JP2013158247A - 細胞回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、細胞を培養するための培養容器と、培養後の細胞を回収する細胞回収容器と、培養後の培地を回収する廃液容器とが、導管によって連結されてなる細胞培養用キットを用いて培養された細胞の回収方法であって、培養済みの培養上清を培養容器から廃液容器へ移送する上清排出工程、濃縮された細胞懸濁液を培養容器から細胞回収容器へ移送する細胞回収工程、廃液容器に排出された培養上清の一部を培養容器に戻し、培養容器に残存する細胞を細胞懸濁液に分散させる上清戻し工程、及び残存細胞が分散された細胞懸濁液を培養容器から細胞回収容器に再度移送する再回収工程を含む細胞回収方法とする。
【選択図】 図2
Description
このような細胞の大量培養では、一般に培養容器を用いて細胞を培養することが行われている。この培養容器を用いた細胞培養においては、培養後に培養容器から細胞を回収する必要がある。
培養細胞(特に浮遊系細胞)を回収する場合、従来は培養容器から細胞懸濁液を全量回収し、遠心分離により細胞を分離する方法が行われていた。しかし、この方法では、細胞を大量に培養して細胞懸濁液が多量にある場合、何回かに分けて遠心分離する必要があり、時間と手間がかかるという問題点があった。
すなわち、この回収方法によれば、濃縮された細胞懸濁液を回収することができるが、細胞懸濁液を回収しても、培養容器内の壁面などに付着した状態で残ってしまう細胞が存在する。また、培養容器が可撓性材料からなる場合には、細胞懸濁液が少量になると培養容器内が閉塞し易く、比較的多量の細胞懸濁液が培養容器に残る結果、細胞が培養容器内に残存してしまうという問題もあった。
本実施形態の細胞回収方法は、このような細胞培養用キットを使用して細胞培養を行った後に、細胞培養用キットにおける培養容器10から細胞回収容器40に細胞を回収する場合に用いられる方法である。
この培養容器10は、培養液や細胞の注入、回収などを行うためのポートを備えている。ポートの数は特に限定されないが、1〜3ポートのものが好適に用いられる。図1には1ポートの細胞培養用キットが示されており、このポートを通じてその他の容器と閉鎖系を維持しつつ、培養液や細胞懸濁液等の移送を行うことができるようになっている。
なお、培養対象の細胞としては、浮遊系細胞を好適に用いることができる。培養液としては、一般的な各種培地を用いることができる。
また、本実施形態の細胞培養用キットにおいて、培地貯蔵容器20を2以上備えることもできる。これにより、同一の培養液を2倍量以上貯蔵できるほか、それぞれに異なる培養液を貯蔵することで、培養容器10に様々なバリエーションで培養液を供給することもできる。
チューブ60は、細胞培養用キットにおける各容器を連結する導管である。
固定部材12は、培養容器10を積載台11に固定するための部材である。図2において、固定部材12は、クランプとして示されているが、培養容器10の四隅に孔を備え、これに通して固定するためのピンなどの止め部材として構成することもできる。
なお、図示していないが、攪拌部材13は、支持台などによって培養容器10上に配置させることができる。そして、この支持台を、駆動装置によって上下方向と水平方向に移動させ、攪拌部材13による攪拌を行うことが可能である。
培養容器10が可撓性素材からなるため、仕切部材14によって培養容器10の底面積を縮小させると、培養容器10内では細胞懸濁液が上方に押し上げられて、培養容器10の厚みがやや増加した状態となる。
このようにして培養上清の廃液容器への移送を行うと、培養容器10の底面積を縮小させることなく培養上清を廃液容器へ移送する場合に比較して、培養容器10における細胞懸濁液の細胞濃度を高めることができる。
これは、培養容器10における底面積に対する上清の量を増やすことができ、培養上清の排出量を増やすことができるためである。その結果、細胞回収容器40へ回収される細胞懸濁液の細胞濃度が高まり、より少量の液量で細胞を回収することが可能となっている。
次に、本発明の細胞回収方法の第一実施形態について、図2を参照して説明する。本明細書において、以下の上清戻し工程、及び再回収工程を含む細胞回収方法を、洗浄回収と称する場合がある。
まず、培養容器10を静止させて細胞を下方に沈降させた後に、細胞懸濁液の上清を培養容器10から廃液容器へ移送させる。
これによって、培養容器10における細胞懸濁液を濃縮することができ、細胞の濃度を高めることが可能となる。この培養上清の排出は、チューブ60におけるチューブポンプを作動させて行うことができる。なお、以下に説明する細胞懸濁液の移送や、培養上清の戻しについても、チューブ60におけるチューブポンプを作動させることにより行うことができる。
次に、培養容器10から細胞懸濁液を細胞回収容器へ移送する。この移送を終了した状態において、培養容器10内には、培養細胞が含まれる細胞懸濁液が一部残存している。
次に、廃液容器から培養容器10へ培養上清を一部戻して、培養容器10を攪拌部材13により攪拌する。これにより、培養容器10内の壁面に付着した細胞など、培養容器10内に残存した細胞を細胞懸濁液内に懸濁させることができる。なお、攪拌は必要に応じて行えばよい。
次に、残存細胞が懸濁した細胞懸濁液を培養容器10から細胞回収容器へ再度移送する。これにより、本実施形態の細胞回収方法によれば、新たな培養液や洗浄液を用いることなく、細胞回収工程において培養容器10に残存した細胞を回収することができ、細胞の回収効率を向上させることが可能となっている。
次に、本発明の細胞回収方法の第二実施形態について、図3を参照して説明する。
本実施形態の細胞回収方法は、以下のように、上清排出工程を行う前に静置工程を有している点で第一実施形態と異なる。その他の点については、第一実施形態と同様である。
第二実施形態の細胞回収方法における上清排出工程を行う前に、仕切部材14を用いて、培養容器10の底面積を縮小させる。具体的には、仕切部材14により培養容器10の端部から表面と裏面を密着させながら、仕切部材14を培養容器10上で移動させることで、培養容器10の底面積を縮小させることができる。そして、培養容器10を静置させて細胞を下方に沈降させる。
その後、第二実施形態で説明した上清排出工程、細胞回収工程、上清戻し工程、及び再回収工程を行う。また、上清戻し工程、及び再回収工程を繰り返し行うことも好ましい。
第一実施形態の細胞回収方法における上清排出工程と細胞回収工程のみを行って、洗浄回収を行うことなく培養容器から細胞を回収した。
その結果、廃液容器へ排出された培養上清は1600mLであり、これに2.00E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は2.5%であった。細胞回収容器に回収された細胞懸濁液は350mLであり、これに6.83E+09の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は85.31%であった。また、培養容器に残存した細胞懸濁液は50mLであり、これに9.75E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は12.19%であった。
第一実施形態の細胞回収方法における上清排出工程、細胞回収工程、上清戻し工程、及び再回収工程をそれぞれ1回行うことにより、洗浄回収を1回行って、培養容器から細胞を回収した。
廃液容器へ排出された培養上清は1550mLであり、これに1.94E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は2.42%であった。細胞回収容器に回収された細胞懸濁液は400mLであり、これに7.32E+09の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は91.45%であった。また、培養容器に残存した細胞懸濁液は50mLであり、これに4.91E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は6.13%であった。
第一実施形態の細胞回収方法において、上清排出工程、細胞回収工程、上清戻し工程、及び再回収工程をそれぞれ1回行った後に、上清戻し工程と再回収工程をさらに1回繰り返すことにより、洗浄回収を2回行って、培養容器から細胞を回収した。
廃液容器へ排出された培養上清は1500mLであり、これに1.88E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は2.34%であった。細胞回収容器に回収された細胞懸濁液は450mLであり、これに7.56E+09の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は94.55%であった。また、培養容器に残存した細胞懸濁液は50mLであり、これに2.48E+08の細胞が含まれており、その細胞数の百分率は3.11%であった。
実施例1では、廃液容器から培養上清50mlを培養容器に移送して、培養容器を懸濁して洗浄し、細胞回収容器にさらに50mlを回収している。これにより培養容器に細胞懸濁液が50ml残存している。実施例2では、実施例1の動作を再度繰り返して、2回の洗浄回収を行っている。
また、廃液容器へ排出された細胞の数の百分率は、比較例1,実施例1,実施例2の順に、2.5%,2.42%,2.34%であった。
さらに、培養容器に残存した細胞の数の百分率は、比較例1,実施例1,実施例2の順に、12.19%,6.13%,3.11%であった。
以上の結果から、本実施形態の細胞回収方法における洗浄回収によって、新たな洗浄用の培養液や洗浄液を用いることなく、細胞の回収効率が向上していることが分かる。
例えば、図2,3では上清戻し工程において、ローラ型の攪拌部材を用いて攪拌を行っているが、積載台を振とうするなどその他の方法で培養容器を攪拌しても良く、また各工程においてさらに攪拌を行うなど適宜変更することが可能である。
11 積載台
12 固定部材
13 攪拌部材
14 仕切部材
20 培地貯蔵容器(廃液容器)
30 細胞注入容器
40 細胞回収容器
50 サンプリング容器
60 チューブ
Claims (7)
- 少なくとも、細胞を培養するための培養容器と、培養後の細胞を回収する細胞回収容器と、培養後の培地を回収する廃液容器とが、導管によって連結されてなる細胞培養用キットを用いて培養された細胞の回収方法であって、
培養済みの培養上清を前記培養容器から前記廃液容器へ移送する上清排出工程、
濃縮された細胞懸濁液を前記培養容器から前記細胞回収容器へ移送する細胞回収工程、
前記廃液容器に排出された培養上清の一部を前記培養容器に戻し、前記培養容器に残存する細胞を細胞懸濁液に懸濁させる上清戻し工程、及び
残存細胞が懸濁した細胞懸濁液を前記培養容器から前記細胞回収容器に再度移送する再回収工程を、含む
ことを特徴とする細胞回収方法。 - 請求項1記載の細胞回収方法において、前記上清戻し工程及び前記再回収工程を2回以上繰り返すことを特徴とする細胞回収方法。
- 培地等を貯蔵しておくための培地貯蔵容器が、前記廃液容器として用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞回収方法。
- 前記上清戻し工程において、所定の懸濁部材を用いて、前記培養容器の表面が所定の深さに下降する位置まで前記培養容器の表面を押圧しながら、前記懸濁部材を前記培養容器上で水平方向に往復移動させ、前記培養容器に残存する細胞を細胞懸濁液に分散させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細胞回収方法。 - 前記上清排出工程の前に、前記培養容器の底面積を縮小させ、前記培養容器を静置させる静置工程を行う
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞回収方法。 - 前記静置工程において、所定の仕切部材を用いて、前記培養容器の端部から表面と裏面を密着させながら前記仕切部材を前記培養容器上で移動させ、前記培養容器の底面積を縮小させる
ことを特徴とする請求項5記載の細胞回収方法。 - 前記上清戻し工程における前記培養容器に残存する細胞の細胞懸濁液での分散と、前記再回収工程における培養容器から前記細胞回収容器への細胞懸濁液の移送を、同時に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞回収方法。
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