JP2002275732A - ポリエステル系繊維、その製造方法およびポリエステル系繊維構造物 - Google Patents

ポリエステル系繊維、その製造方法およびポリエステル系繊維構造物

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JP2002275732A
JP2002275732A JP2001080323A JP2001080323A JP2002275732A JP 2002275732 A JP2002275732 A JP 2002275732A JP 2001080323 A JP2001080323 A JP 2001080323A JP 2001080323 A JP2001080323 A JP 2001080323A JP 2002275732 A JP2002275732 A JP 2002275732A
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polyester
silica
polyester fiber
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particle
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English (en)
Inventor
Toshinori Hara
稔典 原
Keiji Takeda
恵司 竹田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シリカ系粒子の凝集やポリエステル組成物のゲ
ル化を抑制できるように粒子表面のシラノール基を封鎖
するが、製造途中でその封鎖分子が離脱したり吸湿性が
損なわれたりしないよう、吸湿性シリカ粒子の吸湿性に
寄与する粒子内部のシラノール基は封鎖せずに、粒子表
面近傍に存在するシリカ微粒子のみを選択的に封鎖す
る。 【解決手段】細孔容積が0.3ml/g以上、比表面積
が300m2/g以上であるシリカ系無機粒子を、分子
量が500以上の反応性有機化合物で処理し、該粒子を
ポリエステル系組成物に混合せしめた組成物を用いて紡
糸することにより、該粒子表面近傍に粒子中心部の3倍
以上の濃度でシラノール基と反応可能な官能基を有する
有機化合物が存在しているポリエステル系繊維を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸湿性を有し、清涼
感に関わる着用快適性に優れたポリエステル系繊維、そ
の製造方法、および繊維構造物に関する。より詳しく
は、吸湿性の微粒子を用いた吸湿ポリエステル系繊維に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル系繊維の吸湿性を向
上するため、繊維を構成するポリエステルを改質したり
繊維構造物に親水性化合物を付与したりする検討が広く
行われてきた。ここでポリエステルを改質する方法の一
つとして、吸湿性の微粒子を混合する方法があり、特開
2000−204230に吸湿性の高い多孔質無機粒子
を5〜20重量%含有せしめた吸放湿性ポリエステル組
成物が開示されている。このポリエステル繊維では高い
吸放湿性を持つポリエステル繊維が得られた点で画期的
であったが、特に微粒子としてシリカ系無機粒子を用い
た場合、その表面のシラノール基の反応性が高いために
粒子が凝集したり、ポリエステル分子と反応して組成物
がゲル化したりして、実用上十分な繊維物性が得られに
くいという問題があった。
【0003】この問題を防ぐため、同じく特開2000
−204230では多孔質無機粒子に隣接して熱水可溶
ポリマーを存在させた吸放湿性ポリエステル組成物が開
示されているが、この方法では多孔質無機粒子とポリエ
ステルを混合する過程で熱水可溶ポリマーが粒子から離
脱してしまいシリカ粒子表面のシラノール基を効率よく
封鎖するのが難しかったため、シラノール基に起因する
諸問題を十分に解決することはできなかった。
【0004】また特開平7−286095に開示されて
いるように、低分子のシラノール基と反応可能な官能基
を有する有機化合物、特にシランカップリング剤で粒子
表面のシラノール基を封鎖する方法も知られているが、
このような方法を用いるとシリカ粒子の吸湿性が損なわ
れ、吸湿性の高いポリエステル系繊維は得られなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明では粒子の凝集やポリエステル組成物のゲル化を抑
制できるように粒子表面のシラノール基を封鎖するが、
これまでの方法のように製造途中でその封鎖分子が離脱
したり吸湿性が損なわれたりしないよう、吸湿性シリカ
粒子の吸湿性に寄与する粒子内部のシラノール基は封鎖
せずに、粒子表面近傍に存在するシリカ微粒子のみを選
択的に封鎖できるようなポリエステル系繊維およびその
製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のポリエステル系繊維は、細孔容
積が0.3ml/g以上、比表面積が300m2/g以
上シリカ系無機粒子を含有したポリエステル系繊維であ
って、該粒子表面近傍に粒子中心部の3倍以上の濃度で
反応性有機化合物性が存在していることを特徴とするも
のである。
【0007】また、本発明のポリエステル系繊維の製造
方法は、細孔容積が0.3ml/g以上、比表面積が3
00m2/g以上であるシリカ系無機粒子を分子量50
0以上の反応性有機化合物で処理し、該粒子をポリエス
テル系組成物に混合せしめた組成物を用いて紡糸するこ
とを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル系繊維とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香
族ポリエステルやポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの
脂肪族ポリエステルを基本的な構成単位としてなるポリ
エステル繊維を含む。なかでもポリエチレンテレフタレ
ートを基本的な構成単位としてなるものが強度や耐久性
の点で望ましい。
【0009】また本発明では上記のポリエステルに何ら
かの他の成分を共重合した共重合体からなる繊維や、こ
れらに他の有機高分子化合物を少量ブレンドした混合物
からなる繊維もこれに含まれる。例えばポリエチレンテ
レフタレートにおけるテレフタル酸の代わりに用いうる
化合物としては、イソフタル酸、2.6-ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの、芳香
族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸及びそれらの誘導体を
挙げることができる。またエチレングリコールの代わり
に用いうるジオール化合物としては、プロピレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、1.4-シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族
のジオール化合物やそれらの誘導体を挙げることができ
る。
【0010】さらに本発明のポリエステル系繊維は、本
発明の効果を妨げない範囲で艶消し剤、耐光剤、制電
剤、消臭剤、微細孔形成剤などを含んでいてもよい。
【0011】なお、本発明では優れた強度や耐久性の点
から、ポリエステル系繊維を構成するポリエステルの8
0モル%以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位
からなるポリエステルであることが望ましい。
【0012】本発明のポリエステル系繊維は実施の形態
において、ポリエステル系繊維構造物として用いること
ができる。ポリエステル系繊維構造物としては、ポリエ
ステル系繊維からなる糸条、織物、編物、不織布などの
布帛類を挙げることができる。また、本発明の効果を妨
げない範囲で、綿、羊毛などの天然繊維や他の合成繊維
等を、本発明で用いるポリエステル系繊維と混紡または
混繊、交撚、交織、交編などすることができる。
【0013】本発明では吸湿性の無機微粒子としてシリ
カ系無機粒子を用いる。本発明のシリカ系無機粒子は多
孔質であることが望ましく、その多孔性を表す粒子特性
の範囲が細孔容積が0.3ml/g以上、比表面積が3
00m2/g以上であることが望ましい。粒子特性がこ
の範囲にない粒子は吸湿性能が不十分なものしか得られ
ない。
【0014】本発明のシリカ系無機粒子の細孔径は2〜
20nmであることが望ましい。その理由は、細孔径が
これより小さいと非常に低湿度から水が多量に吸着し、
清涼感のために重要な、実用的な衣服着用条件下での吸
放湿性が得られにくいからであり、細孔径がこれより大
きいと逆に非常に高い湿度にならないと水が吸着せず、
やはり吸放湿性が得られにくいからである。
【0015】また、本発明において用いられるシリカ系
無機粒子の平均粒径は0.01〜10μmであることが
望ましい。0.01μmよりも小さい場合には粒子の表
面積が大きくなりすぎて封鎖が不十分になりやすく、ま
た10μmよりも大きい場合は糸強度の低下を引き起こ
しやすいためである。より好ましい無機微粒子の平均粒
径は0.1〜2μmである。
【0016】また本発明で用いるシリカ系無機粒子の4
μm以上の粗大粒子の含有量は5重量%以下であること
が望ましい。4μm以上の粗大粒子を5重量%を越えて
含有させると、その粗大粒子が欠陥となって糸強度が低
下する場合がある。
【0017】本発明のポリエステル系繊維には、吸湿性
を発現させるためにこのシリカ系無機粒子をポリエステ
ル系繊維重量に対して0.01〜20重量%含有させる
ことが望ましい。ここでシリカ系無機粒子の量がこれよ
りも小さいと吸湿性が不足し、これよりも多くなると繊
維の強度など実用特性が低下する。
【0018】本発明においてシラノール基と反応可能な
官能基を有する有機化合物とは、シリカ系粒子表面のシ
ラノール基と反応する性質を持つ有機化合物全般をい
う。反応性に関わる官能記の種類としてはアルコキシ
基、エポキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、
酸無水物部分などを挙げることができる。
【0019】本発明ではこのシラノール基と反応可能な
官能基を有する有機化合物がシリカ系粒子と反応した後
にシリカ系粒子の吸湿性が低下しないよう、このシラノ
ール基と反応可能な官能基を有する有機化合物が該粒子
表面近傍に粒子中心部の3倍以上の濃度で存在している
ことが特徴である。ここで該粒子表面近傍とは、該粒子
内部で、該粒子表面(該粒子と該粒子が含有されている
ポリエステル系組成物との界面)から平均粒子径(直
径)の2割程度の距離範囲の領域、および該粒子外部で
該粒子表面から平均粒子径(直径)の2割程度の距離範
囲の領域をいう。またここで該粒子中心部とは、該粒子
の中心部から2割程度の領域をいう。
【0020】本発明のシラノール基と反応可能な官能基
を有する有機化合物がシリカ系粒子表面近傍に粒子中心
部の3倍以上の濃度で存在していることを確認する方法
としては、シリカ系粒子とシラノール基と反応可能な官
能基を有する有機化合物を含有したポリエステル系繊維
の断面を露出し、そこでのシリカ系粒子とシラノール基
と反応可能な官能基を有する有機化合物の存在形態をX
線マイクロアナライザー(XMA)で観察する方法を用
いる。ここでシリカ系粒子の存在はSi原子の分布で特
定でき、シラノール基と反応可能な官能基を有する有機
化合物の存在形態は該有機化合物と選択的に結合する化
合物で染色した後に該化合物中の原子の分布を見ること
で特定できる。特にシラノール基と反応可能な官能基を
有する有機化合物としてポリエチレングリコール部分を
含有する化合物を用いる場合、これをオスミウム酸で染
色してオスミウムの分布を見る方法を用いる。
【0021】また本発明においてシラノール基と反応可
能な官能基を有する有機化合物がシリカ系粒子表面近傍
に存在しているとは、該化合物がシリカ系粒子に付着、
結合などしていることをいう。本発明では製造途中にシ
ラノール基の封鎖が解除されないよう、該化合物はシリ
カ系粒子表面のシラノール基と結合していることが望ま
しい。
【0022】本発明で用いるシラノール基と反応可能な
官能基を有する有機化合物は、分子量が500以上であ
ることが望ましい。このように分子量が大きい化合物
は、シリカ系粒子の細孔の内部に侵入することができ
ず、主として粒子表面近傍に存在するシラノール基と選
択的に反応する。このため、吸湿性発現に寄与している
粒子内部のシラノール基は封鎖されずに高い吸湿性を保
ち、かつ粒子の凝集やゲル化の原因となる表面のシラノ
ール基を封鎖することができる。より好ましくは、粒子
表面のシラノール基との反応をより選択的に行わせるた
め、この化合物の分子量は1500以上であることが望
ましい。
【0023】本発明ではシラノール基と反応可能な官能
基を有する有機化合物の中でもアルコキシ基を持つシラ
ンカップリング剤を用いるのが望ましい。この理由はシ
ランカップリング剤とシラノール基の反応の結果できる
シロキサン結合が安定で、製造途中で封鎖分子が離脱し
にくいからである。分子量が500以上のシランカップ
リング剤の例としては、ポリエチレングリコール部分を
含有するものや、ジメチルシロキサン部分を含有するも
の、あるいは他の様々な高分子とアルコキシ基を結合さ
せたものが挙げられる。
【0024】なお、本発明の分子量500以上のシラノ
ール基と反応可能な官能基を有する有機化合物、あるい
はシランカップリング剤は親水基を含有していることが
望ましい。この理由は、親水基を含有したものの方が、
シラノール基を封鎖した際のシリカ系粒子の吸湿性の低
下が小さいからである。親水基の例としては、水酸基、
カルボキシル基またはその塩、エステル基、スルホン酸
基またはその塩、アミノ基、アミド基、エチレンオキサ
イド部分などを挙げることができる。
【0025】上記の2つの理由から、本発明では分子量
が500以上のシランカップリング剤であって、かつ親
水性ものとしてポリエチレングリコール部分を含有する
シランカップリング剤を用いることが望ましい。
【0026】本発明のシラノール基と反応可能な官能基
を有する有機化合物がシリカ系粒子表面のシラノール基
と結合していることを確認するには、シリカ系粒子と該
化合物を含有したポリエステル系繊維構造物を溶剤で溶
解した後に遠心分離で粒子を分離し、その粒子をIRや
NMRなどの分光学的手法で測定して、シラノール基と
反応性有機化合物との結合に起因するピークの有無を見
ればよい。該化合物がシランカップリング剤の場合は、
この結合はシロキサン結合となる。
【0027】またシリカ系粒子表面近傍に存在するシラ
ノール基と反応可能な官能基を有する有機化合物の分子
量の確認のためには、例えばシリカ系粒子と該化合物を
含有したポリエステル系繊維構造物を溶剤で溶解した後
に遠心分離で粒子を分離し、それに付着した化合物を加
水分解などによりさらに分離した後にゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)などで分子量を測定
する方法を挙げることができる。
【0028】本発明において、吸湿パラメータΔMRと
は対象素材の30℃、90%RHにおける水分率から2
0℃、65%RHにおける水分率を引いた値をいう。こ
こでそれぞれの水分率はJIS L−1096の6.9
項記載の方法で求められる。
【0029】本発明のポリエステル系繊維の吸湿パラメ
ータΔMRは、着用時に高い快適性を得るために2%以
上であることが好ましい。また好ましくは、より高い快
適性を得るために4%以上であることが望ましい。この
理由は、MRおよび/またはΔMRが2%以上であると
代表的な清涼素材である木綿とポリエステル系繊維の混
紡素材と同程度の快適性が得られ、さらに4%以上であ
ると木綿100%の素材と同程度の快適性が得られるた
めである。ΔMRは大きいほど好ましいが、6%程度あ
れば十分に本発明の効果を発揮することができる。
【0030】本発明のシリカ系無機粒子の吸湿性は吸湿
パラメータΔMRは20%以上であることが望ましく、
このようなシリカ系無機粒子を一定量以上繊維を構成す
るポリエステルに配合することで、上記のような高い吸
湿性を持ったポリエステル系繊維を得ることができる。
【0031】また、本発明のポリエステル系繊維は、吸
湿性のみではなく、放湿性もあることが望ましい。放湿
性のパラメータとしては、例えば対象素材を20℃、6
5%RHに24時間放置した後、30℃、90%RHに
移行してさらに24時間放置した際の水分率の変化であ
るΔMR(放湿)として、2%以上であることが好まし
く、より好ましくは4%以上が望ましい。
【0032】次に本発明のポリエステル系繊維の製造法
においては、まず細孔容積が0.3ml/g以上、比表
面積が300m2/g以上であるシリカ系無機粒子を分
子量500以上のシラノール基と反応可能な官能基を有
する有機化合物で処理し、該粒子をポリエステル系組成
物に混合する。この混合は、ポリエステルのエステル化
反応時、重縮合反応時、重縮合反応後溶融成形前のいず
れかの段階において行うことができる。また、シラノー
ル基と反応可能な官能基を有する有機化合物によるシリ
カ系粒子の処理は、該粒子をポリエステル系組成物と混
合せしめる操作と同時に行ってもよい。
【0033】本発明においてシラノール基と反応可能な
官能基を有する有機化合物によるシリカ系粒子の処理条
件は、該化合物の反応性官能記がシリカ系粒子のシラノ
ール基と所定時間内に十分反応する条件とすればよい
が、例えば該化合物としてシランカップリング剤を用い
る場合、100℃で30分間程度の処理を行えばよい。
【0034】本発明の製造方法は上記のシリカ系粒子を
含有したポリエステル系組成物を用いて紡糸するもので
ある。この紡糸は例えば該組成物を250〜300℃の
温度で溶融し、所望の断面形状となる口金を用いて吐出
後、引取りを行えばよい。さらにここで得られた未延伸
糸を通常の延伸機を用いて延伸すれば、一般の使用に耐
える物性のポリエステル系繊維が得られる。またこの延
伸は紡出糸を引取った後巻き取ることなく連続で行って
もよいし、4000m/分以上の高速で引き取り、実質
的に延伸することなく一挙に所望の繊維物性を得る手法
をとってもよい。
【0035】本発明のポリエステル系繊維は、着用快適
性を得るのに十分な吸湿性が得られ、かつ、従来見られ
たような糸強度低下などの実用上の問題が少ないため、
高機能スポーツ素材やワーキングユニフォームなどに好
適に用いられる。
【0036】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0037】なお、実施例および比較例における測定は
以下の方法で行った。 <ΔMR>試料を秤量ビンに入れ、20℃、65%RH
に調整した恒温恒湿槽中に24時間放置し秤量した。次
いで、30℃、90%RHに調整した恒温恒湿槽中に2
4時間放置し、再度秤量した。最後に110℃の乾燥機
中で1時間乾燥し絶乾重量を求めた。水分率の差は下式
により算出した。
【0038】 ΔMR(%)=((W’−W)/W−(W”−W)/W)×100 W :試料の絶乾重量(g) W’:30℃、90%RHでの試料の重量(g) W”:20℃、65%RHでの試料の重量(g) <XMA観察>繊維試料の断面切片中のポリエチレング
リコールをオスミウム酸で染色し、XMAによりオスミ
ウムの分布を測定した。さらにシリカ粒子の中心部での
シグナル強度と表面近傍でのシグナル強度を比較し、そ
の比を求めた。 <糸強度の測定>東洋ボールドウィン社製テンシロン引
張り試験機を用いて、試料長20cm、引張り速度10
cm/分の条件で応力−歪み曲線から値を求めた。 実施例1 平均粒径が1.9μm、細孔容積が0.8ml/g、比
表面積が500m2/g、細孔径が7nmであるシリカ
粒子を10重量%、数平均分子量が1500のポリエチ
レングリコールトリエトキシシランを5重量%の濃度で
含有するエチレングリコール溶液を調整し、100℃で
30分間加熱処理した。
【0039】その後、ポリエステルとして、ジメチルテ
レフタル酸193部、エチレングリコール124部、酢
酸コバルト0.05部を加え、140〜230℃でメタ
ノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン
酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液、上
記シリカ粒子をポリエチレングリコールトリエトキシシ
ランで処理したエチレングリコール溶液100部、およ
び三酸化アンチモン0.1部を加え、減圧下290℃に
昇温した条件下で重合を行いポリエステル組成物を得
た。得られたポリエステル組成物中のシリカ粒子の含有
量は5重量%であった。
【0040】該ポリエステル組成物を290℃で溶融
し、吐出量25g/分で同心円口金から吐出して100
0m/分の紡糸速度で巻き取り未延伸糸を得た。次に延
伸、熱処理することにより83デシテックス24フィラ
メントのポリエステル繊維を得た。
【0041】この繊維の断面のXMA観察の結果、ポリ
エチレングリコールに起因するシグナル強度のシリカ粒
子の中心部と表面近傍とでの比は5.1で、確かに粒子
表面近傍に粒子中心部の3倍以上の濃度でポリエチレン
グリコールトリエトキシシランが存在していることが確
かめられた。またこの繊維のΔMRは2.1%で、吸湿
性が高く、糸強度も4.5CN/dtexで、実用上十分であ
ることが確かめられた。 実施例2 シリカ粒子を処理する際のエチレングリコール溶液中の
シリカ粒子の濃度を20重量%、ポリエチレングリコー
ルトリエトキシシランの濃度を10重量%とする以外は
実施例1と同様に行った。
【0042】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナル強度のシリカ粒子の中心部と表面
近傍とでの比は5.3で、確かに粒子表面近傍に粒子中
心部の3倍以上の濃度でポリエチレングリコール変性ア
ルコキシシランが存在していることが確かめられた。ま
たこの繊維のΔMRは4.3%で、吸湿性が高く、糸強
度も3.8CN/dtexで、実用上十分であることが確かめ
られた。 比較例1 ポリエチレングリコールトリエトキシシシランを用いな
いことを除いては実施例1と同様に行った。
【0043】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナルは見られなかった。またこの繊維
のΔMRは1.2%で吸湿性は得られたが、糸強度は
1.8CN/dtexで、実用上不十分であった。 比較例2 シリカ粒子を処理する際のエチレングリコール溶液中の
シリカ粒子の濃度を30重量%、ポリエチレングリコー
ルトリエトキシシシランの濃度を15重量%とする以外
は実施例1と同様に行った。
【0044】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナル強度のシリカ粒子の中心部と表面
近傍とでの比は5.0で、確かに粒子表面近傍に粒子中
心部の3倍以上の濃度でポリエチレングリコール変性ア
ルコキシシランが存在していることが確かめられ、ΔM
Rも5.7%と高い吸湿性が得られたが、糸強度が1.
0CN/dtexで、実用上不十分であった。 比較例3 ポリエチレングリコール変性アルコキシシランの代わり
に、分子量が178のエチルトリエトキシシランを用い
て実施例1と同様に行った。
【0045】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナルは見られなかった。またこの繊維
の糸強度は3.8CN/dtexであったが、ΔMRは0.2
%で、高い吸湿性は得らなかった。 実施例3 シリカ粒子として、平均粒径が3.5μm、細孔容積が
0.44ml/g、比表面積が700m2/g、細孔径
が2.5nmであるシリカ粒子を用いる以外は実施例1
と同様に行った。
【0046】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナル強度のシリカ粒子の中心部と表面
近傍とでの比は8.0で、確かに粒子表面近傍に粒子中
心部の3倍以上の濃度でポリエチレングリコール変性ア
ルコキシシランが存在していることが確かめられた。ま
たこの繊維のΔMRは0.5%で、ある程度の吸湿性が
得られ、糸強度も3.4CN/dtexで、実用上十分である
ことが確かめられた。 実施例4 シリカ粒子として、平均粒径が2.5μm、細孔容積が
1.25ml/g、比表面積が300m2/g、細孔径
が17nmであるシリカ粒子を用いる以外は実施例1と
同様に行った。
【0047】結果、XMA観察でポリエチレングリコー
ルに起因するシグナル強度のシリカ粒子の中心部と表面
近傍とでの比は4.5で、確かに粒子表面近傍に粒子中
心部の3倍以上の濃度でポリエチレングリコール変性ア
ルコキシシランが存在していることが確かめられた。ま
たこの繊維のΔMRは0.9%で、ある程度の吸湿性が
得られ、糸強度も3.8CN/dtexで、実用上十分である
ことが確かめられた。
【0048】
【発明の効果】本発明のポリエステル系繊維は着用快適
性を得るのに十分な吸湿性が得られる。かつ、従来見ら
れたような糸強度低下などの実用上の問題が少ないた
め、高機能スポーツ素材やワーキングユニフォームな
ど、非常に広い範囲で汎用的に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 21/00 D04B 21/00 B Fターム(参考) 4L002 AA07 AB02 AC00 EA03 FA01 4L035 BB40 EE05 EE08 JJ05 KK01 KK03 KK05 KK10 4L036 MA05 MA37 UA25 4L048 AA20 AA46 AA54 AA56 AC15 CA07 DA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細孔容積が0.3ml/g以上、比表面積
    が300m2/g以上であるシリカ系無機粒子を含有し
    たポリエステル系繊維であって、該粒子表面近傍に粒子
    中心部の3倍以上の濃度でシラノール基と反応可能な官
    能基を有する有機化合物が存在していることを特徴とす
    るポリエステル系繊維。
  2. 【請求項2】該シラノール基と反応可能な官能基を有す
    る有機化合物がシランカップリング剤であることを特徴
    とする請求項1に記載のポリエステル系繊維。
  3. 【請求項3】該シランカップリング剤がポリエチレング
    リコール部分および/またはジメチルシロキサン部分を
    含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポ
    リエステル系繊維。
  4. 【請求項4】該繊維の吸湿パラメータΔMRが2%以上
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のポリエステル系繊維。
  5. 【請求項5】該繊維を構成するポリエステルの80モル
    %以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位からな
    るポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載のポリエステル系繊維。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のポリエス
    テル系繊維を用いてなるポリエステル系繊維構造物。
  7. 【請求項7】細孔容積が0.3ml/g以上、比表面積
    が300m2/g以上であるシリカ系無機粒子を分子量
    500以上のシラノール基と反応可能な官能基を有する
    有機化合物で処理し、該粒子をポリエステル系組成物に
    混合せしめた組成物を用いて紡糸することを特徴とする
    ポリエステル系繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】該シラノール基と反応可能な官能基を有す
    る有機化合物がシランカップリング剤であることを特徴
    とする請求項7に記載のポリエステル系繊維の製造方
    法。
  9. 【請求項9】該シランカップリング剤がポリエチレング
    リコール部分を含有することを特徴とする請求項7また
    は8に記載のポリエステル系繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101960457B1 (ko) * 2018-07-30 2019-03-21 주식회사 파텍스 일라이트 함유 고기능성 필라멘트사의 제조방법

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KR101960457B1 (ko) * 2018-07-30 2019-03-21 주식회사 파텍스 일라이트 함유 고기능성 필라멘트사의 제조방법

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