JP7014627B2 - ステアリングアシストシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されて車輪の転舵をアシストするためのステアリングアシストシステムに関する。
従来から、ステアリングアシストシステムとして、作動液(例えば、作動油)の圧力によって転舵力を助勢するシステム、つまり、液圧式ステアリングアシストシステムが存在する。この液圧式ステアリングアシストシステムは、信頼性が高く、比較的大きな助勢力を発生させることが可能である。液圧式ステアリングアシストシステムは、一般的に、高圧液源としてのポンプをエンジンの回転によって駆動するようにされている。一方で、例えば、バイブリッド駆動の車両を考慮すれば、エンジンが作動していない場合にも転舵力を助勢することが望まれ、下記特許文献に記載されているようなシステム、すなわち、エンジンの回転によって駆動されるエンジンポンプと、電動モータの回転によって駆動されるモータポンプとの両者を備え、それらエンジンポンプとモータポンプとからの作動液を、転舵力を助勢するための助勢装置が受け入れるように構成されたステアリングアシストシステム(以下、「2ポンプ液圧式ステアリングアシストシステム」という場合がある)も検討されている。
特開2014-19290号公報
上記特許文献に記載されているような2ポンプ液圧式ステアリングアシストシステムは、開発途上であり、改良を施すことによって、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いステアリングアシストシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のステアリングアシストシステムは、上述の2ポンプ液圧式ステアリングアシストシステムであって、エンジンポンプから吐出される作動液の流量を制限するための流量制限機構を設け、当該流量制限機構を介してエンジンポンプから吐出される作動液の流量を、エンジンがアイドリング回転数でエンジンポンプを駆動した際に、助勢装置によって受け入れるべき作動液の流量未満に制限し、賄い切れない作動液の流量を、モータポンプから吐出される作動液の流量によって補うように構成される。また、本発明のステアリングアシストシステムは、作動液の温度が設定温度以上となる状況(高温状況)下において、モータポンプからの作動液の吐出を禁止し、エンジンのアイドリング回転数を高くするように構成さる。
本発明のステアリングアシストシステムによれば、エンジンが作動している場合におけるエンジンポンプから助勢装置への作動液の吐出流量が小さく制限できるため、エンジンポンプの小型化、すなわち、ポンプ容量(能力),消費エネルギの低減が図れることとなる。また、エンジンポンプの作動は、作動液の温度上昇の一因となるため、エンジンポンプの小型化は、その温度上昇を抑制するためにも有利である。そのようなメリットを享受できるため、本発明のステアリングアシストシステムは、実用性の高いものとなる。また、高温状況においてモータポンプの作動を禁止した場合であっても、エンジンのアイドリング回転数を増加させることで、必要助勢装置受入流量を賄うことが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)作動液を貯留するリザーバと、
車両を駆動するエンジンによって駆動され、前記リザーバに貯留されている作動液を汲み上げてそのエンジンの回転数に応じた流量で吐出するエンジンポンプと、
そのエンジンポンプから吐出される作動液の流量を制限する流量制限機構と、
電動モータと、
その電動モータによって駆動され、前記リザーバに貯留されている作動液を汲み上げて吐出するモータポンプと、
前記電動モータの作動を制御することによって前記モータポンプから吐出される作動液の流量であるモータポンプ吐出流量を制御するモータポンプコントローラと、
前記モータポンプから吐出される作動液と、前記エンジンポンプから前記流量制限機構を介して吐出される作動液とを受け入れ可能とされ、受け入れた作動液を前記リザーバに戻しつつ、その受け入れた作動液によって要求に応じた転舵力の助勢を行う助勢装置と
を備えて前記車両に搭載されたステアリングアシストシステムであって、
当該ステアリングアシストシステムが、
前記エンジンポンプから当該流量制限機構を介して前記助勢装置に吐出される作動液の流量であるエンジンポンプ吐出流量が、アイドリング回転数での前記エンジンの駆動による前記エンジンポンプの作動において、前記助勢装置によって受け入れられることが必要とされる作動液の流量である必要助勢装置受入流量未満となるように構成され、
前記モータポンプコントローラが、
前記モータポンプ吐出流量を、前記エンジンポンプ吐出流量によっては前記必要助勢装置受入流量を賄い切れない作動液の不足流量を当該モータポンプ吐出流量によって補うべく制御するように構成されたステアリングアシストシステム。
本態様は、本発明のステアリングアシストシステム(以下、単に、「アシストシステム」という場合がある)の基本的な態様であり、エンジンで駆動されるエンジンポンプと電動モータで駆動されるモータポンプとを備え、助勢装置が、それら2つのポンプから吐出される作動液を受け入れて、受け入れた作動液に依存して転舵力を助勢するように構成されたシステム、すなわち、いわゆる「2ポンプ液圧式ステアリングアシストシステム」を前提としている。本態様のアシストシステムにおけるエンジンポンプは、エンジンの回転数(回転速度の意味である)の増加に応じて、作動液の吐出流量が、概ねリニアに増加すると考えることができる。また、エンジンが作動している場合、エンジンは、設定されたアイドリング回転数以上の回転を伴った作動を行うため、設定された吐出流量以上の作動液が吐出されることとなる。一方で、当該アシストシステムが、エンジンと駆動モータとの両方によって駆動されることが可能なハイブリッド車両に搭載されている場合、当該車両が駆動モータのみで駆動されるとき(以下、「EVモード」,「EV走行時」等という場合がある)には、エンジンの作動が停止しているため、エンジンポンプからは、作動液は吐出されないことになる。また、本態様のアシストシステムは、駆動源としてエンジンしか備えておらず、走行状態においてエンジンを停止しつつ車両の慣性を利用して走行を継続するように構成された車両、すなわち、いわゆる減速時アイドリングストップモード,慣性走行モードで走行可能な車両にも搭載可能であり、そのような車両に搭載されている場合、車両が慣性によって走行しているときには、同様に、エンジンの作動が停止しているため、エンジンポンプからは作動液が吐出されないことになる。
本態様における流量制限機構は、例えば、特許第3218788号公報,特開平8-301132号公報,特開平6-8840号公報等に示すような構造、つまり、バルブを含んだ一般的な構造のものを採用することができる。流量制限機構は、例えば、エンジンの回転数が高くなった場合であっても助勢装置に吐出される作動液の流量をある程度に制限することを主目的とするものとすることができる。流量制限機構は、電子的に制御されるものであってもよいが、電子的ではなく、機械的な機構の場合の方が、当該システムを廉価に構成することができる。また、流量制限機構は、一定の流量に制限するものに限定されない。例えば、エンジンの回転数に応じてエンジンポンプから吐出される作動液の圧力が増加する場合等に、その増加に応じて、段階的に若しくは連続的に自身を通過する流量が変化するように構成することもできる。具体的には、例えば、エンジンの回転数がある程度増加したような場合に、ステアリング操作部材の操作感を重くさせるべく、意図的に、助勢装置に吐出される流量を小さくするようにしてもよい。
本態様の助勢装置は、例えば、(a) 自身が受け入れる作動液の圧力に応じて、ステアリングシステムのステアリングシャフト,転舵ロッド等に転舵力を助勢する力、つまり、助勢力を付与する液圧式アクチュエータと、(b) そのアクチュエータに供給する作動液の流量を制御する供給流制御機構とを含む構成のものを採用することができる。供給流制御機構は、例えば、特開平6-8840号公報の図2に示すような一般的な構造のものを採用することが可能である。具体的には、エンジンポンプとモータポンプとの少なくとも一方から吐出された作動液を受け入れ、転舵力が発生していない場合には、リザーバに作動液を帰還させる一方で、転舵力が発生している場合には、受け入れた作動液の一部を、アクチュエータに転舵に応じた流量で供給するような構成のものを採用することが可能である。助勢装置には、適切な助勢力を発生させるために、自身が、すなわち、上記供給流制御機構が受け入れるべき作動液の流量が設定されており、その作動液の流量が、上記必要助勢装置受入流量である。
本態様のアシストシステムでは、エンジンの回転数がアイドリング回転数となっている場合において、エンジンポンプから上記流量制限機構を介して助勢装置に吐出される作動液の流量、すなわち、エンジンポンプ吐出流量が、必要助勢装置受入流量未満となるように設定されている。つまり、エンジンポンプの1回転あたりの吐出量を小さくすることで、比較的回転数の低いエンジンの作動状態においては、エンジンポンプ吐出流量が必要助勢装置受入流量に満たず、例えば、回転数がある程度高くなった作動状態において、必要助勢装置受入流量が満たされるように構成することができるのである。そのように構成することで、エンジンポンプの小型化、すなわち、ポンプ容量,消費エネルギの低減を図ることができるのである。
しかしながら、上記制限によって、エンジンポンプ吐出流量だけでは、必要助勢装置受入流量に満たないため、それらの差分は、必要助勢装置受入流量を賄い切れない不足流量となり、助勢装置は、充分な助勢力を発生させ得ない事態が予測される。そこで、本態様では、モータポンプを、エンジンが作動している場合においても作動させ、そのモータポンプからの作動液によって、不足流量を補うようにされている。つまり、モータポンプから助勢装置に吐出される作動液の流量であるモータポンプ吐出流量で、不足流量を補うのである。
したがって、本態様によれば、エンジンポンプの小型化を図りつつ、充分な助勢能力のあるアシストシステムを構築することができ、その構築されたアシストシステムは、実用性の高いものとなる。なお、モータポンプによって上記不足流量を補う場合、不足流量を完全に補填することを要しない。電動モータ,モータポンプの小型化等に配慮して、実用的に問題のない限り、不足流量の一部を補うようにしてもよい。
さらに言えば、エンジンポンプの作動によって、作動液の温度は上昇する。特に、上記流量制限機構は、エンジンポンプから吐出される作動液の通過を制限するものであることから、作動液の温度上昇の比較的大きな因子となる。本態様によれば、先に説明したように、小型のエンジンポンプ、つまり、出力,消費エネルギの比較的の小さなエンジンポンプを採用することができるため、作動液の温度の上昇を抑制することが可能である。また、そのようなエンジンポンプを採用することで、上記制限に起因して流量制限機構で生じる作動液の温度上昇も小さくなることになり、その点においても、エンジンポンプの小型化、すなわち、ポンプ容量,消費エネルギの低減は、作動液の温度の上昇を抑制するための有効な手段となる。
(2)前記モータポンプコントローラが、
作動液の温度が設定温度以上となる状況下において、前記モータポンプからの作動液の吐出を禁止するように構成された( 1)項に記載のステアリングアシストシステム。
電動モータは、エンジンポンプと比較して作動可能温度域が低い。また、電動モータ自体も、作動によって発熱し、その一方で、モータポンプコントローラは、例えば、コンピュータ、ドライバ等が基板に実装されたものであるため、特に熱に弱い。したがって、作動液の温度がある程度高くなる状況下においては、モータポンプ,電動モータの作動を中止することが望ましく、後に説明するように、例えば車両への搭載効率を高める等の理由から、モータポンプ,電動モータ,モータポンプコントローラが1つのユニットとして搭載されている場合には、作動液の温度が高くなるときのそのユニットの温度上昇の程度は高くなるため、特に望ましい。本態様は、そのような実情に鑑みて、作動液の温度が設定温度以上となる状況下において、前記モータポンプの作動を禁止する態様である。
なお、「作動液の温度が設定温度以上となる状況下」とは、当該アシストシステムが高温状況に置かれることを意味する。当該アシストシステムが高温状況に置かれる場合には、作動液の温度も高くなっているため、本態様では、その高温状況を、便宜的に作動液の温度で指標しているに過ぎない。言い換えれば、当該アシストシステムの何らかの構成要素、或いは、何処かの箇所の温度を検出して、その検出した温度がある温度以上になっているときに、当該アシストシステムが高温状況に置かれていると判断すればよいのである。したがって、本態様において、検出対象となる何らかの構成要素,何処かの箇所については特に限定されない。例えば、作動液が流れる流路の特定の箇所における作動液の温度を測定するための温度センサや、モータポンプコントローラが、自身の温度を検出するための温度センサを有しているような場合におけるその温度センサ等によって検出された温度を基に、作動液の温度が設定温度以上となる状況であるか否かを、つまり、当該アシストシステムが高温状況に置かれているか否かを判断すればよい。ちなみに、先に説明したように、ポンプモータコントローラは熱に弱いため、そのモータポンプコントローラに設けた温度センサによって高温状況となっていることを判断する態様は、1つの望ましい態様と考えることができる。
(3)当該ステアリングアシストシステムが、
前記状況下において、前記エンジンのアイドリング回転数を高くするように構成された( 2)項に記載のステアリングアシストシステム。
上記高温状況においてモータポンプの作動を禁止した場合、上記流量制限機構による制限のため、少なくとも、設定されているアイドリング回転数でエンジンが駆動されるときには、上記エンジンポンプ吐出流量では、上記必要助勢装置受入流量を賄うことができない。そこで、本態様では、不足流量を減らすため、言い換えれば、不足流量の生じるエンジンの回転数領域を減らすために、エンジンのアイドリング回転数を増加させるのである。アイドリング回転数を制御するためのエンジンコントローラが当該車両に搭載されている場合には、当該アシストシステムを、当該アシストシステム、具体的には、例えばモータポンプコントローラから、エンジンコントローラに対して、その旨の指示が送られるように構成すればよい。
(4)当該ステアリングアシストシステムが、
前記状況下において、前記エンジンのアイドリング回転数を、当該アイドリング回転数での前記エンジンポンプの作動における前記エンジンポンプ吐出流量によって前記必要助勢装置受入流量を賄える程度まで高くするように構成された( 3)項に記載のステアリングアシストシステム。
本態様によれば、高温状況下においてモータポンプを作動させなくても、エンジンが作動させられる回転数の全領域に亘って、上記不足流量がなくなる。言い換えれば、必要助勢装置受入流量をエンジンポンプ吐出流量で賄えることで、転舵力の助勢能力の低下を充分に回避できることになる。
(5)当該ステアリングアシストシステムが、
前記設定温度を第1設定温度とした場合において、作動液の温度が前記第1設定温度よりもマージンを設けて低く設定された第2設定温度未満にまで低下したときに、禁止した前記モータポンプからの作動液の吐出を許容するように構成された( 2)項ないし( 4)項のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
一旦高温状況となった場合でも、ある程度の時間の経過により、作動液の温度が徐々に下降し、高温状況から脱する。上記設定温度以上となったときに、モータポンプの作動を禁止し、同じ設定温度未満となったときに、その禁止したモータポンプの作動を許容するようにした場合、降温時の温度変化が比較的遅い状態では、例えば、温度センサの検出精度,検出の際のノイズの影響等で、モータポンプの作動の禁止と許容とが繰り返されることが予測される。つまり、モータポンプの作動の制御において、ハンチング現象が引き起こされる可能性があるのである。本態様によれば、モータポンプの作動の禁止のための閾値となる温度と、モータポンプの作動の許容のための閾値となる温度とを異ならせているため、上記ハンチング現象を効果的に禁止することが可能である。なお、高温状況においてエンジンのアイドリング回転数を高くするようにされている場合には、モータポンプの作動の許容とともに、アイドリング回転数を元の値にまで低くすればよい。
(6)前記車両が、前記エンジンと駆動モータとの両方によって駆動されることが可能なハイブリッド車両であり、かつ、前記駆動モータだけによって当該車両を駆動可能とされており、
当該ステアリングアシストシステムが、
前記状況下において、前記駆動モータだけによって当該車両を駆動することを禁止するように構成された( 2)項ないし( 5)項のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
高温状況下で、モータポンプの作動を禁止した場合、仮にEVモードで車両を走行させたときには、エンジンが作動しないため助勢力が得られないことになる。本態様は、そのことに配慮し、モータポンプの作動を禁止した際にEVモードでの車両の走行を禁止する態様である。なお、禁止されたEVモードでの車両走行の許容は、モータポンプの作動の許容に伴って行うようにすればよい。
(7)前記電動モータと前記モータポンプと前記モータポンプコントローラとが、ユニット化されて前記車両に搭載された( 1)項ないし( 6)項のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
先に説明したように、本態様よれば、電動モータ,モータポンプ,モータポンプコントローラが1つのユニットとして車両に搭載されるため、当該アシストシステムの搭載効率は、高いものとなる。なお、そのようなユニットの場合は、先に説明したように、作動液の温度が高くなることによる影響を、電動モータ,モータポンプコントローラが受け易くなる。したがって、本態様は、高温状況下においてモータポンプの作動を禁止することのメリットを充分に享受できる態様となる。
(8)前記車両が、前記エンジンと駆動モータとの両方によって当該車両を駆動可能なハイブリッド車両であり、かつ、前記駆動モータだけによって駆動可能とされており、
前記モータポンプコントローラが、
前記車両が前記駆動モータだけによって駆動されているときに、前記必要助勢装置受入流量以下の作動液を前記助勢装置に受け入れさせるべく、前記モータポンプ吐出流量を制御するように構成された( 1)項ないし( 7)項のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
(9)前記モータポンプコントローラが、
前記車両が前記駆動モータだけによって駆動されているときに、前記必要助勢装置受入流量の作動液を前記助勢装置に受け入れさせるべく、前記モータポンプ吐出流量を制御するように構成された( 8)項に記載のステアリングアシストシステム。
上記2つの態様は、EVモードにおけるモータポンプの作動について限定した態様である。それらの態様のいずれにおいても、エンジンポンプの作動が停止している状態において、モータポンプから吐出される作動液に依拠する助勢力が得られることになる。電動モータ,モータポンプの小型化に配慮すれば、必ずしも、上記必要助勢装置受入流量の全てを、モータポンプ吐出流量で賄うようにしなくてもよい。上記2つの態様の後者によれば、必要助勢装置受入流量の全てを、モータポンプ吐出流量で賄うようにされているため、EVモードでの車両の走行においても、充分な助勢力が得られることになる。
(10)当該ステアリングアシストシステムが、
前記エンジンポンプと前記助勢装置との間において前記流量制限機構と直列的に設けられ、若しくは、前記流量制限機構としても機能し、前記エンジンポンプ吐出流量を電子的に制御するエンジンポンプ吐出流量制御装置を備えた( 1)項ないし( 9)項のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
本態様におけるエンジンポンプ吐出流量制御装置は、例えば、特開2014-19290号公報の図2に示すような一般的な構造の電磁バルブ機構を採用し、ソレノイドに供給される電流を制御することで、その制御された電流に応じた流量の作動液の自身の通過を許容するようにすればよい。本態様によれば、EVモードから、エンジンの駆動によって走行するモード(以下、「エンジンモード」という場合がある)、若しくは、駆動モータとエンジンとの両方の駆動によって走行するモード(以下、「ハイブリッドモード」という場合がある)への切換時において、助勢装置に吐出される作動液の流量の急変を抑制するといったメリットが得られることになる。本態様では、エンジンポンプ吐出流量制御装置は、先に説明した流量制限機構とともに配設されてもよく、流量制限機構に代えて配設されてもよい。
(11)前記エンジンポンプ吐出流量制御装置が、前記エンジンの回転数が前記アイドリング回転数以上となる領域の全域に亘って、前記エンジンポンプ吐出流量を前記必要助勢装置受入流量未満となるように制御するように構成された(10)項に記載のステアリングアシストシステム。
本態様によれば、エンジンで車両が駆動される際においても、エンジンポンプ吐出流量を小さくすることで生じる上記不足流量の少なくとも一部がモータポンプ吐出流量によって賄われることになる。逆の見方をすれば、本態様は、エンジンポンプのポンプ容量,消費エネルギの低減に充分寄与する態様となる。
本発明の実施例であるステアリングアシストシステムが搭載される車両、および、当該ステアリングアシストシステムの全体構成を模式的に示す図である。 当該ステアリングアシストシステムにおいてエンジンポンプだけから作動液が助勢装置に吐出される状態を示す図である。 当該ステアリングアシストシステムにおいてモータポンプだけから作動液が助勢装置に吐出される状態を示す図である。 通常時における当該ステアリングアシストシステムの作動を説明するためのグラフである。 モータポンプの作動が禁止されている状態での当該ステアリングアシストシステムの作動を説明するためのグラフである。 当該ステアリングアシストシステムにおいて実行されるステアリングアシスト制御プログラムを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態として、実施例のステアリングアシストシステムを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]ステアリングアシストシステムが搭載されている車両の構成
実施例のステアリングアシストシステム(以下、「アシストシステム」と略す場合がある)が搭載されている車両は、図1に示すように、前後左右の4つの車輪10(図では、2つの後輪は省略されている)を有し、2つの前輪10が駆動輪とされた車両である。本車両は、エンジン12と電動モータである駆動モータ14との両者によって前輪10を駆動可能なハイブリッド車両であり、また、前輪10が転舵輪とされている。
当該車両の車両駆動システムについて説明すれば、その車両駆動システムは、エンジン12と、駆動モータ14と、主に発電機として機能するジェネレータ16と、それらエンジン12,ジェネレータ16が連結される動力分割機構18とを有している。動力分割機構18は、エンジン12の回転を、ジェネレータ16の回転と出力軸の回転とに分割する機能を有している。駆動モータ14は、減速機として機能するリダクション機構20を介して出力軸に繋げられている。出力軸の回転は、差動機構22,ドライブシャフト24L,24Rを介して伝達され、左右の前輪10が回転駆動される。ジェネレータ16は、インバータ26Gを介してバッテリ28に繋がれており、ジェネレータ16の発電によって得られる電気エネルギは、バッテリ28に蓄えられる。また、駆動モータ14も、インバータ26Mを介してバッテリ28に繋がれており、駆動モータ14の作動,ジェネレータ16の作動は、インバータ26M,インバータ26Gを制御することによって制御される。当該車両駆動システムの制御は、ハイブリッド駆動電子制御ユニット(以下、「HB-ECU」と略す場合がある)30によって行われ、HB-ECU30は、状況に応じて、走行モードとして、エンジン12だけで車両を駆動する「エンジンモード」,電動モータ14だけで車両を駆動する「EVモード」,エンジン12と電動モータ14との両方で車両を駆動する「ハイブリッドモード」のいずれかを選択的に実現する。
当該車両の車両操舵システムについて説明すれば、その車両操舵システムは、左右の前輪10をそれぞれ保持する1対のステアリングナックル(以下、「ナックル」と略す場合がある)50と、左右方向に延びて各ナックル50のナックルアーム52にタイロッド54を介して両端が接続された転舵ロッド56と、ステアリング操作部材であるステアリングホイール58と、ステアリングコラムに保持されステアリングホイール58の回転操作によって回転するステアリングシャフト60と、ステアリングシャフト60の回転動作を転舵ロッド56の左右方向の移動動作に変換する動作変換機構(ラックアンドピニオン機構)を内蔵したギヤボックス62とを有し、ステアリングホイール58の回転操作によって、左右の前輪10が転舵されるように構成されている。
[B]ステアリングアシストシステムのハード構成
実施例のアシストシステムは、作動液(作動油)の液圧によって、運転者が前輪10を転舵する力である転舵力を、助勢、すなわち、アシストするシステムであり、転舵ロッド56に固定されたピストン70と、ピストン70によって内部が2つの液室72L,72Rに区画されるハウジング74とを有する液圧式のアクチュエータ76を備えている。また、それぞれが高圧液源となる2つのポンプ、詳しくは、エンジン12によって駆動されるエンジンポンプ78と、電動モータ80によって駆動されるモータポンプ82とを備えている。エンジンポンプ78は、作動液を貯留するリザーバ84から第1汲上路86を介して、その作動液を汲み上げ、第1吐出路88,共通吐出路90を介して、供給流制御機構92(後述する)に、汲み上げた作動液を吐出する。モータポンプ82は、リザーバ84から第2汲上路94を介して作動液を汲み上げ、その汲み上げた作動液を第2吐出路96,共通吐出路90を介して、汲み上げた作動液を、供給流制御機構92に吐出する。
供給流制御機構92は、例えば、特開平6-8840号公報の図2に示すような一般的な構造のものであり、具体的には、例えば、運転者の転舵力に応じたトーションバーの捩じれ量および転舵方向に基づいて、アクチュエータ76に供給する作動液の流量、および、2つの液室72L,72Rのいずれに作動液を供給するかを制御する機能を有している。供給流制御機構92は、エンジンポンプ78とモータポンプ82との少なくとも一方から吐出された作動液を受け入れ、転舵力が発生していない場合には、帰還路98を介して、リザーバ84に、その受け入れた作動液を帰還させる。つまり、作動液は、循環させられるのである。一方で、転舵力が発生している場合には、供給流制御機構92は、受け入れた作動液の少なくとも一部を、アクチュエータ76の2つの液室72L,72Rの一方に、転舵に応じた流量で供給し、他方からその流量と同じ流量の作動液を受け入れて、その受け入れた作動液をもリザーバ84に帰還させるようにされている。アクチュエータ76は、供給流制御機構92から2つの液室72L,72Rの一方に供給された作動液の圧力に応じた力がピストン70に作用することで、その力、すなわち、助勢力によって、転舵力を助勢するように構成されている。つまり、本アシストシステムでは、供給流制御機構92とアクチュエータ76とを含んで、受け入れた作動液をリザーバ84に戻しつつ、その受け入れた作動液によって要求に応じた転舵力の助勢を行う助勢装置が構成されているのである。
エンジンポンプ78は、エンジン12の回転数(厳密には、「回転速度」の意味である)に応じた流量の作動液を吐出するようにされている。そのため、本アシストシステムには、エンジンポンプ78の吐出側に、エンジンポンプ78から吐出される作動液の流量を制限する流量制限機構100が設けられている。この流量制限機構100は、例えば、特許第3218788号公報,特開平8-301132号公報,特開平6-8840号公報等に示すような構造、つまり、バルブを含んだ一般的な構造のものであり、具体的には、エンジン12の回転数がある程度高くなった場合に、自身を通過して供給流制御機構92に送られる作動液の流量を、設定された流量に制限する機能を有している。さらに、本アシストシステムでは、流量制限機構100からの吐出側において流量制限機構100と直列的に設けられ、流量制限機構100から供給流制御機構92に送られる作動液の流量を制御するためのエンジンポンプ吐出流量制御機構102を備えている。エンジンポンプ吐出流量制御機構102は、例えば、特開2014-19290号公報の図2に示すような一般的な構造の電磁バルブ機構であり、ソレノイドに供給される電流に応じた流量の作動液の通過を許容する機能を有している。エンジンポンプ吐出流量制御機構102の制御は、エンジンポンプ吐出流量電子制御ユニット(以下、「EP-ECU」という場合がある)104によって行われる。エンジンポンプ吐出流量制御機構102とEP-ECU104とによってエンジンポンプ吐出流量制御装置が構成されていると考えることができ、エンジンポンプ78から供給流制御機構92に吐出される作動液の流量を便宜的にエンジンポンプ吐出流量Qeと呼べば、エンジンポンプ吐出流量制御装置は、エンジンポンプ吐出流量Qeを電子的に制御する機能を有している。
モータポンプ82の制御、詳しくは、モータポンプ82を駆動する電動モータ80の作動の制御は、モータポンプコントローラとしてのモータポンプ電子制御ユニット(以下、「MP-ECU」という場合がある)106によって行われる。つまり、モータポンプ82から供給流制御機構92に吐出される作動液の流量をモータポンプ吐出流量Qmと呼べば、MP-ECU106は、そのモータポンプ吐出流量Qmを電子的に制御する機能を有している。モータポンプ82,電動モータ80,MP-ECU106はユニット化され、モータポンプユニット108として、当該車両に搭載されている。このようにユニット化されることで、それらモータポンプ82,電動モータ80,MP-ECU106の搭載性は良好なものとされている。なお、MP-ECU106には、温度センサ110が内蔵されている。
EP-ECU104,MP-ECU106,先に説明したHB-ECU30は、CAN(“car area network”or “contorolable area network”)112に接続され、互いに通信することによって、協調した制御処理を実行するようにされている。
[C]ステアリングアシストシステムの作動
i)通常時における作動
図1は、アシストシステムが、エンジンポンプ78とモータポンプ82との両方から供給流制御機構92に作動液が吐出される状態を示している。以下、このような状態での作動モードを、「両ポンプモード」と呼ぶこととする。アシストシステムだけが表されている図2,図3は、それぞれ、エンジンポンプ78だけから供給流制御機構92に作動液が吐出される状態,モータポンプ82だけから供給流制御機構92に作動液が吐出される状態を示している。以下、図2,図3に示す状態での作動モードを、「エンジンポンプモード」,「モータポンプモード」と呼ぶこととする。
従来行われていたエンジンポンプモードでの作動を説明すれば、エンジンポンプ78からの作動液の吐出流量は、図4(a)のグラフにおいて破線で示すように、エンジン12の回転数Rの増加に応じて、概ねリニアに増加する。ここで、説明を単純化するために、エンジンポンプ吐出流量制御機構102を機能させない場合、つまり、流量制限機構100によってだけエンジンポンプ吐出流量Qeが制限される場合を考える。例えば、グラフにおいて一点鎖線で示すようにエンジンポンプ吐出流量Qeが制限されるように、流量制限機構100を調整してもよい。当該アシストシステムでは、供給流制御機構92によって受け入れられることが必要とされる作動液の流量、つまり、必要助勢装置受入流量Qaが設定されている。グラフでは、エンジンポンプ吐出流量Qeがその必要助勢装置受入流量Qaとなるように、流量制限機構100が調整された場合が示されている。すなわち、グラフの一点鎖線は、必要助勢装置受入流量Qaを示す線と考えることができるのである。なお、エンジン12の回転数Rがある程度増加した場合において、必要助勢装置受入流量Qaが少なくなっているのは、車両がある程度高速で走行する場合にステアリング操作をある程度重くするための配慮である。そのように構成されたエンジンポンプ78,流量制限機構100によれば、実線で示すようなエンジンポンプ吐出流量Qeの作動液が供給流制御機構92に吐出されることになる。ちなみに、エンジン12は、設定されたアイドリング回転数Ri以上で回転させられるため、アイドリング回転数Ri未満において、グラフでは、エンジンポンプ吐出流量Qeを示す実線は、存在していない。
本アシストシステムでは、燃費向上,負荷トルクの低減等を目的として、比較的小型の、すなわち、吐出容量の比較的小さな(1回転あたりの吐出量が小さな)エンジンポンプ78が採用されているため、図4(b)のグラフにおいて破線で示すように、エンジンポンプ78からの作動液の吐出流量は、図4(a)のグラフにおけるエンジンポンプ78からの作動液の吐出流量より小さくされている。したがって、エンジン12の回転数Rが比較的小さい領域ΔR(以下、「低回転領域ΔR」という場合がある)において、ハッチングで示す不足流量Qi、すなわち、エンジンポンプ吐出流量Qeでは必要助勢装置受入流量Qaが賄い切れない流量が存在することになる。本アシストシステムでは、その不足流量Qiを、モータポンプ82から供給流制御機構92に吐出される作動液の流量であるモータポンプ吐出流量Qmで賄うようにされている。具体的には、エンジンモード、若しくは、ハイブリッドモードで車両が走行している場合、エンジン12の回転数Rが比較的小さい領域ΔRでは、モータポンプ82が、MP-ECU106によってモータポンプ吐出流量Qmが不足流量Qiとなるように制御されつつ作動させられる。つまり、当該アシストシステムは、両ポンプモードで作動させられるのである。
なお、本アシストシステムでは、実際には、EP-ECU104によってエンジンポンプ吐出流量制御機構102が制御作動させられることで、エンジンポンプ吐出流量Qeがさらに制限される。具体的には、図4(c)のグラフにおいて実線で示すように、エンジンポンプ吐出流量Qeは小さく抑えられる。したがって、上述の低回転領域ΔRだけではなく、エンジン12が作動する回転数Rの全領域において、不足流量Qiが存在し、その全領域に亘って、両ポンプモードとされて不足流量Qiがモータポンプ吐出流量Qmによって賄われる。つまり、エンジンポンプ吐出流量制御装置が、エンジン12の回転数Rがアイドリング回転数Ri以上となる領域の全域に亘って、エンジンポンプ吐出流量Qeを必要助勢装置受入流量Qa未満となるように制御するのである。
ちなみに、車両の走行モードがEVモードとされている場合には、エンジン12が作動させられていないため、モータポンプモードとされて、必要助勢装置受入流量Qaの全てをモータポンプ吐出流量Qmで賄うように、モータポンプ82がMP-ECU106によって制御される。
ii)高温状況における問題とそれへの対処
エンジンポンプ78は、エンジンモード若しくはハイブリッドモードで車両が走行している状態では、常に作動させられており、作動液は、常に循環させられている。エンジンポンプ78の作動は、作動液の温度を上げる一因となり、さらに言えば、特に、エンジンポンプ78から吐出される作動液が流量制限機構100を通るため、その通過は、作動液の温度を上げる大きな要因となる。作動液の温度の上昇によって、当該アシストシステムが高温状況下に置かれることになるのである。なお、通常の走行,操舵においては、作動液の温度は大幅に上昇することはないが、過酷な車両操作、例えば、エンジン12の回転を高回転に維持しながら、ステアリングホイール58を操舵エンドにおいて操作し続けるような車両操作を行った場合に、作動液の温度が高温になる可能性が高い。ちなみに、作動液が高温になったとしても、通常の走行,操舵に復帰することで、作動液の温度は、徐々に下がる。
一方で、モータポンプ82を駆動する電動モータ80は、エンジンポンプ78と比較して作動可能温度域が低く、同様に、MP-ECU106は、コンピュータ,ドライバ等が実装された電子基板とされており、作動可能温度域が低い。本アシストシステムでは、電動モータ80,モータポンプ82,MP-ECU106が、ユニット化されたモータポンプユニット108として車両に搭載されているため、作動液から伝達される熱による電動モータ80,MP-ECU106への影響は大きい。
そこで、本アシストシステムでは、高温状況となった場合に、モータポンプ82の作動を禁止するようにされている。具体的に言えば、MP-ECU106に内蔵されている温度センサ110によって検出されている温度Tが、第1設定温度T1以上となった場合に、作動液の温度が設定温度以上となっていると推定し、MP-ECU106が、モータポンプ82の作動を禁止するのである。なお、モータポンプ82の作動が禁止された状態で、作動液の温度が下がり、第2設定温度T2以下となった場合に、その禁止されたモータポンプ82の作動を許容するようにされている。ちなみに、制御におけるハンチング現象を防止するため、第2設定温度T2は、適切なマージンΔTを設けるべく第1設定温度T1より低く設定されている。
モータポンプ82の作動が禁止された状態では、図4(b),図4(c)のグラフから解るように、エンジンポンプ吐出流量Qeだけでは、必要助勢装置受入流量Qaを賄いきれない。つまり、不足流量Qiを補償することができない。そこで、本アシストシステムでは、図5に示すように、EP-ECU104によるエンジンポンプ吐出流量制御機構102の制御を中止する、つまり、エンジンポンプ吐出流量制御機構102によるエンジンポンプ吐出流量Qeの制限を解除するとともに、エンジン12のアイドリング回転数Riを、高いアイドリング回転数Ri’に変更する。具体的には、MP-ECU106から、アイドリング回転数Ri’でエンジン12を作動させる旨の指令が、HB-ECU30に送信され、HB-ECU30は、アイドリング回転数Ri’で作動するようにエンジン12を制御する。なお、禁止されたモータポンプ82の作動を許容するときには、EP-ECU104によるエンジンポンプ吐出流量制御機構102の制御が再開されるとともに、MP-ECU106から、アイドリング回転数Riでエンジン12を作動させる旨の指令が、HB-ECU30に送信され、HB-ECU30は、アイドリング回転数Riで作動するようにエンジン12を制御する。
高いアイドリング回転数Ri’は、図4(b)のグラフにおける低回転領域ΔRが存在しなくなる程度とされており、アイドリング回転数Riからアイドリング回転数Ri’への移行によって、エンジン12が作動する回転数Rの全領域において、必要助勢装置受入流量Qaがエンジンポンプ吐出流量Qeだけで賄われることになる。つまり、高温状況においてモータポンプ82の作動を禁止しても、エンジンモード或いはハイブリッドモードにおいて、充分な助勢力が得られることになるのである。
なお、モータポンプ82の作動が禁止されている状態においては、EVモードでの車両の走行を禁止すべく、MP-ECU106からHB-ECU30に、EVモードでの車両の走行を禁止すべき旨の指令が送信される。
iii)ステアリングアシストシステムの制御フロー
上述した高温状況下におけるモータポンプ82の作動禁止に関する制御を中心とした本アシストシステムの制御は、当該アシストシステムの統括コントローラとして機能するMP-ECU106が、図6にフローチャートを示すステアリングアシスト制御プログラムを、短い時間ピッチ(例えば、数msec~数十msec)で実行することによって行われる。以下、そのプログラムによる処理の流れを簡単に説明する。
当該プログラムに従った処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)において、モータポンプ禁止フラグFのフラグ値が判断される。このモータポンプ禁止フラグFは、モータポンプ82の作動が禁止されているときにフラグ値が“1”とされ、許容されているときにフラグ値が“0”とされるフラグである。フラグ値が“0”とされているときには、S2において、モータポンプ82の作動を禁止するか許容するかを決定するための閾温度T0が、先に説明した第1設定温度T1とされ、
フラグ値が“1”とされているときには、S3において、閾温度T0が、先に説明した第2設定温度T2とされる。
次に、S4において、温度センサ110によって検出された温度Tが閾温度T0以上であるか否かが判定される。温度Tが閾温度T0以上であると判定されたときには、S5において、モータポンプ82の作動を禁止し、上記モータポンプ禁止フラグFのフラグ値を“1”に設定し、続くS6において、HB-ECU30に対して、高いアイドリング回転数Ri’でエンジン12を作動させる旨の指令、および、EVモードでの車両の走行を禁止する旨の指令が送信され、また、EP-ECU104に対して、エンジンポンプ吐出流量制御機構102の制御を禁止する旨の指令が送信される。ちなみに、先に説明したように、モータポンプ82の作動を禁止する場合には、エンジンポンプ吐出流量制御機構102によるエンジンポンプ吐出流量Qeの制御を行わないようにされる。
S4において、温度センサ110によって検出された温度Tが閾温度T0未満であると判定されたときには、S7において、モータポンプ82の作動を許容し、上記モータポンプ禁止フラグFのフラグ値を“0”に設定し、続くS8において、HB-ECU30に対して、通常のアイドリング回転数Riでエンジン12を作動させる旨の指令、および、EVモードでの車両の走行を許容する旨の指令が送信され、また、EP-ECU104に対して、エンジンポンプ吐出流量制御機構102の制御を許容する旨の指令が送信される。続くS9において、EVモードで走行しているか否かが判定され、先に説明したように、EVモードである場合には、S10において、目標となるモータポンプ吐出流量Qmが必要助勢装置受入流量Qaに、EVモードでない場合には、S11において、目標となるモータポンプ吐出流量Qmが不足流量Qiに、それぞれ決定される。そして、S12において、決定されたモータポンプ吐出流量Qmに基づいて、モータポンプ82の作動が制御される。
[D]変形例
上記実施例のアシストシステムでは、エンジンポンプ吐出流量Qeを電子的に制御するために、エンジンポンプ吐出流量制御機構102およびEP-ECU104が設けられていたが、それらを設けないアシストシステムを構築することも可能である。そのようなアシストシステムは、廉価であるというメリットを有する。そのようなアシストシステムによれば、モータポンプ82の作動が許容されている場合には、図4(b)のグラフに示すような作動が行われ、モータポンプ82の作動が禁止されている場合には、図5のグラフに示すような作動が行われる。したがって、このアシストシステムも、上記実施例のアシストシステムと同様に、高温状況下においてモータポンプ82の作動を禁止することによるメリットを享受することになる。
また、流量制限機構100を設けず、エンジンポンプ吐出流量制御機構102だけによって、図4(c)に示すような作動を行うことも可能である。
12:エンジン 76:アクチュエータ 78:エンジンポンプ 80:電動モータ 82:モータポンプ 84:リザーバ 100:流量制限機構 102:エンジンポンプ吐出流量制御機構〔エンジンポンプ吐出流量制御装置〕 106:モータポンプ電子制御ユニット(MP-ECU)〔モータポンプコントローラ〕 108:モータポンプユニット 110:温度センサ Qe:エンジンポンプ吐出流量 Qm:モータポンプ吐出流量 Qa:必要助勢装置受入流量 Ri,Ri’:アイドリング回転数 T1:第1設定温度 T2:第2設定温度

Claims (8)

  1. 作動液を貯留するリザーバと、
    車両を駆動するエンジンによって駆動され、前記リザーバに貯留されている作動液を汲み上げてそのエンジンの回転数に応じた流量で吐出するエンジンポンプと、
    そのエンジンポンプから吐出される作動液の流量を制限する流量制限機構と、
    電動モータと、
    その電動モータによって駆動され、前記リザーバに貯留されている作動液を汲み上げて吐出するモータポンプと、
    前記電動モータの作動を制御することによって前記モータポンプから吐出される作動液の流量であるモータポンプ吐出流量を制御するモータポンプコントローラと、
    前記モータポンプから吐出される作動液と、前記エンジンポンプから前記流量制限機構を介して吐出される作動液とを受け入れ可能とされ、受け入れた作動液を前記リザーバに戻しつつ、その受け入れた作動液によって要求に応じた転舵力の助勢を行う助勢装置と
    を備えて前記車両に搭載されたステアリングアシストシステムであって、
    当該ステアリングアシストシステムが、
    前記エンジンポンプから当該流量制限機構を介して前記助勢装置に吐出される作動液の流量であるエンジンポンプ吐出流量が、アイドリング回転数での前記エンジンの駆動による前記エンジンポンプの作動において、前記助勢装置によって受け入れられることが必要とされる作動液の流量である必要助勢装置受入流量未満となるように構成され、
    前記モータポンプコントローラが、
    前記モータポンプ吐出流量を、前記エンジンポンプ吐出流量によっては前記必要助勢装置受入流量を賄い切れない作動液の不足流量を当該モータポンプ吐出流量によって補うべく制御するように構成され
    作動液の温度が設定温度以上となる状況下において、
    前記モータポンプコントローラが、前記モータポンプからの作動液の吐出を禁止するように構成され、かつ、当該ステアリングアシストシステムが、前記エンジンのアイドリング回転数を高くするように構成されたステアリングアシストシステム。
  2. 当該ステアリングアシストシステムが、
    前記状況下において、前記エンジンのアイドリング回転数を、当該アイドリング回転数での前記エンジンポンプの作動における前記エンジンポンプ吐出流量によって前記必要助勢装置受入流量を賄える程度まで高くするように構成された請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 当該車両用ステアリングアシストシステムが、
    前記設定温度を第1設定温度とした場合において、作動液の温度が前記第1設定温度よりもマージンを設けて低く設定された第2設定温度未満にまで低下したときに、禁止した前記モータポンプからの作動液の吐出を許容するように構成された請求項1または請求項2に記載のステアリングアシストシステム。
  4. 前記車両が、前記エンジンと駆動モータとの両方によって駆動されることが可能なハイブリッド車両であり、かつ、前記駆動モータだけによって当該車両を駆動可能とされており、
    当該ステアリングアシストシステムが、
    前記状況下において、前記駆動モータだけによって当該車両を駆動することを禁止する
    ように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のステアリングシステム。
  5. 前記電動モータと前記モータポンプと前記モータポンプコントローラとが、ユニット化されて前記車両に搭載された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のステアリングシステム。
  6. 前記車両が、前記エンジンと駆動モータとの両方によって当該車両を駆動可能なハイブリッド車両であり、かつ、前記駆動モータだけによって駆動可能とされており、
    前記モータポンプコントローラが、
    前記車両が前記駆動モータだけによって駆動されているときに、前記必要助勢装置受入流量の作動液を前記助勢装置に受け入れさせるべく、前記モータポンプ吐出流量を制御するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
  7. 当該ステアリングアシストシステムが、
    前記エンジンポンプと前記助勢装置との間において前記流量制限機構と直列的に設けられ、若しくは、前記流量制限機構としても機能し、前記エンジンポンプ吐出流量を電子的に制御するエンジンポンプ吐出流量制御装置を備えた請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載のステアリングアシストシステム。
  8. 前記エンジンポンプ吐出流量制御装置が、前記エンジンの回転数が前記アイドリング回転数以上となる領域の全域に亘って、前記エンジンポンプ吐出流量を前記必要助勢装置受入流量未満となるように制御するように構成された請求項7に記載のステアリングアシストシステム。
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