JP4182841B2 - 単結晶基板の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶からなる材料で構成される基板に微小な貫通孔又は非貫通孔を形成する方法に関する。
従来から、シリコン単結晶基板の一方の面から非貫通孔を形成した後、異方性エッチングすることによりシリコンの結晶方位の影響を受けずに高アスペクト比の貫通孔を形成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−166600号公報
しかしながら、上記従来の技術では、レーザ光を利用して貫通孔又は非貫通孔を形成する際に、貫通孔又は非貫通孔が深くなるのに従って、孔壁面でのエネルギ吸収などにより、レーザ光のエネルギ損失が大きくなるため、より大きなパワーを投入する必要がある。そして、大きなパワーを投入する結果、開口のエッジ部がダメージを受け、精度よくエッジ部を形成することが困難であり、さらなる微細化に対して限界があるなどの未解決の課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、単結晶からなる材料で構成される基板に、微細で高アスペクト比の貫通孔又は非貫通孔を形成するための単結晶基板の加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、単結晶からなる材料で構成される基板に非貫通孔又は貫通孔を所定の経路で形成する加工方法であって、前記基板にレーザ光を照射して、前記所定の経路に沿って前記材料を変質させて材料変質部を形成するレーザ光照射工程と、前記材料変質部をエッチングして、前記所定の経路で前記非貫通孔又は前記貫通孔を形成する異方性エッチング工程と、を有することを特徴とする。
ここで、材料変質部とは、レーザ光を照射することにより、単結晶中の一部の原子同士間の結合を切断したり、微小なクラックを無数に発生させたり、結晶性を破壊したりして材料を変質させた部分のことである。
上記によれば、レーザ光照射工程では、単結晶基板に、材料変質部を形成するだけであり、所望する貫通孔又は非貫通孔を形成するのに障害となる損傷を及ぼすことはない。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、前記材料変質部の端部が前記基板の板厚内の所定の位置にあるように、当該材料変質部を形成することを特徴とする。
上記によれば、レーザ光照射工程では、材料変質部の端部が基板の板厚内の所定の位置にあるように、材料変質部を形成するため、基板表面には材料変質部が形成されない。従って、基板表面にはレーザ光照射による損傷が発生しない。
また、本発明では、前記非貫通孔又は前記貫通孔の開口部の形状に対応するパターン形状の孔を有するエッチングマスク膜を形成するエッチングマスク膜形成工程をさらに有し、前記所定の位置は、前記基板の面のうち前記パターン形状の孔から露出している範囲とその範囲をエッチングすることにより出現するエッチング速度の遅い結晶面とで囲まれる領域内であることを特徴とする。
なお、エッチングマスク膜形成工程とレーザ光照射工程との順序は、限定されるものではなく、どちらが先でもよい。これにより、エッチングマスク膜形成工程とレーザ光照射工程との順序の選択自由度が高まる。
上記によれば、レーザ光照射工程では、材料変質部の端部が基板の板厚内の所定の位置にあるように、材料変質部を形成させるようになっているため、基板表面には材料変質部が形成されない。従って、基板表面にはレーザ光照射による損傷が発生しないため、エッチングマスク膜を形成した後にレーザ光を照射する場合は、エッチングマスク膜に損傷を発生させることがなく、基板表面とエッチングマスク膜との間に安定した密着性を維持することが可能である。また、レーザ光照射工程後にエッチングマスク膜を形成する場合は、基板表面には損傷が発生せず平坦性を維持しているため微細なパターン形状のエッチングマスク膜を形成することが可能となる。
また、異方性エッチング工程では、基板の面のパターン形状の孔から露出している範囲がエッチングされてエッチング速度の遅い結晶面によりエッチングの進行が阻止されてしまう前に、エッチングが材料変質部に到達することが可能となる。
また、本発明では、前記基板は、シリコン単結晶からなる材料で構成され、前記レーザ光照射工程では、前記基板に赤外レーザ光を集光素子で集光して照射することを特徴とする。
上記によれば、シリコン単結晶からなる材料で構成される基板に、赤外レーザ光を集光素子で集光して照射することで、材料変質部を形成することが可能となる。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、前記基板にYAGレーザ、YVOレーザ又はYLFレーザの基本波長光を照射することを特徴とする。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、ベッセルビーム発生光学系により発生させたベッセルビームを照射することを特徴とする。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、発散角の異なる複数のレーザ光を集光素子により集光して照射することを特徴とする。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、レーザ光を回折光学素子により複数のビームに分岐して照射することを特徴とする。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、前記材料変質部の深さに従って前記レーザ光のエネルギを制御することを特徴とする。
また、本発明では、前記レーザ光照射工程では、前記基板を前記レーザ光の光源に対して相対的に移動させながら前記レーザ光を照射することを特徴とする。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を、図1〜図7を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図である。
図1(e)に示すように、第1の実施形態は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1に貫通孔2を形成する加工方法である。
まず、エッチングマスク膜形成工程では、図1(a)に示すように、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1の表面に、SiOからなるエッチングマスク膜3を、貫通孔2の開口部の形状に対応するパターン形状の孔4a及び4bを基板1の表裏面に有するように形成する。
このエッチングマスク膜3は、以下の方法により形成することができる。
まず、SiO膜を熱酸化法により形成し、その上からレジストをスピンコート法によって塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いてパターン形状の孔4a及び4bを形成するためのレジストパターンを形成する。
この後、フッ酸溶液などを用いてSiO膜をレジストパターン形状に従って除去し、不要になったレジストパターンを剥離してエッチングマスク膜3を形成する。なお、エッチングマスク膜としては、SiOに限定されるものではなく、窒化シリコン膜や金属膜等の異方性エッチング液に対して耐蝕性を有する物質の膜であればよい。
次に、レーザ光照射工程では、図1(b)に示すように、YAGレーザ、YVOレーザ又はYLFレーザの基本波長光5をレンズ6で集光し、その集光点が基板1の板厚内にある所定の位置P1に一致するように、レーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始する。なお、YAGレーザ、YVOレーザ又はYLFレーザのレーザ光は、シリコン単結晶からなる材料で構成される基板に対して透過性のある赤外レーザ光である。
そして、図1(c)に示すように、集光点を、貫通孔2を形成する経路8に沿って、移動させながら、材料変質部7(同図では黒色で示す)を徐々に増加形成してレーザ光照射工程を終了する(図1(d))。なお、本発明の実施形態では、単結晶基板の材料によるレーザ光の吸収によりレーザ光のエネルギ損失が生じるため、材料変質部7の深さに従ってレーザ光のエネルギを強くしていくように制御しながらレーザ光照射を行うようにすることが好ましい。
次に、異方性エッチング工程では、基板1を水酸化カリウムの水溶液に浸漬して、図1(e)に示すように、エッチングマスク膜3のパターン形状の孔4a及び4bに従って、エッチングを進行させて貫通孔2を形成する。
ここで、上記所定の位置P1について説明する。
図2は、図1(d)のK部の詳細を示す図である。同図に示すように、面方位(110)の基板1においては、基板1の表面におけるパターン形状の孔4aにより露出している領域11aを異方性エッチングしていくと、パターン形状の孔4aと基板1の表面との交点部12a及び12bから、基板1の表面と所定の角度をなして互いに向い合う方向に、結晶面である(111)面14a及び14bが出現する。これら(111)面14a及び14bはエッチング速度が極端に遅く、これらの(111)面14a及び14bが出現した段階で異方性エッチングは停止してしまう。
本実施形態に係るレーザ光照射工程における上記所定の位置P1は、基板1の表面におけるパターン形状の孔4aにより露出している領域11a並びに(111)面14a及び14bにより囲まれる領域内の任意の位置である。つまり、レーザ光照射工程では、材料変質部7の一方の端部7aが前記領域内に位置するように、材料変質部7を形成する。この位置P1の基板1の表面におけるパターン形状の孔4aにより露出している領域11aからの垂直深さは、面14aと面14bとのなす交点の領域11aからの垂直深さよりも浅くなっている。
また、図3は、材料変質部7の他方の端部7bの位置の詳細を示す図である。図3に示すように、材料変質部7の他方の端部7bについても上記と同様に、基板1の表面におけるパターン形状の孔4bにより露出している領域11b並びに(111)面15a及び15bで囲まれる領域内に位置するように、材料変質部7を形成する。
材料変質部7が形成された基板1が異方性エッチング工程において、そのエッチングがどのように進行していくかを図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る異方性エッチング工程を示す模式断面図である。
図4(a)に示すように、エッチングの初期段階では、基板1の表面及び裏面におけるパターン形状の孔4a及び4bにより露出している領域11a及び11bが、(111)面14a及び14b並びに15a及び15bに沿ってエッチングを受ける。なお、上記(111)面14a、14b、15a及び15bがエッチング速度の遅い結晶面に対応している。
続いて、エッチングが材料変質部7に到達すると、図4(b)示すように、エッチングを受けやすい材料変質部7が先にエッチングされてエッチングの進行を誘導する孔となるエッチング誘導孔20が形成される。
ここで、材料変質部7というのは、シリコン単結晶にレーザ光を照射することにより、単結晶中の原子の結合が切断されたり、微小なクラックが発生したり、結晶性が破壊されたりして形成されるものであり、この材料変質部7のエッチング速度は、変質されていない材料の領域と比較すると格段に高速となるため、前述のエッチング誘導孔20の形成が可能となるのである。
エッチング誘導孔20からのエッチングが進行していくと、図4(c)に示すように、(111)面からなる基板1に略鉛直な面21及び22が出現し、それらの面21及び22が連続した段階でエッチングが停止し、パターン形状の孔4a及び4bに一致する貫通孔2が形成される(図4(d))。
つまり、本第1の実施形態に係る単結晶基板の加工方法によれば、エッチングは、(111)面14a及び14b並びに15a及び15bに到達して停止してしまう前に、材料変質部7の端部7a及び7bに到達することができ、以後材料変質部7に沿ってエッチングが進行して貫通孔2を形成することが可能となる。
また、材料変質部7の端部7aを基板1の表面に到達させていないのは、表面への材料変質部7形成による損傷を防止するためである。
そして、材料変質部7の端部7aは、表面へ到達していなくても前述したように、基板1の表面におけるパターン形状の孔4aにより露出している領域11a並びに(111)面14a及び14bにより囲まれる領域内に位置していれば、エッチングが材料変質部7に到達可能であり、貫通孔2を形成することができる。
上記により、レーザ光照射工程では、基板1の表面に損傷が発生しないように材料変質部7を形成することができるため、微細なエッチングマスク膜3を形成しておいてもパターン形状の微細な孔4a及び4bがその後のレーザ光照射工程において損傷することがなくなる。従って、高アスペクト比の貫通孔2を形成することが可能となる。
なお、第1の実施形態では、レーザ光照射工程において、レンズ6によるレーザ光5の集光点が基板1の板厚内にある所定の位置P1に一致するように、レーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始するようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、レーザ光照射工程を経た基板1の材料変質部7の端部7aが所定の位置P1に一致するようになっていれば、貫通孔2の経路上のいずれの場所からでもレーザ光照射を開始してよい。
また、第1の実施形態では、エッチングマスク膜形成工程を有しているが、エッチングマスク膜形成工程は必ずしも必要ではない。貫通孔2の開口部形状及び基板1の表面粗さの高い精度を求めなければ、エッチングマスク膜3を形成することなくエッチングしても貫通孔を形成することができる。
また、レーザ光照射工程におけるレーザ光の集光方法の変形例として、図5にベッセルビーム発生光学系によるベッセルビームでのレーザ光照射の例を、図6に発散角の異なる複数のレーザ光を集光素子により集光して照射する例を、図7にレーザ光を回折光学素子により複数のビームに分岐して多点同時に照射する例を示す。
これらの変形例によれば、レーザ光照射工程での材料変質部7の形成にかかる時間を短縮することができ、加工効率を向上することが可能となる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を、図8を用いて説明する。
なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、第2の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図である。
図8(e)に示すように、第2の実施形態は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1に深さd1の非貫通孔35を形成する加工方法である。
まず、エッチングマスク膜形成工程では、図8(a)に示すように、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1の表面に、SiOからなるエッチングマスク膜3を、非貫通孔35の開口部の形状に対応するパターン形状の孔36を基板1の一方の面31にのみ有するように、第1の実施形態と同様の方法により形成する。なお、エッチングマスク膜としては、SiOに限定されるものではなく、窒化シリコン膜や金属膜等の異方性エッチング液に対して耐蝕性を有する物質の膜であればよい。
次に、レーザ光照射工程では、図8(b)に示すように、第1の実施形態における工程と同様にレーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始する。
そして、図8(c)に示すように、集光点を、非貫通孔35を形成する経路37に沿って、深さd1まで移動させながら、材料変質部7を徐々に増加形成してレーザ光照射工程を終了する(図8(d))。
次に、異方性エッチング工程では、図8(e)に示すように、第1の実施の形態における工程と同様に、基板1をエッチングして深さd1の非貫通孔35を形成する。
ここで、所定の位置P1及び材料変質部7における異方性エッチングの進行の様子については、非貫通孔と貫通孔との違いはあるものの基本的に第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
上記により、レーザ光照射工程では、基板1の表面に損傷が発生しないように材料変質部7を形成することができるため、微細なエッチングマスク膜3を形成しておいてもパターン形状の微細な孔36がその後のレーザ光照射工程において損傷することがなくなる。従って、高アスペクト比の非貫通孔35を形成することが可能となる。また、レーザ光照射工程で、基板1内における集光点の位置をコントロールすることで容易に材料変質部7の深さをコントロールすることができ、異方性エッチングにおける非貫通孔35の深さを容易にコントロールすることができる。従って、単結晶基板ごとの非貫通孔35の深さのばらつきを容易にコントロールすることができる。
第2の実施の形態では、レーザ光照射工程において、レンズ6によるレーザ光5の集光点が基板1の板厚内にある所定の位置P1に一致するように、レーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始するようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、レーザ光照射工程を経た基板1の材料変質部7の端部7aが所定の位置P1に一致するようになっていれば、非貫通孔35の経路上のいずれの場所からでもレーザ光照射を開始してよい。
また、第2の実施の形態では、パターン形状の孔36を有する面側からレーザ光を照射するようにしたが、これに限定されるものではなく、パターン形状の孔36を有さない面側から照射するようにしてもよい。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を、図9を用いて説明する。
なお、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図9は、第3の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図である。
図9(e)に示すように、第3の実施形態は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1に貫通孔41を、所望の経路で形成する加工方法である。
まず、エッチングマスク膜形成工程では、図9(a)に示すように、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1の表面に、SiOからなるエッチングマスク膜3を、貫通孔41の一方の開口部42の形状に対応するパターン形状の孔44及び他方の開口部43の形状に対応するパターン形状の孔45を基板1の一方の面31に有するように、第1の実施形態と同様の方法により形成する。なお、エッチングマスク膜としては、SiOに限定されるものではなく、窒化シリコン膜や金属膜等の異方性エッチング液に対して耐蝕性を有する物質の膜であればよい。
次に、レーザ光照射工程では、図9(b)に示すように、第1又は第2の実施形態における工程と同様にレーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始する。
そして、図9(c)に示すように、集光点を、貫通孔41を形成する経路46に沿って、移動させながら、材料変質部7を徐々に増加形成してレーザ光照射工程を終了する(図9(d))。
次に、異方性エッチング工程では、図9(e)に示すように、第1又は第2の実施の形態における工程と同様に、基板1をエッチングして所望の経路を有する貫通孔41を形成する。
ここで、所定の位置P1及び材料変質部7における異方性エッチングの進行の様子については、異方性エッチングされる経路が異なるものの基本的に第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
上記により、レーザ光照射工程では、基板1の表面に損傷が発生しないように材料変質部を形成することができるため、微細なエッチングマスク膜3を形成しておいてもパターン形状の孔44及び45がその後のレーザ光照射工程において損傷することがなくなる。従って、高アスペクト比の貫通孔41を所望する経路で形成することが可能となる。
なお、第3の実施形態では、一方の開口部42及び他方の開口部43が基板1の一方の面31にあるように貫通孔41を形成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。一方の開口部42が基板1の一方の面31にあり、他方の開口部43が基板1の他方の面にあるように貫通孔41を形成する場合にも適用することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を、図10を用いて説明する。
なお、第4の実施形態では、第1、第2及び第3の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図10は、第4の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図である。
図10(e)に示すように、第4の実施形態は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1に非貫通孔51を、所望の経路で形成する加工方法である。
まず、エッチングマスク膜形成工程では、図10(a)に示すように、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板1に、SiOからなるエッチングマスク膜3を、非貫通孔51の開口部52の形状に対応するパターン形状の孔53を基板1の一方の面31に有するように、第1の実施形態と同様の方法により形成する。なお、エッチングマスク膜としては、SiOに限定されるものではなく、窒化シリコン膜や金属膜等の異方性エッチング液に対して耐蝕性を有する物質の膜であればよい。
次に、レーザ光照射工程では、図10(b)に示すように、第1〜第3の実施形態における工程と同様にレーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始する。
そして、図10(c)に示すように、集光点を、非貫通孔51を形成する経路54に沿って、移動させながら、材料変質部7を徐々に増加形成してレーザ光照射工程を終了する(図10(d))。
次に、異方性エッチング工程では、図10(e)に示すように、第1〜第3の実施形態における工程と同様に、基板1をエッチングして所望の経路を有する非貫通孔51を形成する。
ここで、所定の位置P1及び材料変質部7における異方性エッチングの進行の様子については、基本的に第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
上記により、レーザ光照射工程では、基板1の表面に損傷が発生しないように材料変質部を形成することができるため、微細なエッチングマスク膜3を形成しておいてもパターン形状の微細な孔53がその後のレーザ光照射工程において損傷することがなくなる。従って、高アスペクト比の非貫通孔51を所望する経路で形成することが可能となる。
なお、第3及び第4の実施形態では、レーザ光照射工程において、レンズ6によるレーザ光5の集光点が基板1の板厚内にある所定の位置P1に一致するように、レーザ光を照射して材料変質部7の形成を開始するようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、レーザ光照射工程を経た基板1の材料変質部7の端部7aが所定の位置P1に一致するようになっていれば、貫通孔41又は非貫通孔51の経路上のいずれの場所からでもレーザ光照射を開始してよい。
また、第3及び第4の実施形態では、パターン形状の孔44、45及び53を有する面側からレーザ光を照射するようにしたが、パターン形状の孔44、45及び53を有さない面側から照射するようにしてもよい。
また、第3及び第4の実施形態では、貫通孔41及び非貫通孔51の経路46及び54が基板1の表面に対して鉛直方向及び水平方向である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。図11は、貫通孔又は非貫通孔の経路の変形例をし、例えば、図11(a)に示すように、基板1の表面に対して傾斜している経路58でもよく、また、図11(b)に示すように、曲線状である経路59でも適用可能である。
また、レーザ光照射工程におけるレーザ光の集光方法の変形例である図5、図6又は図7の例は、第2〜第4のいずれの実施形態にも適用することが可能であり、これらの変形例によれば、第2〜第4のいずれの実施形態においても、レーザ光照射工程での材料変質部形成にかかる時間を短縮することができ、加工効率を向上することが可能となる。
また、第1〜第4の実施形態では、レーザ光照射工程における光源としてYAGレーザ、YVOレーザ又はYLFレーザの基本波長光を用いたが、赤外光領域の波長のレーザ光であれば、これらに限定されるものではない。
また、第1〜第4の実施形態では、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(110)の基板に貫通孔又は非貫通孔を形成する加工方法を示したが、これらに限定されるものではない。例えば、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(100)の基板にも適用できる。つまり、本発明は、エッチング速度が遅い結晶面が目的とする加工の障害として発生するような面方位に適用することができ、単結晶からなる材料であればシリコン以外の材料であっても適用することができるものである。
なお、第1〜第4の実施の形態において、レンズ6が集光素子に対応している。
また、第1〜第4の実施の形態では、一つの単結晶基板に貫通孔又は非貫通孔を形成する加工方法について示したが、複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射するようにしてもよい。
図12は、複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射する一例を示す図である。
図12に示すように、第1の単結晶基板61及び第2の単結晶基板62を、それぞれの単結晶基板表面にエッチングマスク膜3を形成した後、重ねてレーザ光を照射する場合を説明する。
第1の単結晶基板61内部に第1の材料変質部63を所定の経路で形成した後、続けて、第2の単結晶基板62内部の所定の経路64に沿って第2の材料変質部65を形成するようにする。
また、図13は、複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射する他の例を示す図である。
図13に示すように、第1の単結晶基板67の第1の材料変質部69を形成した後、次に、第2の単結晶基板68内部の所定の経路70に沿って第2の材料変質部71を形成し、さらに続けて、第1の単結晶基板67の第2の経路72に沿って第3の材料変質部(図示しない)を形成するようにする。
上述のような複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射する例によれば、レーザ光照射工程における単結晶基板の並べ替えに要する時間を短縮することができ、また、複数の単結晶基板を同一平面上に並べて加工する場合よりもレーザ光を照射する装置の投影面積を小型化することができる。
上記の第1〜第4の実施形態及びそれらの変形例によれば、複数の単結晶基板を搬送テーブル、ベルトコンベア、トランスファマシンなどの搬送装置によってレーザ光の光源に対して相対的に移動させながらレーザ光照射を行う流れ加工を構成することが可能となり、さらなる加工効率の向上を図ることが可能となる。なお、この場合、単結晶基板のレーザ光の光源に対する相対的な移動は、平面移動、鉛直移動又は平面移動と鉛直移動との組合せ移動のいずれでもよく、その移動は、連続移動又は間欠移動のいずれでもよい。特に、レーザ光の特徴から連続移動とするのが加工効率の向上という点で好ましい。
本発明では、材料変質部を貫通孔又は非貫通孔の中心線に沿って形成することに限定されない。貫通孔又は非貫通孔の断面を通る所定の経路であれば中心線から外れた経路でも構わない。このように、貫通孔又は非貫通孔の中心線から外れていてもエッチングマスク膜3の孔から決まる所望の経路に貫通孔又は非貫通孔を形成することはできる。
上記実施形態及び変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)単結晶からなる材料で構成される基板に非貫通孔又は貫通孔を所定の経路で形成する加工方法であって、前記基板にレーザ光を照射して、前記所定の経路に沿って前記材料を変質させて材料変質部を形成するレーザ光照射工程と、前記材料変質部をエッチングして、前記所定の経路で前記非貫通孔又は前記貫通孔を形成する異方性エッチング工程と、を有し、前記レーザ光照射工程では、前記基板の一方の面又は他方の面から所定の深さに前記材料変質部の端部が位置するように、当該材料変質部を形成することを特徴とする。
上記により、微細で高アスペクト比の貫通孔又は非貫通孔を所望する経路で形成するのに際し、単結晶からなる材料で構成される基板の表面に、所望する貫通孔又は非貫通孔を形成するのに障害となるほどの損傷を発生させないようにすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図。 材料変質部の端部の詳細位置を示す断面図。 材料変質部の他方の端部の詳細位置を示す断面図。 本発明の実施形態に係る異方性エッチング工程工程を示す模式断面図。 ベッセルビーム発生光学系によるベッセルビームでのレーザ光照射の例を示す模式断面図。 発散角の異なる複数のレーザ光を集光素子により集光して照射する例を示す模式断面図。 レーザ光を回折光学素子により複数のビームに分岐して多点同時に照射する例を示す模式断面図。 本発明の第2の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図。 本発明の第3の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図。 本発明の第4の実施形態に係る単結晶基板の加工方法の各工程を示す模式断面図。 貫通孔又は非貫通孔の経路の変形例を示す模式断面図。 複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射する一例を示す模式断面図。 複数の単結晶基板同士を重ねてレーザ光を照射する他の例を示す模式断面図。
符号の説明
1…基板
3…エッチングマスク膜
5…レーザ光
7…材料変質部
2,41…貫通孔
35,51…非貫通孔
8,37,46,54,58,59…経路
4a,4b,36,44,45,53…パターン形状の孔
14a,14b,15a,15b…エッチング速度の遅い結晶面としての(111)面

Claims (8)

  1. 単結晶からなる材料で構成される基板に非貫通孔又は貫通孔を所定の経路で形成する加工方法であって、
    前記基板に、前記非貫通孔又は前記貫通孔の開口部の形状に対応するパターン形状の孔を有するエッチングマスク膜を形成するエッチングマスク膜形成工程と、
    前記基板にレーザ光を照射して、前記所定の経路に沿って前記材料を変質させて材料変質部を形成するレーザ光照射工程と、
    前記材料変質部を異方性エッチングして、前記所定の経路で前記非貫通孔又は前記貫通孔を形成する異方性エッチング工程と、を有し、
    前記レーザ光照射工程では、前記材料変質部の端部が、前記基板の一面から所定の深さに位置し、かつ前記エッチングマスク膜の前記孔から露出している範囲とその範囲をエッチングすることにより出現するエッチング速度の遅い結晶面とで囲まれる領域内に位置するように、前記材料変質部を形成することを特徴とする単結晶基板の加工方法。
  2. 前記エッチングマスク膜形成工程では、前記基板の表面および裏面に前記エッチングマスク膜をそれぞれ形成し、
    前記レーザ光照射工程では、前記材料変質部の一端部が、前記基板の表面から所定の深さに位置し、かつ前記エッチングマスク膜の前記孔から露出している範囲とその範囲をエッチングすることにより出現するエッチング速度の遅い結晶面とで囲まれる領域内に位置するとともに、前記材料変質部の他端部が、前記基板の裏面から所定の深さに位置し、かつ前記エッチングマスク膜の前記孔から露出している範囲とその範囲をエッチングすることにより出現するエッチング速度の遅い結晶面とで囲まれる領域内に位置するように、前記材料変質部を形成することを特徴とする請求項1に記載の単結晶基板の加工方法。
  3. 前記基板は、シリコン単結晶からなる材料で構成され、
    前記レーザ光照射工程では、前記基板に赤外レーザ光を集光素子で集光して照射することを特徴とする請求項1または2に記載の単結晶基板の加工方法。
  4. 前記レーザ光照射工程では、前記赤外レーザ光の集光点を、前記基板の板厚方向に移動させた後、前記基板の内部で横方向に移動させるように、前記赤外レーザ光を照射することを特徴とする請求項に記載の単結晶基板の加工方法。
  5. 前記エッチングマスク膜形成工程では、前記基板上の異なる位置に前記孔を有するエッチングマスク膜を形成し、
    前記レーザ光照射工程では、前記赤外レーザ光の集光点を、前記基板の板厚方向に移動させ、前記異なる位置の孔のうち一方の孔の下方にあたる位置から他方の孔の下方にあたる位置まで前記基板の内部で横方向に移動させた後、前記基板の板厚方向に移動させるように、前記赤外レーザ光を照射することを特徴とする請求項に記載の単結晶基板の加工方法。
  6. 前記レーザ光照射工程では、前記材料変質部の深さに従って前記レーザ光のエネルギを制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の単結晶基板の加工方法。
  7. 前記レーザ光照射工程では、前記基板を前記レーザ光の光源に対して相対的に移動させながら前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の単結晶基板の加工方法。
  8. 前記レーザ光照射工程では、前記エッチングマスク膜をそれぞれ形成した複数の前記基板を重ねた状態で前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の単結晶基板の加工方法。
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