以下、図面を参照して、本発明の実施形態における電動機の冷却装置について具体的に説明する。
図1は、本実施形態における電動機の冷却装置を搭載した車両Veの一例を示すスケルトン図である。車両Veは、動力源として、エンジン1と、第一モータ(MG1)2と、第二モータ(MG2)3とを備えたハイブリッド車両である。エンジン1は、周知の内燃機関である。各モータ2,3は、モータ機能と発電機能とを有する周知のモータ・ジェネレータであって、インバータを介してバッテリ(いずれも図示せず)に電気的に接続されている。
車両Veでは、エンジン1から駆動輪4に至る動力伝達経路中に設けられた動力分割機構5によって、エンジン1が出力した動力を第一モータ2側と駆動輪4側とに分割できる。その際、第一モータ2はエンジン1が出力した動力によって発電し、その電力がバッテリに蓄電され、あるいは第二モータ3に供給される。
エンジン1のクランクシャフト1aと同一軸線上に、入力軸6と動力分割機構5と第一モータ2とが配置されている。クランクシャフト1aは、クラッチCを介して入力軸6と連結される。クラッチCが係合している場合には、エンジン1と入力軸6とが動力伝達可能に接続され、クラッチCが解放している場合には、エンジン1と入力軸6との間が動力伝達できないように遮断される。つまり、クラッチCが係合状態では、クランクシャフト1aと入力軸6が一体回転し、クラッチCが解放状態では、エンジン1は動力伝達系から切り離される。第一モータ2は、動力分割機構5に隣接し、軸線方向でエンジン1とは反対側に配置されている。第一モータ2は、コイルが巻き回されたステータ2aと、ロータ2bと、そのロータ2bが一体回転するように取り付けられた回転軸(ロータ軸)2cとを備えている。
動力分割機構5は、複数の回転要素を有する差動機構であって、図1に示す例ではシングルピニオン型の遊星歯車機構(プラネタリギヤ)によって構成されている。動力分割機構5は、三つの回転要素として、外歯歯車のサンギヤ5Sと、サンギヤ5Sに対して同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ5Rと、これらサンギヤ5Sとリングギヤ5Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転可能かつ公転可能に保持しているキャリヤ5Cとを備えている。
サンギヤ5Sには、第一モータ2のロータ軸2cが一体回転するように連結されている。キャリヤ5Cには、入力軸6が一体回転するように連結されており、エンジン1が入力軸6を介してキャリヤ5Cに連結されている。リングギヤ5Rには、動力分割機構5から駆動輪4側へ向けてトルクを出力する出力ギヤ7が一体化されている。
出力ギヤ7は、リングギヤ5Rと一体回転する外歯歯車であり、カウンタギヤ機構8のカウンタドリブンギヤ8bと噛み合っている。カウンタギヤ機構8は、入力軸6と平行に配置されたカウンタシャフト8aと、カウンタドリブンギヤ8bと、デファレンシャルギヤ機構9のリングギヤ9aと噛み合っているカウンタドライブギヤ8cとを有する。カウンタシャフト8aには、カウンタドリブンギヤ8bとカウンタドライブギヤ8cとが一体回転するように取り付けられている。デファレンシャルギヤ機構9には、左右のドライブシャフト10を介して駆動輪4が連結されている。
車両Veでは、エンジン1から駆動輪4に伝達されるトルクに、第二モータ3が出力したトルクを付加できるように構成されている。第二モータ3は、コイルが巻き回されたステータ3aと、ロータ3bと、そのロータ3bが一体回転するように取り付けられた回転軸(ロータ軸)3cとを備えている。ロータ軸3cは、カウンタシャフト8aと平行に配置され、カウンタドリブンギヤ8bと噛み合っているリダクションギヤ11が一体回転するように取り付けられている。
また、車両Veには、エンジン1によって駆動する機械式オイルポンプ(MOP)101が設けられている。機械式オイルポンプ101は、エンジン1のクランクシャフト1aと同一軸線上に配置され、入力軸6と一体回転するポンプロータ(図示せず)を備えている。エンジン1の動力によって車両Veが走行する際、入力軸6のトルクによって機械式オイルポンプ101のポンプロータが正方向に回転し、機械式オイルポンプ101は吐出口からオイルを吐出する。機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルは、供給油路を介して動力分割機構5などの潤滑必要部に供給されて潤滑油として機能するとともに、各モータ2,3などの冷却必要部に供給されて冷媒として機能する。車両Veでは、機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルを冷媒として各モータ2,3に供給して各モータ2,3を冷却するように構成されている。なお、機械式オイルポンプ101は、入力軸6と一体回転する構造および配置に限定されず、入力軸6からオフセットされた位置に設けられてもよい。この場合、機械式オイルポンプ101と入力軸6とは、ギヤ機構やベルト機構などの伝動機構を介してトルク伝達可能に接続される。
図2は、各モータ2,3の冷却装置100の概略構成および冷却回路200を示す模式図である。なお、図2に示すプラネタリギヤは動力分割機構5であり、ギヤはデファレンシャルギヤ機構9である。
各モータ2,3は、ケース30の内部に収容されており、冷却装置100から供給されるオイル(冷媒)によって冷却される。冷却装置100は、オイルが循環する冷却回路200を有し、ケース30の内外にわたって形成されている。
ケース30は、二つのモータ2,3と動力分割機構5とを収容しているケース本体31と、ケース本体31に取り付けられているリヤカバー32と、ケース本体31とリヤカバー32との間に形成されたポンプボデー33と、ケース本体31の下部でデファレンシャルギヤ機構9を収容しているハウジング34とを含む。ポンプボデー33は、機械式オイルポンプ101の一部を形成し、ポンプロータを内部に収容している。デファレンシャルギヤ機構9は、ハウジング34内のオイルを掻きあげることができる。その掻きあげられたオイルは、ハウジング34内からケース本体31内に移動し、第一モータ2へ供給される。
冷却装置100は、機械式オイルポンプ101と、電動オイルポンプ(EOP)102と、空冷式オイルクーラ(以下「空冷クーラ」という)103と、水冷式オイルクーラ(以下「水冷クーラ」という)104と、第一逆止弁105と、第二逆止弁106と、切替弁107とを備えている。
オイル(冷媒)は、冷媒源としてのオイル溜まり部108内に貯留されている。各オイルポンプ101,102は、ストレーナ109に対して並列に接続されており、駆動時にはストレーナ109を介してオイル溜まり部108内のオイルを吸入し、吐出口から吐出する。オイル溜まり部108は、ケース本体31内の底部でオイルを貯留することができる構造や、オイルパンなどにより構成される。
電動オイルポンプ102は、電動モータ(M)111によって駆動し、制御装置112によって駆動制御されるように構成されている。電動モータ111のロータ軸111aは、電動オイルポンプ102のポンプロータ(図示せず)と一体回転するように連結されており、電動オイルポンプ102の駆動軸として機能するものである。制御装置112は、電動オイルポンプ102を制御することができる周知の電子制御装置であり、電動モータ111を制御することによって電動オイルポンプ102を駆動制御するように構成されている。制御装置112は、ロータ軸111aが正回転するように電動モータ111を制御して、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行する。電動オイルポンプ102が駆動することによって吐出口からオイルが吐出される。なお、正回転とは、電動オイルポンプ102がオイル溜まり部108から冷媒を吸入し、吐出口から冷媒を吐出する際のポンプロータ(ロータ軸111a)の回転方向のことである。
空冷クーラ103は、各オイルポンプ101,102から吐出されたオイルと空気(例えば車両Veの外気)との間で熱交換を行う熱交換器であって、水冷クーラ104よりも高い冷却性能を有する。空冷クーラ103は、機械式オイルポンプ101が吐出したオイルを空冷する場合と、電動オイルポンプ102が吐出したオイルを空冷する場合とがある。また、空冷クーラ103で空冷された後のオイル(冷媒)は、MG冷却パイプから各モータ2,3(ステータ2a,3a)に吐出され、各モータ2,3を冷却することになる。MG冷却パイプは、第一モータ2を冷却するためのMG1冷却パイプと、第二モータ3を冷却するためのMG2冷却パイプとを含む。冷却装置100では、MG2冷却パイプが一本設けられている。
水冷クーラ104は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルと冷却水(例えばエンジン冷却水やハイブリッド冷却水)との間で熱交換を行う熱交換器である。ハイブリッド冷却水は、インバータなどを冷却するものであって、エンジン冷却水の温度よりも低温である。
第一逆止弁105は、機械オイルポンプ101の吐出圧によって開くように構成され、機械式オイルポンプ101の吐出口側へ向けてオイルが逆流することを防止するためのものである。第一逆止弁105は、ポンプボデー33の内部に設けられている。また、冷却回路200内では、機械式オイルポンプ101と空冷クーラ103との間に第一逆止弁105が設けられている。
第二逆止弁106は、電動オイルポンプ102の吐出圧によって開くように構成され、電動オイルポンプ102の吐出口側へ向けてオイルが逆流することを防止するためのものである。第二逆止弁106は、ポンプボデー33の内部に設けられている。また、冷却回路200内では、電動オイルポンプ102と空冷クーラ103との間に第二逆止弁106が設けられている。
切替弁107は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルが圧送される流路を切り替える切替手段である。切替弁107は、制御装置112によって切替動作が制御され、電動オイルポンプ102から水冷クーラ104に至る流路と、電動オイルポンプ102から空冷クーラ103に至る流路とを切り替えるように構成されている。例えば、切替弁107は、リニアソレノイドバルブであり、制御装置112から切替信号が入力されると流路を切り替える。なお、切替弁107は、電磁弁に限定されず、電磁式以外のアクチュエータによって動作する構成であってもよい。
冷却回路200は、複数の流通経路を備え、機械式オイルポンプ101を始点とする第一経路210,第二経路220,第三経路230と、電動オイルポンプ102を始点とする第四経路240,第五経路250,第六経路260とを有する。
第一経路210は、機械式オイルポンプ101から各クーラ103,104を経由せずに第一モータ2に至る経路である。第一経路210は、機械式オイルポンプ101が吐出したオイルを第一モータ2(ロータ2b)と動力分割機構5へ供給する流路によって形成されている。
図2に示すように、第一経路210は、機械式オイルポンプ101の吐出口に接続された吐出流路210aと、第一逆止弁105と、第一逆止弁105下流側の第一供給流路210bとによって構成されている。第一逆止弁105は、第一経路210内のオイルが機械式オイルポンプ101の吐出口側へ向けて逆流することを防止する。また、第一供給流路210bにはオリフィス113が設けられている。オリフィス113は、機械式オイルポンプ101から第一供給流路210bに流入するオイル流量を制御する。
機械式オイルポンプ101の駆動時、機械式オイルポンプ101の吐出圧によって第一逆止弁105が開き、機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルが第一供給流路210bへ圧送される。第一供給流路210bは、入力軸6内部に形成された軸芯側流路を含み、ケース本体31内において第一モータ2(ロータ2b)と動力分割機構5に冷媒としてのオイルを供給する。第一供給流路210b内の冷媒は、入力軸6の吐出孔からケース本体31内に吐出して、第一供給流路210bの油圧や回転部材による遠心力や重力によって、ケース本体31内部を回転中心側から径方向外側に向けて移動する。なお、吐出流路210aと、第一逆止弁105と、第一供給流路210bとからなる流路を、第一流路ということができる。
第二経路220は、第一分岐点で第一経路210から分岐する経路であって、機械式オイルポンプ101から空冷クーラ103を経由して第一モータ2に至る経路である。第一分岐点とは、機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルの流通経路が、空冷クーラ103側と第一モータ2のロータ2b側とに分岐する箇所である。第二経路220は、機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルを空冷クーラ103で空冷させた後に第一モータ2(ステータ2a)へ供給する流路によって形成されている。
図2に示すように、第二経路220は、吐出流路210aと、第一逆止弁105と、第一逆止弁105で第一供給流路210bと分岐する第一分岐路220aと、空冷クーラ103と、空冷クーラ103の排出口に接続された空冷後流路220bと、空冷後流路220bに接続され、かつ第一モータ2(ステータ2a)に空冷後の冷媒を吐出する第二供給流路220cとによって構成されている。図2に示す例では、第一逆止弁105が第一分岐点となる。
第一分岐路220aは、第一逆止弁105の空冷側流出ポートと空冷クーラ103の供給口とを連通させるように形成されている。空冷後流路220bは、上流側がケース30の外部に設けられており、その下流側がケース本体31の内部に至るように形成されている。第二供給流路220cは、ケース30の内部に形成されている流路であって、例えばケース本体31内部に設けられたMG1冷却パイプにより形成されている。MG1冷却パイプは、第一モータ2のステータ2aへ冷媒を吐出する吐出孔を有する。なお、第二経路220において、第一分岐路220aと、空冷クーラ103と、空冷後流路220bと、第二供給流路220cとからなる流路を、第二流路ということができる。
機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルは、第一分岐点から第一モータ2のロータ2bと動力分割機構5側(第一経路210側)に圧送されると、空冷クーラ103を経由せずに入力軸6の油穴(軸芯側流路の吐出孔)から、第一モータ2(ロータ2b)と動力分割機構5とに供給される。一方、第一分岐点から空冷クーラ103側(第二経路220)に圧送されたオイルは空冷クーラ103内に流入する。また、空冷クーラ103はケース30の外部に設けられているため、第二経路220内を圧送されるオイルは、一旦ケース30外部を流通してから再びケース30内部へ戻ることになる。
また、第一分岐路220aには、第一分岐路220a内の油圧を調整する二つのリリーフ弁114A,114Bが接続されている。各リリーフ弁114A,114Bはいずれも、供給口が第一分岐路220aに接続され、かつ排出口がケース本体31内部に向けて開口している。例えば、第一リリーフ弁114Aのリリーフ圧と、第二リリーフ弁114Bのリリーフ圧とは異なる大きさに設定されている。第一分岐路220a内の冷媒は、各リリーフ弁114A,114Bからケース本体31内部に供給されるように構成されている。
第三経路230は、空冷後分岐点Pにおいて第二経路220から分岐する経路であって、機械式オイルポンプ101から空冷クーラ103を経由して第二モータ3に至る経路である。第三流路230は、空冷クーラ103で空冷後の冷媒を第二モータ3(ステータ3a)へ供給するための流路によって形成されている。
図2に示すように、第三経路230は、吐出流路210aと、第一逆止弁105と、第一分岐路220aと、空冷クーラ103と、空冷後流路220bと、空冷後分岐点Pで第二供給流路220cと分岐して第二モータ3(ステータ3a)に空冷後の冷媒を吐出する第三供給流路230aとによって構成されている。
第三供給流路230aは、ケース30の内部に形成されている流路であって、例えばケース本体31の内部に設けられているMG2冷却パイプにより形成されている。MG2冷却パイプは、第二モータ3のステータ3aへ空冷後の冷媒を吐出する吐出孔を有する。なお、第三経路230において、空冷後分岐点Pよりも下流側の第三供給流路230aを、第三流路ということができる。
第四経路240は、電動オイルポンプ102から水冷クーラ104を経由してケース30内部のオイル溜まり部108に至る経路である。第四経路240は、電動オイルポンプ102が吐出したオイルを水冷クーラ104で水冷後に、ケース本体31の内部へ下戻しするための流路によって形成されている。
図2に示すように、第四経路240は、電動オイルポンプ102の吐出口に接続された吐出流路240aと、切替弁107と、水冷クーラ104の供給口に接続された水冷前流路240bと、水冷クーラ104の排出口に接続され、かつケース本体31の内部に向けて開口する水冷後リターン流路240cとによって構成されている。図2に示す例では、切替弁107は第二分岐点となる。第二分岐点は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルの流通経路が、水冷クーラ104側と空冷クーラ103側とに分岐する箇所である。
切替弁107は、吐出流路240aと水冷前流路240bとを連通させ、かつ後述する第二分岐路250a側を遮断する状態(水冷側開通状態)と、吐出流路240aと第二分岐路250aとを連通させ、かつ水冷前流路240b側を遮断する状態(空冷側開通状態)とを選択的に切り替える。図2に示す例では、切替弁107は、吐出流路240aに接続された流入ポートと、水冷クーラ104側の流路である水冷前流路240bに接続された水冷側吐出ポートと、後述する空冷クーラ103側の第二分岐路250aに接続された空冷側吐出ポートとを有する。すなわち、切替弁107は、流入ポートと空冷側吐出ポートとを連通させ、かつ水冷側吐出ポートを閉じる状態(空冷側開通状態)と、流入ポートと水冷側吐出ポートとを連通させ、かつ空冷側吐出ポートを閉じる状態(水冷側開通状態)とを選択的に切り替える。
切替弁107によって吐出流路240aと水冷前流路240bとが連通することにより、冷却回路200は、電動オイルポンプ102から水冷クーラ104へ冷媒を圧送可能になる。水冷クーラ104で水冷された後の冷媒は、水冷後リターン流路240cの吐出孔からケース本体31内部へ吐出され、オイル溜まり部108に下戻しされる。
第五経路250は、第二分岐点(切替弁107)で第四経路240から分岐する経路であって、電動オイルポンプ102から空冷クーラ103を経由して第一モータ2に至る経路である。第五経路250は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルを空冷クーラ103で空冷させた後に第一モータ2(ステータ2a)へ供給する流路によって形成されている。
図2に示すように、第五経路250は、吐出流路240aと、切替弁107と、第二分岐路250aと、第二逆止弁106と、接続流路250bと、第一分岐路220aと、空冷クーラ103と、空冷後流路220bと、第二供給流路220cとによって構成されている。
第二分岐路250aは、切替弁107で水冷前流路240bと分岐する流路であって、切替弁107の空冷側流出ポートに接続されている。接続流路250bは、第二逆止弁106下流側で第一分岐路220aに接続されている。切替弁107によって吐出流路240aと第二分岐路250aとが連通されることにより、電動オイルポンプ102から空冷クーラ103へ冷媒を圧送可能になる。
第六経路260は、空冷後分岐点Pで第五経路250から分岐する経路であって、電動オイルポンプ102から空冷クーラ103を経由して第二モータ3に至る経路である。第六経路260は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルを空冷クーラ103で空冷させた後に第二モータ3(ステータ3a)へ供給する流路によって形成されている。
図2に示すように、第六経路260は、吐出流路240aと、切替弁107と、第二分岐路250aと、第二逆止弁106と、接続流路250bと、第一分岐路220aと、空冷クーラ103と、空冷後流路220bと、第三供給流路230aとによって構成されている。
図3は、冷却制御フローを示すフローチャート図である。制御装置112は、車両Veの走行モードがHVモードとEVモードのどちらであるかを判定する(ステップS1)。ステップS1において、制御装置112は周知の判定方法によってHVモードとEVモードとを判定するように構成されている。
ステップS1においてHVモードであると判定された場合、制御装置112は、走行時の車両負荷が、低負荷と高負荷のどちらであるかを判定する(ステップS2)。ステップS2において、制御装置112は周知の判定方法によって走行中の車両負荷を判定するように構成されている。例えば、制御装置112は、アクセル開度と車速とに基づいて要求駆動トルクを演算し、その要求駆動トルクが所定の閾値よりも小さい場合には低負荷と判定し、要求駆動トルクが閾値以上である場合には高負荷と判定する。
ステップS2において低負荷であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を停止させる(ステップS3)。制御装置112がステップS3の制御を実行する場合、ステップS1の判定結果からHVモードであるため、機械式オイルポンプ101は駆動している。
制御装置112がステップS3の制御を実行すると、冷却装置100は、機械式オイルポンプ101が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第一冷却状態となる(ステップS4)。低負荷でのHV走行時、各モータ2,3についての冷却が、機械式オイルポンプ101のみが駆動する冷却性能で足りるため、制御装置112は電動オイルポンプ102を停止する。その際、駆動中の機械式オイルポンプ101が、停止中の電動オイルポンプ102側からオイルや空気を吸入してしまうことを防止する必要がある。図2に示すように、機械式オイルポンプ101が駆動し、かつ電動オイルポンプ102が停止する場合、切替弁107を空冷側開通状態とすることにより、第二逆止弁106は吐出流路240a内のオイルが電動オイルポンプ102の吐出口側へ向けて逆流することを防止する。これにより、電動オイルポンプ102下流側の吐出孔から空気を吸入してしまうことを防止できるので、機械式オイルポンプ101が空気を吸入することによるポンプ性能低下を防止でき、冷却装置100の冷却性能低下を防止できる。また、水冷前流路240b側に逆止弁を設けなくてもよくなる。さらに、HV走行時に電動オイルポンプ102を常時駆動させた場合に比べて、電力消費を抑制することができ、燃費が向上する。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
ステップS2において高負荷であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行し、かつ切替弁107が水冷クーラ104側の流路を開通し空冷クーラ103側の流路を遮断する切替制御を実行する(ステップS5)。また、制御装置112がステップS5の制御を実行する場合、ステップS1の判定結果からHVモードであるため、機械式オイルポンプ101は駆動している。
制御装置112がステップS5の制御を実行すると、冷却装置100は、機械式オイルポンプ101が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第一冷却状態、かつ電動オイルポンプ102が吐出した冷媒を水冷クーラ104で水冷し、水冷後の冷媒をオイル溜まり部108に戻す第二冷却状態となる(ステップS6)。つまり、第一冷却状態と第二冷却状態とを組み合わせた冷却状態である。高負荷でのHV走行時、第二モータ3についての冷却が、機械式オイルポンプ101のみが駆動する冷却性能では不足するため、電動オイルポンプ102を駆動して冷却性能を高める必要が生じる。そのため、各モータ2,3(ステータ2a,3a)に空冷後の冷媒を供給すること(第一冷却状態)に加えて、オイル溜まり部108に水冷後の冷媒を戻すこと(第二冷却状態)によって、冷却装置100の冷却性能を高めている。図2に示すように、水冷後リターン流路240cから水冷後のオイルがオイル溜まり部108に戻されると、オイル溜まり部108内のオイルの温度を低下させることができる。これにより、冷媒源の温度を低下でき、冷却装置100の冷却性能を向上させることができる。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
ステップS1においてEVモードであると判定された場合には、制御装置112は、車速が高車速と低車速のどちらであるかを判定する(ステップS7)。例えば、制御装置112は、車速センサで検出した車速と予め定められた閾値とを比較して、車速が閾値以上の場合にはステップS7において高車速であると判定し、車速が閾値よりも低い場合にはステップS7において低車速と判定することができるように構成されている。
ステップS7において高車速であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行し、かつ切替弁107に空冷クーラ103側の流路を開通させて水冷クーラ104側の流路を遮断させる切替制御を実行する(ステップS8)。EV走行モードでは、エンジン1が停止し、機械式オイルポンプ101は停止するので、冷却装置100が冷却性能を発揮するためには電動オイルポンプ102を駆動する必要がある。そして、ステップS8では、切替弁107によって、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒が圧送される経路を空冷クーラ103に至る経路に切り替えている。図2に示すように、電動オイルポンプ102の駆動時に、切替弁107が空冷側開通状態の場合、電動オイルポンプ102の吐出圧によって第二逆止弁106が開くので、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルは、第一分岐路220aへ圧送されて空冷クーラ103に流入する。
制御装置112がステップS8の制御を実行すると、冷却装置100は、電動オイルポンプ102が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第三冷却状態となる(ステップS9)。第三冷却状態では、切替弁107によって、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒が空冷クーラ103を経由して各モータ2,3に至る経路(第五経路250および第六経路260)へ圧送される。高車速でのEV走行時、低車速でのEV走行時に比べて冷却の必要性が高くなるため、電動オイルポンプ102が吐出したオイルを、水冷クーラ104よりも冷却性能の高い空冷クーラ103で冷却した後に、各モータ2,3へ供給して冷却する。また、駆動中の電動オイルポンプ102が、停止中の機械式オイルポンプ101側からオイルや空気を吸入してしまいポンプ性能が低下することを第一逆止弁105によって防止している。これにより、機械式オイルポンプ101が停止し、かつ電動オイルポンプ102が駆動する場合に、電動オイルポンプ102が空気を吸入することによるポンプ性能低下を防止でき、冷却装置100の冷却性能低下を防止できる。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
ステップS7において低車速であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行し、かつ切替弁107が水冷クーラ104側の流路を開通し空冷クーラ103側の流路を遮断する切替制御を実行する(ステップS10)。ステップS10では、切替弁107によって、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒が圧送される経路を水冷クーラ104に至る経路に切り替えている。
制御装置112がステップS10の制御を実行すると、冷却装置100は、電動オイルポンプ102が吐出した冷媒を水冷クーラ104で水冷し、水冷後の冷媒をオイル溜まり部108に戻す第二冷却状態となる(ステップS11)。機械式オイルポンプ101が停止し、かつ電動オイルポンプ102が駆動する場合における第二冷却状態では、切替弁107によって、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒が水冷クーラ104を経由してケース本体31内部に至る第四経路240へ圧送される。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
以上説明した通り、本実施形態によれば、空冷クーラ103と水冷クーラ104とを備える冷却装置100において、切替弁107によって電動オイルポンプ102から吐出された冷媒を圧送させる流路を切り替えることができる。これにより、機械式オイルポンプ101と電動オイルポンプ102とが駆動する場合、空冷クーラ103で冷媒を空冷できるとともに、水冷クーラ104で冷媒を水冷できる。また、機械式オイルポンプ101が停止し、かつ電動オイルポンプ102が駆動する場合、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒を空冷クーラ103で空冷させた後に二つのモータ2,3に供給することができる。よって、冷却装置100の冷却性能を向上させることができる。さらに、車両Veの走行状態に応じて、冷却特性が異なる空冷クーラ103と水冷クーラ104とで冷却された後の冷媒を供給可能であるため、各モータ2,3で必要になる冷却を適切に実施することができる。
また、複数の経路210,220,230,240,250,260を有する冷却回路200内において、上述した流路に第一逆止弁105と第二逆止弁106とが設けられているので、一方のオイルポンプが駆動し、かつ他方のオイルポンプが停止する場合、オイルの逆流を防止できる。これにより、停止中のオイルポンプ側の流路に形成された吐出孔(開口部)から空気を吸入してしまうことによるポンプ性能の低下を防止できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態の変形例として、切替弁107が設けられていない冷却装置100であってもよい。その変形例における冷却装置100の概略構成を、図4に示す。また、変形例における冷却制御フローの一例を、図5に示す。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図4は、変形例における冷却装置100の概略構成および冷却回路200を示す模式図である。変形例の冷却装置100では、切替弁107の代わりに水冷後リリーフ弁115が設けられている。図4に示すように、第四経路240は、電動オイルポンプ102が吐出したオイルを水冷クーラ104で水冷した後に、水冷後リリーフ弁115を介してケース本体31の内部へ下戻しするための流路によって形成されている。
具体的には、第四経路240は、吐出流路240aと、第二分岐点Qで吐出流路240aと連通されている水冷前流路240bと、水冷後リターン流路240cと、水冷後リターン流路240cに接続されている水冷後リリーフ弁115とによって構成されている。第二分岐点Qでは、吐出流路240aが水冷前流路240bと第二分岐路250aとに分岐している。つまり、吐出流路240aと水冷前流路240bと第二分岐路250aとは、第二分岐点Qにおいて常に連通されていることになる。
水冷後リリーフ弁115は、供給口が水冷後リターン流路240cに接続されており、水冷後リターン流路240c内の油圧によってケース本体31へ向けて開口している排出口が開くように構成されている。水冷後リターン流路240c内の油圧が水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧よりも高い場合に、水冷後リリーフ弁115の排出口が開き、水冷後リターン流路240c内の油圧が水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧以下の場合には、水冷後リリーフ弁115の排出口が閉じる。
また、電動オイルポンプ102に対して、水冷クーラ104と空冷クーラ103とが並列に接続されている。そのため、水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧は、空冷クーラ圧よりも高く、かつ電動オイルポンプ102の吐出圧よりも低く設定されている。つまり、空冷クーラ圧<リリーフ圧<EOP吐出圧の関係が成り立つ。
空冷クーラ圧とは、電動オイルポンプ102に対して、第二分岐点Qで分岐する空冷クーラ103側の圧(油圧回路としては抵抗になる圧)のことである。空冷クーラ103内を流通するオイルは、空冷クーラ103内で圧力損失を生じる。この空冷クーラ103内で生じる圧力損失が、空冷クーラ圧に含まれることになる。また、水冷クーラ104側の圧(水冷クーラ圧)には、水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧と、水冷クーラ104内で生じる圧力損失とが含まれる。さらに、電動オイルポンプ102の吐出圧は、電動オイルポンプ102の性能によるものである。
要は、この変形例の冷却回路200では、油圧回路としての油圧差によって、冷媒の流通経路が自動的に切り替わるように構成されている。つまり、冷却装置100では、水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧によって経路を切り替えるように構成されているため、水冷後リリーフ弁115は、経路を切り替える切替手段として機能する。なお、制御装置112は、電動モータ111を制御して電動オイルポンプ102を駆動制御する構成であるが、上述した実施形態とは異なり切替制御を実行しない。
図5は、変形例における冷却制御フローを示すフローチャート図である。なお、図5のステップS21は図3のステップS1と、図5のステップS22は図3のステップS2と同様である。
ステップS22において低負荷であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を停止させる(ステップS23)。制御装置112がステップS23の制御を実行する場合、ステップS1の判定結果からHVモードであるため、機械式オイルポンプ101は駆動している。
制御装置112がステップS23の制御を実行すると、冷却装置100は、機械式オイルポンプ101が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第一冷却状態となる(ステップS24)。この場合、停止中の電動オイルポンプ102下流側の流路では、第二逆止弁106と水冷後リリーフ弁115とが両方とも閉じている。そのため、オイルの逆流およびエアの吸入を防止できる。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
ステップS22において高負荷であると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行する(ステップS25)。その際、HVモードであるため、機械式オイルポンプ101は駆動している。
制御装置112がステップS25の制御を実行すると、冷却装置100は、機械式オイルポンプ101が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第一冷却状態、かつ電動オイルポンプ102が吐出した冷媒を水冷クーラ104で水冷し、水冷後の冷媒を水冷後リリーフ弁115からオイル溜まり部108に戻す第二冷却状態となる(ステップS26)。機械式オイルポンプ101が駆動し、かつ電動オイルポンプ102が駆動する場合、冷却回路200内の圧力差によって水冷後リリーフ弁115が開くので、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルは水冷クーラ104を経由してケース本体31内に戻される。この場合、水冷クーラ圧と空冷クーラ圧との大小関係によっては、第二逆止弁106が開き電動オイルポンプ102から吐出されたオイルの一部が空冷クーラ103に流入してもよい。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
ステップS21においてEVモードであると判定された場合、制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動させる駆動制御を実行する(ステップS27)。その際、EVモードであるため、機械式オイルポンプ101は停止している。
制御装置112がステップS27の制御を実行すると、冷却装置100は、電動オイルポンプ102が吐出した冷媒を空冷クーラ103で空冷し、空冷後の冷媒をMG冷却パイプから各モータ2,3に吐出する第三冷却状態となる(ステップS28)。機械式オイルポンプ101が停止し、かつ電動オイルポンプ102が駆動する場合、水冷後リリーフ弁115のリリーフ圧は空冷クーラ圧よりも大きいので、水冷後リリーフ弁115が閉じ、かつ第二逆止弁106が開く。つまり、電動オイルポンプ102から吐出された冷媒は、水冷後リリーフ弁115によって、空冷クーラ103を経由して各モータ2,3に至る経路(第五経路250および第六経路260)へ圧送される。これにより、EV走行中に、電動オイルポンプ102から吐出され、冷却性能が高い空冷クーラ103で冷却された冷媒を、各モータ2,3に供給できる。また、停止中の機械式オイルポンプ101下流側の流路では、第一逆止弁105が閉じているため、オイルの逆流およびエアの吸入を防止できる。そして、制御装置112は、この制御ルーチンを終了する。
以上説明した通り、変形例の冷却装置100によれば、電動オイルポンプ102に対して空冷クーラ103と水冷クーラ104とが並列に接続されている場合において、切替弁がなくても、冷却回路200内の油圧差によって自動的に流通経路を切り替えることができる。これにより、切替弁の設置スペースを削減でき、冷却装置の小型化と軽量化を図れる。さらに、切替弁が不要な分、コスト削減できる。また、変形例における制御装置112は、電動オイルポンプ102を駆動制御するためのものであればよいので、例えば冷却回路200の経路を切り替えるための電子制御装置が不要となる。