JP4368271B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンからの回転出力を前輪および後輪に伝達して走行する4輪駆動車に関する。
自動車はエンジンからの回転駆動力を変速機により変速した後、前輪や後輪に伝達して走行するものであるが、前輪もしくは後輪のみを駆動する2輪駆動タイプのものだけでなく、前後輪全てを駆動する4輪駆動タイプのものもある。4輪駆動タイプの自動車において、各車輪に対する駆動力配分を制御して4輪全てに適切な駆動力を付与するような制御装置を設けることも行われている。また、自動車における走行安全性を高める装置も種々用いられており、例えば、急ブレーキ時の車輪のロックを防止するブレーキ制御を行うアンチロックブレーキ装置や、車輪に最適なエンジン駆動力を伝達するようにエンジン出力制御を行ったり、カーブ走行時の左右の駆動力配分を制御して安全な走行を行えるようにするトラクションコントロール装置等がある。
例えば、特許文献1には、アンチロックブレーキ装置(特許文献1ではアンチスキッド制御機構と称されている)と前後輪への駆動力配分を制御する駆動力配分制御機構とを備えた4輪駆動タイプの自動車が開示されている。なお、この自動車においては、アンチロックブレーキ装置と駆動力配分制御機構とが車輪回転速度センサを共有して構成され、これらが一つの制御手段により制御するように構成されている。その上で、このように検出信号が共有される車輪回転センサの異常を検出したときに、相互干渉による誤作動を防止するため、両方の制御を停止するフェールセーフ手法を採用している。
特許第2754721号公報
ところで、4輪駆動車において、エンジンのスロットル開度制御を行うスロットル制御装置と、エンジンからの回転駆動力を前輪および後輪に分配して伝達する回転駆動力分配装置と、回転駆動力分配装置の作動制御を行って4輪駆動走行制御を行う4輪駆動コントロール装置と、スロットル制御装置の作動制御を含む車両走行制御を行って車両走行安定性を保つ制御を行う走行安定コントロール装置とを備えた4輪駆動車を本出願人は開発している。この4輪駆動車において、4輪駆動コントロール装置は、4輪駆動走行制御の機能失陥に係る故障発生時に4輪駆動制御を停止するとともにスロットル制御装置によりスロットル開度を低下させる制御を行う構成が考えられている。ところが、走行安定コントロール装置も同時にスロットル制御を行っており、スロットル制御装置は、4輪駆動コントロール装置および走行安定コントロール装置から同時に二つの異なるスロットル制御信号を受ける可能性がある。
このような場合に、上記特許文献1におけるように両方の制御を停止するという手法を採用することが考えられるが、このような手法では走行安定性が低下し、且つ4輪駆動走行制御も不安定となりやすいという問題がある。
また、4輪駆動コントロール装置からのスロットル開度を低下させる制御信号は通信ラインを介してスロットル制御装置に送られてスロットル開度制御が行われる構成であり、この通信ラインに異常が発生したときには4輪駆動コントロール制御が不正確となるため4輪走行制御が停止される。ところが、通信ラインが異常であるため、4輪走行制御の停止に伴って行われるべきスロットル開度を低下させる制御信号がスロットル制御装置に送られず、4輪走行制御の停止時の走行安定性が低下するおそれがあるという問題もある。
本発明はこのような問題に鑑み、スロットル制御装置が4輪駆動コントロール装置および走行安定コントロール装置から同時に二つの異なるスロットル制御信号を受けたときにも適切な走行制御を行うことができるような構成の走行制御を提供することを目的とする。本発明はさらに、4輪駆動コントロール装置とスロットル制御装置とを繋ぐ通信ラインに異常が発生して4輪走行制御が停止されるときに、通信ラインの異常に拘わらず4輪走行制御停止に関連したスロットル制御を適切に行うことができるような構成の走行制御装置を提供することを目的とする。
このような目的達成のため、本発明の走行制御装置は、エンジンからの回転出力を前輪および後輪に伝達して走行する4輪駆動車において、エンジンのスロットル開度制御を行うスロットル制御装置(例えば、実施形態におけるエンジンコントロールユニット20およびスロットルアクチュエータ2a)と、エンジンからの回転駆動力を前輪および後輪に分配して伝達する回転駆動力分配装置と、回転駆動力分配装置の作動制御を行って4輪駆動走行制御を行う4輪駆動コントロール装置(例えば、実施形態における4輪駆動コントロールユニット30)と、スロットル制御装置の作動制御を含む車両走行制御を行って車両走行安定性を保つ制御を行う走行安定コントロール装置(例えば、実施形態における走行安定コントロールユニット40)とを備えて構成される。そして、4輪駆動コントロール装置は、4輪駆動走行制御に係る故障を検出する故障検出手段を有し、この故障検出手段が故障を検出したときに、4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行するとともにスロットル制御装置にスロットル開度を低下させる第1スロットル制御信号を送ってスロットル開度を低下させる制御を行い、スロットル制御装置は、4輪駆動コントロール装置からの第1スロットル制御信号および走行安定コントロール装置からスロットル開度制御のために送られてくる第2スロットル制御信号が同時に入力されたときには、第1および第2スロットル制御信号の内、スロットル開度が小さい方の制御信号に基づいてスロットル開度制御を行い、故障検出手段が故障を検出して4輪駆動コントロール装置により4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行するときにおいて、回転駆動力分配装置により分配される目標伝達トルクが規定値以上であるときにスロットル制御装置に第1スロットル制御信号を送るとともに4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行するが目標伝達トルクが規定値未満のときには前記第1スロットル制御信号を送らずに4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行する。
この構成の走行制御装置において、4輪駆動コントロール装置は、故障検出手段が故障を検出したときに、4輪駆動制御を停止して2輪駆動状態に移行するようになっているのが好ましい。
さらに上記走行制御装置において、4輪駆動コントロール装置とスロットル制御装置との間の通信ラインの異常を検出する通信異常検出器を備え、故障検出手段が故障を検出したときに、スロットル制御装置によりスロットル開度を低下させる制御を行うか否かを判断する条件情報が、通信ラインを介して4輪駆動コントロール装置からスロットル制御装置に常時送られるとともにスロットル制御装置に更新記憶されており、通信異常検出器による通信ラインの異常が検出されたときに、4輪駆動コントロール装置は4輪駆動制御を停止し、スロットル制御装置は更新記憶されている異常検出時点における条件情報に基づいてスロットル開度を低下させる制御を行うように構成されている。
この場合に、4輪駆動コントロール装置は、通信異常検出器による通信ラインの異常が検出されたときに4輪駆動制御を停止して2輪駆動状態に移行するようになっているのが好ましい。
上記構成の本願発明によれば、まず、4輪駆動走行制御の機能失陥に係る故障発生時に4輪駆動制御を停止するとともにスロットル制御装置によりスロットル開度を低下させる制御を行うので、4輪駆動コントロール装置からスロットル開度を低下させるための第1スロットル制御信号がスロットル制御装置に入力される。このときに、走行安定コントロール装置からの第2スロットル制御信号もスロットル制御装置に同時に入力されたときには、スロットル制御装置は第1および第2スロットル制御信号のうち、スロットル開度が小さい方の制御信号に基づいてスロットル開度制御を行うようになっており、安全性を確保しつつ、4輪駆動停止制御と走行安定制御も適切に確保できる。
また、4輪駆動制御を停止するときに、回転駆動力分配装置により分配される目標伝達トルクが規定値以上であるときにはこのまま2輪駆動に移行すると駆動側となる2輪の駆動トルク変動が大きくなるため、目標伝達トルクが規定値以上であるときにスロットル制御装置に第1スロットル制御信号を送るとともに4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行するが目標伝達トルクが規定値未満のときには第1スロットル制御信号を送らずに4輪駆動制御を停止して2輪駆動に移行するようにしており、これにより2輪駆動への移行時に車輪に伝達される駆動トルクを小さくしてスムーズに2輪駆動に移行させることができる。
また、この走行制御装置では、通信異常検出器により4輪駆動コントロール装置とスロットル制御装置との間の通信ラインの異常が検出されたときに、4輪駆動コントロール装置は4輪駆動制御を停止する。このとき通信ラインが異常であり、4輪駆動コントロール装置からスロットル制御装置にスロットル開度を低下させる制御信号を送れないが、スロットル制御装置にはスロットル制御装置によりスロットル開度を低下させる制御を行うか否かを判断する条件情報が常時更新記憶されているので、このように更新記憶されている異常検出時点における条件情報に基づいてスロットル開度を低下させる制御を行うことができ、4輪駆動停止制御を適切に行うことができる。この場合に、4輪駆動制御を停止して2輪駆動状態に移行するのが好ましく、不安定な4輪駆動制御を行うことを避けて、2輪駆動により安全性を確保した走行を行わせることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る走行制御装置を備えた4輪駆動自動車の動力伝達装置を、図1を参照して説明する。
図1に示す自動車1には、車体前部に横置きにエンジン2が配設され、エンジン2の出力端に一体に繋がってトランスミッション3が取り付けられている。このトランスミッション3内にはフロントディファレンシャル機構4とトランスファー機構5とが設けられている。トランスミッション3により変速されたエンジン2の回転駆動力は、フロントディファレンシャル機構4において左右のフロントアクスルシャフト6a,6bに分割されて伝達され、左右の前輪7a,7bを駆動する。上記エンジン動力はトランスファー機構5においても分割されてプロペラシャフト8を介してリアアクスル装置9に伝達される。リアアクスル装置9は、回転駆動力分配装置10を有しており、ここで回転駆動力を左右に分割し、左右のリアアクスルシャフト11a,11bを介して左右の後輪12a,12bに伝達してこれらを駆動する。
エンジン2にはスロットル開度を制御するスロットルアクチュエータ2aが設けられており、エンジンコントロールユニット(ENG.C.U.)20からのスロットル制御信号を受けたスロットルアクチュエータ2aがエンジンスロットル開度を制御する作動を行う。エンジンコントロールユニット20には自動車のアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ15からの検出信号が入力されており、エンジンコントロールユニット20はアクセルペダルの操作量に応じてスロットルアクチュエータ2aの作動制御を行うようになっている。但し、エンジンスロットル開度はスロットルアクチュエータ2aにより制御される構成であり、このため、アクセルペダルの操作に拘わらずスロットルアクチュエータ2aの作動を任意に制御することが可能な構成である。
この自動車1はさらに、4輪駆動走行制御を行う4輪駆動コントロールユニット(AWD C.U.)30を有している。この4輪駆動コントロールユニット30は、回転駆動力分配装置10に制御信号を送ってその作動を制御し、前輪7a,7bおよび後輪12a,12bに伝達するトルクの配分制御と、旋回走行時等において左右の後輪12a,12bに伝達するトルク配分制御を行う。さらに、回転駆動力分配装置10から左右の後輪12a,12bに駆動力を伝達させる4輪駆動走行状態(なお、左右の前輪7a,7bには常時駆動力が伝達される)と、左右の後輪12a,12bへの駆動力伝達を遮断する2輪駆動走行状態とを切り換える制御も行うことができる。なお、4輪駆動コントロールユニット30からエンジンコントロールユニット20にスロットル制御信号(後述する第1スロットル制御信号)を送出して、アクセルペダル操作により設定されるスロットル開度を補正する制御が可能となっている。
また、自動車1は、走行安定性を保つ制御を行う走行安定コントロールユニット(VSA C.U.)40も有している。この走行安定コントロールユニット40は、過度なステアリング操作に伴うオーバーステアの抑制制御、旋回加速時におけるアンダーステアの抑制制御、左右輪の路面状況の相違に対応する発進制御、旋回制動時の安定性を向上させる旋回制動制御等を行う。このため、走行安定コントロールユニット40には、ステアリング操作センサ、ヨーレイトセンサ、横G(横方向加速度)センサ、前後G(前後方向加速度)センサ等からの検出信号が入力され、これら検出信号を回転駆動力分配装置10に送るとともに、エンジンコントロールユニット20に作動制御信号を送ってスロットルアクチュエータ2aを作動させてエンジンスロットル制御を行い、さらには前後左右のブレーキ作動制御を行って車両の走行安定性を保つ制御を行う。
エンジンコントロールユニット20、4輪駆動コントロールユニット30および走行安定コントロールユニット40は互いにネットワーク接続されており、各ユニットに入力される検出信号は共通のセンサからの検出信号が使用される。例えば、エンジン2に取り付けられたエンジン回転センサ2bにより検出されたエンジン回転検出信号は、図1に示すように、信号ライン2cを通ってエンジンコントロールユニット20に送られるが、この信号はネットワークを介して4輪駆動コントロールユニット30および走行安定コントロールユニット40にも送られてそれぞれの制御に用いられるようになっている。このため、エンジン回転センサ2bが故障したり、信号ライン2cが断線したような場合には、エンジンコントロールユニット20においてフェールセーフ制御が行われるだけでなく、4輪駆動コントロールユニット30および走行安定コントロールユニット40においてもフェールセーフ制御が行われる。
次に、4輪駆動コントロールユニット30の制御内容を図2のフローチャートを参照して説明する。このユニット30では、まず後輪側に配分するリア目標伝達トルクTTrを算出し(ステップS1)、ステップS2において4輪駆動制御を行うための機能欠陥故障が検出されない限りステップS3に進み、リア目標伝達トルクTTrを後輪12a,12bに伝達するように回転駆動力分配装置10の作動制御を行う。なお、4輪駆動コントロールユニット30は4輪駆動走行制御に係る故障、すなわち機能欠陥故障(この故障内容については後述する)を検出する故障検出器を有している。
このステップS3におけるリア目標伝達トルクTTrの算出方法を図3および図4に示すブロック図を参照して説明する。この算出に際しては、まず、エンジン出力特性マップからエンジン回転数Neと吸気負圧Pbとの関係に基づいてエンジン出力トルクTeを求め(ブロックB1)、これにリタード信号、エンジン冷却水温、大気圧、吸気温、エアコンディショナー作動の有無、オルタネータ負荷等のエンジン負荷に基づく補正係数(ブロックB2)を乗じて、実エンジン出力トルクTeaを算出する。この実エンジン出力トルクTeaにトルクコンバータのトルク比およびトランスミッションギヤ比を乗じてトランスミッション出力トルクTtmを算出する(ブロックB3)。さらに、回転変動に伴う慣性トルクの補正量を算出(ブロックB4)するとともに後輪駆動系の内部ロストルクを算出(ブロックB5)し、これらをトランスミッション出力トルクTtmから減じれば、後輪推定駆動トルクTest が算出される(ブロックB6)。
次に図4のブロック図に移行するが、後輪に対する基本トルク配分比DRr(前後輪のトルク配分比)を読み出す(ブロックB7)。なお、この基本トルク配分比DRrは各自動車に応じて適切な値、例えば、30%という値が予め設定されている。同時に、カーブ走行のように車両が旋回走行しているときには、車体に作用する横方向加速度(横G)の大きさに応じて後輪トルク配分比の増加分ΔDRを求める(ブロックB8)。そして、基本トルク配分比DRrに増加分ΔDRを加えた後輪トルク配分比DRを、上述のようにブロックB6において算出された後輪推定駆動トルクTest に乗じてリア側に配分されるリア目標伝達トルクTTrが算出される(ブロックB9)。
但し、このリア目標伝達トルクTTrは左右の後輪12a,12bに伝達される合計トルクであり、例えば、旋回走行時等には左右に所定の分配比で異なるトルク伝達を行う。このため、ブロックB10において車体の横方向加速度に応じて外輪側に配分する配分比DRwを算出し、これをリア目標伝達トルクTTrに乗じて外輪側の後輪への目標伝達トルクTroを算出し、且つ、リア目標伝達トルクTTrから外輪目標伝達トルクTroを減じて内輪目標伝達トルクTriを算出する(ブロックB12)。但し、制動時には左右の後輪12a,12bへの動力伝達を遮断してアンチロックブレーキ制御を行うようになっており、このための処理をブロックB11で行っている。すなわち、制動時には外輪および内輪目標伝達トルクTro,Triはともに零に設定される。
図2に戻って説明するが、以上のようにして外輪および内輪目標伝達トルクTro,Triが算出されると、この目標伝達トルクが左右の後輪12a,12bに伝達されるように、4輪駆動コントロールユニット30は、回転駆動力分配装置10に制御信号を送ってその作動を制御する(ステップS3)。この結果、前輪7a,7bに伝達するトルクと後輪12a,12bに伝達するトルクとの配分制御と、旋回走行時等において左右の後輪12a,12bに伝達するトルク配分制御が行われる。なお、この制御内容から分かるように、回転駆動力分配装置10は、例えば、左右のリアアクスルシャフト11a,11bに繋がる部分に設けられた左右のクラッチからなり、これら左右のクラッチの係合制御を行って上記の前後輪トルク配分および左右後輪トルク配分制御が行われる。
一方、ステップS2において4輪駆動制御を行うための機能欠陥故障が検出された場合には、ステップS10に進んで、図5に示す4WDフェールアクション制御を行う。ここでいう機能欠陥故障とは、上述した前後輪トルク配分および左右後輪トルク配分制御を行うために要求される機能が欠落するような故障であり、例えば、横方向加速度(横G)センサの故障が挙げられる。さらに、エンジン回転センサ2b等の推定駆動トルク算出に必要なパラメータ値を検出するセンサの故障、4輪駆動コントロールユニット30、走行安定コントロールユニット40等でのネットワーク通信によって共有しているセンサの故障、回転駆動力分配装置10の故障等も挙げられる。
この4WDフェールアクション制御においては、上述のようにして計算されたリア目標伝達トルクTr(外輪および内輪目標伝達トルクTro,Triの和)が規定値以上か否かの判断がなされる(ステップS11)。機能欠陥故障検出時には後述するように4輪駆動状態から2輪駆動状態に切り換えられるため、後輪に伝達される駆動トルクが零となり、その分、前輪駆動トルクが増加することになって前輪および後輪駆動トルクが急激に変化して走行安定性変化もしくは車両の走行挙動変化が大きくなる。この変化はリア目標伝達トルクTTrが大きいほど大きくなるため、リア目標伝達トルクTTrが規定値以上のときには以下に示すように、エンジンスロットル開度を小さくしてこれら変化を小さくする制御が行われる。なお、リア目標伝達トルクTTrが規定値未満のときには走行安定性変化、走行挙動変化がこのままでも許容できるレベルであるため、ステップS14に進みエンジンスロットル開度補正制御は行わない。
ステップS11においてリア目標伝達トルクTTrが規定値以上と判断されたときには、ステップS12に進み、前輪7a,7bへの伝達トルク、すなわちフロント伝達トルクTTfが規定値以上か否かが判断される。これは上記と同様の趣旨の判断を行うもので、フロント伝達トルクTTfが規定値未満のときには走行安定性変化、走行挙動変化がこのままでも許容できるレベルであるため、ステップS14に進みエンジンスロットル開度補正制御は行わない。一方、フロント伝達トルクTTfが規定値以上のときには、ステップS13に進み、エンジンスロットル開度θTHを低下させるための要求値を算出する。
以上のようにして4WDフェールアクション制御(ステップS10)が行われると、次に図2のステップS4に進み、ステップS13において算出した要求スロットル開度制御信号をエンジンコントロール装置20に送信する。さらに、ステップS5に進み、回転駆動力分配装置10の作動を制御し、後輪12a,12bへの駆動力伝達を行わせなくして4輪駆動状態から2輪駆動状態へ移行させる。このようにステップS4において送られる要求スロットル開度制御信号は、図6に示すように、4輪駆動状態から2輪駆動状態へ移行する時点toにおいて、スロットル開度を要求スロットル開度まで低下させ、これを所定時間(時間t1まで)保持した後、元のスロットル開度(アクセルペダルの操作に応じたスロットル開度)まで緩やかに戻す制御を行う信号である。
このようにして要求スロットル開度制御信号がエンジンコントロール装置20に送られるとエンジンコントロール装置20は図6に示すようなスロットル開度を設定するようにスロットルアクチュエータ2aの作動制御を行わせるのであるが、上述のように、走行安定コントロールユニット40からもスロットル制御信号がエンジンコントロール装置20に送られるため、エンジンコントロール装置20は異なる二つの制御信号を受けることになる。この場合の制御を図7を参照して説明する。
図7に示すように、エンジンコントロールユニット20に、4輪駆動コントロールユニット30から上記要求スロットル開度制御信号(これを第1スロットル制御信号と称する)が送られ、且つ、走行安定コントロールユニット40から要求スロットル開度制御信号(これを第2スロットル制御信号と称する)が送られると、エンジンコントロールユニット20内において第1および第2スロットル制御信号のうちの小さい方の信号を選択する。そして、このように選択したスロットル制御信号に基づいてスロットルアクチュエータ2aの作動制御が行われる。この結果、4輪駆動コントロールユニット30の4輪駆動制御停止による2輪駆動への切換に伴うエンジンスロットル開度低下制御も、走行安定コントロールユニット40による走行安定制御のためのエンジンスロットル開度制御もともに行うことができ、且つこれらは安全サイドの制御であり、走行安定性を損なうことがない。
次に、本発明に係るもう一つの制御形態を、図8を参照して説明する。上述のようにエンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30と走行安定コントロールユニット40とは通信ラインを介して繋がれてネットワークを形成しており、制御に用いる種々の検出信号はそれぞれ共有するようになっている。このため、ネットワークを形成する通信ラインの異常時には、それぞれ独自のフェールセーフ制御が求められる。4輪駆動コントロールユニット30においては、このような異常時、特に、エンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30との通信異常時には、4輪駆動制御を停止させるようになっており、このフェールセーフ制御について図8を参照しながら以下に説明する。
まず、このような通信異常を検出する通信異常検出器50がネットワーク上に設けられており、例えば、通信異常検出器50がエンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30との通信異常を検出すると、異常検知信号がエンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30に送られる。さらに、通常は走行安定コントロールユニット40にも送られることが多い。
この異常検知信号を受信すると、4輪駆動コントロールユニット30は、回転駆動力分配装置10の作動を制御し、後輪12a,12bへの駆動力伝達を行わせなくして4輪駆動状態から2輪駆動状態へ移行させる。このとき、前述の4輪駆動制御停止の場合と同様にエンジンスロットル開度を低下させる制御が必要とされるが、エンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30との通信異常が生じているため、4輪駆動コントロールユニット30からエンジンコントロールユニット20にスロットル開度制御信号(第1スロットル開度信号)を送ることができない。
このため、エンジンコントロールユニット20には4輪駆動コントロールユニット30における4WDフェールアクション制御(図2および図5に示すステップS10の制御)に必要な条件情報が通信ラインを介して送られており、エンジンコントロールユニット20のメモリに常に更新記憶されるようになっている。そして、上記のように通信異常が発生して通信異常検出器50から異常検知信号を受信したときには、4輪駆動コントロールユニット30は4輪駆動状態から2輪駆動状態へ移行させ、一方、エンジンコントロールユニット20はメモリに更新記憶されている最新の条件情報(すなわち、通信異常が発生した時点(直前)での条件情報)を読み出し、この条件情報に基づいて4WDフェールアクション制御(図2および図5に示すステップS10の制御)を行う。
これにより図6に示すような第1スロットル開度信号が得られ、これに基づいてスロットルアクチュエータ2aの作動を制御する。この結果、エンジンコントロールユニット20と4輪駆動コントロールユニット30との通信異常が生じた場合にも、エンジンスロットル開度を低下させて4輪駆動状態から2輪駆動状態に切り換える制御が行われる。
なお、このようにしてエンジンスロットル開度を低下させるときに、走行安定コントロールユニット40から要求スロットル開度制御信号(これを第2スロットル制御信号と称する)も送られている場合には、上記と同様な理由から、エンジンコントロールユニット20内において第1および第2スロットル制御信号のうちの小さい方の信号を選択し、このように選択したスロットル制御信号に基づいてスロットルアクチュエータ2aの作動制御が行われる。
本発明に係る走行制御装置およびこれを備えた4輪駆動自動車の動力伝達系を示す概略図である。 上記走行制御装置を構成する4輪駆動コントロールユニットによる4WD制御内容を示すフローチャートである。 上記4WD制御におけるリア目標伝達トルクの算出方法を示すブロック図である。 上記4WD制御におけるリア目標伝達トルクの算出方法を示すブロック図である。 上記4WD制御における4WDフェールアクション制御内容を示すフローチャートである。 上記4WDフェールアクション制御により求められるエンジンスロットル開度制御内容を示すグラフである。 エンジンコントロールユニットが4輪駆動コントロールユニットおよび走行安定コントロールユニットから異なるスロットル開度制御信号を受けたときの制御内容を示すブロック図である。 エンジンコントロールユニットと4輪駆動コントロールユニットとの通信異常を検出したときにおける、エンジンコントロールユニットおよび4輪駆動コントロールユニットの制御内容を示すブロック図である。
符号の説明
2 エンジン
2a スロットルアクチュエータ
3 トランスミッション
7a,7b 前輪
8 プロペラシャフト
9 リアアクスル装置
10 回転駆動力分配装置
12a,12b 後輪
15 アクセルセンサ
20 エンジンコントロールユニット
30 4輪駆動コントロールユニット
40 走行安定コントロールユニット
50 通信異常検出器

Claims (2)

  1. エンジンからの回転出力を前輪および後輪に伝達して走行する4輪駆動車において、
    前記エンジンのスロットル開度制御を行うスロットル制御装置と、
    前記エンジンからの回転駆動力を前記前輪および前記後輪に分配して伝達する回転駆動力分配装置と、
    前記回転駆動力分配装置の作動制御を行って4輪駆動走行制御を行う4輪駆動コントロール装置と、
    前記スロットル制御装置の作動制御を含む車両走行制御を行って車両走行安定性を保つ制御を行う走行安定コントロール装置とを備え、
    前記4輪駆動コントロール装置は、4輪駆動走行制御に係る故障を検出する故障検出手段を有し、前記故障検出手段が故障を検出したときに、4輪駆動制御を停止して2輪駆動制御に移行するとともに前記スロットル制御装置にスロットル開度を低下させる第1スロットル制御信号を送ってスロットル開度を低下させる制御を行い、
    前記スロットル制御装置は、前記4輪駆動コントロール装置からの前記第1スロットル制御信号および前記走行安定コントロール装置からスロットル開度制御のために送られてくる第2スロットル制御信号が同時に入力されたときには、前記第1および第2スロットル制御信号の内、スロットル開度が小さい方の制御信号に基づいてスロットル開度制御を行い、
    前記故障検出手段が故障を検出して前記4輪駆動コントロール装置により4輪駆動制御を停止して2輪駆動制御に移行するときにおいて、前記回転駆動力分配装置により分配される目標伝達トルクが規定値以上であるときには前記スロットル制御装置に前記第1スロットル制御信号を送るとともに4輪駆動制御を停止して2輪駆動制御に移行するが、前記目標伝達トルクが前記規定値未満のときには前記第1スロットル制御信号を送らずに4輪駆動制御を停止して2輪駆動制御に移行することを特徴とする走行制御装置。
  2. 前記4輪駆動コントロール装置と前記スロットル制御装置との間の通信ラインの異常を検出する通信異常検出器を備え、
    前記故障検出手段が故障を検出したときに前記スロットル制御装置によりスロットル開度を低下させる制御を行うか否かを判断する条件情報が、前記通信ラインを介して前記4輪駆動コントロール装置から前記スロットル制御装置に常時送られるとともに前記スロットル制御装置に更新記憶されており、
    前記通信異常検出器による前記通信ラインの異常が検出されたときに、前記4輪駆動コントロール装置は4輪駆動制御を停止して2輪駆動制御に移行し、前記スロットル制御装置は更新記憶されている異常検出時点における前記条件情報に基づいてスロットル開度を低下させる制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の走行制御装置。
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