JP5196270B2 - ディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法に関し、特に、拡散燃焼モード及び予混合燃焼モードの2つの燃焼形態を有するディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法に関する。
従来からディーゼルエンジンにおいては、エンジン負荷に応じて燃焼室内での燃料の燃焼形態を制御する燃焼制御装置が知られている。燃料の燃焼形態としては、燃焼室内に燃料を噴射しながら燃料を燃焼させる拡散燃焼モードと、燃料に着火する前に燃焼室内で燃料と空気を混合させる予混合燃焼モードがある。そしてこのようなディーゼルエンジンの制御装置は、ディーゼルエンジンの負荷に応じて分割噴射のタイミング及び燃料噴射量、即ちメイン噴射とこれよりも前のパイロット噴射の各々のタイミング及び燃料噴射量を制御して燃焼モードを切り替えるようになっており、エンジンが高負荷状態にあるときは拡散燃焼モードを用い、一方でエンジンが低負荷状態にあるときは予混合燃焼モードを用いるようになっている。
このようなディーゼルエンジンの燃焼制御装置としては、燃焼モードを一方の燃焼モードから他方の燃焼モードに切り替えるときに、パイロット噴射量と、メイン噴射量が連続的に変動するように制御しながら燃焼室内の酸素濃度を制御して、窒素酸化物(NOx)、煤(Soot)、騒音(NVH:Noise Vibration Harshness)等の発生を抑制するものが知られている(例えば、特許文献1)。そしてこのような燃焼制御装置では、燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行させるときに、パイロット噴射量を連続的に増加させ、且つメイン噴射量を連続的に減少させ、予混合燃焼モードとなったときには、メイン噴射を行わずに、パイロット噴射によってトルクを発生させることとしている。
特開2007−162544号公報
しかしながら、上述の燃焼制御装置によれば、吸入空気量やEGR率等のガス状態を指標に噴射制御を行っても、燃焼形態移行時の煤、騒音の発生抑制を両立することが困難になる恐れがある。
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、燃焼モードの移行時に、煤と騒音の発生抑制をより高いレベルで両立できるディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う拡散燃焼モード、及び燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う予混合燃焼モードの2つの燃焼モードでディーゼルエンジンを制御するようになったディーゼルエンジンの燃焼制御装置であって、エンジン負荷が所定負荷以上の場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを拡散燃焼モードとし、また、エンジン負荷が所定負荷未満の場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを予混合燃焼モードとするように燃焼モードを制御する燃焼モード制御手段を備え、この燃焼モード制御手段は、予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるように燃料噴射量を制御するようになっており、さらに、ディーゼルエンジンの負荷が変化して、燃焼モードを拡散燃焼モードと予混合燃焼モードとの間で移行させるときに、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるまで増加させた後、減少させることを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、例えば、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードへの切換時に予混合燃焼モードに到達する前のパイロット噴射量を、予混合燃焼モード時のパイロット噴射量よりも多くする。これにより、燃焼室内の酸素濃度が低下し、局所的な酸素の当量比が1に近付くので、煤の発生を抑制することができる。その結果、燃焼モード切替時に騒音発生抑制に有利な制御を行うことが可能となり、煤と騒音の発生抑制を両立しながら燃焼モードを切り替えることが可能となる。
また、本発明において、好ましくは、燃焼モード制御手段は、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおける噴射量とそれより多い噴射量との間で変化させるときに燃焼室内の酸素濃度をほぼ一定に保つようになっている。
このように構成された本発明によれば、パイロット噴射量を変化させるときに、ディーゼルエンジンが発生させるトルクの量を一定に保つことができる。
また、本発明において、好ましくは、燃焼モード制御手段は、パイロット噴射量を徐々に変化させるときに燃焼室内の酸素濃度を徐々に変化させるようになっている。
また、本発明において、好ましくは、燃焼モード制御手段は、予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射とメイン噴射の間隔が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射とメイン噴射の間隔よりも大きくするようになっている。
また、本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う拡散燃焼モード、及び燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う予混合燃焼モードの2つの燃焼モードでディーゼルエンジンを制御するようになったディーゼルエンジンの燃焼制御方法であって、エンジン負荷が所定負荷未満から所定負荷以上に変化した場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを予混合燃焼モードから拡散燃焼モードとするように燃焼モードを制御し、また、エンジン負荷が所定負荷以上から所定負荷未満に変化した場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードとするように燃焼モードを制御するようになっており、さらに予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるように燃料噴射量を制御するようになっており、エンジン負荷が変化して、燃焼モードを拡散燃焼モードと予混合燃焼モードとの間で移行させるときに、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるまで増加させる第1工程と、第1工程で増加させられたパイロット噴射量を減少させる第2工程とを備えることを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、例えば、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードへの切換時に予混合燃焼モードに到達する前のパイロット噴射量を、予混合燃焼モード時のパイロット噴射量よりも多くすることができる。そして、予混合燃焼モードに到達する前のパイロット噴射量を予混合燃焼モード時のパイロット噴射量よりも多くすることによって、局所的な酸素濃度が低下し、酸素の当量比が1に近付くので、煤の発生を抑制することができる。その結果、燃焼モード切替時に騒音発生抑制に有利な制御を行なうことが可能となり、煤と騒音の発生抑制を両立しながら燃焼モードを切り替えることが可能となる。
このように本発明によれば、燃焼モードの移行時に、騒音と煤の発生の抑制を両立することができる。
本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの燃焼制御装置が適用されたエンジンシステムを示す概略図である。 本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの状態に応じた燃料噴射モードを示すマップである。 本発明の実施形態において、各燃焼モードを実行しているときの燃焼室内の酸素濃度の目標値を示すグラフである。 従来の燃焼制御装置における拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときのタイミングと燃料噴射形態の変化の関係のグラフである。 従来の燃焼制御装置において拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときに用いるマップである。 本発明の実施形態における、予混合燃焼モードに近い状態でのパイロット噴射量と、Sootの量との関係のグラフである。 本発明の実施形態における、予混合燃焼モードに近い状態でのパイロット噴射量と、NVHの量との関係のグラフである。 本発明の実施形態による燃焼制御装置において拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときのタイミングと燃料噴射形態の変化の関係のグラフである。 本発明の実施形態による燃焼制御装置が燃焼モードの移行時に用いるマップである。 本発明の実施形態における、燃焼モードを移行させるときのECUの一連の処理を示すフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの燃焼制御装置について説明する。図1は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置が適用されたエンジンシステムを示す概略図である。
図1に示すように、エンジンシステムは、ディーゼルエンジン1と、このディーゼルエンジン1から延びる吸気通路3及び排気通路5を有する。ディーゼルエンジン1は、多気筒式のディーゼルエンジンであり、燃焼室7と、この燃焼室7内で運動するピストン9と、所定のタイミングで燃焼室7内に燃料を噴射するインジェクタ11とを備える。そして燃焼室7と吸気通路3の間には、吸気バルブ13が設けられており、さらに燃焼室7と排気通路5の間には、排気バルブ15が設けられている。
吸気通路3には、その上流側から、吸気量を調整するための吸気絞り弁17、ターボ過給機19のコンプレッサ21、インタークーラ23、及びインタークーラ(I/C)通路絞り弁25が設けられている。そして吸気通路3は、マニフォルド27を介してディーゼルエンジン1の燃焼室7の吸気側に連通されている。
排気通路5には、その上流側から、ターボ過給機19のタービン29、排気中のHC、CO、NOx、煤等を酸化するための酸化触媒31、及び排気中の粒子状物質(PM)を捕集するためのDPF(Diesel Particulate Filter)33が設けられている。
また、吸気通路3と排気通路5の間には、第1EGR通路35と、第2EGR通路37が設けられている。第1EGR通路35は、DPF33の下流側からターボ過給機19のコンプレッサ21の上流側に排気を還流させるようになっている。具体的には、この第1EGR通路35は、DPF33の下流側から、吸気絞り弁17とターボ過給機19のコンプレッサ21の間まで延びる。そして第1EGR通路35には、排気の温度を下げる第1EGRクーラ39、及び排気の還流量を調節するための第1EGRバルブ41が設けられている。そして第1EGR通路35は、ディーゼルエンジン1の負荷が比較的高い高負荷運転領域で使用される。
第2EGR通路37は、ディーゼルエンジン1の下流側から上流側に排気を還流させるようになっている。具体的には、第2EGR通路37は、ディーゼルエンジン1とターボ過給機19のタービン29の間から、I/C通路絞り弁25とマニフォルド27の間まで延びる。そして第2EGR通路37には、排気の温度を下げる第2EGRクーラ43、及び排気の還流量を調節するための第2EGRバルブ45が設けられている。
そしてECU47が、ディーゼルエンジン1の吸気、排気、及び燃料の噴射を制御する。具体的には、ECU47は、吸気絞り弁17、及びI/C通路絞り弁25の開度を制御することで、ディーゼルエンジン1への吸気量を制御する。また、ECU47は、第1EGRバルブ41と第2EGRバルブ45の開度を制御することでディーゼルエンジン1に還流されるEGR量を制御する。そしてECU47は、吸気絞り弁17、I/C通路絞り弁25、第1EGRバルブ41、及び第2EGRバルブ45の開度を制御することによって、燃焼室7内の酸素濃度を制御する。
また、ECU47は、インジェクタ11を制御することによって、燃焼室7内へ燃料を供給する、メイン噴射及びパイロット噴射のタイミング及び量を制御する。ここでメイン噴射とは、比較的多量の燃料を燃焼室7内に噴射して、この燃料に着火させることでトルクを発生させるものであり、メイン噴射の前に行われるパイロット噴射とは、比較的少量の燃料を燃焼室7内に噴射して、燃料と空気を混合させるためのものである。そしてECU47による各制御は、ピストン9のクランク角(CA)を検出するためのクランク角センサ49、吸気の圧力状態を検出するための吸気圧センサ51、排気の酸素濃度を検出するためのO2センサ53、ディーゼルエンジン1に流入される空気流量を検出するエアフローセンサ55、ディーゼルエンジン1に流入される空気の温度を検出する吸気温度センサ57、及びアクセル(図示せず)の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ59の検出結果に基づいて行われる。また、DPF33の近くには、DPF33の上流側と下流側の差圧を検出する差圧センサ61が設けられており、DPF33によって捕集されているPMの量を検出することができるようになっている。
図2は、ディーゼルエンジンの状態に応じた燃料噴射モードを示すマップである。この図2に示すように、ディーゼルエンジン1では、ディーゼルエンジン負荷とディーゼルエンジン回転数に応じて、拡散燃焼モードと予混合燃焼モード(PCI燃焼モード)の2種類の燃料噴射モードが切り替えられる。
拡散燃焼モードでは、ECU47は、燃焼室7の圧縮工程においてピストン9が上死点近傍にあるときに、パイロット噴射及びメイン噴射を行って、燃焼室7内に燃料が噴射されるようにインジェクタ11を制御する。具体的には拡散燃焼モードでは、ピストン9が上死点に達する直前にパイロット噴射を行い、ピストンが上死点に達した直後にメイン噴射を行うようになっており、メイン噴射と燃料の着火が並行して行われる。
一方で、予混合燃焼モードでは、ECU47は、拡散燃焼モードよりも早いタイミングで燃焼室7内に燃料が噴射されるようにインジェクタ11を制御する。そして予混合燃焼モードでは、ピストン9が上死点に到達する前にパイロット噴射及びメイン噴射が行われ、燃料が着火する前に燃料の噴射を終えるようになっている。これにより、燃料が着火する前に、燃料が均一な雰囲気を作り出すことができ、燃料と空気の当量比を比較的低くして燃料の不完全燃焼、又は煤の発生を抑制することができる。この予混合燃焼モードは、燃料を均一にするための時間を確保する必要があるので、エンジン負荷が比較的低く、且つ回転数が比較的少ない場合に使用される。ECU47は、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じて燃料の噴射形態を予混合燃焼モードと拡散燃焼モードの間で切り替える。
図3は、各燃焼モードにおける燃焼室内の酸素濃度の目標値を示すグラフであり、このグラフでは、X軸に酸素濃度移行率を示し、Y軸に燃焼室内の酸素濃度を示す。この図に示すように、拡散燃焼モードを実行するときの酸素濃度C1は、予混合燃焼モードを実行するときの酸素濃度C2よりも高くなっている。これは、拡散燃焼モードを実行しているときには、酸素の当量比が高くなる(酸素が少なくなる)と、CO、HC、又は煤が発生し易くなるので、EGR量の制御により燃焼室7内に供給される酸素の濃度を予混合燃焼モードを実行する場合よりも高くして、不完全燃焼を抑制する必要があるからである。そして、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードに移行するときは、経路L1に沿って燃焼室7内の酸素濃度を徐々に高くし、一方で、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときは、経路L1に沿って燃焼室7内の酸素濃度を徐々に低くする。そして、拡散燃焼モードにおける酸素濃度移行率を0.0とし、予混合燃焼モードにおける酸素濃度移行率を1.0とすると、酸素濃度移行率は、燃焼室7内の酸素濃度に比例して増減する。
図4は、従来の燃焼制御装置における拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときのタイミングと燃料噴射形態の変化の関係のグラフであり、図5は、この燃焼制御装置において拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときに用いるマップである。
図4では、横軸にピストン9のクランク角度(CA)を示し、縦方向に燃料噴射量を示す。そしてこの図に示すように、従来の燃焼制御装置では、燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときに、パイロット噴射のタイミングを徐々に遅らせ、且つ、パイロット噴射量を徐々に増量して、パイロット噴射量を予混合燃焼モード時のパイロット噴射量に近づけるようになっている。また、燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときには、パイロット噴射のタイミングを徐々に早め、且つ、パイロット噴射量を徐々に減らして、パイロット噴射量を、拡散燃焼モード時のパイロット噴射量に近づけるようになっている。そして、拡散燃焼モード時及び予混合燃焼モード時のパイロット噴射量は、約1.5から2.5mm3/stの範囲内となる。
図5に示すマップでは、X軸方向に酸素濃度移行率を示し、Y軸方向に噴射形態移行率を示し、さらに点(X,Y)=(0,0)を拡散燃焼モードとし、点(X,Y)=(1,1)を予混合燃焼モードとする。また、この図に示すようにNOxは、酸素量が多く(EGR率が低い)、且つ燃焼温度が高い場合に増加し、NVHは、酸素量が多く、噴射タイミングが早くなると増加し、Soot及びHCは、酸素量が少なく、噴射タイミングが遅くなると増加する。そして従来の燃焼制御装置は、酸素濃度移行率と噴射形態移行率を制御して、NOx、NVH、Soot、及びHCが総合的に少なくなるような移行経路L2に沿って移動する。
図6は、予混合燃焼モードに近い状態における、パイロット噴射量と、Sootの量との関係のグラフであり、さらに図7は、予混合燃焼モードに近い状態における、パイロット噴射量と、NVHの量との関係のグラフである。
先ず、図6に示すように、予混合燃焼モードに近い状態では、パイロット噴射の燃料噴射量が多くなるとSootの量が小さくなる。また、図7に示すように、予混合燃焼モードに近い状態では、パイロット噴射の燃料噴射量が多くなるとNVHの量が多くなる。また、予混合燃焼モードに近い状態でのパイロット噴射の燃料噴射量を、例えば約1.5〜2.5mm3/stよりも増量した場合、Sootの減少の割合の絶対値が、NVHの増加の割合の絶対値よりも大きいことが分かる。即ち、予混合燃焼モードに近い状態で、パイロット噴射の燃料噴射量を増量することで、NVHの増加を抑制しながら、Sootを大幅に減らすことができる。
図8は、本実施形態による燃焼制御装置において拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行するときのタイミングと燃料噴射形態の変化の関係のグラフであり、図9は、本実施形態にかかる燃焼制御装置が燃焼モードの移行時に用いるマップである。
先ず、図8に示すように拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときにECU47は、パイロット噴射のタイミングを徐々に早めながら、パイロット噴射量を、例えば約1.5mm3/stから一定の割合で増量する。このときECU47は、従来の燃焼制御装置によるパイロット噴射量を補正し、増量する。そして、ECU47は、噴射形態移行率が1.0となった際(予混合燃焼モードへの移行が完了する直前)に、パイロット噴射量が、通常のパイロット噴射量である約2.5mm3/stよりも大きい約8mm3/stとなるようにする。このような制御によって拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行する間に、パイロット噴射量が通常のパイロット噴射量である約2.5mm3/stよりも大きくなり、図9に示すように、マップのSootの領域を小さくすることができる。また、ECU47は、パイロット噴射量が約4mm3/stとなるときに、酸素濃度移行率が1.0になるように燃焼室7内の酸素濃度を制御する。その後、ECU47は、燃焼室7内の酸素濃度をほぼ一定に保ちながら、パイロット噴射量を通常の燃料噴射量である約2.5mm3/stまで減少させる。また、このとき燃焼モードの移行時の全過程において、パイロット噴射量と、その直後のメイン噴射のメイン噴射量の和が均一となるように、メイン噴射量は徐々に減少させた後、増加させるようになっている。
このように、予混合燃焼モードに移行したときにパイロット噴射量を減少させることで、適切な着火タイミングで着火させることができ、また燃焼室からこぼれるパイロット燃料の量を抑制することができる。これにより、トルクの発生に寄与する燃料が増量するので、ディーゼルエンジンの運転効率を向上させることができる。
また、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードに移行するときにECU47は、先ずパイロット噴射量を、予混合燃焼モードの通常の燃料噴射量である約2.5mm3/stから、それよりも多い約4mm3/stに増量する。その後ECU47は、パイロット噴射のタイミングを徐々に遅くしながら、パイロット噴射量を拡散燃焼モードの燃料噴射量である約1.5mm3/stまで減少させる。
図10は、燃焼モードを移行させるときのECUの一連の処理を示すフロー図である。尚、図10及び以下の説明において符号「S」は、「ステップ」を示す。
一連の処理が開始すると、S1においてECU47は、燃焼モードの移行要求があったか否かを判断する。この処理は、ECU47が、アクセル開度センサ59の検出結果を読み込み、さらに、エンジン負荷とエンジン回転数の関係を図2のマップと照合することで行われる。そしてECU47は、エンジン負荷とエンジン回転数の関係が変化して、その関係が図2のマップ上の予混合燃焼モードの領域から拡散燃焼モードの領域に移行した場合には、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードへの移行要求があったと判断する。また、ECU47は、エンジン負荷とエンジン回転数の関係が変化して、その関係が図2のマップ上の拡散燃焼モードの領域から予混合燃焼モードの領域に移行した場合にも、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードへの移行要求があったと判断する。そして何れかの移行要求があった場合には、ECU47は、S2以降の処理を行う。
S2においてECU47は、パイロット噴射量を補正する。これにより、インジェクタ11による燃料噴射の移行形態が、図4に示すような移行形態から、図8に示すような移行形態に補正される。次いで、S3においてECU47は、酸素濃度移行率に基づいて噴射形態を移行させる。具体的にはS3においてECU47は、アクセルの踏み込み量が所定量未満から所定量以上に増加して、現在の予混合燃焼モードから拡散燃焼モードへの移行要求があった場合には、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードに移行させるための処理を行う。一方で、アクセルの踏み込み量が所定量以上から所定量未満まで減少して、現在の拡散燃焼モードから予混合燃焼モードへの移行要求があった場合には、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行させるための処理を行う。この処理では、先ずECU47が、第1EGRバルブ41及び第2EGRバルブ45、及び吸気絞り弁17及びI/C通路絞り弁25の開度を制御して、図3に示すグラフに従ってディーゼルエンジン1の燃焼室7内の酸素濃度を移行させる。これにより、燃焼室7内の酸素濃度を徐々に移行させる。このときECU47は、移行する方向に応じて燃焼室7内の酸素濃度を高め、又は下げるように第1EGRバルブ41及び第2EGRバルブ45の開度を制御する。これと同時にECU47は、O2センサ53による排気通路5内の酸素濃度の検出結果、吸気絞り弁17の開度等に基づいて、燃焼室7内の現在の酸素濃度を予測する。そしてECU47は、図5に示すマップを参照して予測した酸素濃度に対応する噴射形態移行率を選択する。そしてECU47は、クランク角センサ49の検出結果を監視しながら、選択された噴射形態移行率に対応する燃料の噴射形態が実行されるようにインジェクタ11を制御する。そしてこの処理は、S4において燃焼モードの移行が完了したと判断されるまで繰り返し行われる。
そしてS5においてECU47は、S2において燃料噴射量の補正を終了して、一連の処理を終了する。
このように、燃焼モードを移行するときのパイロット噴射量を補正して、拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間で移行させるときに、パイロット噴射量を一旦増加させた後、減少させることによって、マップ上のSootの領域を小さくすることができる。また、燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行させるときに、パイロット噴射量を減少させることによって、燃料の着火のタイミングを遅らせることができるので、ディーゼルエンジン1の運転効率を向上させることができる。
尚、上記実施形態では、排気通路5に設けられたO2センサ53の検出結果に基づいて燃焼室7内の酸素濃度を予測するようにしたが、マニフォルド27内に酸素濃度検出センサを設け、このセンサの検出結果をECU47が読み込むようにしてもよい。
1 ディーゼルエンジン
7 燃焼室
47 ECU

Claims (6)

  1. ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う拡散燃焼モード、及び前記燃焼室内の酸素濃度を前記第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし、且つ前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う予混合燃焼モードの2つの燃焼モードで前記ディーゼルエンジンを制御するようになったディーゼルエンジンの燃焼制御装置であって、
    エンジン負荷が所定負荷以上の場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを拡散燃焼モードとし、また、エンジン負荷が所定負荷未満の場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを予混合燃焼モードとするように燃焼モードを制御する燃焼モード制御手段を備え、
    この燃焼モード制御手段は、予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるように燃料噴射量を制御するようになっており、さらに、前記ディーゼルエンジンの負荷が変化して、燃焼モードを拡散燃焼モードと予混合燃焼モードとの間で移行させるときに、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるまで増加させた後、減少させること、
    を特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  2. 前記燃焼モード制御手段は、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおける噴射量とそれより多い噴射量との間で変化させるときに前記燃焼室内の酸素濃度をほぼ一定に保つようになっている請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  3. 前記燃焼モード制御手段は、パイロット噴射量を徐々に変化させるときに前記燃焼室内の酸素濃度を徐々に変化させるようになっている請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  4. 前記燃焼モード制御手段は、予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射とメイン噴射の間隔が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射とメイン噴射の間隔よりも大きくするようになっている請求項1乃至3の何れか1項に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  5. ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし、且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う拡散燃焼モード、及び前記燃焼室内の酸素濃度を前記第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし、且つ前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射するメイン噴射及びこのメイン噴射よりも前に当該燃焼室内に燃料を噴射するパイロット噴射を行う予混合燃焼モードの2つの燃焼モードで前記ディーゼルエンジンを制御するようになったディーゼルエンジンの燃焼制御方法であって、
    エンジン負荷が所定負荷未満から所定負荷以上に変化した場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを予混合燃焼モードから拡散燃焼モードとするように燃焼モードを制御し、また、エンジン負荷が所定負荷以上から所定負荷未満に変化した場合に当該ディーゼルエンジンの燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードとするように燃焼モードを制御するようになっており、さらに予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量が、拡散燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるように燃料噴射量を制御するようになっており、
    エンジン負荷が変化して、燃焼モードを拡散燃焼モードと予混合燃焼モードとの間で移行させるときに、パイロット噴射量を予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるまで増加させる第1工程と、
    該第1工程で増加させられたパイロット噴射量を減少させる第2工程とを備えること、
    を特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御方法。
  6. エンジン負荷が減少して、燃焼モードを拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行させるときに、上記第1工程においてパイロット噴射量が予混合燃焼モードにおけるパイロット噴射量よりも多くなるまで徐々に増加させられ、上記第2工程においてパイロット噴射量が減少させられる請求項5に記載のディーゼルエンジンの制御方法。
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