サプライチェーン全体でセキュリティ対策が求められる流れの中で、取引の現場では「対策をしているか」だけでなく、「どの程度、継続的に管理できているか」「必要なときに説明できるか」を確認する動きが強まっています。

本連載では、第1回でSCS評価制度の全体像とEDIが無関係ではない理由を整理し、第2回で★3を「最低限そろえる土台」として6つのチェックポイント(①〜⑥)で整理しました。
第3回では★4(第三者評価)を見据え、「運用として回っていること」「根拠を提示できること」が重要になりやすい点を、同じく①〜⑥で整理しました。

最終回となる第4回では、これらの整理を踏まえ、クラウドを活用することでEDIのセキュリティを強化しやすいポイントを、①〜⑥の軸で解説します。

SCS評価制度の文脈で「クラウド」が検討されやすい理由 

外部サービス(クラウド等)を利用する場合は、利用者側で実装・運用すべき範囲と、提供者側の対策状況を確認すべき範囲を整理する必要があります。この前提に立つと、EDIに関しては「どの方式か」を論じるより、①〜⑥(脆弱性、通信、認証、ログ、BCP、委託先管理)を継続運用でき、説明可能な形で維持できるかが重要になります。その点で、クラウドは一つの大きな選択肢になりえます。
以降では、①〜⑥それぞれについて、「クラウド活用で強化しやすい点」と「選定時に確認しておきたい事項」を整理します。

クラウドによるEDIのセキュリティ強化、6つのポイント 

以下は、SCS評価制度で問われやすい観点をEDIの実務に対応づけた「選定フレーム」です。

① 脆弱性管理:更新を“運用として回す”負担を下げやすい

重要なのは、脆弱性を放置しない方針があり、更新が運用として回り、実施記録を示せることです。
クラウド活用では、インフラ層の更新をサービス側で計画的に実施するなど、「更新が回り続ける状態」を作りやすいケースがあります。
② 通信の安全確保:暗号化を“標準として維持”しやすい

通信の暗号化は、盗聴や改ざんを防ぐ基本です。重要なのは「暗号化している」だけではなく、設定が標準として管理され、継続して維持できることです。
クラウド活用では、暗号設定の標準化や管理をサービス側で行い、「設定が属人化しにくい状態」にしやすい場合があります。
③ アクセス管理・認証:MFAや権限分離を“前提設計”にしやすい

なりすましや内部不正を抑えるため、強固な認証(多要素認証等)や権限分離が重要です。さらに第三者評価を意識すると、権限棚卸しや付与・削除の運用が回り、根拠を示せることがポイントになります。
クラウド活用では、MFAや細かな権限設計が標準機能として提供され、運用ルールを揃えやすい場合があります。
④ ログ取得・証跡:ログを“一元化し、出しやすく”しやすい

ログは「取れる」だけでは弱く、事故時に「すぐ出せる」状態(保管・検索・提示手順)が整っていることが重要です。
クラウド活用では、送受信記録や操作ログなどを一元的に保管しやすく、調査・説明の負担を下げられるケースがあります。
⑤ 事業継続性(BCP):冗長化・バックアップを“現実的に”整えやすい

EDIは取引の中核業務に直結するため、停止や遅延が業務影響につながりやすい領域です。
クラウド活用では、冗長化や自動バックアップ、SLA等の設計を含めて提供されることが多く、自社で同等の仕組みを用意する場合と比較して、実装・運用面のハードルが下がるケースがあります。
⑥ 外部委託先の管理:責任分担と根拠資料を説明しやすい

外部サービス(クラウド等)を使う場合は、利用者側で何を担い、提供者側の対策状況を何で確認するかを説明できる形にしておく必要があります。
クラウド活用では、クラウド特有の管理策を整理する枠組み(例:ISO/IEC 27017)に基づいて、運用や管理策を説明しやすい場合があります。

選定の軸は「機能」だけでなく「継続運用と説明可能性」 

EDIサービスの比較は、機能表だけでは差が見えにくくなりがちです。SCS評価制度の文脈では、①〜⑥のチェックポイントを日々の運用として揃え続けられるか、そして必要なときに根拠(手順・記録・ログ等)を提示できるかが重要になります。
その観点では、クラウドは①〜⑥を標準化・一元化し、更新を含めた運用を継続しやすい、有力な選択肢となります。最終的には、自社の運用体制や取引影響、外部サービス利用時の責任分担を踏まえたうえで、どのような形で①〜⑥を整理し、説明可能な状態を維持していくかを判断することが重要です。その一つの解として、近年はクラウドEDIを検討する企業が増えています。

次の一歩:棚卸しから整理を始める 

選定や比較を進める前に、まず現状を見える化しておくと論点が整理しやすくなります。
たとえば次の3点を押さえると、比較の前提が揃います。

現状の棚卸し(①〜⑥のどこが強く、どこが弱いか)
運用と責任分担(誰が何を担い、どこまで説明できるか)
証跡(ログ)の所在と提示方法(どこで、何が、どれくらい残るか)

SCS評価制度に向けて、まずはEDIの現状把握から。
(画像)ITイメージ図

EDI‑Master Cloudは、SCS評価制度で求められるEDI運用の整理と説明性向上を支援します。SCS評価制度への備えや、EDIのセキュリティ対策について、自社の状況に合わせて確認したい方は、お気軽にご相談ください。

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SCS評価制度とEDIを、運用の現場から考えるということ 

本連載を通じて見えてきたのは、EDIに求められるのが「特定の方式や機能」そのものではなく、脆弱性管理・通信の安全確保・アクセス管理/認証・ログ/証跡・BCP・外部委託先管理という 6つのチェックポイント(①〜⑥)を、日々の運用として揃え続けられるか、そして必要なときに根拠(手順・記録・ログ等)を提示できるかという点だ、ということです。

制度の本格運用を見据えるなら、まずは自社のEDIを①〜⑥で棚卸しし、「説明材料が揃っている所/弱い所」を切り分けるところから始めると、次の判断(運用改善・体制整備・サービス活用の検討など)につなげやすくなります。

本連載が、その整理のきっかけになれば幸いです。

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※この記事はキヤノンITソリューションズ株式会社による記事の転載です。

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