JP7085112B2 - 回折光学素子の回折特性の設計方法および照明装置 - Google Patents

回折光学素子の回折特性の設計方法および照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、光源からの光を回折して被照明領域を照明することで表示を行う回折光学素子の回折特性の設計方法に関する。また、本発明は、被照明領域を照明する照明装置に関する。
例えば、特許文献1に開示されているように、光源および回折光学素子を含んだ照明装置が知られている。特許文献1に開示された照明装置では、回折光学素子が光源からの光を回折して投影面上に向ける。これにより、投影面上の被照明領域が照明されて、被照明領域の形状に対応したパターンの表示を行うことができる。
特開2015-132707号公報
昨今、このような照明装置は普及し、その適用範囲も拡大しつつある。しかしながら、照明装置の用途によっては、観察者が、意図されたパターンとして表示を把握することができないこともあった。
この不具合について本件発明者らが鋭意検討を行ったところ、照明装置から被照明領域内を見込む各方向に或る程度均一な光度分布で光を照射しているにもかかわらず、或いは、照明装置から被照明領域内の各位置に或る程度均一な照度分布で光を照射しているにもかかわらず、観察者が或る観察点から被照明領域内の各位置を見込んだ際の輝度角度分布が大きく変動することがあった。そしてこの場合、観察者によって知覚される被照明領域内での明るさが大きく変動し、観察者は、被照明領域の一部分を照明されていると認識できないこともあった。このような状況から、観察者が、意図された表示パターンとして表示を把握することができないこともあった。
本件発明は、このような点を考慮してなされたものであって、回折光学素子での回折光を用いて被照明領域を照明することで、意図した表示を観察点から観察可能とすることを目的とする。
本開示による回折特性の設計方法は、
光源からの光を回折して被照明領域を照明することで表示を行う回折光学素子の回折特性の設計方法であって、
観察点を決定する工程と、
前記観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が所定の輝度分布となるように、前記回折光学素子の回折特性を決定する工程と、を備える。
本開示による回折特性の設計方法が、
表示したいパターンを決定する工程と、
前記表示したいパターン及び前記観察点に基づいて被照明領域を決定する工程と、を更に備えるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法が、
表示したいパターンの明るさの分布を決定する工程を更に備え、
表示したいパターンの明るさの分布に基づき、前記所定の輝度分布が決定されるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法において、決定される明るさの分布は、前記パターンの縁部において縁部から離間した中央部よりも明るくなる分布、又は、前記パターン内で均一な明るさとなる分布であるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法において、前記回折特性は、前記被照明領域の反射特性に基づいて、決定されるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法において、前記回折特性は、前記被照明領域の反射特性に基づき、前記回折光学素子から単位立体角内に放射されるエネルギー量の分布を特定することで、決定されるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法において、前記回折特性は、前記被照明領域の拡散反射特性に基づき、前記回折光学素子から前記被照明領域の単位面積領域内に入射する光束量の分布を特定することで、決定されるようにしてもよい。
本開示による回折特性の設計方法において、
前記回折光学素子は、複数の要素回折光学部を含み、
各要素回折光学部について回折特性を決定していくようにしてもよい。
本開示による照明装置は、
コヒーレント光を射出する光源と、
前記光源から射出されたコヒーレント光を整形する整形光学系と、
前記整形光学系にて整形されたコヒーレント光を回折して被照明領域に向ける回折光学素子と、を備え、
前記回折光学素子は、或る観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が所定の分布となるように回折特性を調節されている。
本開示による照明装置において、前記回折光学素子は、或る観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が一定となるように回折特性を調節されていてもよい。
本開示による照明装置において、前記回折光学素子は、或る観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が被照明領域の縁部で前記縁部から離間した中央部よりも高くなるように回折特性を調節されていてもよい。
本開示による照明装置において、前記回折光学素子は、前記被照明領域の反射特性に基づいて、前記回折特性を調節されていてもよい。
本開示による照明装置において、前記回折光学素子は、互いに異なる回折特性を有した複数の要素回折光学部を含んでいてもよい。
本発明によれば、回折光学素子での回折光を用いて被照明領域を照明することで、意図した表示を観察点から観察可能とすることができる。
図1は、本開示の一実施の形態を説明するための図であって、照明装置を示す斜視図である。 図2は、回折光学素子の回折特性の設計方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、投影面上の被照明領域の一例を示す斜視図である。 図4は、図3の被照明領域に観察される表示パターンの一例を示す図である。 図5は、図3に対応する図であって、投影面上の被照明領域の他の例を示す斜視図である。 図6は、図5の被照明領域に観察される表示パターンの他の例を示す図である。 図7は、回折特性の設計方法を説明するための図である。 図8は、観察点から被照明領域を観察した場合の輝度分布の一例を示すグラフである。 図9は、回折特性の設計方法を説明するための図である。 図10は、観察点から被照明領域を観察した場合の輝度分布の他の例を示すグラフである。 図11は、図4に対応する図であって、表示パターンの更に他の例を示す図である。 図12は、図8に対応する図であって、図11の表示パターンを観察した際の輝度分布を示すグラフである。 図13は、図10に対応する図であって、図11の表示パターンを観察した際の輝度分布を示すグラフである。 図14は、図1に対応する図であって、照明装置の一変形例を示す斜視図である。 図15は、図1に対応する図であって、照明装置の他の変形例を示す斜視図である。 図16は、図1に対応する図であって、照明装置の更に他の変形例を示す斜視図である。 図17は、図3に対応する図であって、従来の被照明領域の一例を示す斜視図である。 図18は、図4に対応する図であって、図17の被照明領域に観察される表示パターンを示す図である。 図19は、図5に対応する図であって、従来の被照明領域の他の例を示す斜視図である。 図20は、図6に対応する図であって、図19の被照明領域に観察される表示パターンを示す図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、照明装置10の全体構成を模式的に示す斜視図である。照明装置10は、投影面PP上の被照明領域LZを照明することで、表示パターンDPの表示行う装置である。本実施の形態による照明装置10は、コヒーレント光源20と、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を整形する整形光学系30と、整形光学系30で整形されたコヒーレント光を回折して被照明領域LZに向ける回折光学素子40と、を有している。とりわけ本実施の形態による照明装置10では、当該照明装置10によって表示することが意図された表示パターンDPを観察者が観察可能とするための工夫、具体的には、コヒーレント光を照射された被照明領域LZを或る観察点から観察した際の輝度分布が所定の分布となるように回折光学素子40の回折特性を調節しておくといった工夫が成されている。以下、図示された具体例を参照しながら、一実施の形態による照明装置10について説明していく。
上述したように、照明装置10は、投影面PP上の被照明領域LZを照明する装置である。図1に示された例において、実空間における被照明領域LZは、第1方向dxを長手方向とする細長い矩形状の領域となっている。このような照明装置は、例えば、自動車や船等の移動体に適用され得る。移動体では、進行方向の前方に広がる領域を照明する必要がある。とりわけ、高速で移動する移動体、例えば車両や飛行機や、急制動が難しい移動体、例えば船舶等の前照灯、いわゆるヘッドランプは、当該移動体の前方の領域を明るく照明する、或いは、周囲の通行者等に何らかの表示を行うことが好ましいこともある。
図1に示された例において、照明装置10及び被照明領域LZの一部分は、第1方向dxにおいて同一の位置に配置されている。その一方で、照明装置10及び被照明領域LZは、第1方向dxと直交する第2方向dyに離間している。また、照明装置10及び被照明領域LZは、第1方向dx及び第2方向dyの両方と直交する第3方向dzにも離間している。照明装置10は、第1方向dx及び第3方向dzと平行な投影面PP上にコヒーレント光を照射し、被照明領域LZは、第1方向dx及び第3方向dzと平行な投影面PP上の領域となっている。第2方向dyは、投影面PP及び被照明領域LZへの法線方向ndと平行になっている。
また、図1や、図3、図5に示された例では、第3方向dzにおける被照明領域LZの照明装置10とは逆側に位置する観察点VPから被照明領域LZを観察することが想定されている。この例において、観察点VPは、照明装置10と第1方向dxにおいて同一の位置に配置されている。観察点VPは、第2方向dyにおいて、照明装置10及び被照明領域LZの両方からずれて位置している。
なお、照明装置10によって表示される表示パターンDPは、図示された矩形状またはライン形状に限られることなく、種々の図形、パターン、マーク、デザイン、イラスト、キャラクター、文字、記号等とすることができる。照明装置10は、表示パターンDPを表示することにより、何らかの情報を発信するようにしてもよい。また、観察点VP、投影面PP、被照明領域LZ、照明装置10の位置についても、図示された配置は例示に過ぎず、種々の変更が可能である。
上述したように、図示された照明装置10は、その構成要素として、コヒーレント光源20、整形光学系30及び回折光学素子40を有している。以下、照明装置10の各構成要素について順に説明していく。
コヒーレント光源20は、波長および位相が揃ったコヒーレント光を射出することができる。コヒーレント光源20として、種々の型式の光源を用いることができる。典型的には、コヒーレント光源20として、レーザー光を発振するレーザー光源を用いることができ、一具体例として、半導体レーザー光源を例示することができる。図1に示された例において、コヒーレント光源20は、単一の光源を含んでいる。したがって、図示された例では、コヒーレント光源20から発振されるコヒーレント光の波長域に対応した色で、被照明領域LZが照明される。
ただし、コヒーレント光源20が複数の光源20A,20B,20Cを含み、各光源から射出した光が重ね合わされた後、整形光学系30及び回折光学素子40に向かうようにしてもよい。また、図14及び図15に示された変形例のように、各光源20A,20B,20Cから射出した光が当該光源20A,20B,20Cに対応して設けられた整形光学系30A,30B,30C及び回折光学素子40A,40B,40Cを経て、その後に被照明領域LZ上で重ね合わされてもよい。
このような例において、コヒーレント光源20に含まれる複数の光源20A,20B,20Cは、同一の波長域の光を射出するようにしてもよい。コヒーレント光源20が同一の波長域の光を射出する光源20A,20B,20Cを含むことで、被照明領域LZを明るく照明することが可能となる。或いは、コヒーレント光源20に含まれる複数の光源20A,20B,20Cは、異なる波長域の光を射出するようにしてもよい。コヒーレント光源20が異なる波長域の光を射出する光源20A,20B,20Cを含むことで、被照明領域LZを種々の色で照明することが可能となる。
なお、図14及び図15に示す例において、コヒーレント光源20は、第1コヒーレント光源20A、第2コヒーレント光源20B及び第3コヒーレント光源20Cを有している。コヒーレント光源20が、複数のコヒーレント光源を含む場合には、各コヒーレント光源20A,20B,20Cからのコヒーレント光の射出、より具体的には射出の発停および射出量を調節することで、被照明領域LZの照明色や被照明領域LZの明るさを制御するようにしてもよい。
次に、整形光学系30について説明する。整形光学系30は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を整形する。言い換えると、整形光学系30は、コヒーレント光の光軸に直交する断面での形状や、コヒーレント光の光束の立体的な形状を整形する。典型的には、整形光学系30は、コヒーレント光の光軸に直交する断面でのコヒーレント光の光束断面積を拡大させる。
図示された例において、整形光学系30は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を拡幅した平行光束に整形する。すなわち、整形光学系30は、コリメート光学系として機能する。図1に示すように、整形光学系30は、コヒーレント光の光路に沿った順で、第1レンズ31及び第2レンズ32を有している。第1レンズ31は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を発散光束に整形する。第2レンズ32は、第1レンズ31で生成された発散光束を、平行光束に整形し直す。すなわち、第2レンズ32は、コリメートレンズとして機能する。
次に、回折光学素子40について説明する。回折光学素子40は、コヒーレント光源20から射出した光に対して回折作用を及ぼす素子である。回折光学素子40は、コヒーレント光源20からの光を回折して、被照明領域LZに向ける。したがって、被照明領域LZは、回折光学素子40での回折光によって、照明されることになる(図1参照)。
図示された例において、回折光学素子40と被照明領域LZとの間には、他の光学素子等が介在していない。したがって、回折光学素子40での回折光は、被照明領域LZに直接入射する。回折光学素子40上の各点における回折光は、被照明領域LZの少なくとも一部を照明する。すなわち、回折光学素子40上の各点における回折光は、所定の拡散角度範囲内を進行して、被照明領域LZを照明する。
回折光学素子40は、典型的には、ホログラム素子である。回折光学素子40としてホログラム素子を用いることで、ホログラム素子の回折特性を設計しやすくなり、予め定めた位置、サイズおよび形状の被照明領域LZの全域を照明するようなホログラム素子の設計も比較的容易に行うことができる。
図1に示された例において、被照明領域LZは、回折光学素子40に対して予め定めた位置に、予め定めたサイズおよび形状でxyz座標の実空間に設定されている。ただし、回折光学素子40と被照明領域LZとの相対位置を、角度空間で表すこともできる。角度空間は、一例として、第1方向dx及び第3方向dzの両方に平行なxz面での相対角度および第2方向dy及び第3方向dzの両方に平行なyz面での相対角度を用いた座標で定義される。
被照明領域LZの位置および形状は、回折光学素子40の回折特性に依存しており、回折光学素子40の回折特性を調整することで、被照明領域LZの位置および形状を任意に調整することができる。逆に言えば、所望する被照明領域LZの位置および形状に合わせて、回折光学素子40の回折特性を設計することになる。すなわち、回折光学素子40を設計する際には、まず被照明領域LZの位置および形状を決定して、決定した被照明領域LZの全域を照明できるように、回折光学素子40の回折特性を調整すればよい。回折光学素子40に付与されるべき回折特性については、後述する。
回折光学素子40は、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)として作製され得る。計算機合成ホログラムは、任意の回折特性を持つ構造をコンピュータ上で計算することによって作製される。したがって、計算機合成ホログラムを回折光学素子40として採用することで、コヒーレント光源や光学系を用いた物体光及び参照光の生成や、露光によるホログラム記録材料への干渉縞の記録を不要とすることができる。照明装置10は、例えば図1に示すように、回折光学素子40に対して予め定めた位置に、予め定めた形状の被照明領域LZを照明することを想定されている。被照明領域LZに関する情報をパラメータとしてコンピュータに入力することで、この被照明領域LZを照明可能な所望の回折特性を持つ構造、例えば凹凸面を、コンピュータでの演算によって特定することができる。特定された構造を、例えば樹脂賦型により形成することで、計算機合成ホログラムとしての回折光学素子40を、簡易な手順にて低コストで作製することができる。
所望の回折特性を付与される回折光学素子40は、一例として、以下のように得られる。まず、回折光学素子40への第1の光と、所望する被照明領域LZから回折光学素子40に向かう第2の光と、を設定する。第1の光は、回折光学素子40が照明装置10に組み込まれた状態において整形光学系30から回折光学素子40へ入射するようになる再生照明光と同一の光路を進む光とする。第2の光は、照明装置10の実際の使用において回折光学素子40で回折されて被照明領域LZの各位置に入射するようになる再生光の光路を逆向きに進んで、被照明領域LZの各位置から回折光学素子40へ入射する光とする。そして、第1の光と第2の光とによって形成される回折光学素子40上での干渉パターンを計算し、この干渉パターンに対応した微細構造を作製する。微細構造としては、凹凸パターンが例示される。干渉パターンの計算は、第1の光や第2の光のモデル設計を含め、計算機によって実行される。また、凹凸パターンからなる微細構造は、フォトリソグラフィー技術を利用した樹脂成形により、作製され得る。
次に、以上に説明した照明装置10の作用について説明する。
図1に示すように、光源20から射出したコヒーレント光は、まず、整形光学系30に入射する。整形光学系30では、光源20から射出した光を拡大する。すなわち、光軸に直交する断面においてコヒーレント光が占める領域が広がるよう、整形光学系30は光を整形する。整形光学系30は、第1レンズ31及び第2レンズ32を有している。図1に示すように、整形光学系30の第1レンズ31は、光源20から射出した光を発散させて発散光束に変換する。そして、整形光学系30の第2レンズ32は、発散光束を平行光束へとコリメートする。
整形光学系30で整形された光は、次に、回折光学素子40へと向かう。回折光学素子40は、整形光学系30からのコヒーレント光を回折して、被照明領域LZに向ける。図2に示すように、回折光学素子40は、整形光学系30からのコヒーレント光を回折することで、当該コヒーレント光を投影面PP上の被照明領域LZに向けることができる。そして、或る観察点VPから被照明領域LZを観察した場合、被照明領域LZに対応した輪郭を有する表示パターンDPを視認することができる。
ところで、昨今、このような照明装置は普及し、その適用範囲も拡大しつつある。そして、既に言及したように、照明装置の用途や使用条件によっては、観察者が、照明装置によって表示されることを意図された表示パターンDPとして、被照明領域LZを認識することができないことが生じた。この不具合の原因について本件発明者が鋭意検討を重ねたところ、次のことが確認された。
すなわち、図17や図19に示すように、従来の照明装置110は、被照明領域LZ内の各位置を或る程度の均一な明るさ分布で照明するよう、設計されていた。例えば、従来の照明装置110は、単位立体角内に放出されるエネルギー量、すなわち光度〔cd〕が照明装置110から被照明領域LZを見込む角度範囲内において均一となるよう、或いは、被照明領域LZの単位面積領域内に入射する光束量〔lm〕が被照明領域LZ内において均一となるよう、回折特性を設定されていた。ここで、図17に示された例での被照明領域LZは、図1に示された例と同様に、第1方向dxに細長い矩形状の領域となっている。一方、図19に示された例での被照明領域LZは、第3方向dzに細長い矩形状の領域となっている。
一方、図18には、図17に示された被照明領域LZを、図17に示された観察点VPから観察者によって視認される横長の被照明領域LZ内の明るさ分布を示している。同様に、図20には、図19に示された被照明領域LZを、図19に示された位置から観察者によって視認される縦長の被照明領域LZ内の明るさ分布を示している。すなわち、照明装置110から照射される光度を、照明装置110から被照明領域LZを見込む角度範囲内において一定としても、或いは、被照明領域LZの単位面積領域内に入射する光束量〔lm〕を被照明領域LZ内において一定としても、観察者の位置から被照明領域LZを見込んだ場合の被照明領域LZ上での輝度分布は一定とならない。そして、観察者は、被照明領域の一部分を照明されていると認識できないこともあった。この場合、観察者は、照明装置110によって照明されることが意図された投影面PP上の領域の全域を、被照明領域LZとして認識することができない。この結果、観察者は、照明装置110によって表示されることが意図された表示パターンDPを、認識することができない。
そして、本件発明者らは、このような不具合の発生が、被照明領域LZが形成される投影面PPでの反射特性に起因していると考えた。すなわち、投影面PPでの反射が、ランバート反射とも呼ばれる完全拡散反射ではなく、正反射方向への拡散が強くなる指向性を有している。この結果、観察方向が正反射方向と一致するようになる被照明領域LZ内の領域を最も明るく観察することになり、図17~図20に示すように、観察方向が正反射方向に対してより大きな角度をなすようになる被照明領域LZ内の領域を暗く観察することになる。
このように観察者によって認識される明るさが、投影面PP上の照明されている領域内で変化し、観察者によって視認される被照明領域LZが、表示することを意図された表示パターンDPとは異なる表示として認識され得る。
とりわけ、昨今では照明装置の適用範囲が広がったことから、この不具合が生じ易い状況で照明装置が使用されることもある。例えば、移動体の前照灯等として用いられる照明装置は、多くの場合、地面、路面、水面等の投影面を照明する。この用途において、通行者等の観察者は、大面積の被照明領域LZを近接した位置から観察することがある。この用途において、観察者の被照明領域LZを見込む角度範囲は非常に広くなり、投影面PPの反射特性に影響を受けやすくなる。
一方、本実施の形態においては、このような不具合に対処するための工夫がなされている。具体的には、コヒーレント光を照射された被照明領域LZを或る観察点VPから観察した際の輝度分布が所定の分布となるように回折光学素子40の回折特性を調節しておくといった工夫が成されている。具体的には、図2に示された設計方法により、回折光学素子40の回折特性が設計されている。
まず、第1工程S1として、表示パターンDPが決定される。第1工程S1において、表示パターンDPの輪郭又は形状だけでなく、表示パターンDPの明るさの分布も決定されるようにしてもよい。この工程で決定される表示パターンDPとして、図4に示された表示パターンDPや図6に示された表示パターンDPが例示される。図4に示された表示パターンDPは、図1に示された例と同様に、第1方向dxに細長い矩形状のパターンとなっている。また、図4に示された表示パターンDPでは、均一な色で均一な明るさで表示されることを意図されている。一方、図6に示された表示パターンDPは、図1に示された例とは異なり、第3方向dzに細長い矩形状のパターンとなっている。また、図6に示された表示パターンDPでも、均一な色で均一な明るさで表示されることを意図されている。
次に、第2工程S2として、回折光学素子40の位置および観察点VPが決定される。第2工程S2では、実際の使用において想定される回折光学素子40の配置および観察点VPを予め決定しておくことになる。なお、回折光学素子40の位置および観察点VPは、並行して決定される必要はなく、別々に決定されるようにしてもよい。とりわけ、回折光学素子40の位置は、第2工程S2として決定される必要はなく、第2工程S2とは別の工程として、後述する第6工程S6の前に決定されるようにしてもよい。
その後、第3工程S3として、観察方向dwが決定される。図3に示すように、観察方向dwは、観察点VPから表示パターンDPを観察する方向である。図示された例において、観察者は被照明領域LZを直接観察するので、観察方向dwは、観察点VPから被照明領域LZを観察する方向に一致する。
次に、第4工程S4として、被照明領域LZを決定する。この工程では、被照明領域LZの形状又は輪郭と、被照明領域LZの投影面PP上における位置が決定される。被照明領域LZの形状および位置は、観察点VP及び観察方向dwに基づいて決定される。例えば、図3及び図5に示された例では、観察点VPから被照明領域LZを直接観察することを想定されている。これらの例において、被照明領域LZは、所定の位置に配置された表示パターンDPの各微小面積部分、例えば各単位面積領域を、観察点VPから投影面PP上へ観察方向dwに投影した領域の集合として、決定される。
その後、第5工程S6として、輝度分布が決定される。この工程で決定される輝度分布は、観察点VPから被照明領域LZ内の各微小面積領域(例えば単位面積領域)を見込んだ場合の当該微小面積領域上での輝度の分布のことである。輝度分布は、第1工程S1で決定された表示パターンDPの明るさ分布に基づいて決定される。表示パターンDPの明るい部分に対応する被照明領域LZ内の領域での輝度は高く設定され、表示パターンDPの暗い部分に対応する被照明領域LZ内の領域での輝度は低く設定される。
図7~図10は、決定された輝度分布の一例を示している。図7~図10に示された例では、図7および図9に示された角度座標系により、被照明領域LZ内で微小面積領域の位置を角度によって特定している。図8及び図10は、被照明領域LZ内の各微小面積領域での輝度を各角度座標に対する分布として示している。
図7に示された角度座標系では、被照明領域LZ内における各微小面積領域の位置を、xz面への投影において観察点VPと当該微小面積領域とを結ぶ線分lx1,lx2が第3方向dzに対してなす角度によって、表している。したがって、第1方向dxにおいて観察点VPと同一位置にある微小面積領域の角度を0°としている。第1方向dxにおける一方の側に位置する微小面積領域の角度を正の値として特定し、第1方向dxにおける他方の側に位置する微小面積領域の角度を負の値として特定している。図8に示された輝度角度分布は、被照明領域LZ内となる第3方向dzにおける特定の位置において第1方向dxに沿って延びる領域についての輝度分布であるが、このような輝度分布を、第3方向dzにおける各位置において特定する。
図9に示された角度座標系では、被照明領域LZ内における各微小面積領域の位置を、yz面への投影において観察点VPと当該微小面積領域とを結ぶ線分ly1,ly2が第2方向dyに対してなす角度によって、表している。図10に示された輝度角度分布は、被照明領域LZ内となる第1方向dxにおける特定の位置において第3方向dzに沿って延びる領域についての輝度分布であるが、このような輝度分布を、第1方向dxにおける各位置において特定する。
なお、図4及び図6に示された均一な明るさの表示パターンDPを表示するには、観察点VPから被照明領域LZ内を見込んだ際の輝度の角度分布も、図8及び図10に示すように、一定の輝度を有するようになる。図8に示された輝度分布では、被照明領域LZ内における第1方向dxに沿った両端部に対応する角度θx1と角度θx2との間で、輝度は一定となっている。同様に、図10に示された輝度分布でも、被照明領域LZ内における第3方向dzに沿った両端部に対応する角度θy1と角度θy2との間で、輝度は一定となっている。
次に、第6工程S6として、回折光学素子40の回折特性が決定される。回折特性は、回折光学素子40から単位立体角内(微小角度範囲内)に射出するエネルギー量の分布、すなわち光度の分布を特定することで、或いは、回折光学素子40から被照明領域LZの各位置とも呼べる各単位面積領域に入射するエネルギー量の分布、すなわち照度の分布を特定することで、決定される。
本実施の形態において、回折光学素子40の回折特性は、上記第5工程S5で決定された輝度分布に加え、投影面PP又は被照明領域LZでの反射特性も考慮して、決定される。具体的には、まず、被照明領域LZが設定される投影面PP上の領域の反射特性、とりわけ拡散反射特性を調査する。この反射特性を考慮することで、被照明領域LZ内の或る微小面積領域に特定の入射角度θiで入射した光束量のうち、観察点VPに向けて反射される量を推測することができる。このようにして設計された回折特性を有する回折光学素子40を用いることで、観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度分布を、第5工程S5で決定された所定の輝度分布と同様の傾向を有するようになる。すなわち、第6工程を経て設計された回折特性を有する回折光学素子40によれば、第5工程S5で決定された所定の輝度分布を高精度に再現することができる。したがって、照明装置10によって照明されている被照明領域LZを観察点VPから観察することにより、照明装置10によって表示することを意図された表示パターンDPを視認することができる。
以上に説明した一実施の形態において、回折光学素子40の回折特性は、観察点VPを決定する工程と、観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度分布が所定の輝度分布となるように回折光学素子40の回折特性を決定する工程と、を経て設計される。すなわち、回折光学素子40は、或る観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度分布が所定の分布となるように回折特性を調節されている。このような回折光学素子40を用いた照明装置10によって照明された被照明領域LZを観察した場合、意図した表示パターンDPを投影面PP上に精度良く視認することが可能となる。
上述した一実施の形態の一具体例において、表示したい表示パターンDPを決定する工程が更に設けられ、表示したい表示パターンDP及び観察点VPからの観察方向dwに基づいて、表示パターンDPと被照明領域LZとの相対位置および被照明領域LZの形状が決定される。このような方法によって決定された被照明領域LZを観察点VPから観察することにより、所望の表示パターンDPを意図した位置に精度良く観察することができる。
上述した一実施の形態の一具体例において、回折光学素子40の回折特性は、表示したい表示パターンDPの明るさの分布を決定する工程を更に経て、表示したい表示パターンDPの明るさの分布に基づいた所定の輝度分布が得られるように、決定されている。このような方法によって決定された被照明領域LZを観察点VPから観察することにより、所望の表示パターンDPを意図した明るさ分布で精度良く観察することができる。
上述した一具体例において、観察される表示パターンDPが均一な明るさとなるように、回折光学素子40の回折特性が設計されている。すなわち、回折光学素子40は、或る観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度分布が被照明領域LZ内で一定となるように回折特性を調節されている。このように回折特性を調節された回折光学素子40を用いることで、被照明領域LZを観察点から観察した際に、所望の表示パターンDPを精度良く観察することができる。
上述した一実施の形態の一具体例において、回折光学素子40は、被照明領域LZの反射特性に基づいて、回折特性を調節されている。このように回折特性を調節された回折光学素子40を用いることで、被照明領域LZを観察点から観察した際に、所望の表示パターンDPを精度良く観察することができる。
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した一具体例において、図4及び図6に示すように、或る観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度が一定となるように回折光学素子40の回折特性を調節した。しかしながら、観察点VPから被照明領域LZ内の各位置を見込んだ際の輝度が変動して表示パターンDPが所望の明るさ分布で観察され得るよう、回折光学素子40の回折特性を適宜調節することができる。例えば、表示パターンDPの輪郭を明瞭とするため、図11~図13に示すように、或る観察点VPから被照明領域LZを観察した際の輝度分布が被照明領域LZの縁部Aeで縁部Aeから離間した中央部Acよりも高くなるように、回折光学素子40の回折特性を調節してもよい。図11は、図4に対応する図であって、表示パターンDPを示している。図12及び図13は、それぞれ、図8又は図10に対応する図であって、輝度の角度分布をグラフで示している。図12及び図13に示すように、被照明領域LZの縁部Aeに対応する角度θx1,θx2,θy1,θy2での輝度は、被照明領域LZの中央部Acに対応する角度での輝度よりも高くなっている。図11~図13に示されているように回折特性を調節された回折光学素子40を用いることで、光源を高出力化することなく、光源の有効利用を図ることで、被照明領域LZを観察点から観察した際に所望の表示パターンDPを明瞭に観察することが可能となる。
また、図16に示す例のように、回折光学素子40が、複数の要素回折光学部41を含み、各要素回折光学部41が、コヒーレント光を回折によって被照明領域LZに向けるようにしてもよい。この例において、各要素回折光学部41が、それぞれ、被照明領域LZの全域を照明するようにしてもよいし、被照明領域LZの一部分を照明するようにしてもよい。複数の要素回折光学部41が、互いに異なる領域を照明する場合、各要素回折光学部41によって照明される領域は、互いに重なり合っていてもよいし、或いは、互いからずれていて重なり合わないようにしてもよい。このような回折光学素子40によれば、各要素回折光学部41と被照明領域LZとの間での相対位置に基づいて、当該要素回折光学部41の回折特性を調節することができる。このように回折特性を調節された回折光学素子40を用いることで、被照明領域LZを観察点VPから観察した際に、所望の表示パターンDPを精度良く視認することができる。また、複数の要素回折光学部41からの回折光を重ね合わせることで、観察点VPから被照明領域LZを観察した場合の輝度分布を高い自由度で調節することが可能となる。
10 照明装置
20 コヒーレント光源
20A 第1コヒーレント光源
20B 第2コヒーレント光源
20C 第3コヒーレント光源
30 整形光学系
31 第1レンズ
32 第2レンズ
40 回折光学素子
41 要素回折光学部
dx 第1方向
dy 第2方向
dz 第3方向
nd 法線方向
dw 観察方向
θi 入射角度
DP 表示パターン
VP 観察点
PP 投影面
LZ 被照明領域
Ae 縁部
Ac 中央部

Claims (11)

  1. 光源からの光を回折して被照明領域を照明することで表示を行う回折光学素子の回折特性の設計方法であって、
    観察点を決定する工程と、
    前記観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が所定の輝度分布となるように、前記回折光学素子の回折特性を決定する工程と、を備える回折特性の設計方法。
  2. 表示したいパターンの明るさの分布を決定する工程を更に備え、
    表示したいパターンの明るさの分布に基づき、前記所定の輝度分布が決定される、請求項1に記載の回折特性の設計方法。
  3. 決定される明るさの分布は、前記パターンの縁部において縁部から離間した中央部よりも明るくなる分布、又は、前記パターン内で均一な明るさとなる分布である、請求項2に記載の回折特性の設計方法。
  4. 前記回折特性は、前記被照明領域の反射特性に基づいて、決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の回折特性の設計方法。
  5. 前記回折特性は、前記被照明領域の拡散反射特性に基づき、前記回折光学素子から前記被照明領域の単位面積領域内に入射する光束量の分布を特定することで、決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の回折特性の設計方法。
  6. 前記回折光学素子は、複数の要素回折光学部を含み、
    各要素回折光学部について回折特性を決定していく、請求項1~5のいずれか一項に記載の回折特性の設計方法。
  7. コヒーレント光を射出する光源と、
    前記光源から射出されたコヒーレント光を整形する整形光学系と、
    前記整形光学系にて整形されたコヒーレント光を回折して被照明領域に向ける回折光学素子と、を備え、
    前記回折光学素子は、予め決定された観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が所定の分布となるように回折特性を調節されている、照明装置。
  8. 前記回折光学素子は、予め決定された観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が一定となるように回折特性を調節されている、請求項7に記載の照明装置。
  9. 前記回折光学素子は、予め決定された観察点から前記被照明領域を観察した際の輝度分布が被照明領域の縁部で前記縁部から離間した中央部よりも高くなるように回折特性を調節されている、請求項7に記載の照明装置。
  10. 前記回折光学素子は、前記被照明領域の反射特性に基づいて、前記回折特性を調節されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の照明装置。
  11. 前記回折光学素子は、互いに異なる回折特性を有した複数の要素回折光学部を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の照明装置。
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