JP2017079658A - 接着型細胞の培養方法、及びタンパク質の産生方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、組み換え医薬品は、治療のために投与する量が多く、また、生産するための費用が高いことがあり、十分に普及するには至っていない。したがって、生産性を上げることが課題となっている。
しかしながら、この方法においてはマイクロキャリアが高価であるという問題や、マイクロキャリアの表面にのみ細胞が存在するため、培養液中における細胞密度を十分に高くすることが困難であるという問題があった。
しかしながら、この方法は、CHO細胞を浮遊状態にするまでに培養を繰り返すものであるため、それまでに8週間程度という長い時間が必要になる。また、継代培養期間が長くなると、遺伝子の変異や細胞の変質などの状態を管理し、確認する手間と費用が増加することとなる。
しかしながら、この方法には、ホローファイバーを組み込んだ装置が複雑で高価であるため、費用面での問題があった。また、大量培養のためにホローファイバーサイズを大きくすると、ホローファイバーの両端での培地交換が均等ではなく、培地が不均一になりやすかった。この結果、培地のpH等が変化し、ホローファイバー内の細胞にストレスがかかるため、目的のタンパク質の生産性が低下するおそれがあった。
ところで、特許文献3には、シクロオレフィン樹脂製容器による細胞培養では、ポリスチレン製容器を用いた場合と比べて、細胞の増殖性が向上することが報告されている。実施例においては、抗CD3抗体やレトロネクチンなどのタンパク質をコートした環境下で、血球系細胞の増殖性が向上していることが示されている。
さらに本発明によれば、生理活性タンパク質をコードする外来遺伝子を発現する遺伝子組み換えされた接着型細胞と脂環構造含有重合体成形体とを接触させることにより、当該接着型細胞を培養容器底面に接着又は液体培地中に浮遊した状態で培養される段階、少なくとも前記浮遊した状態で培養されている接着型細胞が細胞塊を形成し、浮遊した状態で培養される段階、前記浮遊した状態で培養されていた細胞塊が培養容器底面に接着した状態で培養される段階、の少なくともいずれかの段階で、前記外来遺伝子がコードするタンパク質を産生する方法が提供される。
本発明の方法により培養することで、細胞は次の挙動を示す。播種直後、接着型細胞の一部(通常全体の半分以上)は、単独で浮遊した状態で液体培地中に存在する。培養時間が経過するに従って、浮遊した状態で存在する細胞の少なくとも一部は、浮遊した状態で細胞塊を形成し始める。そして、この浮遊した状態の細胞塊が成長して大きな細胞塊になると、やがて、培養容器底面に接着する。これらの挙動が観察される期間は、細胞の種類や播種量などにより異なるが、コンフルエントな状態になる前に細胞塊の培養容器底面への接着に至る。この間、細胞容器底面に接着している細胞は、接着したまま細胞塊を形成することもあれば、細胞塊を形成しないで単独で接着した状態を維持する場合もある。また、液体培地中で浮遊している細胞の一部は、細胞塊を形成せず単独で浮遊した状態を維持することもある。
本発明においては、この接着型細胞に、ファージやプラスミドのベクター等を用いた形質導入などによって、外来遺伝子を発現することのできる様になったものを用いる。
こうした組換え細胞の培養中に脂環構造含有重合体成形体を接触させると、生理活性タンパク質の生産量が増大する。
液体培地としては、通常、pH緩衝作用があり、浸透圧が細胞に好適なものであり、細胞の栄養成分を含み、かつ、細胞に対して毒性がないものが用いられる。
pH緩衝作用を示す成分としては、トリス塩酸塩、各種リン酸塩、各種炭酸塩等が挙げられる。
液体培地の浸透圧調整は、通常、細胞の浸透圧とほぼ同じになるように、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、グルコース等の濃度を調整した水溶液を用いて行われる。かかる水溶液としては、具体的には、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等の生理食塩水;乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液等のリンゲル液;等が挙げられる。
細胞の栄養成分としては、アミノ酸、核酸、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられる。
液体培地としては、RPMI−1640、HAM、α−MEM、DMEM、EMEM、F−12、F−10、M−199等の各種市販品を利用することができる。
用いる添加剤としては、細胞表面の受容体に作用する、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト;核内受容体の、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト;コラーゲンやファイブネクチンなどの細胞外マトリックス;細胞外マトリックスの一部分あるいは、模擬した化合物;細胞内の情報伝達経路に関わるタンパク質に作用する成分;細胞内の1次代謝又は2次代謝の酵素に作用する成分;細胞内の核内又はミトコンドリア内の遺伝子の発現に影響を与える成分;ウィルスベクターなどと組み合わせて細胞内に導入することができるDNAやRNA;等が挙げられる。
これらの添加剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、二酸化炭素濃度が5%程度で、温度が20℃〜37℃の範囲で一定に維持された、加湿された恒温器を用いて細胞を培養することができる。
脂環構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する樹脂であり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環構造を含有するものが好ましい。
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合してなるものであり、開環重合によって得られるものと、付加重合によって得られるものに大別される。
トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、2−メチルジシクロペンタジエン、2,3−ジメチルジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロキシジシクロペンタジエン等の3環式単量体;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等の4環式単量体;等が挙げられる。
これらの単量体は、置換基を1種又は2種以上有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、シリル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。
これらの中でも、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、α−オレフィン系単量体が好ましく、エチレンがより好ましい。
これらの単量体は、置換基を1種又は2種以上有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、シリル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの、単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられる。ビニル脂環式炭化水素重合体は、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
本発明においてガラス転移温度は、JIS K 7121に基づいて測定されたものである。
また、脂環構造含有重合体には、熱可塑性樹脂材料で通常用いられている配合剤、例えば、軟質重合体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、離型剤、染料や顔料などの着色剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などの配合剤を、通常採用される量、添加することができる。
また、脂環構造含有重合体には、軟質重合体以外のその他の重合体(以下、単に「その他の重合体」という)を混合しても良い。脂環構造含有重合体に混合されるその他の重合体の量は、脂環構造含有重合体100重量部に対して、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。
脂環構造含有重合体に対して配合する各種配合剤やその他の重合体の割合が多すぎると細胞が浮遊し難くなるため、いずれも脂環構造含有重合体の性質を損なわない範囲で配合することが好ましい。
配合剤やその他の重合体との混合方法は、ポリマー中に配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。また、配合の順番に格別な制限はない。配合方法としては、例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などを用いて樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させた後、凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法などが挙げられる。
二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
また、細胞と接触することができる限りにおいて、ディッシュ、プレート、バッグ、チューブ、スキャホールド、カップ、ジャー・ファーメンターなどの培養容器;攪拌翼、攪拌子、バッフル、連結チューブなど培養装置の部品;ピペット、攪拌素子、フィルタ、セルスクレイパーなどの培養操作に用いる培養器具;等の一部又は全部を構成する部材であってもよい。
滅菌処理の方法に格別な制限はなく、高圧蒸気法や乾熱法などの加熱法;γ線や電子線などの放射線を照射する放射線法や高周波を照射する照射法;酸化エチレンガス(EOG)などのガスを接触させるガス法;滅菌フィルタを用いる濾過法;など、医療分野で一般的に採用される方法から、成形体の形状や用いる細胞に応じて、選択することができる。なかでも、表面状態の変化が少ないことから、ガス法が好ましい。
また、これらの成形体表面は、プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線照射処理など培養容器に対して一般的に施す、滅菌目的以外の処理を行うこともできる。ただし、これらの表面処理操作を施すことにより発生する費用を抑えることができることや、表面処理に伴う形成体表面の部分分解により清浄性が損なわれるおそれがあること、細胞の浮遊化能が低下するおそれがあることなどから、これらの表面処理操作を行わない、又は表面処理前の容器底面(培養液に接する側)の水接触角に対して、使用時の同底面の水接触角が±20%、好ましくは±10%の弱い表面処理しかされていないことが好ましい。ここで、水接触角は、全自動接触角計(協和界面科学社製「LCD−400S」)を用い、ディッシュ底面をΦ30mmのサークルカッターで切り取って試料の中心と、そこを中央とする1辺20mmの正方形の頂点4か所、計5か所を測定点とし、液滴の半径rと高さhを求め、tanθ1=h/r、θ=2arctan(h/r)で求められるθである(θ/2法)。
尚、細胞には、情報伝達能があるため、培養中の全ての培養細胞が脂環構造含有重合体成形体に接触する必要はなく、また、培養期間全体に渡って両者が接触している必要もない。但し、接触による効果は経時的に低下するため、接触時間は長い方が好ましい。
培養細胞と、脂環構造含有重合体成形体との接触温度は細胞が増殖できる温度であれば特に制限されない。
本発明において細胞が「生存している」とは、細胞内で代謝活動が行われている状態をいう。例えば、細胞外の培地中に含まれる成分が細胞内部に侵入・浸透してきた場合に、その成分が細胞の生命活動に不要であれば、細胞外部に排除できる生命活動を起こすことができる状態をいう。細胞が生存しているかどうかは、実験的には、トリパンブルーなどの生命活動に不要な色素を細胞外の液に添加し、細胞内に侵入・浸透した色素を細胞外に排除できる状態の細胞が生存している細胞、排除できない細胞は死滅細胞として判定することができる。
本発明の方法においては、細胞塊中の細胞の死滅は促進されず、タンパク質の生産能が向上する。
〔製造例1〕組み換えEPO産生CHO細胞の作製
抗生物質G418への耐性遺伝子を内包するベクターpLXRN(Chlontech社製)の発現遺伝子の挿入サイトに、EPO遺伝子配列を挿入してプラスミドpLXRN−EPOを構築した。構築したプラスミドの中のEPO遺伝子は、その塩基配列解析を行うことにより確認した。
次に、構築したプラスミドpLXRN−EPOとプラスミドpVSV−G(Clontech社製)を、パッケージ細胞であるGP293T細胞(Clontech社製)に形質導入することにより、EPO遺伝子を含有するウイルス粒子を調製した。
なお、細胞へのプラスミドpLXRN−EPOの導入操作のための遺伝子導入試薬として、Lipofectamine(invitorogen社製)を用い、遺伝子導入操作は、メーカーのマニュアルに従った。
続いて、あらかじめ培養したCHO細胞試料の培養液を除いて、上記のEPO遺伝子を保持したウイルス粒子を含む培養上清試料を添加して、8時間培養維持することにより、EPO遺伝子を保持したウイルス粒子をCHO細胞に感染させた。
8時間のインキュベーションの後に、CHO細胞の培養培地に交換を行い、組み換えEPOを産生するCHO細胞の培養操作を行った。
ウイルスが感染し、ゲノムにEPO遺伝子が組み込まれたCHO細胞を選抜するため、抗生物質G418を培地に添加し、培養維持して、抗生物質G418耐性のCHO細胞を薬剤選択することにより、組み換えEPO産生CHO細胞(以下、EPO産生CHO細胞という。)を選抜した。
脂環構造含有重合体として、ゼオネックス(登録商標)790R(日本ゼオン社製、ノルボルネン系開環重合体水素化物;以下、単に「790R」という)を用いて、射出形成法により、直径35mmのシャーレ状の培養容器を得、次いで、エチレンオキサイド滅菌処理を行った。以下、この培養容器を「790R製容器」という。
培養容器として790R製ディッシュを使用し、液体培地として10%牛胎児血清を含むHam培地を使用して、EPO産生CHO細胞を0.624×104cells/cm2で播種して、5%CO2雰囲気37℃の条件で1週間、2週間、及び3週間の培養を行った。培養は各々の条件において3試料を準備した。培養途中11日時点で、水の蒸散により培地液量が減少したので、培地液量を保持するために、全ての試料に、1.2mLずつ培地を追加した。
培養から1週間、2週間、及び3週間の試料に関して、以下の方法により細胞数を計測した。
(細胞数の計測)
浮遊状態にある細胞については、培養上清を試料とし、試料をトリパンブルー染色することで生細胞と死滅細胞を区別して、細胞数を計測した。
一方、ディッシュ底面に接着している細胞は、生理食塩水で洗浄後、トリプシン処理によりディッシュから細胞を剥離した後、これらをトリパンブルー染色して生細胞と死細胞を区別して、細胞数を計測した。
実施例1において、790R製ディッシュに代えて、ポリスチレン製ディッシュ〔ファルコン(登録商標)ディッシュ(ベクトンデッキンソン社製、型番353001)〕(以下、「ポリスチレン製ディッシュ」と称する)を使用したことを除き、実施例1と同様にして培養を行い、細胞数を計測した。
1週間培養では、790R製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、半数程度は接着状態で生存していた。残りの半数程度は浮遊状態で生存していた。一方、ポリスチレン製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、9/10以上の細胞は接着状態で生存していた。残りの培地中に浮遊している細胞は、1個の細胞単独で浮遊し、そのうち1/3程度は死滅していた。
2週間培養では、790R製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、5/6程度は細胞塊の状態で接着,生存していた。残りの1/6程度の多くは細胞塊の状態で浮遊,生存していた。一方、ポリスチレン製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、2/3程度の細胞は接着状態で生存していた。残りの1/3程度は、1個の細胞単独で浮遊し、そのうち1/3程度は死滅していた。
3週間培養では、790R製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、5/6程度は細胞塊の状態で接着,生存していた。残りの1/6程度の多くは細胞塊の状態で浮遊,生存していた。一方、ポリスチレン製ディッシュのEPO産生CHO細胞は、2/3程度の細胞は接着状態で生存していた。残りの1/3程度は1個の細胞単独の状態で浮遊し、そのうち1/2程度は死滅していた。
実施例1及び比較例1で採取した上清を、遠心分離することにより細胞残渣等を取り除き、ELISA法(eBioscience社製のhuman EPO Platinum ELISA)により、活性型EPO量の測定を行った。LDH Cytotoxicity Detection Kit(Takara社製)により、細胞内の代謝酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(以下、「LDH」という)の活性を測定し、EPO産生CHO細胞の死滅による細胞内の成分の漏洩の程度を調べた。
EPOの分泌量に関しては、以下のことがわかる。
即ち、790R製ディッシュで培養したEPO産生CHO細胞から産生されたEPO量は、既存の培養技術に相当するポリスチレン製ディッシュで培養したものに比較して1週間で約3倍、2週間で約14倍、3週間で約25倍であり、本発明によれば、従来技術では得られない大量のEPOを生産し得ることが示された。同時に、EPO産生の効果は、時間を追うごとに指数関数的に増加することが示された。
LDH活性の相対値に関しては、以下のことがわかる。
即ち、790R製ディッシュで培養したEPO産生CHO細胞の上清のLDH活性は、既存の培養技術に相当するポリスチレン製ディッシュで培養したものに比較して1週間で約9/10倍程度、2週間で約7/10倍程度、3週間で約8/10倍程度であり、本発明によれば、従来技術よりも死細胞からの漏洩物が少ないことが示された。この効果は、3週間の培養期間で維持された。
培養容器として790R製ディッシュ又はポリスチレンディッシュを使用し、EPO産生CHO細胞を16時間培養した。次いで、接着している細胞からRNAを抽出し、逆転写反応の後、リアルタイムPCR装置を用いてEPOのmRNA量を測定した。内部標準として、同時に、GAPDHのmRNA量を測定し、それらEPOのmRNA量をGAPDHのmRNA量で除することで、結果を比較した。
〔実施例4〕
培養容器として790R製ディッシュ又はポリスチレンディッシュを使用し、EPO産生CHO細胞を3週間培養した。次いで、接着している細胞からRNAを抽出し、逆転写反応の後、リアルタイムPCR装置を用いてEPOのmRNA量を測定した。内部標準として、同時に、GAPDHのmRNA量を測定し、それらEPOのmRNA量をGAPDHのmRNA量で除することで、結果を比較した。
790R製の96wellディッシュを作製し、表面酸化条件等を変更して、細胞塊を含むEPO産生細胞試料(細胞塊含EPO産生細胞試料)と細胞塊を含まないEPO産生細胞試料(細胞塊不含EPO産生細胞試料)を準備した。次いで、各々試料からRNAを抽出し、逆転写反応の後、リアルタイムPCR装置を用いてEPOのmRNA量を測定した。内部標準として、同時に、GAPDHのmRNA量を測定し、それらEPOのmRNA量をGAPDHのmRNA量で除することで、結果を比較した。
また、分泌能力の向上は、継時的に変化するEPO遺伝子の転写活性により調節されていることがわかる(実施例3)。
さらに、細胞塊形成がEPO遺伝子の転写量が向上することがわかる(実施例4及び5)。
これらのことから、本発明は、遺伝子組み換え細胞の分泌能力を指数関数的に増強させることのできる技術であり、遺伝子組み換え細胞が脂環構造含有重合体成形体に接触することが、細胞塊の形成と外来遺伝子の転写促進の引き金となっていることが推定される。
Claims (4)
- 外来遺伝子を発現する遺伝子組み換えされた接着型細胞と脂環構造含有重合体成形体とを接触させることにより、当該接着型細胞を培養容器底面に接着又は液体培地中に浮遊した状態で培養される段階、少なくとも前記浮遊した状態で培養されている接着型細胞が細胞塊を形成し、浮遊した状態で培養される段階、前記浮遊した状態で培養されていた細胞塊が培養容器底面に接着した状態で培養される段階、を含む接着型細胞の培養方法。
- 前記接着型細胞がCHO細胞である請求項1記載の接着型細胞の培養方法。
- 前記外来遺伝子が、タンパク質をコードする遺伝子である請求項1又は2記載の接着型細胞の培養方法。
- タンパク質をコードする外来遺伝子を発現する遺伝子組み換えされた接着型細胞と脂環構造含有重合体成形体とを接触させることにより、当該接着型細胞を培養容器底面に接着又は液体培地中に浮遊した状態で培養される段階、少なくとも前記浮遊した状態で培養されている接着型細胞が細胞塊を形成し、浮遊した状態で培養される段階、前記浮遊した状態で培養されていた細胞塊が培養容器底面に接着した状態で培養される段階、の少なくともいずれかの段階で、前記タンパク質を産生する方法。
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