JP4000438B2 - 車両用差動制限装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前後輪間の差動を制限する車両用差動制限装置に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
近年広く実用化されているフルタイム4輪駆動車では、車両の旋回時に発生する前後輪間の回転差をセンタデフにより許容して、所謂タイトコーナブレーキング現象を防止している。この種のセンタデフには油圧多板クラッチからなる差動制限装置が備えられる場合があり、油圧多板クラッチによりセンタデフに拘束トルクを作用させて差動状態を制限し、これにより前後輪のトルク配分を調整して走行特性(例えば、回頭性や走行安定性等)を任意に変更可能としている。
【0003】
具体的な差動制限装置としては、例えば運転席に拘束トルクを設定するためのスイッチを設けて、運転者により設定された値に実際の拘束トルクを調整するようにしたものがある。又、通常時は全駆動力を後輪に伝達し、加速時等の後輪スリップに伴って拘束トルクを増加させて前輪側に駆動力を分配して後輪スリップを抑制するようにし、更に、このときの拘束トルクを横加速度センサの検出値に応じて補正するようにしたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前段の差動制限装置では、センタデフへの拘束トルクが単に運転者の設定値に固定されるだけで、車両の運転状態に応じた拘束トルクの制御は一切行われない。従って、例えば、大きな拘束トルクを設定したままの車庫入れではタイトコーナブレーキング現象が発生する等、不適切な拘束トルクによる不具合が生じることから、運転者が頻繁に拘束トルクを設定し直す必要があり、本来の運転操作に集中できなくなるという問題があった。
【0005】
又、後段の差動制限装置では、横加速度に基づき拘束トルクを補正することにより、間接的に路面の摩擦係数(横加速度と略相関する)を拘束トルクの制御に反映させているが、単一の制御特性(具体的にはマップ等)に従って補正しているに過ぎないことから、必ずしも車両の運転状態に応じた適切な拘束トルクに制御できるとは限らなかった。
【0006】
そこで、上記問題点を解決すべく、本出願人は特願2000−280477号公報の差動制限装置を先に提案している。この技術では、制御特性が異なる3種のマップから路面の摩擦係数(低μ、中μ、高μ)に対応するマップを運転者に選択させることにより、路面状況を反映した最適な拘束トルクを実現すると共に、そのマップに基づき、車両の運転状態に応じて拘束トルクを制御することで、運転者による頻繁な設定操作を不要としている。
【0007】
上記本出願人が提案する公報では、車両の加速状態や減速状態等に基づいてそれぞれ拘束トルクを設定し、それらの拘束トルクからセンタデフに作用させる最終的な拘束トルクを求めている。例えば、加速状態については、路面の摩擦係数が低いほど大きな拘束トルクが設定されるように上記3種のマップ特性を設定し、求めた拘束トルクを最終的な拘束トルクに反映させることで、凍結路面等の低μ路面では拘束トルクを増加させて走行安定性を確保している。
【0008】
しかしながら、上記した加速時のマップ特性は、必ずしも車両の運転状態に則したものとは言えず、例えばタイヤのグリップが激減する凍結路等の低μ路面では、僅かな拘束トルクでもセンタデフがロックすることから、アクセルをオンしたときにアンダーステアが強くなって、車両の回頭性が予想外に悪化してしまうという不具合が発生した。
【0009】
本発明の目的は、運転者に煩雑な設定操作を要求することなく、拘束トルクを常に車両の運転状態に応じた適切な値に制御でき、ひいては、車両の走行性能を向上させることができる車両用差動制限装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、エンジンからの駆動力を前後輪に差動を許容して分配する差動手段と、差動手段に拘束トルクを作用させて差動を制限可能な差動制限手段と、制御特性の異なる複数の制御モードから路面の摩擦係数に対応する制御モードを選択し、車両加速時にエンジンのスロットル開度と車輪速に基づき推定される推定車体速と選択された制御モードとに応じて差動制限手段の拘束トルクを制御するとともにスロットル開度が大きくなるほど差動制限手段の拘束トルクを増大側に制御する制御手段とを有し、各制御モードの内、摩擦係数が中程度の路面に対応した制御モードにおいて、摩擦係数が低い路面及び高い路面に対応した制御モードと比較して拘束トルクが最大に設定されるものである。
【0011】
従って、差動制限手段の拘束トルクが車両加速時にエンジンのスロットル開度と推定車体速と選択された制御モードとに応じて制御され、スロットル開度が大きくなるほど増大側に制御されることから、運転者は拘束トルクを手動で頻繁に設定し直すことなく運転操作に集中でき、しかも、制御手段の制御には、制御特性の異なる複数の制御モードが任意に適用されることから、最適な制御特性に従って拘束トルクを適切に制御可能となる。
【0012】
一方、上記のように拘束トルクは、摩擦係数が中程度の路面では最大に制御され、摩擦係数が低い路面、及び摩擦係数が高い路面ではより低い値に制御される。
ここで、グリップ走行とドリフト走行を前提とした各路面状況(高μ、中μ、低μ)での拘束トルクの最適ゲインは、例えば図10の破線のように表される。これらの特性は、低μ路面ほどタイヤのグリップの低下に伴って路面に伝達可能なトルクが減少することから、必要以上の拘束トルクはトラクション向上に繋がらない上に、むしろ拘束トルクを低減して旋回時の回頭性を確保した方が望ましいとの趣旨に基づくものである。又、ドリフト走行のゲインがグリップ走行のゲインより路面状況の全域に亘って大きいのは、ドリフト時の大きな車体スリップ角を維持するために、より大きなトラクションを確保する必要があるためである。
【0013】
そして、例えばドリフト走行が多用される競技車両等を想定すると、ドリフト走行のゲインに従って各制御モードの特性を設定することになるが、高μ路でのドリフトはタイムロスに繋がることから、高μ路面ではグリップ走行のゲインに従って制御モードの特性を設定する方が現実的である。よって、各制御モードのゲインの相互関係は、図10に実線で示すように、中μ路面で最大のゲインに設定し、低μ路面及び高μ路面では、それより低いゲインに設定することになり、この特性に従って、上記のように拘束トルクの制御が行われることから、車両の運転状態に応じた適切な拘束トルクに制御可能となる。
【0014】
又、請求項2の発明では、各制御モードの内、摩擦係数が低い路面に対応した制御モードにおいて、摩擦係数が中程度の路面に対応した制御モードより拘束トルクが小さく設定され、且つ、摩擦係数が高い路面に対応した制御モードより拘束トルクが大きく設定されるようにした。
従って、例えば車両の走行特性やタイヤのグリップ等に起因して、図10において、ドリフト走行の低μ路面のゲインよりグリップ走行の高μ路面のゲインが低い特性となった場合には、その特性に従って、摩擦係数が低い路面では、摩擦係数が中程度の路面よりも拘束トルクが小さく、摩擦係数が高い路面よりも拘束トルクが大きく設定され、これにより実状に則した拘束トルクの制御が可能となる。
【0015】
更に、請求項3の発明では、制御手段を、車両加速時の上記制御に加えて、車両の前後輪の回転差が、所定値未満の低速域では後輪に対して前輪の回転速度が大となり所定値以上の高速域では前輪に対して後輪の回転速度が大となるように設定された理想前後回転差に近づくよう、差動制限手段の拘束トルクを制御するようにした。
従って、車両加速時のスロットル開度と推定車体速と選択された制御モードのみならず、前後輪の回転差も理想前後回転差に近づくようにして拘束トルクに反映され、低速域では、円滑な旋回を図るために後輪車輪速に対して前輪車輪速は大とされ、高速域では、後輪をスリップさせて良好な回頭性を実現するために前輪車輪速に対して後輪車輪速は大とされる。
【0016】
一方、請求項4の発明では、制御手段を、車両加速時の上記制御に加えて、車両の減速に伴う前後加速度に基づいて拘束トルクを制御するようにした。
従って、車両加速時のスロットル開度と推定車体速と選択された制御モードのみならず、減速に伴う前後加速度も拘束トルクに反映され、例えば前後加速度の負側(減速側)への増加に伴って拘束トルクを増加させて車両姿勢の安定化を図る等の制御が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をセンタディファレンシャル(以下、センタデフという)の差動を制限する差動制限装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の車両用作動制限装置を示す全体構成図、図2はセンタデフ及びフロントデフの詳細を示す部分拡大図である。これらの図に示すように、差動手段としてのセンタデフ1はフロントディファレンシャル(以下、フロントデフという)2と共に車両の前輪3Fの車軸上に配設され、エンジン4の回転が手動式の変速機5を介してセンタデフ1の外周のリングギア6に入力されるようになっている。センタデフ1はピニオンギア7に一対のサイドギア8a,8bを噛合させた一般的な構成であり、エンジン4によりリングギア6が回転駆動されると一体でピニオンギア7が回転し、左右のサイドギア8a,8bに回転差を許容しながら50:50の比率でトルクが配分される。
【0018】
センタデフ1の一方のサイドギア8aはフロントデフ2のアウタケーシング9に連結され、アウタケーシング9の外周に設けられたリングギア10がピニオンギア11及びプロペラシャフト12を介してリアディファレンシャル(以下、リアデフという)13に接続されている。一方のサイドギア8aと共にアウタケーシング9が回転すると、その回転はリングギア10、ピニオンギア11、プロペラシャフト12を経てリアデフ13に伝達され、ドライブシャフト14を介して左右の後輪3Rが回転駆動されると共に、リアデフ13に内蔵された図示しない差動機構により左右の回転差が許容される。
【0019】
センタデフ1の他方のサイドギア8bは、前記アウタケーシング9に内装されたインナケーシング15に接続され、このインナケーシング15内に支持された一対のプラネタリギア16は、左右のドライブシャフト17の内端に形成されたサンギア18にそれぞれ噛合している。他方のサイドギア8bと共にインナケーシング15が回転すると、その回転はプラネタリギア16、サンギア18を経てドライブシャフト17に伝達されて左右の前輪3Fが回転駆動されると共に、プラネタリギア16の自転に伴って左右の回転差が許容される。
【0020】
フロントデフ2のアウタケーシング9とインナケーシング15との間には,差動制限手段としての油圧多板クラッチ19が設けられ、この油圧多板クラッチ19の係合状態に応じて拘束トルクが発生して、両ケーシング9,15の相対回転が規制される。油圧多板クラッチ19の完全開放時(拘束トルク0)には、両ケーシング9,15が回転規制されることなくフリー状態に保持されて、上記のように50:50の比率で前輪3F側と後輪3R側へのトルク配分が行われ、一方、油圧多板クラッチ19の完全係合時(拘束トルク最大)には、両ケーシング9,15が回転規制されてロック状態に保持され、このときには前後輪3F,3Rの接地荷重に応じた比率でトルク配分が行われる。そして、このような拘束トルクの調整に応じて、後述のように車両の走行特性が変化する。油圧多板クラッチ19は油圧ユニット20から作動油の供給を受けて作動し、その作動油の供給状態がソレノイドバルブ21で制御されることにより油圧多板クラッチ19の係合状態が調整されて、任意の拘束トルクが実現される。
【0021】
一方、車両の室内には、制御手段としての4WD用ECU(電子制御ユニット)31が図示しないエンジン・変速機用ECUやABS用ECU等と共に設置されており、この4WD用ECU31は他のECUと同様に、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。4WD用ECU31の入力側には、4輪3F,3Rの回転速度(車輪速)VFL,VFR,VRL,VRRをそれぞれ検出する車輪速センサ32、車両に作用する前後方向の加速度Gxを検出する前後加速度センサ33、車両に作用する横方向の加速度RGyを検出する横加速度センサ34、車両の走行速度(車体速)RVBを検出する車体速センサ35、エンジン4のスロットル開度TPSを検出するスロットルセンサ36、ステアリング操舵角θsを検出する操舵角センサ37、及び、運転者が高μ路面(例えば、舗装路)、中μ路面(例えば、未舗装路)、低μ路面(例えば、凍結路)の3種の路面状況を選択するためのモード切換スイッチ38が接続されている。又、4WD用ECU31の出力側には、前記ソレノイドバルブ21が接続されている。
【0022】
次に、以上のように構成された車両用差動制限装置のECU31が実行するセンタデフ1の差動制限制御、特に差動制限制御に適用する拘束トルクの設定手順を説明する。
図3〜図7はECUが実行する拘束トルクの設定手順を系統的に示したブロック図である。この拘束トルクの設定手順は、図3に示す前後差回転拘束トルク設定部41、図4に示す前後G比例拘束トルク設定部42、図5に示す加速対応拘束トルク設定部43、図6に示す減速対応拘束トルク設定部44、及びそれらの各設定部41〜44で設定された拘束トルクTv,Tx,Ta,Tbから最終的な拘束トルクTfinalを設定する図7に示す最終拘束トルク設定部45から構成されており、以下、各設定部を順次説明する。
【0023】
[前後差回転拘束トルク設定部]
図3に示す前後差回転拘束トルク設定部41は、旋回時に運転者の意志に沿った車両の挙動を実現すべく、前後輪の回転差に基づいて前後差回転拘束トルクTvを設定する部分である。
車輪速センサ32にて検出された各車輪速VFL,VFR,VRL,VRRに基づき、前輪平均処理部51により左右の前輪3Fの車輪速VFL,VFRが平均化されて前輪車輪速VFが算出され、後輪平均処理部52により左右の後輪3Rの車輪速VRL,VRRが平均化されて後輪車輪速VRが算出される。更に、実前後差回転算出部53により後輪車輪速VRから前輪車輪速VFが減算されて、実前後差回転ΔVcdが算出される。
【0024】
一方、推定車体速算出部54により所定時間t後の車体速VBが算出される。この推定車体速VBは、例えば、2番目に小さい車輪速VFL,VFR,VRL,VRRを現在の車体速と見なし(最小値は故障中の可能性があるため除外)、その値を前後加速度センサ33にて検出された前後加速度Gx(以降の車体速の変化を意味する)で補正することにより算出される。理想前後差回転算出部55では、推定車体速VBと操舵角センサ37にて検出された操舵角θsとに基づき、図中に示すマップから理想前後差回転ΔVhcが算出される。
【0025】
図に示すように、このときの理想前後差回転ΔVhcは、推定車体速VBが所定値未満の低速域では負側に設定され、所定値以上の高速域では正側に設定される。つまり、低速域での旋回時には前後輪3F,3Rの旋回半径の影響が大きいことから、円滑な旋回を図るために理想前後差回転ΔVhcを負側(VR<VF)とし、高速域での旋回時には後輪3Rをスリップさせて良好な回頭性を実現するために、理想前後差回転ΔVhcを正側(VR>VF)としている。又、理想前後差回転ΔVhcは、操舵角θsが大であるほど前後輪3F,3Rに要求される回転差が増加することから、絶対値として大きな値に設定される。
【0026】
以上のようにして設定された実前後差回転ΔVcdと理想前後差回転ΔVhcとに基づき、ΔVc設定部56により下表から差ΔVcが設定され、この差ΔVcがC/S補正部57を経て拘束トルク算出部58に入力される。
【0027】
【表1】
【0028】
拘束トルク算出部58では、予め路面状況に対応して設定された3種のマップから、運転者による前記モード切換スイッチ38の入力(高μ路面、中μ路面、低μ路面)に応じたマップが選択され、そのマップに基づいて差ΔVcから前後差回転拘束トルクTvが算出される。何れのマップにおいても、差ΔVcが0付近の不感帯を除いて、差ΔVcの絶対値が大きいほど前後差回転拘束トルクTvが増加設定され、これにより差ΔVcの0付近への収束が図られる。
【0029】
ここで、表1の設定は、基本的には実前後差回転ΔVcdを理想前後差回転ΔVhcに接近させることを意図しているが、センタデフ1の拘束トルクは実前後差回転ΔVcdを0とする方向にしか作用しないため、理想前後差回転ΔVhcと実前後差回転ΔVcdとの相対位置によっては接近不能なときもあり、このため実前後差回転ΔVcdを▲1▼〜▲6▼の状況に場合分けして可能な限り接近させている。
【0030】
つまり、▲1▼〜▲6▼の各状況は図8に示すように表すことができ、▲3▼及び▲4▼のように、理想前後差回転ΔVhcに対して実前後差回転ΔVcdが正負の同一側で大のときには、拘束トルクを発生させることで両者を一致可能であるため、ΔVc=ΔVcd−ΔVhcとして一致を図り、▲2▼及び▲5▼ように、理想前後差回転ΔVhcに対して実前後差回転ΔVcdが正負の同一側で小のときには、拘束トルクを発生させると却って両者が離間するため、ΔVc=0として現状維持を図り、▲1▼及び▲6▼ように、理想前後差回転ΔVhcに対して実前後差回転ΔVcdが正負の反対側のときには、実前後差回転ΔVcd=0までは前後差回転拘束トルクTvに接近可能なため、ΔVc=ΔVcdとして接近を図る。
【0031】
一方、操舵角センサ37にて検出された操舵角θsと車体速センサ35にて検出された車体速RVBとに基づき、横G推定部59により推定横加速度Gyが算出され、その推定横加速度Gyと横加速度センサ34にて検出された横加速度RGyとに基づき、C/S判定部60により現在の操舵状況がカウンタステアであるか否かが判定される。詳細は説明しないが、このときの判定は、例えば推定横加速度Gyより大きな横加速度RGyが発生している場合に、車両がドリフト状態にあると推定されてカウンタステア(フラグCSH=1)の判定が下され、逆の場合に非カウンタステア(CSH=0)の判定が下される。
【0032】
この判定結果は前記C/S補正部57に入力され、C/S補正部57では、判定結果が非カウンタステア(CSH=0)のときには、ΔVc設定部56から入力された差ΔVcをそのまま拘束トルク算出部58に出力し、判定結果がカウンタステア(CSH=1)のときには、差ΔVcを実前後差回転ΔVcdに置換して拘束トルク算出部58に出力する。つまり、カウンタステア時には、操舵角θsに基づいて算出された理想前後差回転ΔVhcが不適切となるため、実前後差回転ΔVcdに置き換えているのである。
【0033】
ここで、図3に示すように、拘束トルク算出部58で適用される低μ路面のマップは、他の高μ路面や中μ路面のマップに比較して、より大きな前後差回転拘束トルクTvが算出されるように特性設定されており、その結果、高μ路面では回頭性を重視し、低μ路面では走行安定性を重視した前後差回転拘束トルクTvの設定がなされる。
【0034】
一方、前記した推定車体速VBとモード切換スイッチ38の操作状況はK1算出部61に入力され、K1算出部61では、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択され、そのマップに基づいて、推定車体速VBから補正係数K1が0〜1.0の範囲内で算出される。乗算処理部62では、前後差回転拘束トルクTvに補正係数K1が乗算され、乗算後の前後差回転拘束トルクTvが上記した最終拘束トルク設定部45に出力される。図に示すように、高μ路面のマップ中の低車速域では補正係数K1が減少設定され、これにより前後差回転拘束トルクTvが減少補正されて回頭性の確保が図られる。
【0035】
[前後G比例拘束トルク設定部]
図4に示す前後G比例拘束トルク設定部42は、前後輪3F,3Rの回転差に基づく前後差回転拘束トルク設定部41の設定処理では低μ路面等でハンチングが発生することを想定して、これに代えて前後加速度Gxに基づく前後G拘束トルクTxを算出する部分である。
【0036】
この前後G比例拘束トルク設定部42の拘束トルク算出部71には、前後加速度センサ33にて検出された前後加速度Gxとモード切換スイッチ38の操作状況が入力され、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択される。選択されたマップに基づいて前後加速度Gxから前後G拘束トルクTxが算出される。図に示すように、何れのマップにおいても、前後加速度Gxの増加に伴って前後G拘束トルクTxが増加設定され、スリップを防止して走行安定性が確保される。そして、各マップは、同一の前後加速度Gxにおいて、低μ路面のマップほど大きな前後G比例拘束トルクTxが算出されるように特性設定されており、その結果、上記した前後差回転拘束トルクTvと同様に、高μ路面では回頭性を重視し、低μ路面では走行安定性を重視した前後差回転拘束トルクTvの設定がなされる。
【0037】
このようにして設定された前後G拘束トルクTxはスイッチ72に入力される。スイッチ72は前記前後差回転拘束トルク設定部41の推定車体速算出部54が推定車体速VBを推定中のときにはオンされて、前後G拘束トルクTxをそのまま上記した最終拘束トルク設定部45に出力し、推定車体速算出部54が推定車体速VBの推定を完了しているときにはオフされて、前後G拘束トルクTxを0に置換して最終拘束トルク設定部45に出力する。
【0038】
つまり、低μ路面等で4輪スリップが発生すると、前後輪3F,3Rの回転差に基づく前後差回転拘束トルク設定部54の設定処理では、実前後差回転ΔVcdの変化に伴って前後差回転拘束トルクTvに制御ハンチングが発生してしまう。そこで、推定車体速算出部54が推定車体速VBを推定中で4輪スリップ中と推測されるときには、前後加速度Gxに基づく前後G拘束トルクTxを算出しているのである。
【0039】
[加速対応拘束トルク設定部]
図5に示す加速対応拘束トルク設定部43は、停車状態からの急発進時等のように伝達トルクが急増することが予測される場合に、前輪3F又は後輪3Rの初期スリップを防止するための加速対応拘束トルクTaを算出する部分である。
この加速対応拘束トルク設定部43の拘束トルク算出部81には、スロットルセンサ36にて検出されたスロットル開度TPS、推定車体速算出部54にて算出された推定車体速VB、及びモード切換スイッチ38の操作状況が入力され、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択される。選択されたマップに基づいてスロットル開度TPS及び推定車体速VBから加速対応拘束トルクTaが算出され、フィルタ82を経て上記した最終拘束トルクTfinal設定部に出力される。
【0040】
ここで、スロットル開度TPSに対して加速対応拘束トルクTaを算出する際の各マップ(高μ、中μ、低μ)のゲインは、図9のように設定されている。尚、加速対応拘束トルクTaはゲインに比例して算出されることから、図9中に示されたゲインは加速対応拘束トルクTaの大きさと置き換えることができる。各マップ共通の全体的な傾向として、スロットル開度TPSの増加に伴って加速対応拘束トルクTaのゲインを増加させ、これによりエンジン出力の増加に応じて大きな加速対応拘束トルクTaを算出してスリップ抑制を図っている。そして、同一のスロットル開度TPSを前提とした各マップ相互間の比較では、中μ路面のマップのゲインが最も大きく、低μ路面のマップのゲインが2番目であり、高μ路面のゲインが最も小さい(中μ>低μ>高μ)。
【0041】
この路面状況の相違に応じたゲインの設定は、以下の知見に基づくものである。図9に示した各マップのゲインの相互関係は、図10の実線で示すように表される。この図中に、グリップ走行を前提としたセンタデフ1の理想的な拘束トルクのゲインは、路面状況の変化に応じて破線のように表すことができる。この特性は、低μ路面ほど(特に凍結路では)タイヤのグリップの低下に伴って路面に伝達可能なトルクが減少することから、必要以上の拘束トルクはトラクション向上に繋がらない上に、むしろ拘束トルクを低減して旋回時の回頭性を確保した方が、トータルとして走行特性が向上するとの趣旨に基づくものである。
【0042】
又、図中に、ドリフト走行を前提とした理想的な拘束トルクのゲインは、路面状況の変化に応じて破線のように表すことができる。この特性は上記グリップ走行の場合と同様の趣旨に基づくものであるが、ドリフト時の大きな車体スリップ角を維持するためのトラクション確保を目的として、路面状況の全域に亘ってグリップ走行時より大きなゲインを設定している。
【0043】
このようにグリップ走行かドリフト走行かに応じて、同一の路面状況であっても最適なゲインが相違することになるが、例えばドリフト走行が多用される競技車両等を想定した場合には、ドリフト走行のゲインに従って各マップの特性を設定することになる。但し、周知のように路面の摩擦係数が高いサーキット走行等では、車両のドリフトがタイムロスに繋がるとしてグリップ走行を行う場合が多いことから、高μ路面ではグリップ走行を想定する方が現実的である。よって、低μ路面及び中μ路面ではドリフト走行のゲインを採用し、高μ路面ではグリップ走行のゲインを採用し、結果として各マップのゲインの相互関係は、上記した図中の実線のように設定されるのである。
【0044】
[減速対応拘束トルク設定部]
図6に示す減速対応拘束トルク設定部44は、急減速時において車両姿勢の安定性を確保するための減速対応拘束トルクTbを算出する部分である。
この減速対応拘束トルク設定部44の拘束トルク算出部91には、前後加速度センサ33にて検出された前後加速度Gxとモード切換スイッチ38の操作状況とが入力され、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択される。選択されたマップに基づいて前後加速度Gxから減速対応拘束トルクTbが算出される。図に示すように、何れのマップにおいても、前後加速度Gxの負側(減速側)への増加に伴って減速対応拘束トルクTbが増加設定され、これにより、減速時の車両姿勢の安定化が図られる。
【0045】
そして、各マップは、同一の前後加速度Gxにおいて、低μ路面のマップほど小さな減速対応拘束トルクTbが算出されるように、つまり、上記した前後差回転拘束トルクTv、前後G比例拘束トルクTx、加速対応拘束トルクTaとは逆方向の特性に設定されている。この設定は以下に述べるようにブレーキコントロール性と制動力とを考慮したものである。即ち、減速時にはセンタデフ1の拘束トルクが直結に近づくほど制動力を向上できるものの、4輪同時ロックを誘発して運転者がロック限界を把握し難くなることから、このときの拘束トルクは、基本的には4輪同時ロックを防止した上で可能な限り高い値に設定される。4輪同時ロックし易いか否かは路面状況に影響され、高μ路面ほどブレーキ時の前輪荷重が増加するため、拘束トルクを増加しても4輪同時ロックは発生し難くなり、その結果、上記のように高μの路面ほど減速対応拘束トルクTbを増加設定しているのである。この設定により路面状況に拘わらず、4輪同時ロックの防止により良好なブレーキコントロール性を確保した上で、最大限の拘束トルクを作用させることで制動力の向上が図られる。
【0046】
又、K2算出部92には、操舵角センサ37にて検出された操舵角θs、推定車体速算出部54にて算出された推定車体速VB、及びモード切換スイッチ38の操作状況が入力され、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択される。選択されたマップに基づいて操舵角θs及び推定車体速VBから補正係数K2が算出される。算出された補正係数K2はC/S補正部93を経て乗算処理部94に入力され、乗算処理部94では、減速対応拘束トルクTbに補正係数K2が乗算される。
【0047】
図示はしないが、補正係数K2は0〜1.0の範囲内で設定され、例えば操舵角θsの増加に伴って減少設定され、これにより減速対応拘束トルクTbが減少補正されて回頭性の確保が図られる。そして、同一の操舵角θs及び推定車体速VBにおいて、例えば、低μ路面のマップほど大きな補正係数K2が設定されて、減速対応拘束トルクTbの増加補正により走行安定性が確保される。
【0048】
又、C/S補正部93では、前記C/S判定部60の判定結果がカウンタステア(CSH=1)であるときのみ、補正係数K2を1に置換する。よって、操舵角θsに基づいて設定される補正係数K2がカウンタステアによって不適切となったときには、これに基づく補正が禁止される。
一方、操舵角センサ37からの操舵角θsは微分処理部95で時間微分されて操舵角速度Dθsに変換され、この操舵角速度Dθsは前記モード切換スイッチ38の操作状況と共にK3算出部96に入力される。K3算出部96では、予め設定された3種のマップから路面状況に対応するマップが選択され、そのマップに基づいて操舵角速度Dθsから補正係数K3が算出される。算出された補正係数K3はフィルタ97及びC/S補正部98を経て乗算処理部99に入力され、乗算処理部99では、減速対応拘束トルクTbに補正係数K3が乗算され、乗算後の減速対応拘束トルクTbが上記した最終拘束トルク設定部45に出力される。
【0049】
補正係数K3は0〜1.0の範囲内で設定されるが、何れのマップにおいても、操舵角速度Dθsが所定値以上の領域では、操舵角速度Dθsの増加に伴って補正係数K3が減少設定される。これにより急操舵に伴って操舵角速度Dθsが急増すると、補正係数K3が減少側に設定されて減速対応拘束トルクTbを減少補正し、その結果、回頭性の確保が図られる。そして、低μ路面のマップほど、より高い操舵角速度Dθsまで補正係数K3が最大値(1.0)に維持されるように設定され、結果として急操舵による減速対応拘束トルクTbの減少が抑制されて、走行安定性が確保される。
【0050】
尚、この例では操舵の方向(切込み側と切戻し側)に拘わらず同一のマップを適用したが、操舵方向に応じて異なる特性のマップを適用してもよい。
C/S補正部98では、このように設定された補正係数K3をカウンタステア(CSH=1)であるときのみ1に置換する。よって、操舵角速度Dθsに基づいて設定される補正係数K3がカウンタステアによって不適切となったときには、これに基づく補正が禁止される。
【0051】
[最終拘束トルク設定部]
図7に示す最終拘束トルク設定部45の最大値選択部101では、上記した前後差回転拘束トルク設定部41で設定された前後差回転拘束トルクTvと前後G比例拘束トルク設定部42で設定された前後G比例拘束トルクTxとの大きい側を選択する。4輪スリップに伴い前後差回転拘束トルクTvに制御ハンチングが発生した場合には、前後G比例拘束トルクTxが適宜選択されることになり、結果として最大値選択部101の出力値が安定化されてハンチングの影響が抑制される。
【0052】
選択された拘束トルクTv,Txは加算処理部102に入力され、加速対応拘束トルク設定部43で設定された加速対応拘束トルクTa、及び減速対応拘束トルク設定部44で設定された減速対応拘束トルクTbが加算されて最終拘束トルクTfinalとされる。この最終拘束トルクTfinalはリミッタ103に入力されて、センタデフ1の油圧多板クラッチ19で実現可能な最大拘束トルクに制限され、その後に加算処理部104に入力される。又、加算処理部104にはハイパスフィルタ105を通過した最終拘束トルクTfinalも入力され、双方が加算された後に再びリミッタ106により最大拘束トルクに制限され、最終拘束トルクTfinalとして出力される。ハイパスフィルタ105では、最終拘束トルクTfinalの急変時にサージ的な上乗せを行うことにより、この最終拘束トルクTfinalに基づいてソレノイドバルブ21が駆動制御される際の応答遅れを低減している。
【0053】
このようにして設定された最終拘束トルクTfinalに基づいて、センタデフ1の実際の拘束トルクが制御される。即ち、最終拘束トルクTfinalに対応するデューティ率が図示しないマップから設定され、そのデューティ率に基づいてソレノイドバルブ21が作動して、油圧ユニット20から油圧多板クラッチ19に供給される作動油を制御し、その結果、油圧多板クラッチ19の係合状態が調整されて、拘束トルクが上記最終拘束トルクTfinalに制御される。
【0054】
以上説明したように、最終拘束トルク設定部45を除く各拘束トルク設定部41〜44では、前後輪3F,3Rの回転差に応じた前後差回転拘束トルクTv、前後加速度Gxに応じた前後G拘束トルクTx、加速状態に応じた加速対応拘束トルクGa、減速状態に応じた減速対応拘束トルクTbがそれぞれ設定され、それらの各拘束トルクTv,Tx,Ta,Tbが最終拘束トルク設定部45で適宜選択されて、最終拘束トルクTfinalが求められる。
【0055】
そして、このように、センタデフ1の拘束トルクが車両の運転状態に応じた最適値に自動的に制御されることから、既に説明した従来技術のように、運転者が拘束トルクを手動で頻繁に設定し直す必要は一切なく、本来の運転操作に集中することができる。
又、各拘束トルク設定部41〜44では、路面状況(摩擦係数)に応じたマップから拘束トルクTv,Tx,Ta,Tbを算出していることから、単一のマップに従って制御を実行する従来例と比較して、より適切な拘束トルクの制御を実現できる上に、的確な検出が困難な路面状況を運転者に目視で判断させて、その判断結果をモード切換スイッチ38からの入力として拘束トルクの制御に取り込むことから、路面状況の誤検出等に基づく不適切な制御を未然に防止することができる。
【0056】
しかも、本実施形態では、図9及び図10に基づいて[加速対応拘束トルク設定部]の項で詳述したように、同一のスロットル開度TPSにおいて、路面状況に対応する各マップの加速対応拘束トルクTaのゲインを中μ>低μ>高μの関係に設定した。従って、タイヤのグリップが良好な高μ路面では、グリップ走行のためのトラクションが十分に得られることから、他の路面状況と比較して最小の拘束トルクに制御されて、旋回時の回頭性が確保される。又、高μ路面よりタイヤのグリップが低下する中μ路面では、トラクション確保のために他の路面状況と比較して最大の拘束トルクに制御されて、ドリフト時の大きな車体スリップ角を容易に維持可能とされる。更に、タイヤのグリップが最も低下する低μ路面では、中μ路面の場合より拘束トルクを低減させてセンタデフ1のロックを防止し、ロックに伴うアクセルオン時のアンダーステアを回避して、良好な回頭性の確保を図る。よって、拘束トルクを常に車両の運転状態に応じた適切な値に制御でき、ひいては、車両の走行性能を向上させることができる。
【0057】
参考までに、以上の制御特性を、本出願人が先に出願した特願2000−280477号公報の技術と比較すると、公報記載の差動制限装置では、図10中に2点鎖線で示すように、拘束トルクのゲインが低μ路面で最大値に設定される。この特性は、タイヤのグリップが低下する低μ路面では、トラクションを確保して走行安定性を優先させるべきとの趣旨である。しかしながら、上記したように現実的には、低μ路面で必要以上に拘束トルクを増加させてもトラクション向上に繋がらない上に、むしろ拘束トルクを低減して回頭性を確保した方が、トータルとして走行特性の向上に繋がる。よって、本実施形態の作動制限装置によれば、特願2000−280477号公報の技術と比較して、特に低μ路面で車両が旋回したときのアンダーステアを抑制して、良好な回頭性を確保できるという優れた効果を奏する。
【0058】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、高μ路面、中μ路面、低μ路面の3種類の路面状況に対応してマップを設定したが、マップの数はこれに限ることはなく、路面状況に応じて4或いは5種類のマップを設定してもよい。
又、上記実施形態では、加速対応拘束トルクTaを算出する際の各マップのゲインを、中μ>低μ>高μの関係に設定したが、中μ路面のマップのゲインを最大に設定するなら、他のマップの相互関係は上記に限定されない。よって、図10に示したグリップ走行時及びドリフト走行時の最適ゲインの特性(車両の走行特性やタイヤのグリップ等に応じて異なる)によっては、例えば、中μ>高μ>低μの関係に設定してもよい。
【0059】
更に、上記実施形態では、加速対応拘束トルクTaに加えて、前後差回転拘束トルクTv、前後G比例拘束トルクTx、減速対応拘束トルクTbをそれぞれ算出したが、加速対応拘束トルクTa以外の何れかの拘束トルクを省略したり、或いは別のパラメータから算出された拘束トルクを追加したりしてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用差動制限装置によれば、運転者に煩雑な設定操作を要求することなく、拘束トルクを常に車両の運転状態に応じた適切な値に制御でき、ひいては、車両の走行性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の車両用作動制限装置を示す全体構成図である。
【図2】センタデフ及びフロントデフの詳細を示す部分拡大図である。
【図3】前後差回転拘束トルク設定部による設定手順を系統的に示したブロック図である。
【図4】前後G比例拘束トルク設定部による設定手順を系統的に示したブロック図である。
【図5】加速対応拘束トルク設定部による設定手順を系統的に示したブロック図である。
【図6】減速対応拘束トルク設定部による設定手順を系統的に示したブロック図である。
【図7】最終拘束トルク設定部による設定手順を系統的に示したブロック図である。
【図8】差ΔVcの設定状況を説明するための図である。
【図9】加速対応拘束トルクTaを算出するための各路面状況のマップのゲインを示す図である。
【図10】グリップ走行とドリフト走行を前提とした各路面状況での拘束トルクの最適ゲインを示す図である。
【符号の説明】
1 センタデフ(差動手段)
3F 前輪
3R 後輪
4 エンジン
19 油圧多板クラッチ(差動制限手段)
31 ECU(制御手段)
Claims (4)
- エンジンからの駆動力を前後輪に差動を許容して分配する差動手段と、
上記差動手段に拘束トルクを作用させて差動を制限可能な差動制限手段と、
制御特性の異なる複数の制御モードから路面の摩擦係数に対応する制御モードを選択し、車両加速時に上記エンジンのスロットル開度と車輪速に基づき推定される推定車体速と上記選択された制御モードとに応じて上記差動制限手段の拘束トルクを制御するとともに上記スロットル開度が大きくなるほど上記差動制限手段の拘束トルクを増大側に制御する制御手段とを有し、
上記各制御モードの内、摩擦係数が中程度の路面に対応した制御モードにおいて、摩擦係数が低い路面及び高い路面に対応した制御モードと比較して上記拘束トルクが最大に設定されることを特徴とする車両用差動制限装置。 - 上記各制御モードの内、摩擦係数が低い路面に対応した制御モードにおいて、摩擦係数が中程度の路面に対応した制御モードより上記拘束トルクが小さく設定され、且つ、摩擦係数が高い路面に対応した制御モードより上記拘束トルクが大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用差動制限装置。
- 上記制御手段は、上記車両加速時の上記制御に加えて、該車両の前後輪の回転差が、所定値未満の低速域では後輪に対して前輪の回転速度が大となり所定値以上の高速域では前輪に対して後輪の回転速度が大となるように設定された理想前後回転差に近づくよう、上記差動制限手段の拘束トルクを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用差動制限装置。
- 上記制御手段は、上記車両加速時の上記制御に加えて、該車両の減速に伴う前後加速度に基づいて拘束トルクを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用差動制限装置。
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