JP2000095609A - 植物病害の予防用組成物およびその使用方法 - Google Patents

植物病害の予防用組成物およびその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物自身の抗菌性物質であるファイトアレキ
シンの発生を促して、植物が本来持っている病害抵抗性
を高め、環境にやさしく、低コストで、安全である植物
病害の予防用組成物およびその使用方法を提供する。 【解決手段】 含硫アミノ酸であるメチオニン(Met
hionine)、システイン(Cysteine)、
シスチン(Cystine)から選ばれる少なくとも1
種の含硫アミノ酸と、D−グルコース(D−Gluco
se)との混合物を含む予防用組成物を用いる。例えば
この予防用組成物を、そのままあるいは水で1〜10
0,000倍に希釈して植物の地上部に散布するか、直
接土壌に混和するかあるいは水で1〜1,000,00
0倍に希釈して灌注する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物病害の予防用
組成物およびその使用方法に関するものであり、さらに
詳しくは、植物に施用してファイトアレキシンの発生を
促し、植物病原菌を抑えることができる植物病害の予防
用組成物およびこの予防用組成物を植物に適用してファ
イトアレキシンの発生を促し、植物病原菌を抑え植物病
害を防除する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、先に稲においてメチオニン
を処理することにより、ファイトアレキシンを発生させ
病害抵抗生を付与することが可能であることを既に見い
だしている(特願平9−44206号明細書)。稲にメ
チオニンを処理することで、サクラネチン、モミラクト
ンAなどのファイトアレキシンが蓄積し、稲の病原菌で
あるいもち病に対して抵抗性を持つというものである。
しかしながら、メチオニン単独ではその効力において必
ずしも充分とはいえず、時として期待通りの効果が出な
い場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、植物に施用することによって植物にファイトアレキ
シンの発生を促し、植物病原菌を抑えることができ、メ
チオニン単独の場合より効力の大きい、安全で年中使用
できるような植物病害の予防用組成物を提供することで
あり、そして本発明の第2の目的は、そのような予防用
組成物を植物に適用してファイトアレキシンの発生を促
し、植物病原菌を抑え植物病害を防除するための予防用
組成物の使用方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、メチオニ
ンなどの含硫アミノ酸単独ではなく、含硫アミノ酸とD
−グルコースを加用することによって、稲いもち病(P
yriculariaoryzae)をはじめとする地
上部の病気にのみならず、立ち枯れ病などの土壌病害に
対しても優れた効果があり、植物病害をより確実に予防
できることを見いだし本発明をなすに至った。
【0005】本発明の請求項1の発明は、植物病害防除
を目的として植物に施用し植物にファイトアレキシン
(Phytoalexin)を発生させる植物病害の予
防用組成物であって、含硫アミノ酸であるメチオニン
(Methionine)、システイン(Cystei
ne)、シスチン(Cystine)から選ばれる少な
くとも1種の含硫アミノ酸と、D−グルコース(D−G
lucose)との混合物を含むことを特徴とする植物
病害の予防用組成物である。
【0006】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の予防用組成物において、含硫アミノ酸がメチオニンで
あることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項3の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の予防用組成物において、含硫アミノ
酸とD−グルコースの混合重量比が、1:(50〜0.
001)の範囲であることを特徴とする。
【0008】本発明の請求項4の発明は、請求項1から
請求項3のいずれかに記載の予防用組成物を、そのまま
あるいは水で1〜100,000倍に希釈して植物の地
上部に散布することを特徴とする植物病害の予防用組成
物の使用方法である。
【0009】本発明の請求項5の発明は、請求項1から
請求項3のいずれかに記載の予防用組成物を、直接土壌
に混和するかあるいは水で1〜1,000,000倍に
希釈して灌注することを特徴とする植物病害の予防用組
成物の使用方法である。
【0010】本発明の請求項6の発明は、請求項1から
請求項3のいずれかに記載の予防用組成物を、直接ある
いは担体に保持させ、種子粉衣することを特徴とする植
物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0011】本発明の請求項7の発明は、請求項1から
請求項3のいずれかに記載の組成物を、水で10〜1,
000,000倍に溶解して種子浸漬処理することを特
徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において用いる含硫アミノ酸はメチオニン、シス
テイン、シスチンから選ばれる少なくとも1種の含硫ア
ミノ酸である。メチオニン、システイン、シスチンは特
に限定されるものではなく、L−メチオニン、DL−メ
チオニン、D−メチオニン、L−システイン、DL−シ
ステイン、D−システイン、L−シスチン、DL−シス
チン、D−シスチンなどのいずれを使用しても良いが、
DL−メチオニンを使用することが最も低コストの面で
好ましい。形態は粉末、水溶液、分散媒を用いて含硫ア
ミノ酸を分散した分散液などいずれでもよく特に限定さ
れるものではない。ただし含硫アミノ酸としてシスチン
を用いる場合は水に難溶のため、水に溶解して使用する
場合はメチオニン、システインを使用するのが有利であ
る。含硫アミノ酸の添加量は植物の種類、施用方法によ
っても異なり、適宜選定して決められる。
【0013】本発明において用いるD−グルコースは特
に限定されるものではなく、その添加量は植物の種類、
施用方法によって便宜選定して決められる。形態につい
ても粉末、水溶液、分散媒を用いてD−グルコースを分
散した分散液などいずれでもよく特に限定されるもので
はない。
【0014】また、D−グルコースの製法上その他の単
糖類、スクロース、マルトース、ラクトースなどのオリ
ゴ糖、デンプン、セルロース、デキストラン、ラミナラ
ン、グリコーゲンなどの多糖や各種配糖体を一部含有す
る場合も、本発明の効果をそこなわない範囲であれば問
題なく使用することが可能である。
【0015】本発明における含硫アミノ酸とD−グルコ
ースの混合重量比は、通常は重量比で1:(50〜0.
001)の範囲に調製して施用する。好ましくは1:1
0〜1:0.01、特に好ましくは1:1〜1:0.1
で調製して使用する。D−グルコースの混合比が50を
超えると含硫アミノ酸の効果が阻害される。D−グルコ
ースの混合比が0.001未満では含硫アミノ酸単独の
場合と同じで効果が顕著ではなくなるので好ましくな
い。
【0016】また施用量としては、本発明の予防用組成
物の量で10a当たり10〜30,000g、好ましく
は50〜5,000g、さらに好ましくは100〜1,
000gとする。10g未満であると効果が顕著でなく
なるので好ましくない。30,000gを超えて施用す
ると葉の黄化や、根の伸長阻害が発生するので好ましく
ない。
【0017】また本発明の予防用組成物の施用方法とし
ては、育苗期、本圃移植後どちらも地上部に散布、地下
部に灌注ともに効果がある。また、土壌に直接混和して
使用することも可能である。それ以外にも、種子粉衣処
理、種子浸漬処理をして使用することも可能である。
【0018】本発明の予防用組成物を植物の地上部に散
布する場合は、本発明の予防用組成物を、そのままで、
あるいは水で1〜100,000倍、好ましくは1〜1
0,000倍、特に好ましくは500〜2000倍に希
釈して植物の地上部に散布する。100,000倍を超
えて水で希釈すると効果が顕著でなくなる。
【0019】本発明の予防用組成物を土壌に直接混和し
て使用するか、水で希釈して灌注する。水で希釈して灌
注する場合は、1〜1,000,000倍、好ましく
は、1〜100,000倍、特に好ましくは、500〜
10,000倍に希釈して使用する。1,000,00
0倍を超えて水で希釈すると効果が顕著でなくなる。
【0020】本発明の予防用組成物を用いて種子浸漬処
理する場合は、水で10〜1,000,000倍、好ま
しくは、10〜10,000倍、特に好ましくは、10
〜10,000倍に溶解して使用する。溶解倍率が10
未満では有効成分が水に溶けない恐れがあり、1,00
0,000倍を超えて水に溶解すると所要時間内に必要
量の有効成分を種子に浸漬できない恐れがある。
【0021】本発明の予防用組成物の施用間隔として
は、通常3〜14日おきに定期的に施用するのが望まし
いが、生育ステージ、品種、生育状況によっては、毎日
施用することも間隔をあけて施用することも可能であ
る。
【0022】施用量としては、育苗期では平方メートル
当たり10〜10,000ml施用する。10ml未満
では効果が顕著でなくなるので好ましくない。10,0
00mlを超えて施用すると苗に過湿の影響が出やすく
なるので好ましくない。好ましくは100〜5,000
ml、さらに好ましくは300〜2,000ml施用す
る。本圃散布では10a当たり1〜500リットル、好
ましくは10〜300リットル、さらに好ましくは50
〜200リットル施用する。本圃灌注では10a当たり
10〜30,000リットル、好ましくは100〜1
5,000リットル、更に好ましくは1,000〜1
0,000リットル施用する。
【0023】最も好ましい施用方法として、育苗期は
1.5葉期から5日おきに平方メートルあたり500m
l、本圃移植後は10日おきに1,500リットル灌注
施用する方法が挙げられる。
【0024】本発明のメチオニンなどの含硫アミノ酸お
よびD−グルコースを有効成分として含む植物病害の予
防用組成物には、本発明の作用を妨げない範囲でメチオ
ニンなどの含硫アミノ酸やD−グルコース以外の殺菌
剤、殺虫剤などの農薬活性成分、肥料、植物生育調節
剤、粘度調整剤、界面活性剤などの成分を配合すること
ができる。
【0025】本発明において使用される農薬活性成分と
しては、特に限定されるものではないが、例として以下
のものが挙げらる。またこれらの農薬活性成分はそれぞ
れ単独で用いても良いし2種以上を任意の割合で組み合
わせて用いても良い。尚、下記の農薬活性成分名は、農
薬ハンドブック(社団法人日本植物防疫協会発行、19
89)記載の一般名である。
【0026】除草剤活性成分としては以下のものが挙げ
られる。2,4−D、MCP、MCPB、CNP、MC
C、DCPA、ACN、フェノチオール、クロメプロッ
プ、ナプロアニリド、クロメトキシニル、ベンチオカー
ブ、ビフェノックス、エスプロカルブ、モリネート、ジ
メピレート、ブタクロール、プレチラクロール、ブロモ
ブチド、メフェナセット、ダイムロン、ベンスルフロン
メチル、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、
ベンタゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキ
シフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラリン、ビペロ
ホス等。
【0027】殺虫剤活性成分としては以下のものが挙げ
られる。BRP、CVMP、PMP、PAP、DEP、
EPN、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PH
C、MPMC、XMC、MPP、MEP、ピリミホスメ
チル、ダイアジノン、イソキサチオン、ビリダフェンチ
オン、クロルピリホスメチル、パミドチオン、マラソ
ン、ジメトエート、エチルチオメトン、モノクロトホ
ス、ジメチルビンホス、プロパホス、ベンダイオカル
プ、カルボスルファン、ベンフルカルブ、チオジカル
ブ、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、カルタ
ップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ブプロフェジン
等。
【0028】殺菌剤活性成分としては以下のものが挙げ
られる。塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、
有機硫黄ニッケル塩、チラウム、キャプタン、TPN、
フラサイド、IBP、EDDP、チオファネートメチ
ル、ベノミル、イプロジオン、メプロニル、フルトラニ
ル、テフロフラタム、ベンシクロン、メタラキシル、ト
リフルミゾール、ブラストサイジンS、カスガマイシ
ン、ポリオキシン、バリダマイシンA、オキシテトラサ
イクシン、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカル
ブ、MAF、MAFE、ベンチアゾール、フェナジンオ
キシド、ジクロメジン、プロペナゾール、イソプロチオ
ラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソニック
酸、グアザチン等。
【0029】またそれ以外にも、イナベンフィド、オキ
シエチレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジル
アミノプリン等の植物生育調整成分を加えることも可能
である。
【0030】本発明においても使用される肥料成分とし
ては、特に限定されるものではないが、例として以下の
ものが挙げられる。すなわち、堆肥、きゅう肥、家畜の
糞尿、人糞尿、草木灰、木灰、稲わら、麦わら、籾が
ら、米糖、麦糖、大豆さや、窒素質肥料、リン酸質肥
料、加里質肥料、複合肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥
料、苦土肥料、マンガン質肥料、ほう素質肥料、微量要
素複合肥料、有機質肥料、魚かす、家畜および家きんの
糞、家畜および家きんの糞処理物、家畜および家きんの
糞燃焼灰、汚泥肥料、製糖副産石灰、転炉さい、貝灰石
粉末、各種農産物のかす、食品工業のかす、発酵工業の
廃棄物、発酵粕、繊維工業の廃棄物、水産工業の廃棄
物、下水汚泥、都市ゴミコンポスト、骨灰などである。
これらの肥料成分は、それぞれ単独で用いても良いし2
種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。また
これらの肥料成分以外にも、ゼオライト、ベントナイ
ト、バーミキュライト、泥炭、パーライト、腐食酸質資
材、木炭、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニールア
ルコール系資材等の土壌改良剤を混合することも可能で
ある。
【0031】本発明において使用される界面活性剤とし
ては、例えばアルキルスルホコハク酸塩、縮合リン酸
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リ
グニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキルエー
テル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールフェ
ニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ール硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ールエーテル酢酸エステル硫酸塩等のアニオン系界面活
性剤が挙げられ、その塩としてアルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
【0032】さらにポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエ
ステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコー
ル等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
また、必要に応じてカチオン系、両イオン系界面活性剤
を用いても良い。これらの界面活性剤は、それぞれ単独
で用いても良いし2種以上を任意の割合で組み合わせて
用いても良い。
【0033】メチオニンなどの含硫アミノ酸とD−グル
コースの混合物を含む本発明の予防用組成物を植物に散
布するなどして処理することにより、植物自身が生合成
する抗菌物質のファイトアレキシンの発生を促すことに
よって、病害抵抗性を高めることが可能となる。
【0034】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例によって限定されるもので
はない。 (実施例1)DL−メチオニン(和光純薬工業株式会社
製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社製)を重
量比で1:50で混合し、その混合物(本発明の予防用
組成物)51gに蒸留水を加え1リットルとし、完全に
溶解して溶液MG1を作った。
【0035】(実施例2)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:5で混合し、その混合物(本発
明の予防用組成物)6gに蒸留水を加え1リットルと
し、完全に溶解して溶液MG2を作った。
【0036】(実施例3)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物(本発
明の予防用組成物)2gに蒸留水を加え1リットルと
し、完全に溶解して溶液MG3を作った。
【0037】(実施例4)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:0.1で混合し、その混合物
(本発明の予防用組成物)1.1gに蒸留水を加え1リ
ットルとし、完全に溶解して溶液MG4を作った。
【0038】(実施例5)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:0.01で混合し、その混合物
(本発明の予防用組成物)1.01gに蒸留水を加え1
リットルとし、完全に溶解して溶液MG5を作った。
【0039】(実施例6)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:0.001で混合し、その混合
物(本発明の予防用組成物)1.001gに蒸留水を加
え1リットルとし、完全に溶解して溶液MG6を作っ
た。
【0040】(比較例1)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、
完全に溶解して溶液M1を作った。
【0041】(試験1)DL−メチオニンとD−グルコ
ースの混合物が稲のファイトアレキシンであるサクラネ
チン(Sakuranetin)、モミラクトンA(M
omilactone A)の発生に及ぼす影響につい
て試験を行った。サクラネチンの構造式を次式(1)に
示す。モミラクトンAの構造式を次式(2)に示す。
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】(材料及び試験方法)供試品種は、日本晴
を用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=1
0:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生育
させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとし
た。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)
7gを全層施肥し、温室内にて7葉期まで栽培した稲の
第5葉を実験材料とした。第5葉は20cmで切りそろ
え、葉の中心部に10mm間隔で直径1mmの傷をつ
け、プラスチック容器中に蒸留水で湿らせたキムワイプ
を敷いて、その上に、葉表を上にして置いた。その後、
葉面の1mmの傷の上に各処理溶液を傷当たり25μl
のせ、容器に透明な蓋をし、25℃明条件下で60時間
インキュベートした。また、対照区として同じく蒸留水
を25μlのせた区を設けた。
【0045】60時間後に、葉面に残った試験液と、傷
を中心に直径10mmにコルクボーラーで打ち抜いた葉
を熱70%メタノール抽出を行い、減圧濃縮した後水相
を取り出し、さらにジエチルエーテル抽出を行い、エー
テル相を取り出し濃縮乾固した。その後サクラネチンの
測定は、順相TLC(ワットマン社製、LKGDFSI
LICA GEL 60Å)(ベンゼン:酢酸エチル:
ギ酸=10:1:1)を通し、酢酸エチル溶出したもの
を濃縮乾固し、逆相HPLC(東ソー(株)社製)
(0.2Nギ酸を含むメタノール:溶媒A=6:4、溶
媒A;NaNO32g、H2 SO4 0.05g/H2
1000ml)にて測定を行った。モミラクトンA
は、ボンド エルート(BOND ELUT C18、
バリアン社製)を通し80%メタノール溶出を行ったも
のをGC−MS/SIM(日本電子(株)社製)で測定
した。各区のサクラネチン、モミラクトンA発生量につ
いて表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】(試験1の結果及び考察)対照区として蒸
留水を処理した区は、サクラネチン、モミラクトンA共
に検出されなかった。比較区としてDL−メチオニン単
独で処理したM1区は、サクラネチンが122.56n
g/spot(傷当たりの検出量)、モミラクトンAが
55.89ng/spot(傷当たりの検出量)であっ
たのに対し、メチオニン・D−グルコース混合物溶液M
G1〜6処理区はサクラネチンで178.25〜24
8.11ng/spot(傷当たりの検出量)、モミラ
クトンAで傷当たり85.21〜112.08ng/s
pot(傷当たりの検出量)と、最大でDL−メチオニ
ン単独で処理したM1区の約2倍の抗菌活性を示した。
【0048】図1に植物の植物病原菌に対する動的防御
機構を示す。一般に稲のファイトアレキシンであるサク
ラネチン、モミラクトンAは、稲いもち病菌をはじめと
する各種病害に対する動的防御物質として知られてお
り、病原菌の進入を防ぐ重要な役割を果たしている。ま
た、サクラネチン、モミラクトンAのいもち病菌胞子発
芽に対するED50値は、ともに15ppmであり、極め
て強い抗菌作用が知られている。本試験の結果は、DL
−メチオニン溶液M1単独の処理に比べ、メチオニン・
D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)がより
植物病害防除に利用できることを示唆するものである。
【0049】(試験2)メチオニン・D−グルコース混
合物(本発明の予防用組成物)の葉面散布が稲いもち病
(Pyricularia oryzae)の発現に及
ぼす影響について試験を行った。 (材料及び試験方法)供試品種は、日本晴を用い、ペー
パーポットに化成肥料(N:P:K=10:6:8)1
4gを混和した土壌で3.5齢まで生育させ、1/50
00aワグネルポットに3本植えとした。基肥として化
成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを全層施肥
し、温室内にて8葉期まで栽培したものを試験に供し
た。前処理としてメチオニン・D−グルコース混合溶液
MG2をポット当たり100ml茎葉散布した。また、
対照区として蒸留水を同じく100ml、比較区として
メチオニン単独溶液M1を同じく100ml茎葉散布し
た。前処理から24時間後、地上部全面にいもち菌を接
種し、接種から10日後葉に発生した病斑の葉面1cm
2 当たりの壊死部、崩壊部の合計を面積比で評価した。
評価はまず葉面積計にて全ての葉面積を測定した後、病
斑部を顕微鏡で画像解析装置に取り込み測定した。メチ
オニン・D−グルコース混合溶液MG2処理区、対照区
およびメチオニン単独M1処理区の壊死率[(壊死部面
積+崩壊部面積)/総面積]を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】(試験2の結果及び考察)対照区壊死率2
5.1%、メチオニン単独溶液M1区は7.8%に対
し、メチオニン・D−グルコース混合溶液MG2区は
1.8%と病斑の発生を抑える効果が高かった。メチオ
ニン・D−グルコース混合溶液MG2の処理がファイト
アレキシンの発生を促し菌の進入を防いで耐病性を高め
た結果である。
【0052】(試験3)メチオニン・D−グルコースの
混合物(本発明の予防用組成物)がナスの根部に含まれ
る抗菌活性物質のひとつでありセスキテルペンのソラベ
チボンの発生に及ぼす影響について試験を行った。ソラ
ベチボンの構造式を次式(3)に示す。
【0053】
【化3】
【0054】(材料及び試験方法)供試品種は、通常ナ
スの台木として使用される耐病VFを用い、128穴セ
ルトレイに化成肥料(N:P:K=10:6:8)7g
を混和した土壌で2葉期まで生育させ、1/5000a
ワグネルポットに1本植えとした。基肥として化成肥料
(N:P:K=10:6:8)8gを全層施肥し、温室
内にて6葉期まで栽培した株を実験材料とした。各試験
区は8反復とし、対照区として水道水を、比較区とし
てメチオニン0.01%(W/V)溶液を、比較区と
してD−グルコース0.01%(W/V)溶液を、試験
区としてメチオニン・D−グルコース混合溶液MG3の
10倍水希釈溶液をそれぞれ株当たり1リットル灌注処
理をした。処理から1週間後、根を傷つけないようにし
てポットから株を抜き取り、蒸留水で丁寧に根を洗浄し
て根部のみを切断した。切断した根は根重の5倍量の7
0%エタノール溶液で浸漬抽出を行い、48時間後濾紙
で濾液を回収した。回収した濾液は、減圧濃縮し、同量
の酢酸エチルで3回抽出し、その抽出物は濃縮後2倍量
のヘキサンを加え、ヘキサン洗浄後のSep−Pak
Light Silicaを通し、ヘキサン:酢酸エチ
ル=2:1の溶出画分を得た。この画分中に含まれるソ
ラベチボンをHPLC(高速液体クロマトグラフィー)
(カラム:Inertsil ODS−2、流速:1.
0ml/min、溶媒:MeOH:water=65:
45、検出:UV245nm)にて測定を行った。測定
結果はナス根1g中に含まれるソラベチボン含有量(μ
g)で示した。各区のソラベチボン蓄積量について表3
に結果を示す。
【0055】
【表3】
【0056】(試験3の結果及び考察)対照区として水
道水を処理した区でソラベチボン蓄積量が0.161μ
g/g(ナス根)、比較区としてメチオニン単独処理
をした区でソラベチボン蓄積量が0.220μg/g
(ナス根)、比較区としてD−グルコース単独処理を
した区でソラベチボン蓄積量が0.166μg/g(ナ
ス根)であったのに対し、メチオニン・D−グルコース
混合溶液処理区では0.483μg/g(ナス根)と他
の区に対して突出してソラベチボン蓄積量が多い結果で
あった。一般にナスのソラベチボンは、ナスの半身萎凋
病(Verticilliumdahliae)、萎凋
病(Fusarium oxysporum)、青枯病
(Pseudomonas solanacearu
m)に対する抵抗性を示す抗菌物質として近年発見さ
れ、ナス科近縁野生種であるエチオピアナス(Sola
num aethiopicum)やスズメノナスビ
(Solanum torvum)の根中に多く蓄積す
ることが知られている。本試験の結果は、メチオニン溶
液単独の処理、あるいはD−グルコース溶液単独の処理
に比べ、メチオニン・D−グルコース混合物(本発明の
予防用組成物)処理がより植物病害(土壌病害)に対す
る化学的防御機構が強化されていることを示唆するもの
である。
【0057】(試験4)メチオニン・D−グルコースの
混合物(本発明の予防用組成物)がトウモロコシの根部
に含まれる抗菌活性物質の発生に及ぼす影響について試
験を行った。
【0058】(材料及び試験方法)トウモロコシは、大
型プランターに播種し、草丈80cmまで生育させたも
のを実験材料とした。各試験区は10反復とし、対照区
として水道水を、試験区としてメチオニン・D−グルコ
ース混合溶液MG3の10倍水希釈溶液をそれぞれ株当
たり3リットル灌注処理をした。処理から1週間後、根
を傷つけないようにしてプランターから株を抜き取り、
蒸留水で丁寧に根を洗浄して根部のみを切断した。切断
した根は根重の5倍量の70%エタノール溶液で浸漬抽
出を行い、48時間後濾紙で濾液を回収した。得られた
抽出液は濃縮後、エーテル、次いで酢酸エチルで振り分
け、各画分の抗菌活性を次のような方法で調べた。試験
管内でポテトデキストロース培地15mlと抽出物15
mgを混合し、抽出物の濃度が1000ppmになるよ
うにし、これをシャーレに移した。シャーレの中心部に
検定菌(Fusarium oxysporum)を接
種し25℃で2週間培養した後、コロニーの直径を測定
し、対照区の生育度(直径:cm)を100として試験
区の検定菌生育度(%)を調べた。試験結果を表4に結
果を示した。
【0059】
【表4】
【0060】(試験4の結果及び考察)試験結果からメ
チオニン・D−グルコース混合溶液MG3処理により、
トウモロコシ根中に検定菌であるF.oxysporu
mの生育を阻害する物質が含まれていることが確認され
た。エーテル抽出画分を含む培地、酢酸エチル抽出画分
を含む培地共に菌の生育を阻害する結果となったが、よ
り強く阻害活性を示したエーテル抽出画分からは、検索
の結果、p−クマール酸と6−methoxyben
zoxazoline(MBOA)が含まれていること
が判明した。p−クマール酸の構造式を次式4に示す。
6−methoxyben zoxazoline(M
BOA)の構造式を次式5に示す。
【0061】
【化4】
【0062】
【化5】
【0063】トウモロコシは輪作体系において前作に用
いた場合、様々な土壌病害に対して有効であることが知
られている。即ち、トウモロコシの間作はFusari
umoxysporum(ナス萎凋病、トマト萎凋病、
キュウリつる割病、タマネギ乾腐病、ダイコン萎黄
病)、Phythium sp.(エンドウ・キュウリ
・ナス・キャベツ・タマネギ・ホウレンソウ等の苗立枯
病、サトイモ・コンニャクの根腐病)、Rhizoct
onia solani(マメ類の茎腐病、イモ類の根
腐病、ウリ科・ナス科・アブラナ科の苗立枯病)、Ce
phalosporium gregatum(アズキ
落葉病)に対して抑制効果を示すことが、各地の試験場
の調査で明らかになっている。この試験の結果より、メ
チオニン・D−グルコースの混合溶液処理が、トウモロ
コシ根部に含まれる抗菌活性物質の量を増加させ、土壌
病害を引き起こす菌の生長を抑えることが明かとなっ
た。
【0064】(試験5)メチオニン・D−グルコース混
合物(本発明の予防用組成物)の茎葉散布が植物(植物
名:エンドウ、大豆、ビート、ジャガイモ、ニンジン、
ハクサイ、トマト、ブドウ、タバコ)の主要なファイト
アレキシンの産生に及ぼす影響について試験を行った。
【0065】(材料及び試験方法)供試植物は、それぞ
れ5〜6葉期のものを使用し、無処理区、メチオニン・
D−グルコース混合溶液(MG3)処理区、メチオニン
単独溶液(M1)処理区をそれぞれの植物について各1
0株設けた。メチオニン・D−グルコース混合溶液(M
G3)の散布、メチオニン単独溶液(M1)の散布は、
株当たり500mlを茎葉散布にて行った。ファイトア
レキシンの分析は、散布から72時間後に地上部を採取
し、アセトン抽出後、酢酸エチル溶出を行いシリカゲル
クロマトにかけて、HPLCにて行った。結果を無処理
区から検出された単位重量当たりのファイトアレキシン
産生量を100として表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】(試験5の結果及び考案)表5に示した結
果から、メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG
3)の散布がメチオニン単独溶液処理に比べ、1.1〜
3倍のファイトアレキシンの産生を誘導する事が示され
た。
【0068】(試験6)ジャガイモ疫病に対する効果に
ついて試験を行った。供試品種は男爵を用い、直径30
cmの鉢に植え、草丈30cmまで生育したものを試験
に供試した。これに、メチオニン・D−グルコース混合
溶液(MG3)の2倍となるよう調整した混合液を鉢当
たり50ml茎葉散布し、処理3日後に疫病菌(レース
0)の遊走子のう懸濁液を接種し、24時間湿室に保っ
たのち5日目に発病程度を調査した。発病率は次式によ
り算出した。
【0069】
【0070】上式においてi、n、niは下記のもので
ある。 i:表6に記載の発病指数 n:調査葉数 ni:発病指数iの葉数
【0071】
【表6】
【0072】発病率(%)は表7に示す通りであった。
【0073】
【表7】
【0074】(試験6の結果及び考案)表7から、メチ
オニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布が、
ジャガイモ疫病の生育を抑制することが認められた。
【0075】(試験7)トマトうどんこ病に対する効果
について試験を行った。供試品種は瑞健を用い、5〜6
葉期の苗に、メチオニン・D−グルコース混合溶液(M
G3)を株当たり50ml茎葉散布し、処理3日後にう
どんこ病菌(Leveillula Taurlca)
を噴霧接種し、10日後に全葉について発病を調査し
た。結果は表8に示す通りであった。
【0076】
【表8】
【0077】(試験7の結果及び考案)表8から、メチ
オニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布がト
マトうどんこ病の生育を抑制することが認められた。
【0078】(試験8)りんご斑点落葉病に対する効果
について、試験を行った。供試樹は、品種つがるの2年
生幼木で、試験の規模としては1区5本の2反復で行っ
た。薬剤散布は、6月15日、6月25日、7月10
日、8月6日、8月15日、8月25日の計6回行い、
メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の5倍
となるよう調整した混合液を株当たり2リットル散布し
た。発病調査は9月1日に行い、完全展葉した葉の発病
数を調査した。結果は表9に示す通りであった。
【0079】
【表9】
【0080】(試験8の結果及び考案)表9から、メチ
オニン・D−グルコース混合溶液(MG3)の散布がり
んご斑点落葉病の生育を抑制することが認められた。
【0081】(試験9)メチオニン・D−グルコース混
合物(本発明の予防用組成物)の種子粉衣処理が、キュ
ウリの苗立枯病に及ぼす影響について試験を行った。
【0082】(材料及び試験方法)キュウリ苗立枯病多
発圃場より土壌を採取し、φ90のポリポットに充填し
試験に供した。播種は、メチオニン10g、D−グルコ
ース2gにシリカ粉末10gを加え、よく混合した混合
物を、表面を水で湿らせたキュウリ種子に粉衣処理し、
1ポット1粒蒔きとした。対照区は無処理の種子を同じ
く1ポット1粒蒔きとした。各試験区は100ポットと
し、播種から3週間後、苗立枯病の発生の有無を調査し
た。試験結果を表10に結果を示した。
【0083】
【表10】
【0084】(試験9の結果及び考察)試験結果からメ
チオニン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成
物)の種子粉衣処理により、キュウリ苗立枯病の発生を
抑えることが確認された。
【0085】(試験10)メチオニン・D−グルコース
混合物(本発明の予防用組成物)の種子浸漬処理が、キ
ュウリの苗立枯病に及ぼす影響について試験を行った。
【0086】(材料及び試験方法)キュウリ苗立枯病多
発圃場より土壌を採取し、φ90のポリポットに充填し
試験に供した。播種は、メチオニン・D−グルコース混
合溶液(MG5)にキュウリ種子を5時間浸漬処理した
後、1ポット1粒蒔きとした。対照区は水道水に5時間
浸漬した種子を同じく1ポット1粒蒔きとした。各試験
区は100ポットとし、播種から3週間後、苗立枯病の
発生の有無を調査した。試験結果を表11に結果を示し
た。
【0087】
【表11】
【0088】(試験10の結果及び考察)試験結果から
メチオニン・D−グルコース混合溶液(MG5)の種子
浸漬処理により、キュウリ苗立枯病の発生を抑えること
が確認された。
【0089】(実施例7)L−システイン(日本理化学
薬品株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物(本発
明の予防用組成物)2gに蒸留水を加え1リットルと
し、完全に溶解して溶液CG1を作った。
【0090】(実施例8)L−システイン(日本理化学
薬品株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式
会社製)を重量比で1:0.1で混合し、その混合物
(本発明の予防用組成物)11gに蒸留水を加え1リッ
トルとし、完全に溶解して溶液CG2を作った。
【0091】(比較例2)L−システイン(日本理化学
薬品株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、
完全に溶解して溶液C1を作った。
【0092】(比較例3)D−グルコース(和光純薬工
業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、完
全に溶解して溶液GL1を作った。
【0093】(比較例4)L−プロリン(和光純薬工業
株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社
製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2gに蒸留
水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液PG1を
作った。
【0094】(比較例5)L−トリプトファン(和光純
薬工業株式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株
式会社製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2g
に蒸留水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液T
G1を作った。
【0095】(比較例6)L−セリン(和光純薬工業株
式会社製)にD−グルコース(和光純薬工業株式会社
製)を重量比で1:1で混合し、その混合物2gに蒸留
水を加え1リットルとし、完全に溶解して溶液SG1を
作った。
【0096】(比較例7)還元型グルタチオン(和光純
薬工業株式会社製)2gに蒸留水を加え1リットルと
し、完全に溶解して溶液GT1を作った。
【0097】(比較例8)硫酸アンモニウム(片山化学
工業株式会社製)1gに蒸留水を加え1リットルとし、
完全に溶解して溶液AS1を作った。
【0098】(試験11)L−システインとD−グルコ
ースの混合物(本発明の予防用組成物)が稲のファイト
アレキシンであるサクラネチン(Sakuraneti
n)、モミラクトンA(Momilactone A)
の発生に及ぼす影響について試験を行った。
【0099】(材料及び試験方法)供試品種は、日本晴
を用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=1
0:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生育
させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとし
た。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)
7gを全層施肥し、温室内にて7葉期まで栽培した稲の
第5葉を実験材料とした。第5葉は20cmで切りそろ
え、葉の中心部に10mm間隔で直径1mmの傷をつ
け、プラスチック容器中に蒸留水で湿らせたキムワイプ
を敷いて、その上に、葉表を上にして置いた。その後、
葉面の1mmの傷の上に各処理溶液を傷当たり25μl
のせ、容器に透明な蓋をし、25℃明条件下で60時間
インキュベートした。
【0100】60時間後に、葉面に残った試験液と、傷
を中心に直径10mmにコルクボーラーで打ち抜いた葉
を熱70%メタノール抽出を行い、減圧濃縮した後水相
を取り出し、さらにジエチルエーテル抽出を行い、エー
テル相を取り出し濃縮乾固した。その後サクラネチンの
測定は、順相TLC(ワットマン社製、LKGDFSI
LICA GEL 60Å)(ベンゼン:酢酸エチル:
ギ酸=10:1:1)を通し、酢酸エチル溶出したもの
を濃縮乾固し、逆相HPLC(東ソー(株)社製)
(0.2Nギ酸を含むメタノール:溶媒A=6:4、溶
媒A;NaNO32g、H2 SO4 0.05g/H2
1000ml)にて測定を行った。モミラクトンA
は、ボンド エルート(BOND ELUT C18、
バリアン社製)を通し80%メタノール溶出を行ったも
のをGC−MS/SIM(日本電子(株)社製)で測定
した。各区のサクラネチン、モミラクトンA発生量につ
いて表12に示す。
【0101】
【表12】
【0102】(試験11の結果及び考察)比較区として
L−システイン単独で処理したC1区は、サクラネチン
が79.10ng/spot(傷当たりの検出量)、モ
ミラクトンAが38.99ng/spot(傷当たりの
検出量)であったのに対し、L−システイン・D−グル
コース混合物溶液CG1〜2処理区はサクラネチンで1
82.36〜241.78ng/spot(傷当たりの
検出量)、モミラクトンAで傷当たり79.86〜10
9.20ng/spot(傷当たりの検出量)とL−シ
ステイン単独で処理した場合より優れた抗菌活性を示し
た。さらに、D−グルコース単独で処理したGL1区
は、サクラネチン、モミラクトンAともに検出されなか
った。その他、比較として分子中に硫黄を含まないアミ
ノ酸と、D−グルコースの混合物について試験を行った
結果、L−プロリン・D−グルコース試験区、L−トリ
プトファン・D−グルコース試験区、L−セリン・D−
グルコース試験区ともにサクラネチン、モミラクトンA
は検出されなかった。さらに、比較として分子中に硫黄
を含む他の化合物であるグルタチオン、硫酸アンモニウ
ムを試験した結果、ともにサクラネチン、モミラトンA
は検出されなかった。
【0103】図1に植物の植物病原菌に対する動的防御
機構を示したが、一般に稲のファイトアレキシンである
サクラネチン、モミラクトンAは、稲いもち病菌をはじ
めとする各種病害に対する動的防御物質として知られて
おり、病原菌の進入を防ぐ重要な役割を果たしている。
また、サクラネチン、モミラクトンAのいもち病菌胞子
発芽に対するED50値は、ともに15ppmであり、極
めて強い抗菌作用が知られている。本試験の結果は、L
−システイン溶液C1単独の処理に比べ、L−システイ
ン・D−グルコース混合物(本発明の予防用組成物)が
より植物病害防除に利用できることを示唆するものであ
る。
【0104】
【発明の効果】本発明は、植物自身の抗菌性物質である
ファイトアレキシンの発生を促すことによって、植物が
本来持っている病害抵抗性を高め、環境にやさしく、低
コストで、しかも安全である植物病害の予防方法に関す
るものであり、本発明の予防用組成物およびそれを用い
た予防方法により、植物の収量低下を引き起こす植物病
害を低減することが可能であり、結果として収量の増加
を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 植物の植物病原菌に対する動的防御機構を示
す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 博 神奈川県横浜市泉区中田東2丁目25番3− 305 Fターム(参考) 2B022 AA01 BA11 BA21 DA19 EA10 4H011 AA01 BA06 BB06 BB08 DA14 DD03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物病害防除を目的として植物に施用し
    植物にファイトアレキシン(Phytoalexin)
    を発生させる植物病害の予防用組成物であって、含硫ア
    ミノ酸であるメチオニン(Methionine)、シ
    ステイン(Cysteine)、シスチン(Cysti
    ne)から選ばれる少なくとも1種の含硫アミノ酸と、
    D−グルコース(D−Glucose)との混合物を含
    むことを特徴とする植物病害の予防用組成物。
  2. 【請求項2】 含硫アミノ酸がメチオニンであることを
    特徴とする請求項1記載の予防用組成物。
  3. 【請求項3】 含硫アミノ酸とD−グルコースの混合重
    量比が、1:(50〜0.001)の範囲であることを
    特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の予防用組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の予防用組成物を、そのままあるいは水で1〜100,
    000倍に希釈して植物の地上部に散布することを特徴
    とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の予防用組成物を、直接土壌に混和するかあるいは水で
    1〜1,000,000倍に希釈して灌注することを特
    徴とする植物病害の予防用組成物の使用方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の予防用組成物を、直接あるいは担体に保持させ、種子
    粉衣することを特徴とする植物病害の予防用組成物の使
    用方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の組成物を、水で10〜1,000,000倍に溶解し
    て種子浸漬処理することを特徴とする植物病害の予防用
    組成物の使用方法。
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