JP2004147412A - 多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高い冷却能力を有する小型のダブルコイルエンドモータを提供する。
【解決手段】ダブルコイルエンドモータ100は、外側モータ200と内側モータ300とを回転中心が一致するように配置し、互いのステータコイルエンドが互いに重なるように、スラスト方向の中心軸をずらした。ダブルコイルエンドモータ100は、ケーシング110に設けられた、潤滑油の油路400、孔部410および孔部420と、外側ロータ202を支持する支持体である外側ロータ回転軸212に潤滑油を供給するために、内側ロータ回転軸312に設けられた孔部430とを含む。孔部430は、外側ロータ回転軸212に供給された潤滑油が遠心力によりコイルエンドの重なり部分に供給されるように設けられる。
【選択図】 図2
【解決手段】ダブルコイルエンドモータ100は、外側モータ200と内側モータ300とを回転中心が一致するように配置し、互いのステータコイルエンドが互いに重なるように、スラスト方向の中心軸をずらした。ダブルコイルエンドモータ100は、ケーシング110に設けられた、潤滑油の油路400、孔部410および孔部420と、外側ロータ202を支持する支持体である外側ロータ回転軸212に潤滑油を供給するために、内側ロータ回転軸312に設けられた孔部430とを含む。孔部430は、外側ロータ回転軸212に供給された潤滑油が遠心力によりコイルエンドの重なり部分に供給されるように設けられる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される多層同軸回転電機に関し、特に、エンジンおよびモータなどの二種類以上の動力源を搭載したハイブリッドシステムに用いられる多層同軸回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン(例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の機関を用いることが考えられる。)と電気モータとを組合せたハイブリッドシステムと呼ばれるパワートレインを搭載した車両が開発され、実用化されている。このような車両においては、運転者のアクセル操作量に関係なく、エンジンによる運転と電気モータとによる運転とが自動的に切換えられて、最も効率が良くなるように制御される。
【0003】
このようなハイブリッドシステムにおいて、エンジン動力を遊星歯車(プラネタリーギヤ)を用いた動力分割機構により、駆動輪へ伝達される駆動力と、発電機に伝達される駆動力とに分割するシステムがある。発電機により発電された電力は、モータ駆動に直接使用されたり、インバータで直流に変換されて高電圧バッテリーに蓄えられたりする。発電機の回転数を制御することにより、動力分割機構は無段変速機としても機能する。エンジン回転力はプラネタリーキャリアに入力され、入力された回転力はサンギヤにより発電機に、リングギヤによってモータおよび出力軸に伝達される。したがって、このようなハイブリッドシステムにおいては、モータ、発電機、遊星歯車機構等から構成される動力分割機構が必要になる。
【0004】
車両においては、エンジンおよび動力分割機構を搭載するスペースに制限があり、軸方向に長い構造物を搭載するのは容易ではない。軸方向の長さを短くするために2つのモータを二重構造にした、いわゆるダブルロータ構造にすることも考えられる。
【0005】
特開平9−46984号公報(特許文献1)は、このようなハイブリッドシステムに用いることができる車両用駆動装置を開示する。この特許文献1に記載された車両用駆動装置は、内燃機関または2次電池からの出力を入力とし、連結される負荷出力に対して所定の駆動トルクおよび回転数を出力するように制御する。この駆動装置は、ハウジングと、そのハウジングに収容され、負荷出力に回転力を伝える相対回転可能な第1および第2の回転子と、ハウジングに固定される固定子とを備える。第2の回転子には、第1の回転子と相対的に回転駆動することにより相互電磁作用を行なう第1の磁気回路と、固定子と相対的に回転駆動することにより相互電磁作用を行なう第2の磁気回路とを含む。これら回転子および固定子を同心円状に配置するとともに、第1の回転子または第2の回転子に、いずれかの回転子の回転により駆動装置を冷却する送風機構を設けた。
【0006】
特許文献1に記載された車両用駆動装置によると、2つの回転電機をそれぞれ構成する回転子および固定子を同心円状に回転可能な二重構造として配置するとともに、第1の回転子または第2の回転子に、いずれかの回転子の回転により駆動装置を冷却する、軸流ファンなどの送風機構を設けた。このようにすると、回転子の回転を利用して、駆動装置を効率よく冷却することができる。
【0007】
特開平5−308751号公報(特許文献2)は、上述したハイブリッドシステムに用いることができる車両用駆動装置を開示する。この特許文献2に記載された車両用交流発電機は、同一のシャフトの軸方向に直列に配置される第1のロータおよび第2のロータと、第1のロータに対応する第1のステータコイル付きコアと、第2のロータに対応する第2のステータコイル付きコアとを備える。第1および第2のロータにおける各々のポールコア対のうちブラケット端面に対向する側のポールコア背面にそれぞれファンブレードが配設される。第1および第2のロータ間に遠心ファンがシャフトと一体として回転できるように配置される。第1および第2のロータのうちの少なくとも1つには、通気孔が軸方向に向けて貫通して形成される。ブラケットには、そのブラケット両端面に通風窓を設けるとともに、ブラケット円周面のうち、一方のブラケット端面寄りで第1のステータコイルに近い位置と、他方のブラケット寄りで第2のステータコイルに近い位置と、第1および第2のステータコイルの中間に近い位置とに通風窓が形成される。
【0008】
特許文献2に記載された車両用交流発電機によると、従来、スムーズな通風通路の形成が困難であった、第1および第2のロータ中間およびステータコイル中間にも、通風経路を形成できる。これにより、この通風経路を介して外気をスムーズに導入するので、ステータコイルおよびコアの全体を隅々まで冷却するので、発電機冷却能力が大幅に向上する。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−46984号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平5−308751号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されたダブルロータ構造の回転電機においては、非常に狭い空間にロータおよびステータコイルが配置される。このようなロータおよびステータコイルは、コイルに流れる電流などにより発熱する。たとえば、特許文献2に記載された回転電機の構造図によると、外側の回転電機のステータのコイルエンドと、内側の回転電機のステータのコイルエンドとが、狭い空間で互いに重なり合うように配置されている。このような場合、大きな冷却能力により、コイルエンドで発生する熱量を狭い空間から逃がして冷却する必要がある。特許文献1および特許文献2に記載された通風冷却では、冷媒である空気による冷却では十分に冷却する能力を有しない。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、冷却能力に優れ、車両に適した小型の多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る多層同軸回転電機は、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とを同軸に配置した。この多層同軸回転電機は、第1の回転電機および第2の回転電機はそれぞれ一対のロータとステータとを有する。この多層同軸回転電機においては、第1の回転電機のステータにおける軸に平行な第1の方向のコイルエンドと、第2の回転電機のステータにおける第1の方向とは異なる第2の方向のコイルエンドとの重なり部分を有するように、第1の回転電機のステータのスラストセンタと第2の回転電機のステータのスラストセンタとが軸方向にずれて配置されている。この多層同軸回転電機は、重なり部分に冷却用流体を供給するための供給手段を含む。
【0014】
第1の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とを、第1の回転電機のステータのコイルエンドと第2の回転電機のステータのコイルエンドとが重なるように、スラスト方向にずらした。供給手段は、第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に、回転電機の内側から外側に遠心力を用いて、冷却用流体を供給する。この冷却用流体は、回転電機のロータを支持する軸受の潤滑油であって、液体状およびミスト状などである。このようにして、2台の回転電機を、それらのスラスト方向をずらして配置して、ずらすことにより重なったステータのコイルエンドに軸受の潤滑用の流体を供給して、大幅に改造を加えることなく高い冷却能力を実現する。その結果、冷却能力に優れ、車両に適した小型の多層同軸回転電機を提供することができる。
【0015】
第2の発明に係る多層同軸回転電機は、第1の発明の構成に加えて、第2の回転電機のロータの支持体は、端部で回転直径が小さくなるように、軸に垂直な方向の支持部材を含む。
【0016】
第2の発明によると、支持部材は、第2の回転電機の回転部であるロータの支持軸を、端部で回転直径を小さくする。外側の第2の回転電機のロータの回転支持径を小さくすることにより、支持部における周速を抑えることができる。これにより、第2の回転電機の回転数を上昇させることができる。高回転高出力化を実現できると、さらにステータもロータも軸方向に短くできる。その結果、さらに、冷却能力の優れた多層同軸回転電機を小型化できる。
【0017】
第3の発明に係る多層同軸回転電機は、第2の発明の構成に加えて、供給手段は、支持体に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0018】
第3の発明によると、支持体に冷却用流体を供給すると、冷却用流体が、その支持体の端部に設けられた軸受に供給されるとともに、支持体から第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に供給される。そのため、軸受の潤滑用の流体を用いてコイルエンドを冷却できる。
【0019】
第4の発明に係る多層同軸回転電機は、第3の発明の構成に加えて、供給手段は、支持体の端部に設けられた、第2の回転電機のロータを支持する軸受に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0020】
第4の発明によると、支持体に冷却用流体を供給すると、冷却用流体が、その支持体の端部に設けられた第2の回転電機のロータを支持する軸受に供給されるとともに、支持体から第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に供給される。そのため、第2の回転電機のロータの軸受の潤滑用の流体を用いてコイルエンドを冷却できる。
【0021】
第5の発明に係る多層同軸回転電機は、第4の発明の構成に加えて、供給手段は、軸の内部に設けられた油路を介して軸受に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0022】
第5の発明によると、冷却用流体が、遠心力により、軸の内部から、内側の第1のモータのロータを支持する軸受および外側の第2のモータのロータを支持する軸受に供給された後に、コイルエンドの重なり部分に供給される。
【0023】
第6の発明に係る多層同軸回転電機は、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、その端部に設けられた、第1の回転電機および第2の回転電機に接続される遊星ギヤ機構をさらに含む。
【0024】
第6の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とをスラスト方向にずらしたことにより、2つのステータのコイルエンドが重なる。この重なりに軸受潤滑用の流体を供給する。このような2台の回転電機に、それらの回転電機の出力が伝達される遊星歯車機構とを組合せることにより、小型化した冷却能力の高い多層同軸回転電機を実現できる。
【0025】
第7の発明に係るハイブリッド駆動システムは、第6の発明の構成により特定される多層同軸回転電機と、内燃機関とを含むものである。
【0026】
第7の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とをスラスト方向にずらしたことにより、2つのステータのコイルエンドが重なる。この重なりに軸受の潤滑用の流体を供給する。このような2台の回転電機に、それらの回転電機の出力が伝達される遊星歯車機構とを組合せ、さらに内燃機関を組合せることにより、小型化した冷却能力の高い多層同軸回転電機を用いたハイブリッド駆動システムを実現できる。
【0027】
第8の発明に係るハイブリッド駆動システムは、第7の発明の構成に加えて、第1の回転電機のロータは、遊星ギヤ機構のサンギヤに接続され、第2の回転電機のロータは、遊星ギヤ機構のリングギヤに接続され、内燃機関の回転軸は、遊星ギヤ機構のプラネットキャリアに接続されるものである。
【0028】
第8の発明によると、第1の回転電機のロータを、遊星ギヤ機構のサンギヤに、第2の回転電機のロータを、遊星ギヤ機構のリングギヤに、内燃機関の回転軸を、遊星ギヤ機構のプラネットキャリアに、それぞれ接続する。このように構成されたハイブリッド駆動システムは、スムーズな発進および加速という優れたドライバビリティを確保するとともに、燃費が最高になるように内燃機関の回転力と、回転電機の回転力との配分をコントロールすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0030】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータについて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100は、外側モータ200と、内側モータ300と、これらの外側モータ200および内側モータ300を収納するケーシング110とを含む。
【0031】
外側モータ200は、外側ロータ202と、この外側ロータ202に対向する位置に設けられた外側ステータ204とを含む。外側ステータ204には軸方向に平行な方向の両端部に外側ステータコイルエンド206、208が形成されている。外側ロータ202と外側ステータ204とはそれぞれのスラスト方向の中心が一致するように設けられる。
【0032】
外側ロータ202は、外側ロータ回転軸212により支持されて回転軸210に出力される。回転軸210は、図示しない遊星歯車機構のリングギヤに接続される。外側ロータ回転軸212は、ケーシング110のベアリング支持部112により支持されるベアリング220と、ベアリング222とにより支持される。すなわち、外側ロータ202は、両持ち構造により支持される。
【0033】
外側ロータ回転軸212は、遊星歯車機構側で回転支持径が小さくなるような支持部材214を有する。すなわち、外側モータ200において外側ロータ202の回転径は外ロータ回転軸212の位置により決定される。一方、外側ロータ202の支持部における回転径は、支持部材214により回転径が小さくなったロータ回転軸210の位置により定められる。このため、支持部材214により外側ロータ202の回転軸を支持する位置における回転径が、外側ロータ202の回転径よりも小さいため、支持部における周速を大きくすることができる。これにより、外側ロータ202を高速で回転させることができる。
【0034】
内側モータ300は、内側ロータ302と、内側ロータ302に対向するように設けられた内側ステータ304とを含む。内側ステータ304の軸方向両端部には内側ステータコイルエンド306、308が形成されている。内側ロータ302と内側ステータ304の軸方向の位置は一致するように設けられる。
【0035】
内側ロータ302を支持する内側ロータ回転軸312は、支持部材314を介して、その支持部における回転半径を小さくした状態の回転軸310を介して図示しない遊星歯車機構のサンギヤに接続される。内側ロータ回転軸312は、ケーシング110のベアリング支持部114により支持される内側ロータベアリング320と、支持部116により支持される内側ロータベアリング322とにより支持される。すなわち、内側ロータ302は両持ち構造により支持される。
【0036】
なお、図1に示すように、このダブルコイルエンドモータは、外側モータのステータ204のスラスト方向中心軸250と、内側モータ300の内側ステータ304のスラスト方向中心軸350とがずれて配置される。外側モータ200のスラスト方向中心軸250と、内側モータ300のスラスト方向中心軸350とは、外側ステータ240のステータコイルエンド260と内側ステータ304の内側ステータコイルエンド308とが重なり部を有するようにずらして配置される。
【0037】
このようにして本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100は、外側ステータコイルエンコード206と内側ステータコイルエンコード308とを重ねて配置したことにより、軸方向の長さを短くすることができる。
【0038】
図2を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100の潤滑油の供給経路について説明する。図2に示すように、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100においては、外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に、ベアリング潤滑用のオイルを、コイルエンド冷却用流体として供給する。
【0039】
ケーシング110に設けられた油路400は、内側ロータベアリング322に潤滑油を供給するための孔部410と、内側ロータベアリング320に潤滑油を供給するための孔部420とを有する。また内側ロータ回転軸312には、ベアリング222に潤滑油を供給するための孔部430が設けられている。
【0040】
以上のような構造を有する本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100における潤滑油の流れについて説明する。
【0041】
図1および図2を参照して、オイルポンプなどによりベアリング潤滑用の潤滑油が油路400に供給される。油路400に供給された潤滑油は、内側モータ300の回転により遠心力により、孔部410から内側ロータベアリング322へ、孔部420から内側ロータベアリング320へ供給される。内側ロータベアリング320に供給された潤滑油は、内側ロータ回転軸312に設けられた孔部430を介して、遠心力によりさらに外側に供給される。すなわち、潤滑油は、孔部430を通ってベアリング222に供給される。
【0042】
ベアリング222に供給された潤滑油は、さらに遠心力により、外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に供給される。この重なり部分に供給された潤滑油は、外側ステータコイルエンド206と、内側ステータコイルエンド308とを冷却する。
【0043】
さらに遠心力により外側に供給された潤滑油は、ケーシング110に供給され、ケーシング110の一部に設けられたオイルパンに溜まることになる。オイルパンに溜められた潤滑油は、再度オイルポンプにより油路400に供給される。
【0044】
以上のようにして、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータによると、外側モータのステータコイルエンドと内側モータのステータコイルエンドとが重なるように外側モータと内側モータのスラスト方向中心軸をずらして配置する。ダブルコイルエンドモータの内側から外側へ向かう遠心力を用いて、ベアリング潤滑用の潤滑油を外側ロータの支持体である外側ロータ回転軸に供給する。このとき、内側ロータ回転軸を支持するベアリングおよび外側ロータ回転軸を支持するベアリングを通って、外側ロータを支持する支持体である外側ロータ回転軸に供給される。外側ロータ回転軸に供給された潤滑油は、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドの重なり部分に供給される。この重なり部分に供給された潤滑油により、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドとが冷却される。その結果、従来ベアリング潤滑用に用いられている潤滑油を、外側ロータを支持する回転軸に供給することにより、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドの重なり部分に潤滑油を供給することができ、冷却能力に優れ、車両に適した小型のダブルコイルエンドモータを提供することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000について説明する。本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000は、前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100とはロータの支持形態が異なる。
【0046】
図3を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000は、外側モータ1200と、内側モータ1300と、これらの外側モータ1200および内側モータ1300を収納するケーシング1110とを含む。前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100と同様、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000も、外側ステータのスラスト方向中心軸250と、内側ステータのスラスト方向中心軸350とが、外側ステータコイルエンド260と内側ステータコイルエンド308が重なり部分を有するようにずれて配置される。
【0047】
外側モータ1200は、外側ロータ202と、内側ステータ204とを有する。外側ロータ202は、外側ロータ202を支持する外側ロータ回転軸1212により支持される。外側ロータ回転軸1212は、支持部材1214によりその支持半径を小さくして外側ロータ回転軸1210に接続されている。この外側ロータ回転軸1210は、図示しない遊星歯車機構のリングギヤに接続される。外側ロータ回転軸1210は、ケーシング1110のベアリング支持部1112により支持されたベアリング1220およびベアリング支持部1114に支持されたベアリング1222により支持される。
【0048】
すなわち、図3に示すように、このダブルコイルエンドモータ1000の外側ロータ202は、ベアリング1220およびベアリング1222により片持ち支持の構造を有する。また、外側ロータ回転軸の支持部においては、支持部材1214によりその支持径が小さくなっているため、外側ロータ202の回転数を高くして回転させることができる。
【0049】
内側モータ1300は、内側ロータ302と、内側ステータ308とを含む。内側ロータ302は、内側ロータ回転軸1310により支持される。内側ロータ回転軸1310は、図示しない遊星歯車機構のサンギヤに接続される。内側ロータ回転軸1310は、ケーシング1110のベアリング支持部1116により支持された内側ロータベアリング1320と、ベアリング支持部1118により支持された内側ロータベアリング1322とにより支持される。すなわち、図3に示すように、内側ロータ302を支持する内側ロータ回転軸1310は、片持ち構造により支持されている。
【0050】
図4を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000における潤滑油の潤滑経路について説明する。
【0051】
内側ロータ回転軸1310に設けられた潤滑油の油路1400は、このダブルコイルエンドモータ1000の内側から外側の遠心力を用いて潤滑油を外側に供給するために、孔部1410と孔部1420と孔部1430とを有する。孔部1410は、内側ロータベアリング1322に潤滑油を供給するために、孔部1420は内側ロータベアリング1320に潤滑油を供給するために、孔部1430は外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308の重なり部分に潤滑油を供給するために設けられる。
【0052】
以上のような構造を有する本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000における潤滑油の流れについて説明する。
【0053】
図3および図4を参照して、このダブルコイルエンドモータ1000が回転して、オイルポンプから油路1400にベアリング用のオイルが供給されると、油路1400から孔部1410を通って内側ロータベアリング1322に、孔部1420を通って内側ロータベアリング1320に、潤滑油が供給される。孔部1430を通った潤滑油は、ダブルコイルエンドモータ1000の回転による遠心力により、ダブルコイルエンドモータ1000の外側に供給される。このときこの部分には、外側ロータ202を支持する支持体である外側ロータ回転軸1212が設けられている。この支持体である外側ロータ回転軸1212に潤滑油を供給すると、その近傍に位置された外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に潤滑油が供給されることになる。外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に供給された潤滑油は、それぞれのステータコイルエンドを冷却する。ステータコイルエンドを冷却した潤滑油は、さらに遠心力によりダブルコイルエンドモータ1000の外側に供給され、ケーシング1110に到達する。潤滑油は、ケーシング1110の一部に設けられたオイルパンに溜められて、オイルパンからサイド油路1410に供給される。
【0054】
以上のようにして、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータによると、回転するロータを支持する回転軸を片持ち構造にした場合であっても、前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータと同様、優れた冷却能力を実現することができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの構造を模式的に表わした図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの潤滑油の供給経路を模式的に表わした図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの構造を模式的に表わした図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの潤滑油の供給経路を模式的に表わした図である。
【符号の説明】
100、1000 ダブルコイルエンドモータ、110、1110 ケーシング、112、114、116、1112、1114、1116、1118 ベアリング支持部、200、1200 外側モータ、202 外側ロータ、204 外側ステータ、206、208 外側ステータコイルエンド、210、1210外側モータ回転軸、220、222、1220、1222 外側ロータベアリング、300、1300 内側モータ、302 内側ロータ、304 内側ステータ、306、308 内側ステータコイルエンド、310、1310 内側モータ回転軸、320、322、1320、1322 内側ロータベアリング。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される多層同軸回転電機に関し、特に、エンジンおよびモータなどの二種類以上の動力源を搭載したハイブリッドシステムに用いられる多層同軸回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン(例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の機関を用いることが考えられる。)と電気モータとを組合せたハイブリッドシステムと呼ばれるパワートレインを搭載した車両が開発され、実用化されている。このような車両においては、運転者のアクセル操作量に関係なく、エンジンによる運転と電気モータとによる運転とが自動的に切換えられて、最も効率が良くなるように制御される。
【0003】
このようなハイブリッドシステムにおいて、エンジン動力を遊星歯車(プラネタリーギヤ)を用いた動力分割機構により、駆動輪へ伝達される駆動力と、発電機に伝達される駆動力とに分割するシステムがある。発電機により発電された電力は、モータ駆動に直接使用されたり、インバータで直流に変換されて高電圧バッテリーに蓄えられたりする。発電機の回転数を制御することにより、動力分割機構は無段変速機としても機能する。エンジン回転力はプラネタリーキャリアに入力され、入力された回転力はサンギヤにより発電機に、リングギヤによってモータおよび出力軸に伝達される。したがって、このようなハイブリッドシステムにおいては、モータ、発電機、遊星歯車機構等から構成される動力分割機構が必要になる。
【0004】
車両においては、エンジンおよび動力分割機構を搭載するスペースに制限があり、軸方向に長い構造物を搭載するのは容易ではない。軸方向の長さを短くするために2つのモータを二重構造にした、いわゆるダブルロータ構造にすることも考えられる。
【0005】
特開平9−46984号公報(特許文献1)は、このようなハイブリッドシステムに用いることができる車両用駆動装置を開示する。この特許文献1に記載された車両用駆動装置は、内燃機関または2次電池からの出力を入力とし、連結される負荷出力に対して所定の駆動トルクおよび回転数を出力するように制御する。この駆動装置は、ハウジングと、そのハウジングに収容され、負荷出力に回転力を伝える相対回転可能な第1および第2の回転子と、ハウジングに固定される固定子とを備える。第2の回転子には、第1の回転子と相対的に回転駆動することにより相互電磁作用を行なう第1の磁気回路と、固定子と相対的に回転駆動することにより相互電磁作用を行なう第2の磁気回路とを含む。これら回転子および固定子を同心円状に配置するとともに、第1の回転子または第2の回転子に、いずれかの回転子の回転により駆動装置を冷却する送風機構を設けた。
【0006】
特許文献1に記載された車両用駆動装置によると、2つの回転電機をそれぞれ構成する回転子および固定子を同心円状に回転可能な二重構造として配置するとともに、第1の回転子または第2の回転子に、いずれかの回転子の回転により駆動装置を冷却する、軸流ファンなどの送風機構を設けた。このようにすると、回転子の回転を利用して、駆動装置を効率よく冷却することができる。
【0007】
特開平5−308751号公報(特許文献2)は、上述したハイブリッドシステムに用いることができる車両用駆動装置を開示する。この特許文献2に記載された車両用交流発電機は、同一のシャフトの軸方向に直列に配置される第1のロータおよび第2のロータと、第1のロータに対応する第1のステータコイル付きコアと、第2のロータに対応する第2のステータコイル付きコアとを備える。第1および第2のロータにおける各々のポールコア対のうちブラケット端面に対向する側のポールコア背面にそれぞれファンブレードが配設される。第1および第2のロータ間に遠心ファンがシャフトと一体として回転できるように配置される。第1および第2のロータのうちの少なくとも1つには、通気孔が軸方向に向けて貫通して形成される。ブラケットには、そのブラケット両端面に通風窓を設けるとともに、ブラケット円周面のうち、一方のブラケット端面寄りで第1のステータコイルに近い位置と、他方のブラケット寄りで第2のステータコイルに近い位置と、第1および第2のステータコイルの中間に近い位置とに通風窓が形成される。
【0008】
特許文献2に記載された車両用交流発電機によると、従来、スムーズな通風通路の形成が困難であった、第1および第2のロータ中間およびステータコイル中間にも、通風経路を形成できる。これにより、この通風経路を介して外気をスムーズに導入するので、ステータコイルおよびコアの全体を隅々まで冷却するので、発電機冷却能力が大幅に向上する。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−46984号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平5−308751号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されたダブルロータ構造の回転電機においては、非常に狭い空間にロータおよびステータコイルが配置される。このようなロータおよびステータコイルは、コイルに流れる電流などにより発熱する。たとえば、特許文献2に記載された回転電機の構造図によると、外側の回転電機のステータのコイルエンドと、内側の回転電機のステータのコイルエンドとが、狭い空間で互いに重なり合うように配置されている。このような場合、大きな冷却能力により、コイルエンドで発生する熱量を狭い空間から逃がして冷却する必要がある。特許文献1および特許文献2に記載された通風冷却では、冷媒である空気による冷却では十分に冷却する能力を有しない。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、冷却能力に優れ、車両に適した小型の多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る多層同軸回転電機は、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とを同軸に配置した。この多層同軸回転電機は、第1の回転電機および第2の回転電機はそれぞれ一対のロータとステータとを有する。この多層同軸回転電機においては、第1の回転電機のステータにおける軸に平行な第1の方向のコイルエンドと、第2の回転電機のステータにおける第1の方向とは異なる第2の方向のコイルエンドとの重なり部分を有するように、第1の回転電機のステータのスラストセンタと第2の回転電機のステータのスラストセンタとが軸方向にずれて配置されている。この多層同軸回転電機は、重なり部分に冷却用流体を供給するための供給手段を含む。
【0014】
第1の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とを、第1の回転電機のステータのコイルエンドと第2の回転電機のステータのコイルエンドとが重なるように、スラスト方向にずらした。供給手段は、第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に、回転電機の内側から外側に遠心力を用いて、冷却用流体を供給する。この冷却用流体は、回転電機のロータを支持する軸受の潤滑油であって、液体状およびミスト状などである。このようにして、2台の回転電機を、それらのスラスト方向をずらして配置して、ずらすことにより重なったステータのコイルエンドに軸受の潤滑用の流体を供給して、大幅に改造を加えることなく高い冷却能力を実現する。その結果、冷却能力に優れ、車両に適した小型の多層同軸回転電機を提供することができる。
【0015】
第2の発明に係る多層同軸回転電機は、第1の発明の構成に加えて、第2の回転電機のロータの支持体は、端部で回転直径が小さくなるように、軸に垂直な方向の支持部材を含む。
【0016】
第2の発明によると、支持部材は、第2の回転電機の回転部であるロータの支持軸を、端部で回転直径を小さくする。外側の第2の回転電機のロータの回転支持径を小さくすることにより、支持部における周速を抑えることができる。これにより、第2の回転電機の回転数を上昇させることができる。高回転高出力化を実現できると、さらにステータもロータも軸方向に短くできる。その結果、さらに、冷却能力の優れた多層同軸回転電機を小型化できる。
【0017】
第3の発明に係る多層同軸回転電機は、第2の発明の構成に加えて、供給手段は、支持体に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0018】
第3の発明によると、支持体に冷却用流体を供給すると、冷却用流体が、その支持体の端部に設けられた軸受に供給されるとともに、支持体から第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に供給される。そのため、軸受の潤滑用の流体を用いてコイルエンドを冷却できる。
【0019】
第4の発明に係る多層同軸回転電機は、第3の発明の構成に加えて、供給手段は、支持体の端部に設けられた、第2の回転電機のロータを支持する軸受に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0020】
第4の発明によると、支持体に冷却用流体を供給すると、冷却用流体が、その支持体の端部に設けられた第2の回転電機のロータを支持する軸受に供給されるとともに、支持体から第1のステータのコイルエンドおよび第2のステータのコイルエンドの重なり部分に供給される。そのため、第2の回転電機のロータの軸受の潤滑用の流体を用いてコイルエンドを冷却できる。
【0021】
第5の発明に係る多層同軸回転電機は、第4の発明の構成に加えて、供給手段は、軸の内部に設けられた油路を介して軸受に冷却用流体を供給するための手段を含む。
【0022】
第5の発明によると、冷却用流体が、遠心力により、軸の内部から、内側の第1のモータのロータを支持する軸受および外側の第2のモータのロータを支持する軸受に供給された後に、コイルエンドの重なり部分に供給される。
【0023】
第6の発明に係る多層同軸回転電機は、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、その端部に設けられた、第1の回転電機および第2の回転電機に接続される遊星ギヤ機構をさらに含む。
【0024】
第6の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とをスラスト方向にずらしたことにより、2つのステータのコイルエンドが重なる。この重なりに軸受潤滑用の流体を供給する。このような2台の回転電機に、それらの回転電機の出力が伝達される遊星歯車機構とを組合せることにより、小型化した冷却能力の高い多層同軸回転電機を実現できる。
【0025】
第7の発明に係るハイブリッド駆動システムは、第6の発明の構成により特定される多層同軸回転電機と、内燃機関とを含むものである。
【0026】
第7の発明によると、多層同軸回転電機における、内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とをスラスト方向にずらしたことにより、2つのステータのコイルエンドが重なる。この重なりに軸受の潤滑用の流体を供給する。このような2台の回転電機に、それらの回転電機の出力が伝達される遊星歯車機構とを組合せ、さらに内燃機関を組合せることにより、小型化した冷却能力の高い多層同軸回転電機を用いたハイブリッド駆動システムを実現できる。
【0027】
第8の発明に係るハイブリッド駆動システムは、第7の発明の構成に加えて、第1の回転電機のロータは、遊星ギヤ機構のサンギヤに接続され、第2の回転電機のロータは、遊星ギヤ機構のリングギヤに接続され、内燃機関の回転軸は、遊星ギヤ機構のプラネットキャリアに接続されるものである。
【0028】
第8の発明によると、第1の回転電機のロータを、遊星ギヤ機構のサンギヤに、第2の回転電機のロータを、遊星ギヤ機構のリングギヤに、内燃機関の回転軸を、遊星ギヤ機構のプラネットキャリアに、それぞれ接続する。このように構成されたハイブリッド駆動システムは、スムーズな発進および加速という優れたドライバビリティを確保するとともに、燃費が最高になるように内燃機関の回転力と、回転電機の回転力との配分をコントロールすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0030】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータについて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100は、外側モータ200と、内側モータ300と、これらの外側モータ200および内側モータ300を収納するケーシング110とを含む。
【0031】
外側モータ200は、外側ロータ202と、この外側ロータ202に対向する位置に設けられた外側ステータ204とを含む。外側ステータ204には軸方向に平行な方向の両端部に外側ステータコイルエンド206、208が形成されている。外側ロータ202と外側ステータ204とはそれぞれのスラスト方向の中心が一致するように設けられる。
【0032】
外側ロータ202は、外側ロータ回転軸212により支持されて回転軸210に出力される。回転軸210は、図示しない遊星歯車機構のリングギヤに接続される。外側ロータ回転軸212は、ケーシング110のベアリング支持部112により支持されるベアリング220と、ベアリング222とにより支持される。すなわち、外側ロータ202は、両持ち構造により支持される。
【0033】
外側ロータ回転軸212は、遊星歯車機構側で回転支持径が小さくなるような支持部材214を有する。すなわち、外側モータ200において外側ロータ202の回転径は外ロータ回転軸212の位置により決定される。一方、外側ロータ202の支持部における回転径は、支持部材214により回転径が小さくなったロータ回転軸210の位置により定められる。このため、支持部材214により外側ロータ202の回転軸を支持する位置における回転径が、外側ロータ202の回転径よりも小さいため、支持部における周速を大きくすることができる。これにより、外側ロータ202を高速で回転させることができる。
【0034】
内側モータ300は、内側ロータ302と、内側ロータ302に対向するように設けられた内側ステータ304とを含む。内側ステータ304の軸方向両端部には内側ステータコイルエンド306、308が形成されている。内側ロータ302と内側ステータ304の軸方向の位置は一致するように設けられる。
【0035】
内側ロータ302を支持する内側ロータ回転軸312は、支持部材314を介して、その支持部における回転半径を小さくした状態の回転軸310を介して図示しない遊星歯車機構のサンギヤに接続される。内側ロータ回転軸312は、ケーシング110のベアリング支持部114により支持される内側ロータベアリング320と、支持部116により支持される内側ロータベアリング322とにより支持される。すなわち、内側ロータ302は両持ち構造により支持される。
【0036】
なお、図1に示すように、このダブルコイルエンドモータは、外側モータのステータ204のスラスト方向中心軸250と、内側モータ300の内側ステータ304のスラスト方向中心軸350とがずれて配置される。外側モータ200のスラスト方向中心軸250と、内側モータ300のスラスト方向中心軸350とは、外側ステータ240のステータコイルエンド260と内側ステータ304の内側ステータコイルエンド308とが重なり部を有するようにずらして配置される。
【0037】
このようにして本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100は、外側ステータコイルエンコード206と内側ステータコイルエンコード308とを重ねて配置したことにより、軸方向の長さを短くすることができる。
【0038】
図2を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100の潤滑油の供給経路について説明する。図2に示すように、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100においては、外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に、ベアリング潤滑用のオイルを、コイルエンド冷却用流体として供給する。
【0039】
ケーシング110に設けられた油路400は、内側ロータベアリング322に潤滑油を供給するための孔部410と、内側ロータベアリング320に潤滑油を供給するための孔部420とを有する。また内側ロータ回転軸312には、ベアリング222に潤滑油を供給するための孔部430が設けられている。
【0040】
以上のような構造を有する本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100における潤滑油の流れについて説明する。
【0041】
図1および図2を参照して、オイルポンプなどによりベアリング潤滑用の潤滑油が油路400に供給される。油路400に供給された潤滑油は、内側モータ300の回転により遠心力により、孔部410から内側ロータベアリング322へ、孔部420から内側ロータベアリング320へ供給される。内側ロータベアリング320に供給された潤滑油は、内側ロータ回転軸312に設けられた孔部430を介して、遠心力によりさらに外側に供給される。すなわち、潤滑油は、孔部430を通ってベアリング222に供給される。
【0042】
ベアリング222に供給された潤滑油は、さらに遠心力により、外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に供給される。この重なり部分に供給された潤滑油は、外側ステータコイルエンド206と、内側ステータコイルエンド308とを冷却する。
【0043】
さらに遠心力により外側に供給された潤滑油は、ケーシング110に供給され、ケーシング110の一部に設けられたオイルパンに溜まることになる。オイルパンに溜められた潤滑油は、再度オイルポンプにより油路400に供給される。
【0044】
以上のようにして、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータによると、外側モータのステータコイルエンドと内側モータのステータコイルエンドとが重なるように外側モータと内側モータのスラスト方向中心軸をずらして配置する。ダブルコイルエンドモータの内側から外側へ向かう遠心力を用いて、ベアリング潤滑用の潤滑油を外側ロータの支持体である外側ロータ回転軸に供給する。このとき、内側ロータ回転軸を支持するベアリングおよび外側ロータ回転軸を支持するベアリングを通って、外側ロータを支持する支持体である外側ロータ回転軸に供給される。外側ロータ回転軸に供給された潤滑油は、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドの重なり部分に供給される。この重なり部分に供給された潤滑油により、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドとが冷却される。その結果、従来ベアリング潤滑用に用いられている潤滑油を、外側ロータを支持する回転軸に供給することにより、外側ステータコイルエンドと内側ステータコイルエンドの重なり部分に潤滑油を供給することができ、冷却能力に優れ、車両に適した小型のダブルコイルエンドモータを提供することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000について説明する。本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000は、前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100とはロータの支持形態が異なる。
【0046】
図3を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000は、外側モータ1200と、内側モータ1300と、これらの外側モータ1200および内側モータ1300を収納するケーシング1110とを含む。前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ100と同様、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000も、外側ステータのスラスト方向中心軸250と、内側ステータのスラスト方向中心軸350とが、外側ステータコイルエンド260と内側ステータコイルエンド308が重なり部分を有するようにずれて配置される。
【0047】
外側モータ1200は、外側ロータ202と、内側ステータ204とを有する。外側ロータ202は、外側ロータ202を支持する外側ロータ回転軸1212により支持される。外側ロータ回転軸1212は、支持部材1214によりその支持半径を小さくして外側ロータ回転軸1210に接続されている。この外側ロータ回転軸1210は、図示しない遊星歯車機構のリングギヤに接続される。外側ロータ回転軸1210は、ケーシング1110のベアリング支持部1112により支持されたベアリング1220およびベアリング支持部1114に支持されたベアリング1222により支持される。
【0048】
すなわち、図3に示すように、このダブルコイルエンドモータ1000の外側ロータ202は、ベアリング1220およびベアリング1222により片持ち支持の構造を有する。また、外側ロータ回転軸の支持部においては、支持部材1214によりその支持径が小さくなっているため、外側ロータ202の回転数を高くして回転させることができる。
【0049】
内側モータ1300は、内側ロータ302と、内側ステータ308とを含む。内側ロータ302は、内側ロータ回転軸1310により支持される。内側ロータ回転軸1310は、図示しない遊星歯車機構のサンギヤに接続される。内側ロータ回転軸1310は、ケーシング1110のベアリング支持部1116により支持された内側ロータベアリング1320と、ベアリング支持部1118により支持された内側ロータベアリング1322とにより支持される。すなわち、図3に示すように、内側ロータ302を支持する内側ロータ回転軸1310は、片持ち構造により支持されている。
【0050】
図4を参照して、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000における潤滑油の潤滑経路について説明する。
【0051】
内側ロータ回転軸1310に設けられた潤滑油の油路1400は、このダブルコイルエンドモータ1000の内側から外側の遠心力を用いて潤滑油を外側に供給するために、孔部1410と孔部1420と孔部1430とを有する。孔部1410は、内側ロータベアリング1322に潤滑油を供給するために、孔部1420は内側ロータベアリング1320に潤滑油を供給するために、孔部1430は外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308の重なり部分に潤滑油を供給するために設けられる。
【0052】
以上のような構造を有する本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータ1000における潤滑油の流れについて説明する。
【0053】
図3および図4を参照して、このダブルコイルエンドモータ1000が回転して、オイルポンプから油路1400にベアリング用のオイルが供給されると、油路1400から孔部1410を通って内側ロータベアリング1322に、孔部1420を通って内側ロータベアリング1320に、潤滑油が供給される。孔部1430を通った潤滑油は、ダブルコイルエンドモータ1000の回転による遠心力により、ダブルコイルエンドモータ1000の外側に供給される。このときこの部分には、外側ロータ202を支持する支持体である外側ロータ回転軸1212が設けられている。この支持体である外側ロータ回転軸1212に潤滑油を供給すると、その近傍に位置された外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に潤滑油が供給されることになる。外側ステータコイルエンド206と内側ステータコイルエンド308との重なり部分に供給された潤滑油は、それぞれのステータコイルエンドを冷却する。ステータコイルエンドを冷却した潤滑油は、さらに遠心力によりダブルコイルエンドモータ1000の外側に供給され、ケーシング1110に到達する。潤滑油は、ケーシング1110の一部に設けられたオイルパンに溜められて、オイルパンからサイド油路1410に供給される。
【0054】
以上のようにして、本実施の形態に係るダブルコイルエンドモータによると、回転するロータを支持する回転軸を片持ち構造にした場合であっても、前述の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータと同様、優れた冷却能力を実現することができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの構造を模式的に表わした図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの潤滑油の供給経路を模式的に表わした図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの構造を模式的に表わした図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るダブルコイルエンドモータの潤滑油の供給経路を模式的に表わした図である。
【符号の説明】
100、1000 ダブルコイルエンドモータ、110、1110 ケーシング、112、114、116、1112、1114、1116、1118 ベアリング支持部、200、1200 外側モータ、202 外側ロータ、204 外側ステータ、206、208 外側ステータコイルエンド、210、1210外側モータ回転軸、220、222、1220、1222 外側ロータベアリング、300、1300 内側モータ、302 内側ロータ、304 内側ステータ、306、308 内側ステータコイルエンド、310、1310 内側モータ回転軸、320、322、1320、1322 内側ロータベアリング。
Claims (8)
- 内側の第1の回転電機と外側の第2の回転電機とを同軸に配置した多層同軸回転電機であって、前記第1の回転電機および前記第2の回転電機はそれぞれ一対のロータとステータとを有し、前記多層同軸回転電機は、
前記第1の回転電機のステータにおける軸に平行な第1の方向のコイルエンドと、前記第2の回転電機のステータにおける前記第1の方向とは異なる第2の方向のコイルエンドとの重なり部分を有するように、前記第1の回転電機のステータのスラストセンタと前記第2の回転電機のステータのスラストセンタとが軸方向にずれて配置され、
前記多層同軸回転電機は、前記重なり部分に冷却用流体を供給するための供給手段を含む、多層同軸回転電機。 - 前記第2の回転電機のロータの支持体は、前記端部で回転直径が小さくなるように、軸に垂直な方向の支持部材を含む、請求項1に記載の多層同軸回転電機。
- 前記供給手段は、前記支持体に冷却用流体を供給するための手段を含む、請求項2に記載の多層同軸回転電機。
- 前記供給手段は、前記支持体の端部に設けられた、前記第2の回転電機のロータを支持する軸受に前記冷却用流体を供給するための手段を含む、請求項3に記載の多層同軸回転電機。
- 前記供給手段は、前記軸の内部に設けられた油路を介して前記軸受に前記冷却用流体を供給するための手段を含む、請求項4に記載の多層同軸回転電機。
- 前記多層同軸回転電機は、前記多層同軸回転電機の端部に設けられた、前記第1の回転電機および前記第2の回転電機に接続される遊星ギヤ機構をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の多層同軸回転電機。
- 請求項6に記載の多層同軸回転電機と、内燃機関とを含む、ハイブリッド駆動システム。
- 前記第1の回転電機のロータは、前記遊星ギヤ機構のサンギヤに接続され、前記第2の回転電機のロータは、前記遊星ギヤ機構のリングギヤに接続され、前記内燃機関の回転軸は、前記遊星ギヤ機構のプラネットキャリアに接続された、請求項7に記載のハイブリッド駆動システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002308595A JP2004147412A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システム |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002308595A JP2004147412A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システム |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004147412A true JP2004147412A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32454693
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002308595A Pending JP2004147412A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 多層同軸回転電機およびこれを用いたハイブリッド駆動システム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004147412A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008146943A1 (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-04 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 駆動装置 |
| JP2010519886A (ja) * | 2007-02-15 | 2010-06-03 | ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション | 入れ子状可変界磁発電電動機械 |
| JP2019004557A (ja) * | 2017-06-13 | 2019-01-10 | 本田技研工業株式会社 | モータジェネレータ装置 |
| CN113489273A (zh) * | 2021-07-08 | 2021-10-08 | 日立电梯电机(广州)有限公司 | 曳引机、电梯以及曳引机的制造方法 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308595A patent/JP2004147412A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010519886A (ja) * | 2007-02-15 | 2010-06-03 | ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション | 入れ子状可変界磁発電電動機械 |
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| US8344564B2 (en) | 2007-05-29 | 2013-01-01 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive device |
| JP2019004557A (ja) * | 2017-06-13 | 2019-01-10 | 本田技研工業株式会社 | モータジェネレータ装置 |
| CN113489273A (zh) * | 2021-07-08 | 2021-10-08 | 日立电梯电机(广州)有限公司 | 曳引机、电梯以及曳引机的制造方法 |
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