JP2005085594A - 固体高分子電解質型燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 裁断した拡散層の周辺部のほつれを防ぎ、しかも、簡易な工程により量産化に優れる拡散層を用いた、固体高分子電解質型燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 この燃料電池は、固体高分子の電解質膜11と、この両面に接合された触媒層12と、この触媒層の外側に接合された拡散層13とからなり、拡散層15が導電性繊維からなるシートであって、このシートの周縁部に樹脂組成物が含浸されて樹脂含浸部18を形成しており、樹脂含浸部18によって、拡散層15の周縁部の導電性繊維が互いに固着されている
【選択図】 図1

Description

本発明は、電解質に高分子膜を用いる固体高分子電解質型燃料電池に関し、更に詳しくは、拡散層に導電性繊維からなるシートを用いた固体高分子電解質型燃料電池及びその製造方法に関する。
固体高分子電解質型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、電解質に高分子膜を用いる燃料電池であり、出力密度が高く、電池寿命が長い等の特徴を有している。
図3は、従来の固体高分子電解質型燃料電池のセルの概略構造の一例を示す断面図である。
このセル50は、中央に配置される固体高分子電解質膜51の両面に、電極となる触媒層52が形成されており、更に、それぞれの触媒層52の周囲には、枠状の保護フィルム53が形成されて、膜−電極接合体(MEA)54を構成している。なお、上記の触媒層52の周囲に枠状の保護フィルム53を形成するMEAの構造は、特許第3052536号公報や、特開2002−231274号公報に開示されている。
触媒層52及び保護フィルム53上には、集電及びガスを拡散するための拡散層55が接合されている。更に外側には、ガス流通溝56aが設けられた一対のセパレータ56が、ガスシール57を介してMEA54の両面を挟持するように配置されてセル50が構成されている。そして、一般的には、このセル50を複数枚積層して燃料電池スタックとして発電を行なう。
上記の拡散層55を構成する基材としては、従来カーボンペーパーが用いられてきたが、カーボンペーパーは割れ易く、その製造法も紙抄きの技法を用いているので量産に不向きである。したがって、近年、カーボン繊維を編んで得られるカーボンクロスや、カーボンフェルト等の導電性繊維からなるシートを拡散層55の基材とすることが行われている。
しかし、上記の導電性繊維からなるシートは、適当な大きさに裁断して拡散層55として使用する必要があるため、裁断時にシートの周囲がほつれてカーボン繊維が周囲部から突出することがあった。また、周囲がほつれないように裁断できた場合でも、セルに積層するために裁断後に拡散層55を持ち運んだり、触媒層52やセパレータ56と積層する作業中にほつれが生じ、カーボン繊維が周囲部から突出する可能性がある。そして、このほつれにより突出したカーボン繊維が、保護フィルム53とガスシール57との間に入り込み、ガスシール性が不十分になるという問題があった。
上記の問題点に対して、特開2003−17087号公報には、拡散層の周辺部を高分子電解糸で縫った電気化学素子が開示されており、拡散層の周辺部を縫うことで、カーボンクロスからなる拡散層のほつれを防ぐことが開示されている。
特開2003−17087号公報
しかしながら、上記の特開2003−17087号公報の方法においては、拡散層のほつれを防ぐために、裁断工程、ミシンがけ工程、ホットプレス工程の各工程への拡散層の移動が必要になり、却って拡散層端部のほつれが進み、拡散層の歩留まりが低下する恐れがある。
また、裁断工程、ミシンがけ工程、ホットプレス工程が必要となるために製造工程も複雑であり生産性も低い。
本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたもので、裁断した拡散層の周縁部のほつれによるガスシール性の低下を簡単に防ぐことができ、しかも、このような拡散層の量産性にも優れる、固体高分子電解質型燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の固体高分子電解質型燃料電池は、固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の両面に接合された触媒層と、この触媒層の外側に接合された拡散層とを備えた固体高分子電解質型燃料電池において、前記拡散層が導電性繊維からなるシートであって、前記シートの周縁部に樹脂組成物が含浸されており、該樹脂組成物によって、前記周縁部の前記導電性繊維が互いに固着されていることを特徴とする。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池によれば、拡散層の周縁部に樹脂組成物が含浸されているので、これによって周縁部の導電性繊維が互いに固着される。したがって、ほつれによる拡散層の歩留まりの低下を抑制でき、セル組み立て時にガスシール部と保護フィルムとの間に突出したカーボン繊維が挟まることがないので、シール不良を防止してセルの気密性を向上できる。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池においては、前記樹脂組成物がフッ素樹脂を含有することが好ましい。フッ素樹脂は、熱や酸により、溶出や変形することがないので、本発明の樹脂組成物として好適に用いることができる。
また、本発明の固体高分子電解質型燃料電池においては、前記樹脂組成物が、更にカーボン粒子を含有することが好ましい。これによれば、フッ素樹脂に加えて更にカーボン粒子を混合することにより、樹脂組成物の粘度を調整し、目的とする含浸部分以外への樹脂組成物の移動を抑えることができる。
更に、本発明の固体高分子電解質型燃料電池においては、前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有することも好ましい。これによれば、例えばエポキシやフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂は、熱や酸により、溶出や変形することがないので、本発明の樹脂組成物として好適に用いることができる。
一方、本発明の固体高分子電解質型燃料電池の製造方法は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を積層する膜−電極接合体形成工程と、前記触媒層上に拡散層を積層する拡散層積層工程とを含む固体高分子電解質型燃料電池の製造方法において、前記拡散層として導電性繊維からなるシートを用い、前記シートの周縁部に樹脂組成物を含浸させて前記周縁部の前記導電性繊維を固着させる樹脂含浸工程の後、前記拡散層積層工程を行なうことを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、樹脂含浸工程によって拡散層の周縁部の導電性繊維を固着させるので、周囲を糸で縫う場合に比べて工程が簡略であり生産性に優れる。また、樹脂組成物を含浸させるだけなので低コストで行なうことができる。
本発明の製造方法においては、前記樹脂含浸工程において、前記拡散層の裁断を行なった後、前記拡散層を移動させることなく、前記拡散層の周囲に前記樹脂組成物を含浸させることが好ましい。これによれば、拡散層の製造時に、拡散層を移動させる工程が不要となるので、拡散層の移動中に周囲のほつれが進行して、拡散層の歩留まりが低下することがない。
また、本発明の製造方法においては、前記樹脂含浸工程において、枠状のスリットからなる前記樹脂組成物の吐出口と、この吐出口の外周に配置された枠状のカッターと、前記吐出口の内周に配置された枠状の押さえ板とを有するダイを用い、前記導電性繊維からなるシートに前記ダイを押し付けることにより、前記カッターにより前記シートを裁断すると共に、前記シートの裁断部から所定距離離れた内周部分を前記押さえ板で押圧し、その状態で前記吐出口から前記樹脂組成物を吐出し、前記シートに含浸させて硬化させることが好ましい。
これによれば、裁断から樹脂組成物による固着まで一連の工程を拡散層を移動することなく連続的に実施できるので、製品の歩留まり向上が可能となるとともに、生産性も大幅に向上できる。
本発明によれば、拡散層の周縁部に樹脂組成物が含浸されているので、これによって周縁部の導電性繊維が互いに固着される。したがって、ほつれによる拡散層の歩留まりの低下を抑制できる。また、セル組み立て時にガスシール部と保護フィルムとの間に突出したカーボン繊維が挟まることがないので、シール不良を防止してセルの気密性を向上できる。
以下、本発明を詳細に説明する。図1、2には、本発明の固体高分子電解質型燃料電池及びその製造方法の一実施形態が示されている。
図1は本発明の固体高分子電解質型燃料電池の一実施形態の概略構成を示す断面図であり、図2は、本発明の固体高分子電解質型燃料電池の製造方法の一実施形態における、拡散層の製造方法を示す工程図である。
図1に示すように、このセル10は、固体高分子からなる電解質膜11、電極となる触媒層12、触媒層12を囲うように形成されている枠状の保護フィルム13より構成される膜−電極接合体(MEA)14と、それぞれの触媒層12の外側に接合された拡散層15と、拡散層15の両側から挟持されるセパレータ16と、保護フィルム13とセパレータ16との間に、拡散層15を囲むように枠状に配置されるガスシール17とから主に構成されている。
以下、このセル10の製造工程に沿って順に説明すると、まず、電解質膜11の両面に、触媒層12及び該触媒層を囲う枠状の保護フィルム13を積層して膜−電極接合体(MEA)14を形成する、膜−電極接合体形成工程を行なう。
ここで、触媒層12は、電解質膜11よりも小さく形成され、電解質膜11の中央に形成される。また、触媒層12の周縁を囲むように、枠状の保護フィルム13が形成される。電解質膜11の形状、大きさは特に限定されないが、70〜350mm角が好ましい。また、触媒層12としては50〜300mm角として、周縁に配置される枠状の保護フィルム13が20〜60mmの幅となるように形成することが好ましい。
電解質膜11の材質としては、分子中にプロトン交換基を有し、プロトン導電性電解質として機能する固体高分子であればよく、従来公知のイオン交換膜等が利用可能である。具体的には、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン導電性膜として使用したもの、フロロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフロライドの混合膜、パーフルオロスルホン酸ポリマー等が使用できる。なかでも、パーフルオロスルホン酸ポリマーを用いることが好ましい。パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、例えばナフィオン(登録商標:デュポン社製)等を好適に用いることができる。
触媒層12としては、白金族等の金属触媒を担持したカーボン粉末等を用いることができ、この触媒を、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマーを溶解した溶液と混合することによりペースト状にして、電解質膜11上に塗布形成することができる。また、ポリマーと混合してあらかじめシート化した後に、熱プレス等によって電解質膜11と一体化してもよい。
枠状の保護フィルム13としては、従来公知のシート状のプラスチック、ゴム、エラストマー等を用いることができる。具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
なかでも、上記の電解質膜11がパーフルオロスルホン酸ポリマーの場合には、これと融点が近い上記のフッ素系ポリマーを用いることが好ましい。これによって、保護フィルム13と電解質膜11とを熱融着によって接合することができる。保護フィルム13は、熱プレス等によって電解質膜11上に熱融着で接合してもよく、接着剤等によって接合してもよい。
なお、本発明においては、上記の保護フィルム13は必須ではなく、必要に応じて用いればよいが、保護フィルム13によって電解質膜11の大きさを最小限とすることができ、高価な電解質膜11のコストを低減できるので、保護フィルム13を用いることが好ましい。
次いで、MEA14と拡散層15とを熱プレスによって接合する拡散層積層工程を行ない、MEA−拡散層接合体を得る。
ここで、本発明においては、拡散層15として導電性繊維からなるシートを用い、このシートの周縁部に樹脂組成物を含浸させて周縁部の導電性繊維を固着させる樹脂含浸工程を行ない、樹脂含浸部18を形成した後、上記の拡散層積層工程を行なうことを特徴としている。
図2には、この樹脂含浸工程の一実施形態である概略工程図が示されている。図2において、(1)は拡散層を裁断前の平面図(1a)及び断面図(1b)、(2)は拡散層の裁断、樹脂含浸工程中の断面図(2b)、(3)は拡散層の裁断、樹脂含浸工程後の平面図(3a)及び断面図(3b)である。
まず、図2(1a)に示すように、ヒーター21が内蔵されている平板21上に裁断前の拡散層15をセットする。
拡散層15に用いる導電性繊維からなるシートとしては、カーボン繊維(炭素繊維)を編んでなるカーボンペーパー、又はカーボンフェルトを用いることができる。
この拡散層15を裁断すると共に樹脂含浸工程を行なうダイ30は、図2(1b)に示すように、キャビィティ36から樹脂組成物35を吐出するための枠状のスリット34が形成されており、スリット34の吐出口には開閉可能なシャッター33が設けられている。また、スリット34の吐出口の外周には、枠状のカッター31が配置されており、更に、吐出口の内周には、枠状の押さえ板32が配置されている。
ここで、拡散層15の裁断の大きさは特に限定されないが、上記の触媒層12の外周より大きく、保護フィルム13の外周より小さい裁断サイズとなるように枠状のカッター31を調節することが好ましい。
枠状のスリット34のスリット幅としては特に限定されないが、好ましくは5〜50mmである。また、スリット34は、カッター31の0〜20mm内側に設けられていることが好ましい。
また、枠状の押さえ板32は、スリット34の内周縁から0〜30mm離れた位置に設けられていることが好ましい。また、押さえ板の幅としては、5〜50mmであることが好ましい。
また、平板20に内蔵されたヒーター21により、平板20は所定の温度まで昇温させる。所定の温度は、樹脂組成物35中の樹脂の溶融温度付近が望ましく、具体的には、例えばPTFE樹脂を用いる場合には、280〜380℃とするの好ましい。また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、それそれの樹脂の硬化温度に適宜設定すればよい。
次に、図2(2b)に示すように、拡散層15にダイ30を押し付けることによって、カッター31によって拡散層15を裁断すると共に、裁断部の内周部分を押さえ板32で押圧し、その状態で、シャッター33を開いて、スリット34から樹脂組成物35を吐出し、裁断した拡散層15の周縁部に樹脂組成物35を含浸させて硬化させる。
このとき、押さえ板32は、樹脂組成物35が拡散層15の内側に流れ込むのを防ぐ仕切りの役割を果たす。更に、押さえ板32は、拡散層15を押し潰して拡散層15内の細孔を減らすことによっても、拡散層15の内側に樹脂組成物35が進入することを防いでいる。
樹脂組成物35としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッソ樹脂を用いることが好ましい。また、上記のフッ素樹脂とカーボン粒子の混合物とすることも好ましい。また、エポキシやフェノール樹脂等の熱硬化樹脂を用いてもよい。
上記のフッ素樹脂を含有する樹脂組成物としては、例えば、ダイキン製のD1−Eディスパ-ジョン溶液が挙げられる。この場合フッ素樹脂は溶液分散系の微粒子となっている。
樹脂組成物35を拡散層15の周縁部に含浸させる量は、裁断後にほつれが生じないように、拡散層15の導電性繊維同士を十分に固着させる量とする必要がある。具体的には、例えば、樹脂としてフッ素樹脂、又はフッ素樹脂及びカーボン粒子を用いた場合には、拡散層15の気孔率の30%以上の体積を、上記のフッ素樹脂、又はフッ素樹脂及びカーボン粒子が占めるように含浸させることが好ましい。
この場合、フッ素樹脂およびカーボン粒子の平均粒径は、拡散層15の細孔径から判断して0.01〜1μmであることが望ましい。なお、カーボン粒子を混合することにより、含有させる樹脂組成物35の粘度を調整し、目的とする含有部以外への樹脂組成物35の移動を抑えることができる。なお、樹脂組成物35の粘度は、拡散層15に含浸しやすいように、10mPa・s〜10Pa・sとすることが好ましい。
カッター31で裁断する際の、押さえ板32が拡散層15を押さえる圧力は、例えば、拡散層15としてカーボンクロスを用いた場合は、0.1〜8MPaとすることが好ましい。圧力が0.1MPa未満であると、拡散層15の細孔を充分に潰すことができず、樹脂組成物35を含浸させる際に、拡散層15の内側に樹脂組成物35が流れ込むおそれがあるので好ましくない。また、圧力が8MPaを超えると、拡散層15のクロスの織り目等が破断されるおそれがあるので好ましくない。
最後に、図2(3b)に示すようにダイ30を引き上げることによって、図2(3a)に示すように拡散層15の周縁部に樹脂含浸部18が額縁状に形成される。これにより、裁断後の拡散層15は周縁部の導電性繊維が互いに樹脂組成物35で固着されているので繊維のほつれはなく、移動や作業による新たなほつれも発生しない。
なお、本発明における樹脂含有部18は、必ずしも導電性繊維が樹脂含有部18の周縁まで存在していなくてもよく、例えば、樹脂含有部18が拡散層15の外周縁から更にその外側にかけて形成されており、樹脂含浸部の外側に樹脂単独層が形成されていてもよい。
また、上記の実施例においては、拡散層15の裁断工程、樹脂含浸工程、熱処理工程を一つの装置で同時に行なうことができるが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではなく、上記の各工程をベルトコンベアー等のライン処理にて順次行なってもよい。
上記の方法によって得られた周縁部に樹脂含浸部18を形成した拡散層15は、例えば熱プレス等によって、MEA14と一体化して接合される。これにより、触媒層12に混合されているパーフルオロスルホン酸ポリマー等の固体高分子電解質ポリマーがガラス転移点以上になることで軟化し、触媒層12と拡散層15とを接合するバインダーとなって両者が接合される。
熱プレスの条件としては、触媒層12を構成するポリマーのガラス転移点以上の温度で行なうことが望ましい。これによって、ポリマーは軟化し、拡散層15の内部に入り込むので、MEA14と拡散層15とを接合できる。具体的には、例えば、触媒層12に混合されている固体高分子電解質ポリマーがパーフルオロスルホン酸ポリマーの場合、ガラス転移点は110℃程度であるので、加熱温度は130℃以上とすることが好ましい。また、圧力としては2〜6MPaが好ましく、プレス時間は3〜6分間が好ましい。
上記の方法によって得られた、MEA−拡散層接合体は、発電時には、図1に示すように、ガスシール17を介して、一対のセパレータ16で挟み込み一体化させてセル10を構成する。
以上の方法によって製造されたセル10は、セルの組み立て時にガスシール17と保護フィルム13との間に突出したカーボン繊維が挟まることがない。したがって、ガスシール不良によって反応ガスがセル外部に漏れることによる発火の危険性を低下でき、使用中の安全性を向上できるので、家庭用、車載用の電源等の燃料電池システムとして特に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
実施例
図2に示すような製造方法によって拡散層15を作成し、図1に示すような構成の燃料電池セル10を製造した。
<拡散層の作成>
図2(1b)に示すようなダイ30を用い、拡散層15の周縁部に樹脂含浸部18を形成した。
拡散層15としては、カーボンクロスを用い、樹脂組成物としては、フッ素樹脂(PTFE)を含有する「D1−E」ディスパ-ジョン溶液(商品名:ダイキン社製)を用いた。
ダイ30としては、拡散層15が120×120mmの大きさで裁断できるようにダイ30のカッター31を調整し、更に、拡散層15の周縁部に、スリット幅10mmで枠状に樹脂組成物35を含浸させるようにスリット34を調節した。また、樹脂含浸部18の内周から0mmの位置に、枠状の押さえ板32が幅32mmで配置されるように設定した。平板20は360℃となるようにあらかじめヒーター21で加温した。
次に、図2(2b)に示すように、拡散層15にダイ30を押し付けることによって、カッター31によって拡散層15を裁断すると共に、裁断部の内周部分を押さえ板32によって圧力3MPaで押圧し、その状態で、シャッター33を開いて、スリット34から、樹脂組成物35を基材単位面積あたりの吐出量0.028cc/min・cmで吐出し、裁断した拡散層15の周縁部に樹脂組成物35を含浸させて硬化させ、拡散層15の周縁部に樹脂含浸部18を形成した。
<燃料電池セルの製造>
電解質膜11として、130×130mmのパーフルオロスルホン酸ポリマー(デュポン社製:ナフィオン117、厚さ183μm)を用い、その両面に、枠状の保護フィルム13として、幅30mm、内周が100×100mmの、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)フィルム(厚さ50μm)を重ねて熱プレスにより接合した。
次に、触媒層12として、白金担持カーボンとパーフルオロスルホン酸ポリマー溶液(ナフィオン溶液)とを混合したペーストを、上記の電解質膜11上の保護フィルム13の枠内に厚さ50μmで塗布し、MEA14を形成した。
次いで、上記の樹脂含浸部18を形成した拡散層15を、120℃、3MPa、3分間の条件で熱プレスして、MEA14と拡散層15とを一体化してMEA−拡散層接合体を得た。
更に、枠状の保護フィルム13上に、フッ素ゴムからなる、幅5mmの枠状のガスシール17を形成した後、一対のセパレータ16で挟み込み一体化させてセル10を製造した。
比較例
実施例の拡散層の作成において樹脂含浸部18の形成を行なわなかった以外は、実施例と同様の条件でセルを作成した。
試験例
実施例及び比較例のセルについて、両極に窒素ガスを、0.05MPaの圧力で充填したときにセル外周にもれた窒素量を測定することにより、ガスシール性を測定した。
その結果、実施例のセルは比較例のセルに比べて窒素リーク量が1/3であり、本発明の固体高分子電解質型燃料電池においては、拡散層の周縁部に樹脂組成物を含浸させた結果、ガスシール性が向上していることがわかる。
本発明は、電解質に高分子膜を用い、拡散層に導電性繊維からなるシートを用いた固体高分子電解質型燃料電池に好適に利用できる。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池の一実施形態を示す断面図である。 本発明の固体高分子電解質型燃料電池の製造方法の一実施形態における拡散層の製造工程を示す図であって、(1)拡散層を裁断前の平面図(1a)及び断面図(1b)、(2)拡散層の裁断、樹脂含浸工程中の断面図(2b)、(3)拡散層の裁断、樹脂含浸工程後の平面図(3a)及び断面図(3b)である。 従来の固体高分子電解質型燃料電池の一例を示す断面図である。
符号の説明
10:セル
11:電解質膜
12:触媒層
13:保護フィルム
14:膜−電極接合体(MEA)
15:拡散層
16:セパレータ
17:ガスシール
18:樹脂含浸部
20:平板
21:ヒーター
30:ダイ
31:カッター
32:押さえ板
33:シャッター
34:スリット
35:樹脂組成物
36:キャビィティ

Claims (7)

  1. 固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の両面に接合された触媒層と、この触媒層の外側に接合された拡散層とを備えた固体高分子電解質型燃料電池において、前記拡散層が導電性繊維からなるシートであって、前記シートの周縁部に樹脂組成物が含浸されており、該樹脂組成物によって、前記周縁部の前記導電性繊維が互いに固着されていることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
  2. 前記樹脂組成物がフッ素樹脂を含有する請求項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  3. 前記樹脂組成物が、更にカーボン粒子を含有する請求項2に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  4. 前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する請求項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  5. 固体高分子電解質膜の両面に触媒層を積層する膜−電極接合体形成工程と、前記触媒層上に拡散層を積層する拡散層積層工程とを含む固体高分子電解質型燃料電池の製造方法において、前記拡散層として導電性繊維からなるシートを用い、前記シートの周縁部に樹脂組成物を含浸させて前記周縁部の前記導電性繊維を固着させる樹脂含浸工程の後、前記拡散層積層工程を行なうことを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池の製造方法。
  6. 前記樹脂含浸工程において、前記拡散層の裁断を行なった後、前記拡散層を移動させることなく、前記拡散層の周囲に前記樹脂組成物を含浸させる請求項5に記載の固体高分子電解質型燃料電池の製造方法。
  7. 前記樹脂含浸工程において、枠状のスリットからなる前記樹脂組成物の吐出口と、この吐出口の外周に配置された枠状のカッターと、前記吐出口の内周に配置された枠状の押さえ板とを有するダイを用い、前記導電性繊維からなるシートに前記ダイを押し付けることにより、前記カッターにより前記シートを裁断すると共に、前記シートの裁断部から所定距離離れた内周部分を前記押さえ板で押圧し、その状態で前記吐出口から前記樹脂組成物を吐出し、前記シートに含浸させて硬化させる請求項6記載の固体高分子電解質型燃料電池の製造方法。
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