は、移動距離推定部109から移動距離の推定値を受け取り、移動方向検出部151からは移動方向を受け取ることによって、携帯機150がどの方向に、どれだけ移動したかを推定する。また、移動位置推定部152は、測位部101で測位結果が得られると、それまでに推定して得られた結果を初期化する。従って、移動位置推定部152は、測位部101で最後に測位された位置を基準とした携帯機150の移動位置を推定していることになる。
また、第1変形例の返信判断部105も、前述した本実施例の返信判断部105と同様に、問合信号に対して返信するか否かを判断する。判断に際しては、問合信号の受信位置を測位部101から取得し、施錠位置を施錠位置記憶部102から取得して、受信位置と施錠位置との離間距離に基づいて、問合信号に対して返信するか否かを判断する。
もっとも、受信環境によっては測位信号が受信できない場合がある。そこで、第1変形例の携帯機150では、測位信号が受信できない状況で車両1からの問合信号を受信した場合は、測位部101から取得した位置情報(すなわち、最後に測位したときの位置情報)と、移動位置推定部152から取得した移動位置の推定値(すなわち、最後に測位した位置を基準とした携帯機150の推定位置)とを取得して、これらの情報に基づいて、問合信号に対して返信して良いか否かを判断する。
こうすれば、測位信号を受信できない状況で、車両1からの問合信号を受信した場合には、最後に測位された位置を基準として、携帯機150が移動した位置に基づいて、問合信号に対して返信して良いかを判断することができる。このため、移動距離に基づいて判断する本実施例の携帯機100よりも、返信して良いか否かを正しく判断することが可能となる。以下では、このような第1変形例の携帯機150が実行する各種の処理について説明する。
第1変形例の携帯機150は、図3および図4を用いて前述した本実施例の通信制御処理と良く似た処理を実行する。特に、通信制御処理の前半部分については、図3に示した本実施例の通信制御処理と同様である。そこで、第1変形例の通信制御処理の前半部分については、図3を流用して説明し、第1変形例の通信制御処理の後半部分については、図9を参照しながら説明することとする。
第1変形例の通信制御処理でも、先ず初めに、測位衛星からの測位信号を受信したか否かを判断する(図3のS100に相当)。そして、測位信号を受信した場合は(図3のS100:yesに相当)、測位信号を用いて得られた現在位置および測位時刻を記憶した後、測位結果が得られた旨を、後述する移動位置推定処理に対して出力する(S101、S102に相当)。
続いて、車両1からの施錠信号を受信したか否かを判断する(S103に相当)。そして、受信していた場合は、施錠信号を受信した旨を、後述する移動位置推定処理に対して出力した後(S104に相当)、現在位置の測位結果を施錠位置として記憶する(S106に相当)。
その後、車両1からの問合信号を受信したか否かを判断して(S107に相当)、受信していない場合は処理の先頭に戻り、受信している場合は、問合信号の受信時刻を記憶する(S108に相当)。そして、先に記憶した位置情報および測位時刻を読み出して、読み出した位置情報の位置を受信位置として設定する(S109、S110に相当)。
以上のように、第1変形例の通信制御処理の前半部分は、図3に示した本実施例の通信制御処理と同様である。
図9は、第1変形例の通信制御処理の後半部分についてのフローチャートである。この処理は、図3に示した通信制御処理の前半部分に続けて、(図4に示した通信制御処理の後半部分の処理の代わりに)実行される処理である。
図9に示されるように、第1変形例の通信制御処理の後半部分では、測位時刻と受信時刻との時間差を算出する(S160)。ここで、受信時刻は、第1変形例の通信制御処理の前半部分(図3のS108に相当する処理)で記憶されている。また、測位時刻は、第1変形例の通信制御処理の前半部分(図3のS109に相当する処理)で読み出されている。
続いて、得られた時間差が、所定の許容時間以下か否かを判断する(S161)。その結果、時間差が許容時間以下であった場合は(S161:yes)、受信位置が、車両1からの問合信号を受信した位置を代表していると考えて良い。そこで、この場合は、受信位置と施錠位置との離間距離を算出する(S162)。
これに対して、時間差が許容時間よりも大きかった場合は(S161:no)、少なくとも、問合信号を受信する前の最も近いタイミングで送信されてきた測位信号については受信できなかったものと考えられる。そして、このような場合は、受信位置が、車両1からの問合信号を受信した位置を代表しているとは限らない。
そこで、この場合は(S161:no)、後述する移動位置推定処理で推定された移動位置を取得する(S163)。前述した本実施例の携帯機100では、通信制御処理と並行して移動距離推定処理を実行しており、移動距離推定処理では、最後に測位された位置からの携帯機100の移動距離を推定した。これに対して、第1変形例の携帯機150では、移動距離推定処理の代わりに移動位置推定処理を実行しており、後述するように移動位置推定処理では、最後に測位された位置を基準とする携帯機150の移動位置を推定している。そこで、S163では、移動位置推定処理で推定された携帯機150の移動位置を取得する。移動位置推定処理については、後ほど詳しく説明する。
そして、取得した携帯機150の移動位置を用いて、先に設定した受信位置を修正する(S164)。上述したように、携帯機150の移動位置は、最後に測位された位置を基準とする移動位置である。更に、ここでは、測位時刻(すなわち、受信位置として設定された位置情報を測位した時刻)と受信時刻(すなわち、車両1からの問合信号を受信した時刻)との時間差が許容時間よりも大きい場合(S161:no)を想定しているから、先に設定されている受信位置は、「最後に測位された位置」に対応する。このことから、この受信位置を、移動位置推定処理から取得した移動位置に従って移動させてやれば、より正しい受信位置に修正することができる。こうして受信位置を修正したら、修正した受信位置と施錠位置の離間距離を算出する(S165)。
以上のようにして離間距離が得られたら(S162またはS165)、離間距離が所定の閾値距離Lthよりも小さいか否かを判断する(S166)。前述したように閾値距離Lthは、車両1に搭載された車載LFアンテナ10aからの電波が届くとは考えにくい距離に設定されている。
その結果、離間距離が閾値距離Lthよりも小さかった場合は(S166:yes)、携帯機150が車両1からの電波を受信可能な領域R内に存在すると考えられるので、問合信号に対する応答信号を返信する(S167)。
これに対して、離間距離が閾値距離Lthよりも大きかった場合は(S166:no)、携帯機150が車両1からの電波を受信できない位置に存在すると考えられ、従って、受信した問合信号は、中継器などを用いた不正な方法で転送されてきた信号と考えられる。そこで、この場合は、問合信号に対する応答信号を返信することなく、処理の先頭に戻って、再び、測位信号を受信したか否かを判断する(図3のS100に相当)。
こうすれば、不正な方法で転送されてきた問合信号に対しては、応答信号が返信されることはないので、中継器を用いて不正な方法で車両1の扉が開錠される事態を回避することができる。
図10は、第1変形例の携帯機150が、最後に測位された位置を基準として携帯機150が移動した位置を推定するために実行する移動位置推定処理のフローチャートである。この処理は、上述した第1変形例の通信制御処理と並行して実行されている。
図10に示されるように移動位置推定処理でも、前述した移動距離推定処理と同様に、先ず初めに、施錠信号を受信したか否かを判断する(S250)。その結果、施錠信号を受信していない場合は(S250:no)、移動位置を推定する必要は無いと判断して、施錠信号を受信するまで待機状態となる。
これに対して、施錠信号を受信したと判断した場合は(S250:yes)、今度は、測位結果が得られたか否かを判断する(S251)。第1変形例の通信制御処理でも、測位信号を受信して現在位置を測位すると(図3のS101に相当)、測位結果が得られた旨を移動位置推定処理に対して出力している(S102に相当)。従って、移動位置推定処理では、測位結果が得られたことを、直ちに検知することができる。
その結果、測位結果が得られていない場合は(S251:no)、測位結果が得られるまで、同じ判断(S251)を繰り返すことによって待機状態となる。そして、測位結果が得られたら(S251:yes)、携帯機150の移動位置を推定するに先立って、予め、移動位置を初期化しておく(S252)。
続いて、図5を用いて前述した移動距離推定処理と同様にして、加速度センサーを用いて、携帯機150にかかる加速度を検出し(S253)、加速度の変化量が所定値以上か否かを判断する(S254)。
その結果、加速度の変化量が所定値以上であった場合は(S254:yes)、携帯機150を携帯したユーザーの歩行を検知したものと判断することができる。そして、ユーザーの歩行を検知した場合は(S254:yes)、今度は、携帯機150の移動方向を検出する(S255)。移動方向は、携帯機150に搭載されている図示しないジャイロセンサーおよび地磁気センサーを用いて検出することができる。
こうして、移動方向が得られたら、移動方向と、予め設定しておいた歩幅とを用いて移動ベクトルを決定する(S256)。そして、携帯機150の移動位置を、移動ベクトルを用いて変更する(S257)。ここでは、移動位置がS252で初期化されているから、この位置を原点として移動ベクトルによって示される位置が新たな移動位置となる。
続いて、新たな測位結果が得られたか否かを判断する(S258)。また、S254で加速度の変化量が所定値を超えていないと判断した場合、すなわち、ユーザーの歩行が検知されなかった場合は(S254:no)、移動位置を変更するための一連の手順(S255~S257)は行うことなく、新たな測位結果が得られたか否かを判断する(S258)。
その結果、新たな測位結果が得られていない場合は(S258:no)、S253に戻って、再び加速度を検出する。そして、加速度の変化量が所定値以上であった場合には(S254:yes)、移動方向を検出して(S255)、移動ベクトルを求めた後(S256)、移動ベクトルに従って、携帯機150の移動位置を変更する(S257)。その後、再び、新たな測位結果が得られたか否かを判断する(S258)。このようにして、新たな測位結果が得られるまでの間は(S258:no)、ユーザーが歩く度に(S254:yes)、移動ベクトルを求めて(S255、S256)、携帯機150の移動位置を変更していく(S257)。
しかし、新たな測位結果が得られると(S258:yes)、移動位置が一旦、初期化されてしまう(S251)。その後、加速度を検出して(S252)、ユーザーが一歩を踏み出したことを検知する度に(S253:yes)、移動ベクトルを求めて(S255、S256)、携帯機150の移動位置を変更していく(S257)。
このため、移動位置推定処理では、前述した通信制御処理で最後に測位信号を受信して測位結果が得られた位置を基準として、その位置から携帯機150が移動した位置を推定していることになる。
図9に示した第1変形例の通信制御処理の後半部分では、携帯機150が測位信号を受信できなかったと判断した場合には(S161:no)、このような移動位置を取得する(S163)。そして、問合信号の受信位置を修正した後(S164)、修正した受信位置と施錠位置との間の離間距離を、所定の閾値距離Lthと比較している(S165、S166)。
このため、第1変形例の携帯機150も前述した本実施例の携帯機100と同様に、車両1からの問合信号の受信時に、測位衛星からの測位信号を受信できていなかった場合でも、その問合信号に対して返信して良いかを適切に判断することが可能となる。この点について、図11を用いて補足して説明する。
図11は、測位信号が受信できない場合に、第1変形例の携帯機150が車両1からの問い合わせに対して返信するか否かを判断する様子を示した説明図である。図中に示した点paは、施錠位置(車両1からの施錠信号を受信した時に得られていた測位位置)を表している。その後、携帯機150が点pbまで移動した時に測位信号を受信し、更に、点pcまで移動した時に測位信号を受信したが、その後は受信環境が悪化して、測位信号が受信できなくなった場合を表している。
第1変形例の携帯機150では、通信制御処理に並行して、図10の移動位置推定処理が実行されている。このため、点pcで現在位置を測位した後に測位信号が受信できなくなると、携帯機150を携帯したユーザーが一歩を踏み出す度に、移動方向を検出することによって移動ベクトルを求めて、携帯機150が移動した位置を推定していく。図11で、点pcから延びる破線の矢印は、移動ベクトルを表している。また、破線の矢印の先にある黒丸は、移動ベクトルを用いて推定された携帯機150の移動位置を表している。
そして、携帯機150が測位信号を受信できないまま、車両1からの問合信号を受信すると、推定していた携帯機150の移動位置を取得する(図9のS163参照)。図11中に白抜きの星印で示した点Epは、問合信号の受信時に推定されていた携帯機150の移動位置を表している。また、移動位置は、最後に測位の結果が得られた位置(ここでは、点pc)を原点とする形式で求められている。従って、携帯機150が測位信号を受信できない場合でも、最後に測位した位置(ここでは点pc)と、その位置からの移動位置とを用いて、測位信号の受信位置(ここでは点Ep)を推定することができる。
そこで、推定した受信位置と施錠位置との間の離間距離を求めて、この離間距離が所定の閾値距離Lthよりも小さいか否かを判断すれば、携帯機150が車両1からの電波の届く領域R内に存在するか否かを判断することが可能となる。また、第1変形例の携帯機150では、携帯機150の移動距離に加えて、移動方向も考慮することによって、携帯機150の移動位置を推定しているので、移動方向を考慮しない場合に比べて、携帯機150が領域R内に存在するか否かを、より正しく判断することが可能となる。
B-2.第2変形例 :
上述した本実施例の携帯機100あるいは第1変形例の携帯機150では、測位信号に基づいて現在位置を測位する機能が内蔵されているものとして説明した。しかし、今日では、いわゆるスマートフォンなどの携帯情報端末が携帯されることが一般的になっており、携帯情報端末には、測位信号に基づいて現在位置を測位する機能や、予め登録された所定の機器と無線通信する機能が内蔵されていることが通常である。そこで、車両1のユーザーが、携帯機100あるいは携帯機150と共に、携帯情報端末も携帯していることを前提として、携帯機100あるいは携帯機150が現在位置を測位するのではなく、携帯情報端末が測位した結果を、携帯情報端末と通信することによって取得するようにしても良い。尚、このような形態は、車両1のユーザーによって携帯されて、車両1と通信することによって扉を開錠させる機能を有する電子キーと、そのユーザーが携帯する携帯情報端末とが、1つの携帯機に対応するものとして把握することができる。以下では、このような第2変形例について説明する。
図12は、第2変形例の携帯機160の内部構造を示した説明図である。上述したように第2変形例の携帯機160は、車両1と通信可能な電子キー160aと、車両1のユーザーによって電子キー160aと共に携帯される携帯情報端末160bとを備えている。
携帯情報端末160bは、いわゆるスマートフォンであり、測位衛星からの測位信号を受信して現在位置を測位する測位部161や、予め登録された外部の機器との間で無線通信する通信部162などを備えている。
また、第2変形例の電子キー160aは、図2を用いて前述した本実施例の携帯機100に対して、測位部101の代わりに、通信部163を備える点が異なっているが、その他の点については同様である。
電子キー160aの通信部163は、携帯情報端末160bの通信部162と無線で通信することによって、携帯情報端末160bの測位部161が測位信号に基づいて測位した位置情報と、測位時刻とを取得することができる。
また、第2変形例の電子キー160aは、前述した本実施例の携帯機100と同様に、LFアンテナ100aや、RFアンテナ100bや、施錠位置記憶部102や、施錠検知部103や、問合信号受信部104や、返信判断部105や、応答信号返信部106や、認証情報記憶部107や、加速度検出部108や、移動距離推定部109なども備えているが、これらの機能については、前述した本実施例と同様である。
すなわち、施錠位置記憶部102は、車両1の扉が施錠された旨の情報を受け取ると、通信部163から取得した位置情報と測位時刻とをメモリーに記憶する。また、返信判断部105は、問合信号を受け取ると、通信部163によって取得された現在位置(以下、受信位置)および測位時刻を取得して、問合信号に対して応答信号を返信するか否かを判断する。更に、移動距離推定部109は、通信部163によって新たな測位結果が取得される度に、それまでに推定していた移動距離を初期化する。
このような第2変形例でも、電子キー160aが車両1からの問合信号を受信した時に、携帯情報端末160bが測位信号を受信できなかった場合でも、電子キー160aは、その問合信号に対して返信して良いかを判断することができる。その結果、不正な方法で車両1の扉が開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。
B-3.第3変形例 :
上述した本実施例あるいは各種の変形例では、ユーザーの携帯する携帯機が、問合信号に対して返信して良いか否かを判断することによって、車両1の扉が不正な方法で開錠されてしまう事態を防止するものとして説明した。しかし、携帯機が問合信号を受け取ると、応答信号と共に離間距離を返信することとしてもよい。
こうすれば、車両側では、携帯機を認証するか否か、あるいは車両1の扉を開錠可能とするか否かを、携帯機から受け取った離間距離に基づいて判断することができるので、車両1の扉が不正な方法で開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。以下では、このような第3変形例の携帯機170について説明する。
図13は、第3変形例の携帯機170の内部構造を示した説明図である。第3変形例の携帯機170は、図2を用いて前述した本実施例の携帯機100に対して、返信判断部105を備えていない点が大きく異なっている。
すなわち、前述した本実施例の携帯機100では、車両1からの問合信号を受け取ると、その問合信号に対して返信して良いか否かを、返信判断部105が判断して、返信して良いと判断された場合に、応答信号返信部106が応答信号を返信していた。これに対して、第3変形例の携帯機170では、車両1からの問合信号を受け取ると、その問合信号に対して返信して良いか否かを判断することなく、応答信号返信部171が応答信号を返信する。そして、第3変形例の応答信号返信部171は、応答信号を返信するに際して、離間距離を取得して、応答信号と共に返信する。離間距離は、図2に示した本実施例の返信判断部105と同様にして取得することができる。
こうすれば、車両側では、応答信号と共に返信されてきた離間距離の情報に基づいて、携帯機170を認証するか否か、あるいは車両1の扉を開錠可能として良いか否かを判断することができる。その結果、不正な方法で車両1の扉が開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。
B-4.第4変形例 :
上述した本実施例あるいは各種の変形例では、車両1の扉が施錠された時の携帯機の存在位置(すなわち、施錠位置)は、携帯機側に記憶されているものとして説明した。しかし、車両側で施錠位置を記憶しておいてもよい。そして、問合信号に対する応答信号を受け取る際には、携帯機が問合信号を受け取った時の受信位置も受け取って、施錠位置と受信位置との離間距離を算出することによって、携帯機を認証するか否か、あるいは車両1の扉を開錠可能とするか否かを判断しても良い。以下では、このような第4変形例の携帯機180について説明する。
図14は、第4変形例の携帯機180の内部構造を示した説明図である。第4変形例の携帯機180は、図13を用いて前述した第3変形例の携帯機170に対して、施錠位置記憶部102の代わりに、施錠位置送信部181を備える点が大きく異なっている。また、施錠位置記憶部102を備えない関係上、応答信号返信部182の機能についても、第3変形例の応答信号返信部171とは一部が相違している。
すなわち、前述した第3変形例の携帯機170では、車両1からの施錠信号を検出すると、施錠位置記憶部102が測位部101から取得した測位結果を施錠位置として記憶した。これに対して、第4変形例の携帯機180では、車両1からの施錠信号を検出すると、施錠位置送信部181が測位部101から取得した測位結果を、施錠位置として車両1に送信する。このため、施錠位置を車両側で記憶しておくことができるので、携帯機180に施錠位置を記憶しておく必要は無い。
また、前述した第3変形例の携帯機170では、車両1からの問合信号を受信すると、応答信号返信部171が応答信号を返信した。また、このとき、問合信号の受信位置と、予め記憶されている施錠位置とに基づいて離間距離を算出して、得られた離間距離を、応答信号と共に返信した。これに対して、第4変形例の携帯機180では、施錠位置が記憶されているとは限らないので、離間距離が算出可能とは限らない。そこで、第4変形例の応答信号返信部182は、車両1からの問合信号を受信すると、測位部101から受信位置を取得して、応答信号と共に、車両1に向かって返信する。また、問合信号の受信時に、測位部101が測位信号を受信できなかった場合には、問合信号の受信位置の代わりに、問合信号の受信前に得られていた測位の結果を、測位部101から取得する。更に、移動距離推定部109からは、その測位の結果が得られた時点から問合信号を受信した時点までの移動距離を取得する。そして、受信位置の代わりに、これらの情報を、応答信号と共に返信する。
こうすれば、車両側では、応答信号と共に返信されてきた受信位置に基づいて、携帯機180を認証するか否か、あるいは車両1の扉を開錠可能として良いか否かを判断することができる。また、受信位置の代わりに、問合信号の受信前に得られていた測位の結果と、その測位の結果が得られた時点から問合信号を受信した時点までの移動距離とが返信されてきた場合でも、これらの情報に基づいて、携帯機180を認証するか否か、あるいは車両1の扉を開錠可能として良いか否かを判断することができる。その結果、不正な方法で車両1の扉が開錠されてしまう事態を防止することが可能となる。
以上、本実施例および各種の変形例について説明したが、本発明は上述した本実施例および各種の変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
1…車両、 2…開錠装置、 3…取手、 9a,b…中継器、
10…車載制御装置、 100…携帯機、 101…測位部、
102…施錠位置記憶部、 103…施錠検知部、 104…問合信号受信部、
105…返信判断部、 106…応答信号返信部、 107…認証情報記憶部、
108…加速度検出部、 109…移動距離推定部、 150…携帯機、
151…移動方向検出部、 152…移動位置推定部、 160…携帯機、
161…測位部、 162…通信部、 163…通信部、
170…携帯機、 171…応答信号返信部。

Claims (6)

  1. 車両(1)の使用者によって携帯され、前記車両との間で無線通信することによって、前記車両の扉の開錠、あるいは前記車両のエンジンの始動の少なくとも一方を実行させる機能を備えた携帯機(100、150、160)であって、
    所定の時間間隔で送信されてくる測位信号を受信して現在位置を測位する測位部(101、161)と、
    前記携帯機に加わる加速度を検出する加速度検出部(108)と、
    前記測位信号を受信すると、前記測位信号による前記測位の結果が得られた時点からの前記携帯機の移動距離を、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記加速度に基づいて推定する移動距離推定部(109)と、
    前記車両の扉が施錠されたことを検知すると、前記施錠が検知された時点で得られていた前記測位の結果を取得して、得られた前記測位の結果を施錠位置として記憶する施錠位置記憶部(102)と、
    前記車両からの問合信号を受信すると、前記問合信号を受信した時点で得られていた前記測位の結果である受信位置と、前記施錠位置との間の離間距離に基づいて、前記問合信号に対して返信するか否かを判断する返信判断部(105)と、
    前記返信すると判断された場合には、前記問合信号に対する応答信号を返信する応答信号返信部(106)と
    を備え、
    前記返信判断部は、
    前記問合信号に対して返信するか否かの判断に先立って、前記受信位置を前記問合信号の受信時の前記携帯機の位置として採用できるか否かを判断し、採用できないと判断した場合は、採用できないと判断した前記受信位置と、前記問合信号を受信した時点で前記移動距離推定部によって推定されていた前記移動距離とに基づいて、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記離間距離を推定し、
    推定した前記離間距離に基づいて、前記返信するか否かを判断する
    ことを特徴とする携帯機。
  2. 請求項1に記載の携帯機であって、
    前記移動距離推定部は、前記加速度に基づいて前記使用者の歩行を検出することによって、前記携帯機の移動距離を推定する
    ことを特徴とする携帯機。
  3. 請求項2に記載の携帯機であって、
    前記移動距離推定部は、前記使用者の歩数と、予め設定されている前記使用者の歩幅とに基づいて、前記携帯機の移動距離を推定する
    ことを特徴とする携帯機。
  4. 車両(1)に搭載された車載制御装置と、前記車両の使用者によって携帯された携帯機(170)とを備え、前記車載制御装置と前記携帯機との間で無線通信することによって前記携帯機を認証した後、前記車両の扉の開錠、あるいは前記車両のエンジンの始動の少なくとも一方を実行する車両用システムであって、
    前記携帯機は、
    所定の時間間隔で送信されてくる測位信号を受信して現在位置を測位する測位部(101)と、
    前記携帯機に加わる加速度を検出する加速度検出部(108)と、
    前記測位信号を受信すると、前記測位信号による前記測位の結果が得られた時点からの前記携帯機の移動距離を、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記加速度に基づいて推定する移動距離推定部(109)と、
    前記車両の扉が施錠されたことを検知すると、前記施錠が検知された時点で得られていた前記測位の結果を取得して、得られた前記測位の結果を施錠位置として記憶する施錠位置記憶部(102)と、
    前記車両からの問合信号を受信すると、前記問合信号を受信した時点で得られていた前記測位の結果である受信位置と、前記施錠位置との間の離間距離を算出して、前記問合信号に対する応答信号と共に、前記離間距離を返信する応答信号返信部(171)と
    を備えており、
    前記車載制御装置は、前記携帯機から前記応答信号と共に返信されてきた前記離間距離に基づいて、前記携帯機を認証するか否か、または前記車両の扉を開錠するか否か、あるいは前記車両のエンジンを始動するか否かの少なくとも何れかを判断しており、
    前記応答信号返信部は、
    前記問合信号に対して前記応答信号と共に前記離間距離を返信するに先立って、前記受信位置を前記問合信号の受信時の前記携帯機の位置として採用できるか否かを判断し、採用できないと判断した場合は、採用できないと判断した前記受信位置と、前記問合信号を受信した時点で前記移動距離推定部によって推定されていた前記移動距離とに基づいて、前記携帯機の移動方向を考慮することなく前記離間距離を推定し、
    推定した前記離間距離と共に、前記応答信号を返信する
    ことを特徴とする車両用システム。
  5. 車両(1)に搭載された車載制御装置と、前記車両の使用者によって携帯された携帯機(10)とを備え、前記車載制御装置と前記携帯機との間で無線通信することによって前記携帯機を認証した後、前記車両の扉の開錠、あるいは前記車両のエンジンの始動の少なくとも一方を実行する車両用システムであって、
    前記携帯機は、
    所定の時間間隔で送信されてくる測位信号を受信して現在位置を測位する測位部(101)と、
    前記携帯機に加わる加速度を検出する加速度検出部(108)と、
    前記測位信号を受信すると、前記測位信号による前記測位の結果が得られた時点からの前記携帯機の移動距離を、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記加速度に基づいて推定する移動距離推定部(109)と、
    前記車両の扉が施錠されたことを検知すると、前記施錠が検知された時点で得られていた前記測位の結果を取得して、施錠位置として前記車両に送信する施錠位置送信部(181)と、
    前記車両からの問合信号を受信すると、前記問合信号を受信した時点で得られていた前記測位の結果である受信位置を、前記問合信号に対する応答信号と共に返信する応答信号返信部(171)と
    を備えており、
    前記車載制御装置は、前記携帯機から送信されてきた前記施錠位置を記憶しておき、前記携帯機から前記応答信号と共に返信されてきた前記受信位置を受け取ると、前記施錠位置と前記受信位置とを用いて算出した前記離間距離に基づいて、前記携帯機を認証するか否か、または前記車両の扉を開錠するか否か、あるいは前記車両のエンジンを始動するか否かの少なくとも何れかを判断しており、
    前記応答信号返信部は、
    前記問合信号に対して前記応答信号と共に前記受信位置を返信するに先立って、前記受信位置を前記問合信号の受信時の前記携帯機の位置として採用できるか否かを判断し、採用できないと判断した場合は、採用できないと判断した前記受信位置と、前記問合信号を受信した時点で前記移動距離推定部によって前記携帯機の移動方向を考慮することなく推定されていた前記移動距離とを、前記応答信号と共に返信しており
    前記車載制御装置は、前記携帯機から前記応答信号と共に前記受信位置と前記移動距離とを受け取った場合には、前記施錠位置と前記受信位置と前記移動距離を用いて推定した前記離間距離に基づいて、前記携帯機を認証するか否か、または前記車両の扉を開錠するか否か、あるいは前記車両のエンジンを始動するか否かの少なくとも何れかを判断する
    ことを特徴とする車両用システム。
  6. 車両の使用者によって携帯され、前記車両との間で無線通信することによって前記車両の扉の開錠、あるいは前記車両のエンジンの始動の少なくとも一方を実行させる機能を備えた携帯機に適用される通信制御方法であって、
    所定の時間間隔で送信されてくる測位信号を受信して現在位置を測位する工程(S101)と、
    前記携帯機に加わる加速度を検出する工程(S202)と、
    前記測位信号を受信すると、前記測位信号による前記測位の結果が得られた時点からの前記携帯機の移動距離を、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記加速度に基づいて推定する工程(S204)と、
    前記車両の扉が施錠されたことを検知すると、前記施錠が検知された時点で得られていた前記測位の結果を取得して、得られた前記測位の結果を施錠位置として記憶する工程(S106)と、
    前記車両からの問合信号を受信すると、前記問合信号を受信した時点で得られていた前記測位の結果である受信位置と、前記施錠位置との間の離間距離に基づいて、前記問合信号に対して返信するか否かを判断する工程(S117)と、
    前記返信すると判断された場合には、前記問合信号に対する応答信号を返信する工程(S118)と
    を備え、
    前記問合信号に対して返信するか否かを判断する工程は、
    前記判断に先立って、前記受信位置を前記問合信号の受信時の前記携帯機の位置として採用できるか否かを判断し、採用できないと判断した場合は、採用できないと判断した前記受信位置と、前記問合信号を受信した時点で推定されていた前記移動距離とに基づいて、前記携帯機の移動方向を考慮することなく、前記離間距離を推定し、
    推定した前記離間距離に基づいて、前記返信するか否かを判断する
    ことを特徴とする通信制御方法。
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