JP2006327335A - 車両のトルク配分制御装置 - Google Patents

車両のトルク配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 スプリットμ路旋回走行時においてもニュートラルステアの実現により高い旋回性能を得ることができる車両のトルク配分制御装置を提供すること。
【解決手段】 前後輪と左右輪のうち少なくとも一方のトルク配分を制御するトルク配分制御手段を備えた車両において、左右輪の路面摩擦係数に差があるスプリットμ路旋回走行を検出するスプリットμ路旋回走行検出手段(ステップS3,ステップS5)を設け、前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側に変更するようにトルク配分を制御する手段とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、前後輪と左右輪のうち少なくとも一方のトルク配分を制御するトルク配分制御手段を備えた車両のトルク配分制御装置の技術分野に属する。
従来、前後配分を30:70〜70:30、後輪左右配分を100:0〜0:100で無段階に制御して旋回時にニュートラルステアを実現するメカニカル四輪駆動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構造を持つ車両においては、コーナー旋回状態を、ステアリング舵角、左右前輪の差回転数、横加速度の少なくとも1つにより検出していた。
特開2004−189067号公報
しかしながら、従来のメカニカル四輪駆動車にあっては、左右輪が接地する路面摩擦係数が同じであることを前提とし、コーナーに入るときの車速や旋回半径によりニュートラルステアを実現するように前後・左右のトルク配分を制御するものであるため、左右輪の路面摩擦係数が異なるスプリットμ路旋回時には、低μ路側のタイヤにおいて必要なコーナリングフォースが得られず、目指すニュートラルステアを実現できない、という問題があった。
例えば、旋回外輪側が低μ路で旋回内輪側が高μ路であるスプリットμ路コーナーに進入した場合、旋回外輪側のタイヤのコーナリングフォースが、旋回内輪側のタイヤのコーナリングフォースより小さくなり、ステア特性としては、アンダーステア傾向となってしまう。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、スプリットμ路旋回走行時においてもニュートラルステアの実現により高い旋回性能を得ることができる車両のトルク配分制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、前後輪と左右輪のうち少なくとも一方のトルク配分を制御するトルク配分制御手段を備えた車両において、
左右輪の路面摩擦係数に差があるスプリットμ路旋回走行を検出するスプリットμ路旋回走行検出手段を設け、
前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側に変更するようにトルク配分を制御することを特徴とする。
よって、本発明の車両のトルク配分制御装置にあっては、トルク配分制御手段において、スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側に変更するようにトルク配分が制御される。例えば、外輪側が低μのスプリットμ路旋回走行時には、トルク配分制御によりオーバステア側のヨーモーメントを発生させることにより、車両がアンダーステア傾向となるのを防止することができる。この結果、スプリットμ路旋回走行時においてもニュートラルステアの実現により高い旋回性能を得ることができる。
以下、本発明の車両のトルク配分制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のトルク配分制御装置が適用されたハイブリッド四輪駆動車を示す全体システム図である。
実施例1のハイブリッド四輪駆動車は、図1に示すように、CPU101と、補助バッテリ102と、強電バッテリ301と、FR用インバータ302と、第一モータ303と、発電機304と、エンジン305と、動力分割機構306と、RR用インバータ307と、第二モータ308と、第三モータ309と、アクセルセンサ401と、ブレーキセンサ402と、DC/DCコンバータ403と、舵角センサ404と、GPS405と、車輪速センサ406と、路面μ推定装置407と、を備えている。
前記CPU101は、強電バッテリ301をモニタし、SOCや温度や劣化状態に応じて入出力可能電力量を算出し、これを基にFR用インバータ302を制御することにより、第一モータ303(フロント駆動用)と発電機304を動作させると共に、エンジン305を制御する。また、RR用インバータ307を制御することにより、第二モータ308(右リア駆動用)と第三モータ309(左リア駆動用)を動作させ、ニュートラルステアを実現する左右後輪のトルク配分制御を行う。
さらに、舵角センサ404を用いて舵角を検出し、車輪速センサ406を使って車速を検出し(車速検出手段)、GPS405を活用して走行コース上のコーナーの旋回半径を検出する(旋回半径検出手段)。
また、四輪それぞれの接地路面μを路面μ推定装置407を用いて推定し、左右輪の路面μに差異があるスプリットμ路面コーナーに突入したことを判断し、車速とコーナーの旋回半径とμギャップを用いて、旋回性能を高めるよう、第二モータ308および第三モータ309へのトルク配分を制御する。
前記補助バッテリ102は、CPU101の動作電源を提供する役目を有する。本システムでは、強電バッテリ301を電源としたDC/DCコンバータ403により電力を供給することとする。
前記強電バッテリ301は、第一モータ303に対しFR用インバータ302を経由して電力を供給することで車両走行をアシストすると共に、第一モータ303が回生作動して発電した電力や発電機304が発電した電力を、FR用インバータ302を経由して回収する役目を有する。また、第二モータ308と第三モータ309を力行させる場合、RR用インバータ307を経由して電力を供給することで車両走行をアシストすると共に、第二モータ308と第三モータ309が発電作動した場合、RR用インバータ307を経由して電力を回収する役目も有する。
前記FR用インバータ302は、CPU101により直接制御されている。エンジン305の発生トルク及び回転数に応じて強電バッテリ301の電気エネルギーを第一モータ303へ供給すること、及び発電機304を動作させて発生した電気エネルギーを強電バッテリ301へと戻す役目を有する。なお、第一モータ303と発電機304とエンジン305は、遊星歯車機構(動力分割機構306に内蔵)に直結しているため、トルク及び回転数のバランスを保つように制御しないと車両を正常に作動させることができない。
前記第一モータ303は、フロント駆動用で、車速が低い場合は単独で駆動トルクを発生させる。また、車速が高い場合は、エンジン305の駆動トルクをアシストしている。さらに、減速時は発電作用(回生作用)することにより電気エネルギーを発生させ、これをFR用インバータ302を経由して強電バッテリ301へ戻す役目を有する。また、本モータ回転数=車速として制御適用している。
前記発電機304は、ハイブリッド電気自動車は基本的にスタータを持たない。本システムを適用した車両始動時は、強電バッテリ301から電力を供給し、モータとして動作することでエンジン305の始動をサポートする。通常走行時は、第一モータ303とエンジン305とをバランスさせることで電気エネルギーを発生(発電)し、これを強電バッテリ301へ戻す。時には直接、第一モータ303へ供給することにより、急激な加速に対応することも可能である。
前記エンジン305は、CPU101により直接制御されている。具体的には、車速が高い場合には車両駆動のためにトルクを発生させている。
前記動力分割機構306は、遊星歯車機構を有し、キャリアにはエンジン305、リングギヤには第一モータ303、サンギヤには発電機304が直接接続している。従来システムのトランスミッション相当も内部に構成されている。
前記RR用インバータ307は、CPU101により直接制御されている。第二モータ308の発生トルク及び回転数に応じて強電バッテリ301の電気エネルギーを供給/回収する役目を有する。
前記第二モータ308は、通常走行時は4WD車両として右リア駆動を担当し、旋回走行時は、内輪差により発生する走行コース増大分においてトルク発生し、走行・操縦安定性向上に寄与する。
前記第三モータ309は、通常走行時は4WD車両として左リア駆動を担当し、旋回走行時は、内輪差により発生する走行コース増大分においてトルク発生し、走行・操縦安定性向上に寄与する。
前記ブレーキセンサ402は、ドライバーが減速時時に踏み込んだブレーキペダルストローク量をCPU101へ送信する。
前記DC/DCコンバータ403は、強電バッテリ301からのエネルギーを12Vへと変換し、補助バッテリ102へと供給する。すなわち、従来のエンジン車両におけるオルタネータと同様の機能を有する。
前記舵角センサ404は、ドライバーのステアリング操作により検出される舵角を、CPU101へ送信する役目を有する。
前記GPS(Global Positioning System)405は、目的地まで存在するコーナーの旋回半径程度、勾配程度を抽出し、CPU101へと各情報を提示する。
前記車輪速センサ406は、フロント2輪に対して接続し、検出値を車輪速としてCPU101へと送信する。
前記路面μ推定装置407は、四輪それぞれの接地路面μを推定し、CPU101へと送信する。
次に、作用を説明する。
[トルク配分制御処理]
図2は実施例1のCPU101にて実行されるトルク配分制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(トルク配分制御手段)。
ステップS1では、車輪速センサ406及び第二モータ308の回転数、第三モータ309の回転数を検出し、これらの平均値を本制御における車速データとし、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1での車速検出に続き、GPS405により、走行ルート上の各コーナーの旋回半径を確認し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、ステップS2での走行ルート確認に続き、自車が旋回しているか否かを、舵角センサ404からの検出値により判断し、旋回走行中であればステップS4へ移行し、直進走行中であればステップS6へ移行する。
ステップS4では、ステップS3での旋回走行中判断に続き、路面μ推定装置407により、左右輪の接地路面μ推定値を確認し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4での左右輪の接地路面μ推定に続き、現時点において、スプリット路面μを走行しているか否かを判断し、Yesの場合はステップS7へ移行し、Noの場合はステップS6へ移行する。
ここで、「スプリットμ路判断」は、例えば、左前輪が接地している路面μと左後輪が接地している路面μの平均値と、右前輪が接地している路面μと右後輪が接地している路面μの平均値と、の差をμギャップと定義し、μギャップの絶対値(=|μギャップ|)がスプリットμ路判断しきい値μを超えたらスプリットμ路と判断する(図4参照)。
ステップS6では、ステップS3での判断とステップS5での判断によりスプリットμ路コーナー走行ではないとの判断に続き、通常制御(例えば、旋回時にニュートラルステアを実現する制御)を実行し、リターンへ移行する。
ステップS7では、ステップS5でのスプリットμ路コーナー走行であるとの判断に続き、ステップS1で得られた車速と、ステップS2で得られた旋回半径に基づき、トルク配分制御変化速度を設定し、ステップS8へ移行する。
ここで、「トルク配分制御変化速度」の設定は、図3に示すように、車速が高いほど、また、旋回半径が小さいほどトルク配分制御変化速度大とされ、逆に、車速が低いほど、また、旋回半径が大きいほどトルク配分制御変化速度小とされる。
ステップS8では、ステップS7でのトルク配分制御変化速度の設定に続き、ブレーキセンサ402の検出値により、ドライバーからの制動要求無しか否かを判断し、Yesの場合はステップS9へ移行し、Noの場合はステップS10へ移行する。
ステップS9では、ステップS8での制動要求無しとの判断に続き、左右後輪に対し力行/力行または回生/力行であって、車速が高いほど、また、μギャップが大きいほど左右輪へのトルク配分量の差を大きくするトルク配分制御を実行し、リターンへ移行する。
ここで、「左右輪へのトルク配分量の差」は、例えば、車速に比例したトルク配分量の差を決め、これに図4に示すマップと|μギャップ|により得られる補正係数を掛け合わせることで算出する。例えば、補正係数をkとして、旋回外輪側が低μ路である場合、旋回内輪と旋回外輪とのトルク配分比率を、1:k(>1)とする。
また、「力行/力行」と「回生/力行」との使い分けは、例えば、左右輪へのトルク配分量の差が設定値より小さい領域では、「力行/力行」を選択し、左右輪へのトルク配分量の差が設定値以上の領域では、「力行/力行」よりトルク配分量の差を大きくとれる「回生/力行」を選択する。
ステップS10では、ステップS8での制動要求有りとの判断に続き、左右後輪に対し回生/回生であって、車速が高いほど、また、μギャップが大きいほど左右輪へのトルク配分量の差を大きくするトルク配分制御を実行し、リターンへ移行する。
例えば、旋回外輪側が低μ路である場合、旋回外輪の回生量よりも旋回内輪の回生量が多くなるように回生制動トルクの配分を設定する。
[トルク配分制御作用]
図5(a)に示すように、右曲がりコーナーであり、旋回中心線より外側が内側に比べて低μ路であるスプリットμ路コーナーへの進入時を例にとり、実施例1のトルク配分制御作用を説明する。
まず、本提案トルク配分制御が非適応時においては、図5(b)に示すように、時刻t1にてスプリットμ路に入ったとしても、後左右輪に対するトルクは、スプリットμ路に入る前と同じであり、後左右輪に同じトルク値による力行(正トルク)で与え続けられる。このため、旋回内輪側にタイヤにおいては必要なコーナリングフォースが得られるものの、旋回外輪側のタイヤにおいて必要なコーナリングフォースが得られず、目標旋回軌跡に対するトレース状況としては、左右輪でのコーナリングフォースの差により、目標旋回軌跡から徐々に外側に膨らむアンダーステア傾向を示す。
これに対し、実施例1のうち、スプリットμ路コーナーへの進入時であって、ブレーキ制動無し、かつ、左右後輪が共に力行のパターンにてトルク配分制御を行うときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れとなり、ステップS7において、車速と旋回半径によりトルク配分制御変化速度が設定され、ステップS9において、車速とμギャップの絶対値により左右後輪へのトルク配分量の差が設定される。
したがって、図6に示すように、時刻t1にてスプリットμ路判断がなされると、後左右輪に対するトルクのうち、左輪トルクはスプリットμ路に入る前と同じトルク値による力行(正トルク)で与え続けられ、右輪トルクはスプリットμ路に入る前のトルク値から設定されたトルク配分制御変化速度により低下してゆくトルク値による力行(正トルク)で与えられる。そして、時刻t2にて設定された左右後輪へのトルク配分量の差になると、右輪トルクはその時の力行トルク値が維持される。このため、旋回内外輪のタイヤコーナリングフォースの差により車両に働くアンダーステアモーメントが、左右後輪の駆動トルク差により車両重心周りに作用するオーバーステアモーメントにより打ち消され、目標旋回軌跡に対するトレース状況としては、アンダーステア傾向が抑えられて目標旋回軌跡に追従するニュートラルステアを示す。なお、この左右後輪を共に力行にてトルク配分制御を行うパターンは、例えば、低車速であったり、μギャップの絶対値が小さく、左右後輪へのトルク配分量の差が小さな場合に有効である。
また、実施例1のうち、スプリットμ路コーナーへの進入時であって、ブレーキ制動無し、かつ、左右後輪のうち一方を力行で、他方を回生のパターンにてトルク配分制御を行うときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れとなり、ステップS7において、車速と旋回半径によりトルク配分制御変化速度が設定され、ステップS9において、車速とμギャップの絶対値により左右後輪へのトルク配分量の差が設定される。
したがって、図7に示すように、時刻t1にてスプリットμ路判断がなされると、後左右輪に対するトルクのうち、左輪トルクはスプリットμ路に入る前と同じトルク値による力行(正トルク)で与え続けられ、右輪トルクはスプリットμ路に入る前のトルク値から設定されたトルク配分制御変化速度により低下してゆくトルク値による回生(負トルク)で与えられる。そして、時刻t2にて設定された左右後輪へのトルク配分量の差になると、右輪トルクはその時の回生トルク値が維持される。このため、旋回内外輪のタイヤコーナリングフォースの差により車両に働くアンダーステアモーメントが、左右後輪の駆動トルクと制動トルクの差により車両重心周りに作用するオーバーステアモーメントにより打ち消され、目標旋回軌跡に対するトレース状況としては、アンダーステア傾向が抑えられて目標旋回軌跡に追従するニュートラルステアを示す。なお、この左右後輪のうち一方を力行で他方を回生にてトルク配分制御を行うパターンは、例えば、高車速で、かつ、μギャップの絶対値が大きく、左右後輪へのトルク配分量の差が大きな場合に有効である。
さらに、実施例1のうち、スプリットμ路コーナーへの進入時であって、ブレーキ制動有り、かつ、左右後輪を共に回生のパターンにてトルク配分制御を行うときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8→ステップS10へと進む流れとなり、ステップS7において、車速と旋回半径によりトルク配分制御変化速度が設定され、ステップS10において、車速とμギャップの絶対値により左右後輪への回生トルク配分量の差が設定される。
したがって、図8に示すように、時刻t1にてブレーキ操作がなされると、後左右輪に対するトルクが力行から回生へと変更され、時刻t2にてスプリットμ路判断がなされると、設定されたトルク配分制御変化速度(右輪が左輪より変化速度大)により低下し、力行から回生(負トルク)へと移行する。そして、時刻t3にて設定された左右後輪へのトルク配分量の差(右輪トルクが左輪トルクより負トルク大)になると、その時の回生トルク値が維持される。このため、旋回内外輪のタイヤコーナリングフォースの差により車両に働くアンダーステアモーメントが、左右後輪の制動トルク差により車両重心周りに作用するオーバーステアモーメントにより打ち消され、目標旋回軌跡に対するトレース状況としては、アンダーステア傾向が抑えられて目標旋回軌跡に追従するニュートラルステアを示す。加えて、制動要求に応える左右後輪の回生制動により、車両は減速される。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両のトルク配分制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 前後輪と左右輪のうち少なくとも一方のトルク配分を制御するトルク配分制御手段を備えた車両において、左右輪の路面摩擦係数に差があるスプリットμ路旋回走行を検出するスプリットμ路旋回走行検出手段(ステップS3,ステップS5)を設け、前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側に変更するようにトルク配分を制御するため、スプリットμ路旋回走行時においてもニュートラルステアの実現により高い旋回性能を得ることができる。
(2) 車速を検出する車速検出手段と、左右輪がそれぞれ接地する路面摩擦係数の差であるμギャップを検出するμギャップ検出手段と、を設け、前記トルク配分制御手段は、車速が高いほど、また、μギャップが大きいほど左右輪へのトルク配分量の差を大きく設定するため、車速が高いほど、また、μギャップが大きいほど、ステア特性のアンダーステア度合いやオーバーステア度合いが強くなるのに応じ、車速の高低やμギャップの大小にかかわらず、ニュートラルステアを得る最適なモーメント量によりアンダーステアやオーバーステアを防止することができる。
(3) 車速を検出する車速検出手段と、旋回半径を検出する旋回半径検出手段と、を設け、前記トルク配分制御手段は、車速が高いほど、また、旋回半径が小さいほど、トルク配分制御変化速度を大きくするため、車速が高いほど、また、旋回半径が小さいほど、ステア特性がアンダーステア傾向やオーバーステア傾向に急峻な変化で移行するのに応じ、車速の高低や旋回半径の大小にかかわらず、最適な応答速度によりアンダーステア傾向やオーバーステア傾向になることを防止することができる。
(4) 前記トルク配分制御手段は、左右輪への駆動トルクの配分量を制御するため、例えば、低速でスプリットμ路コーナーへ進入してきた場合や旋回半径の大きなスプリットμ路コーナーへ進入する場合等で、ステア特性が弱アンダーステア傾向や弱オーバーステア傾向となるようなときに、応答良く小さなモーメントを打ち消す左右輪のトルク配分量差を出すことができる。
(5) 前記トルク配分制御手段は、左右輪のうち、一方への駆動トルクの配分量と他方への制動トルクの配分量を制御するため、例えば、高速でスプリットμ路コーナーへ進入してきた場合や旋回半径の小さなスプリットμ路タイトコーナーへ進入する場合等で、ステア特性が強アンダーステア傾向や強オーバーステア傾向となるようなときに、大きなモーメントを打ち消すのに要求される大きな左右輪のトルク配分量差を出すことができる。
(6) 前記トルク配分制御手段は、左右輪への制動トルクの配分量を制御するため、スプリットμ路旋回走行時に制動要求があったとき、制動要求に応えて車両を減速させながら、同時にステア特性がアンダーステア傾向やオーバーステア傾向になることを防止することができる。
(7) 2つのモータにより左右輪それぞれ独立に駆動する駆動系を備え、前記トルク配分制御手段は、駆動トルクの配分量をモータ力行により、制動トルクの配分量をモータ回生により得るため、左右後輪へのトルク配分制御を高応答にて実行できると共に、回生動作を行うことでエネルギー効率化を図ることができる。
(8) 前記車両は、前後輪のうち一方の主駆動輪を駆動するエンジン305および第一モータ303と、前記前後輪のうち他方の副駆動輪の左右輪をそれぞれ独立に駆動する第二モータ308および第三モータ309と、を搭載するハイブリッド四輪駆動車であり、前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、前記第二モータ308と前記第三モータ309の出力を制御するため、スプリットμ路旋回走行時、高応答のモータ出力制御によりトルク配分最適化制御を実行でき、効果的にアンダーステア傾向やオーバーステア傾向を防止できると共に、エネルギー効率化を図ることができる。
以上、本発明の車両のトルク配分制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、トルク配分制御手段として、左右輪トルク配分制御のみを行う例を示したが、前後輪トルク配分制御のみを行うものや前後輪と左右輪のトルク配分制御を共に行うものにも適用できる。ちなみに、前後輪トルク配分制御の場合、前輪トルク配分を後輪トルク配分より増すことでステア性能としてはアンダーステア傾向となり、逆に、後輪トルク配分を前輪トルク配分より増すことでステア性能としてはオーバーステア傾向となる。また、左右輪トルク配分制御の場合、旋回内輪トルク配分を旋回外輪トルク配分より増すことでステア性能としてはアンダーステア傾向となり、逆に、旋回外輪トルク配分を旋回内輪トルク配分より増すことでステア性能としてはオーバーステア傾向となる。
実施例1では、トルク配分制御手段として、スプリットμ路旋回走行時、車速とμギャップの絶対値により左右輪のトルク差を決め、車速と旋回半径によりトルク配分制御変化速度を決める好ましい例を示したが、左右輪のトルク差やトルク配分制御変化速度を予め決めた固定値により与えるようにしても良い。要するに、トルク配分制御手段は、スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側(=アンダーステア傾向やオーバーステア傾向を軽減する方向)に変更するようにトルク配分を制御するものであれば本発明に含まれる。
実施例1では、駆動トルクをモータの力行動作、制動トルクをモータの回生動作により得る例を示したが、駆動トルクをエンジンにより得るようにしても良いし、また、制動トルクを油圧ブレーキやモータブレーキ等により得るようにしても良い。
実施例1では、前輪駆動ベースのハイブリッド四輪駆動車のトルク配分制御装置を示したが、後輪駆動ベースのハイブリッド四輪駆動車にも適用することができる。また、エンジンとモータを搭載したハイブリッド四輪駆動車に限らず、モータ駆動あるいはエンジン駆動による四輪駆動車にも適用できる。さらに、実施例1では、前後輪トルク配分制御手段として、副駆動輪のモータ出力を直接制御する例を示したが、従来技術に記載されているように、駆動系にトランスファクラッチや差動制限クラッチ等を備え、クラッチの締結力制御によりトルク配分を制御するものにも適用できる。
実施例1のトルク配分制御装置が適用されたハイブリッド四輪駆動車を示す全体システム図である。 実施例1のCPUにて実行されるトルク配分制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のトルク配分制御にて用いられる車速と旋回半径によるトルク配分制御変化速度マップの一例を示す図である。 実施例1のトルク配分制御にて用いられるμギャップ量によるトルク配分量補正係数マップの一例を示す図である。 右曲がりコーナーであり、旋回中心線より外側が内側に比べて低μ路であるスプリットμ路コーナーへの進入時を示す図と本提案制御非適用時のスプリットμ・左輪トルク・右輪トルク・トレース状況・ブレーキON/OFFの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のトルク配分制御を左右輪共に力行にて適用する時のスプリットμ・左輪トルク・右輪トルク・トレース状況・ブレーキON/OFFの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のトルク配分制御を左右輪の一方を力行で他方を回生にて適用する時のスプリットμ・左輪トルク・右輪トルク・トレース状況・ブレーキON/OFFの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のトルク配分制御を左右輪共に回生にて適用する時のスプリットμ・左輪トルク・右輪トルク・トレース状況・ブレーキON/OFFの各特性を示すタイムチャートである。
符号の説明
101 CPU
102 補助バッテリ
301 強電バッテリ
302 FR用インバータ
303 第一モータ
304 発電機
305 エンジン
306 動力分割機構
307 RR用インバータ
308 第二モータ
309 第三モータ
401 アクセルセンサ
402 ブレーキセンサ
403 DC/DCコンバータ
404 舵角センサ
405 GPS
406 車輪速センサ
407 路面μ推定装置

Claims (8)

  1. 前後輪と左右輪のうち少なくとも一方のトルク配分を制御するトルク配分制御手段を備えた車両において、
    左右輪の路面摩擦係数に差があるスプリットμ路旋回走行を検出するスプリットμ路旋回走行検出手段を設け、
    前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、ステア特性をニュートラルステア側に変更するようにトルク配分を制御することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    車速を検出する車速検出手段と、
    左右輪がそれぞれ接地する路面摩擦係数の差であるμギャップを検出するμギャップ検出手段と、を設け、
    前記トルク配分制御手段は、車速が高いほど、また、μギャップが大きいほど左右輪へのトルク配分量の差を大きく設定することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  3. 請求項1または2に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    車速を検出する車速検出手段と、
    旋回半径を検出する旋回半径検出手段と、を設け、
    前記トルク配分制御手段は、車速が高いほど、また、旋回半径が小さいほど、トルク配分制御変化速度を大きくすることを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    前記トルク配分制御手段は、左右輪への駆動トルクの配分量を制御することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  5. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    前記トルク配分制御手段は、左右輪のうち、一方への駆動トルクの配分量と他方への制動トルクの配分量を制御することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  6. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    前記トルク配分制御手段は、左右輪への制動トルクの配分量を制御することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    2つのモータにより左右輪それぞれ独立に駆動する駆動系を備え、
    前記トルク配分制御手段は、駆動トルクの配分量をモータ力行により、制動トルクの配分量をモータ回生により得ることを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載された車両のトルク配分制御装置において、
    前記車両は、前後輪のうち一方の主駆動輪を駆動するエンジンおよび第一モータと、前記前後輪のうち他方の副駆動輪の左右輪をそれぞれ独立に駆動する第二モータおよび第三モータと、を搭載するハイブリッド四輪駆動車であり、
    前記トルク配分制御手段は、前記スプリットμ路旋回走行検出手段によるスプリットμ路旋回走行検出時、前記第二モータと前記第三モータの出力を制御することを特徴とする車両のトルク配分制御装置。
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