JP7247744B2 - 操舵制御方法及び操舵制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、操向輪の実転舵角と目標転舵角との偏差の積分成分に応じて複数の転舵アクチュエータを駆動する操舵制御において、異常が発生した転舵アクチュエータの駆動を停止して正常な転舵アクチュエータで転舵しようとする時の転舵角の挙動を改善することを目的とする。
図1は、実施形態の操舵装置の概略構成図である。
ステアリングホイール11は、ステアリングシャフト12に連結され、車輪(操向輪)13L及び13Rは、ナックルアーム14、タイロッド15、ラック軸16、及びピニヨンギヤ17を順に介して第1ピニヨンシャフト18に連結される。ステアリングシャフト12及び第1ピニヨンシャフト18は、クラッチ19を介して接続又は遮断の何れかに切替え可能な状態で連結されている。
第1ピニヨンシャフト18は、クラッチ側の入力軸と、ピニヨンギヤ側の出力軸とからなり、その出力軸には、例えばウォームギヤ32を介して第1転舵モータM1を連結してある。第1転舵モータM1には、モータ回転角を検出するレゾルバ33を設けてある。
ウォームギヤ32は、ウォームの回転によってウォームホイールが回転し、またウォームホイールの回転によってもウォームが回転するように、つまり逆駆動が可能となるように、ウォームのねじれ角を安息角(摩擦角)よりも大きくしてある。
上記のピニヨンギヤ17、第1ピニヨンシャフト18の出力軸、ウォームギヤ32、第1転舵モータM1、レゾルバ33、及びトルクセンサ34は、第1転舵アクチュエータA1を形成する。第1転舵アクチュエータA1は、一体化した複合部品(アッセンブリ)であってよい。
ウォームギヤ38は、第2ピニヨンシャフト36に連結されたウォームホイールと、第2転舵モータM2に連結されたウォームとからなり、ウォーム軸をウォームホイール軸に対して斜交させている。これは第2ピニヨンシャフト36に対する軸直角方向のモジュールを小さくするためである。
上記のピニヨンギヤ35、第2ピニヨンシャフト36の出力軸、ウォームギヤ38、第2転舵モータM2、及びレゾルバ39は、第2転舵アクチュエータA2を形成する。第2転舵アクチュエータA2は、一体化した複合部品(アッセンブリ)であってよい。
反力モータ51によれば、クラッチ19を遮断している状態で、反力モータ51を駆動すると、ステアリングシャフト12にモータトルクが伝達される。したがって、クラッチ19を遮断してステアリングバイワイヤを実行しているときに、路面から受ける反力に応じて反力モータ51を駆動制御することにより、運転者のステアリング操作に対して操作反力を付与する所望の反力特性が実現される。
本実施形態では、第1転舵コントローラ(転舵ECU1)71と、第2転舵コントローラ(転舵ECU2)72と、反力コントローラ(反力ECU)73と、を備える。各コントローラは、例えばマイクロコンピュータからなる。
第1転舵コントローラ71と、第2転舵コントローラ72と、反力コントローラ73は、通信線74によって相互通信可能に接続されている。すなわち、例えばCSMA/CA方式の多重通信(CAN:Controller Area Network)やフレックスレイ(Flex Ray)等の車載通信ネットワーク(車載LAN)規格を用いた通信路を構築してある。
クラッチ制御信号は、クラッチ19を遮断するための信号であり、各コントローラがクラッチ制御信号を出力しているときに、クラッチ19が遮断され、何れかのコントローラがクラッチ制御信号の出力を停止すると、クラッチ19が接続される。
レゾルバ33及び39、第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2、第1及び第2転舵コントローラ71及び72、並びに反力コントローラ73は、操舵制御装置を形成する。
例えば、第1転舵コントローラ71、第2転舵コントローラ72及び反力コントローラ73は、レゾルバ33、39、52、トルクセンサ34、操舵角センサ53からの信号を通信線74で共有し、全てのコントローラ71~73の各々が、第1転舵モータM1、第2転舵モータM2及び反力モータ51の駆動制御に必要な演算処理を行ってよい。
第1転舵コントローラ71、第2転舵コントローラ72及び反力コントローラ73は、各々の演算結果を照合することにより相互に健全性を判断し、正常なコントローラのいずれか1つのコントローラの演算結果により、第1転舵モータM1、第2転舵モータM2及び反力モータ51を制御してよい。
なお、第1転舵コントローラ71、第2転舵コントローラ72及び反力コントローラ73を単一のコントローラとして構成してもよい。
同様に、第2転舵モータM2のモータ回転角θm2については、レゾルバ39を介して第2転舵コントローラ72で検出し、反力モータ51のモータ回転角θrについては、レゾルバ52を介して反力コントローラ73で検出する。
この場合、クラッチ制御信号を出力してクラッチ19を遮断した状態で、第1転舵コントローラ71で第1転舵モータM1を駆動制御すると共に、第2転舵コントローラ72で第2転舵モータM2を駆動制御し、転舵角制御を実行する。すなわち、第1転舵モータM1及び第2転舵モータM2が協働し、必要とされる転舵力を分担して出力する。一方、反力コントローラ73で反力モータ51を駆動制御し、反力制御を実行する。これにより、ステアリングバイワイヤ機能として、所望のステアリング特性を実現し、且つ良好な操作フィーリングを実現する。
実転舵角θwの推定は、操舵角θs、モータ回転角θm1、モータ回転角θm2等に基づいて行う。なお、ラック軸16の中立位置(直進状態での位置)からの移動量を検出するセンサを備え、センサで検出したラック軸16の中立位置からの移動量に基づいて実転舵角θwを推定しても良い。実転舵角θwの推定方法は適宜公知の手法に変更可能である。
目標反力トルクTr*の設定は、例えば操舵角θs、第1転舵モータM1に流れる電流Im1、第2転舵モータM2に流れる電流Im2等に基づいて行う。あるいは操向輪にタイヤ横力を検出する横力センサを備え、操舵角θsと横力センサで検出したタイヤ横力に基づいて目標反力トルクTr*を設定しても良い。
目標転舵角算出部80は、操舵角θsと車速Vに応じて目標転舵角θtを算出する。
例えば、第1転舵モータM1のモータ電流指令値は、第1転舵コントローラ71のフィードバック制御部81が算出し、第2転舵モータM2のモータ電流指令値は、第2転舵コントローラ72のフィードバック制御部81が算出する。
例えばフィードバック制御部81は、ロバストモデルマッチング手法などを用いて、角度偏差(θt-θw)に所定のゲイン(係数)を乗じた比例値(比例成分)を含んだモータ電流指令値を算出する。
フィードバック制御部81により算出されたモータ電流指令値は、減算器90を経た後にローパスフィルタ91に入力され、高周波成分が除去されて減算器94に入力される。
例えば、第1転舵コントローラ71の異常検出部84は、第1転舵モータM1に流れるモータ電流の異常やレゾルバ33の自己診断信号に基づいて、第1転舵アクチュエータA1に発生した異常を検出する。また、第2転舵コントローラ72の異常検出部84は、第2転舵モータM2に流れるモータ電流の異常やレゾルバ39の自己診断信号に基づいて、第2転舵アクチュエータA2に発生した異常を検出する。
第2転舵コントローラ72の異常検出部84は、第1転舵モータM1に流れるモータ電流の検出値やレゾルバ33の自己診断信号を第1転舵コントローラ71から通信線74を経由して受信して第1転舵アクチュエータA1に発生した異常を検出してもよい。
第2転舵コントローラ72の異常検出部84は、第2転舵アクチュエータA2の異常を検出した場合に、駆動回路83から第2転舵モータM2へのモータ電流の出力を遮断器85によって遮断し、第2転舵アクチュエータA2の駆動を停止する。
しかしながら、いずれかの転舵アクチュエータで異常が発生してから、異常な転舵アクチュエータの駆動を停止するまでには時間差があるため、異常な転舵アクチュエータの駆動を停止した後の転舵角が振動的になることがある。その理由は以下のとおりである。
このため、異常な転舵アクチュエータの駆動を停止するまで、実転舵角θwが目標転舵角θtに追従できずに、外乱オブザーバ82による角度偏差(θt-θw)の積分成分が蓄積する。
この結果、正常な転舵アクチュエータの出力トルクが増大するので、その後に異常な転舵アクチュエータの駆動を停止すると実転舵角θwのオーバシュートが発生する。
時刻t0で、いずれかの転舵アクチュエータで異常が発生すると、異常な転舵アクチュエータの出力トルクによりピニオン角換算値が負方向に変動する。これにより、角度偏差(θt-θw)が増加するため、フィードバック制御部81の出力が増加する。また、ローパスフィルタ91の出力には、角度偏差(θt-θw)の積分成分が蓄積される。この結果、正常な転舵アクチュエータのモータ電流が増加する。
しかしながら、外乱オブザーバ82のローパスフィルタ91には角度偏差(θt-θw)の積分成分が蓄積されているため、正常な転舵アクチュエータのモータ電流が過大になり、ピニオン角換算値すなわち実転舵角θwのオーバシュートが発生する。
例えば積分値低減部86は、ローパスフィルタ91の出力を制限することにより、外乱オブザーバ82に蓄積されている角度偏差(θt-θw)の積分成分を制限する。例えば積分値低減部86は、ローパスフィルタ91の出力をゼロにリセットする。すなわち積分値低減部86は、ローパスフィルタ91の出力を予め定めた所定値であるゼロに制限する。
減算器90からは、補正積分成分を含んだモータ電流指令値が駆動回路83に出力され、このモータ電流指令値に基づいて正常な転舵アクチュエータが駆動される。
図3と同様に、時刻t0で、いずれかの転舵アクチュエータで異常が発生し、時刻t1において異常な転舵アクチュエータの駆動を停止する。このとき、ローパスフィルタ91の出力をゼロにする。
これにより、正常な転舵アクチュエータのモータ電流が過大になることが防止され、実転舵角θwのオーバシュートがなくなり、挙動が小さくなる。なお、上記においては第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2のいずれかの転舵アクチュエータで異常が発生した場合に、ローパスフィルタ91の出力を予め定めた所定値であるゼロに制限する例を示したが、予め定めた所定値はゼロに限定されない。例えば第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2のいずれかの転舵アクチュエータで異常が発生して異常な転舵アクチュエータの駆動を停止した場合に、正常な転舵アクチュエータのモータ電流が過大になることを防止できる程度に充分小さな正の値を予め実験等によって求めて設定しておき、ローパスフィルタ91の出力を予め設定した値に制限しても良い。本実施形態においては以下、第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2のいずれかの転舵アクチュエータで異常が発生した場合に、ローパスフィルタ91の出力をゼロに制限するものとして説明する。
また、2つの転舵アクチュエータA1及びA2で電動パワーステアリング制御を実行している際に、いずれかの転舵アクチュエータに異常が発生し、残りの正常な転舵アクチュエータでステアリングバイワイヤ制御を実行する場合にも適用可能である。
また、2つの転舵アクチュエータA1及びA2で電動パワーステアリング制御を実行している際に、第2転舵アクチュエータA2に異常が発生し、正常な第1転舵アクチュエータA1で電動パワーステアリング制御を実行する場合にも適用可能である。
次に図5を参照して、実施形態の操舵制御方法の一例を説明する。
ステップS1においてレゾルバ33、39、第1及び第2転舵コントローラ71及び72は、実転舵角θwを検出する。
ステップS2において第1及び第2転舵コントローラ71及び72は、目標転舵角θtを算出する。
ステップS4において異常検出部84は、第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2のいずれかに異常が発生したか否かを判定する。異常が発生した場合(ステップS4:Y)に処理はステップS6に進む。異常が発生しない場合(ステップS4:N)に処理はステップS5に進む。
ステップS6において異常検出部84は、異常が発生した転舵アクチュエータの駆動を停止する。
ステップS7において積分値低減部86は、外乱オブザーバ82のローパスフィルタ91の出力を低減することにより、モータ電流指令値に含まれる角度偏差(θt-θw)の積分成分を0に制限(予め定めた所定値以下に制限)する。
ステップS8において駆動回路83は、ステップS7で算出したモータ電流指令値で正常な転舵アクチュエータを駆動する。その後に処理は終了する。
(1)レゾルバ33、39、第1及び第2転舵コントローラ71及び72は、車両の操向輪13L及び13Rの実転舵角θwを検出する。第1及び第2転舵コントローラ71及び72は、操向輪13L及び13Rの目標転舵角θtを算出する。外乱オブザーバ82は、実転舵角θwと目標転舵角θtとの角度偏差(θt-θw)の積分成分を算出する。操向輪13L及び13Rを転舵する第1及び第2転舵アクチュエータA1及びA2は、積分成分に応じて、角度偏差(θt-θw)が減少するように駆動される。
積分値低減部86は、正常な転舵アクチュエータのモータ電流指令値の算出において、異常の検出時点における積分成分を予め定めた所定値以下に制限し、制限した積分成分に対して検出時点後から角度偏差(θt-θw)を積分して加えた補正積分成分に基づいて、正常な転舵アクチュエータを駆動する。
これにより、異常な転舵アクチュエータの駆動を停止した後の角度偏差(θt-θw)に基づいて実操舵角θsが目標転舵角θtに一致するように制御する際に、異常な転舵アクチュエータの駆動を停止する前に蓄積した角度偏差(θt-θw)の積分成分の影響を抑制することができる。
Claims (6)
- 車両の操向輪の実転舵角を検出し、
前記操向輪の目標転舵角を算出し、
前記実転舵角と前記目標転舵角との角度偏差の積分成分を算出し、
前記角度偏差が減少するように前記積分成分に応じて前記操向輪を転舵する複数の転舵アクチュエータを駆動し、
前記複数の転舵アクチュエータの各々の異常を検出し、
前記複数の転舵アクチュエータのうちいずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合には、前記いずれかの転舵アクチュエータの駆動を停止し、前記異常の検出時点における前記積分成分を予め定めた所定値以下に制限し、前記制限した積分成分に対して前記検出時点後からの前記角度偏差の積分成分を加えた補正積分成分に基づいて、前記複数の転舵アクチュエータのうち正常な転舵アクチュエータを駆動する、
ことを特徴とする操舵制御方法。 - 前記いずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合に、前記異常の検出時点における前記積分成分をゼロに設定することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御方法。
- 前記角度偏差に係数を乗算した比例成分を算出し、
前記角度偏差が減少するように前記積分成分と前記比例成分とに応じて前記複数の転舵アクチュエータを駆動し、
前記いずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合に、前記異常の検出時点における前記比例成分及び前記積分成分のうち前記積分成分を前記予め定めた所定値以下に制限する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の操舵制御方法。 - 車両の操向輪を転舵する複数の転舵アクチュエータと、
車両の操向輪の実転舵角を検出する転舵角センサと、
前記操向輪の目標転舵角を算出し、前記実転舵角と前記目標転舵角との角度偏差の積分成分を算出し、前記角度偏差が減少するように前記積分成分に応じて前記操向輪を転舵する前記複数の転舵アクチュエータを駆動する、少なくとも1つのコントローラと、
を備え、
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記複数の転舵アクチュエータの各々の異常を検出し、
前記複数の転舵アクチュエータのうちいずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合には、前記いずれかの転舵アクチュエータの駆動を停止し、前記異常の検出時点までに算出した前記積分成分を予め定めた所定値以下に制限し、前記制限した積分成分に対して前記検出時点後の前記角度偏差を積分成分を加えた補正積分成分に基づいて、前記複数の転舵アクチュエータのうち正常な転舵アクチュエータを駆動する、ことを特徴とする操舵制御装置。 - 前記少なくとも1つのコントローラは、
前記いずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合に、前記異常の検出時点における前記積分成分をゼロに設定することを特徴とする請求項4に記載の操舵制御装置。 - 前記少なくとも1つのコントローラは、
前記角度偏差に係数を乗算した比例成分を算出し、
前記角度偏差が減少するように前記積分成分と前記比例成分とに応じて前記複数の転舵アクチュエータを駆動し、
前記いずれかの転舵アクチュエータの異常が検出された場合に、前記異常の検出時点における前記比例成分及び前記積分成分のうち前記積分成分を前記予め定めた所定値以下に制限する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の操舵制御装置。
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